2006年04月30日 九州の秘境”大崩山

大崩山 (おおくえやま)

聳え立つ白い岩峰にツクシアケボノツツジのピンクが映える大崩山

深い原生林があり「九州最後 の秘境」といわれ深山幽谷の山と紹介されている

ゴールデンウイーク真っ最中の30日は、天気も最高で混雑は予想されたが

登山道の渋滞覚悟で、秘境に咲くアケボノを見に行って来ました

(概念図)

上祝子登山口〜大崩山荘〜坊主尾根〜小積ダキ〜大崩山頂上
〜上湧塚〜中湧塚〜下湧塚〜乳房岩〜袖ダキ〜湧塚分岐〜
大崩山荘〜登山口        (「ダキ」とは崖の意味 9時間20分)

天気予報を見て、28日に登山口近くの民宿へ電話を入れるが案の定満室

こうなりゃ、 シュラフを積み込み、狭いながらも楽しい我が家の車中泊となったが

”29日大崩山お山開き” と書かれた横断幕がはためく

祝子川温泉”美人の湯”駐車場は同宿車で大賑わい

早速、大崩山の山容を眺めながら露天風呂でのんびりと

「いいお湯〜」10歳くらい若くなりそう

大阪から来られた少し年配の方と、お湯に浸かりながら話したが

車中泊しながら一週間九州の お山巡りをするとか。 元気〜!  

早朝、4時過ぎにボツボツ登山口へ車が向かいだすと駐車場もざわざわして来る

駐車場の心配をしながら5時前に登山口へ向かう

5時過ぎ、薄暗い登山口周辺には既に数十台駐車され

ヘッドランプを着けた団体さんが登り始めていた

登山口より林道奥の方へ駐車して

5時20分 上祝子(かみほうり)登山口出発(下山時撮影) 

大崩山荘(下山時撮影)  

大崩山荘までの20分間は足慣らしの緩やかな上りが続く

温泉の駐車場で、朝食にカレーライスを食 べてた方たちに山荘で追いついて

湧塚コースは混雑しそうだという話を聞き、坊主尾根コースから登る 事にする

山荘を左に折れ河原に出て対岸に渡る

見上げれば朝日に輝く小積ダキが今日の天気を約束してくれている

飛び石伝いに対岸へ渡ったけど、増水時は渡渉出来そうにないわ

坊主尾根を下山 ルートに使った場合、もし渡渉出来なければ

此処から下りて来た道をまた登り返し、林道ルートか

二枚ダキコースへエスケープすると本に書かれていたけど

そうなったら、アララどころじゃ無いわ、

もうガックリきて動けないだろうな

渡渉後、少し進むと待ちに待った坊主尾根の急登が始まる 

アケボノツツジも出て来だしたし、さあギヤチェンジ

ファイト〜!

  巨岩のブロック帯には、嫌になる位のロープや梯子が続くが

登っていくにつれ段々展望が開け絶景が広 がってくる

時折バランスが崩れる程の強風が吹き抜け、梯子にしがみついてやり過ごす

「アー」と言う声と共に、先行していた人の 帽子が

下小積谷の深い谷に飛んでいっているのが見えた

「命の方が大事」と諦めていたが・・・

直ぐ横が見返りの塔

見返りの塔の石の上に立てば絶景だそうだが

何処に足掛りが有ったんだろう

気がつかなかったわ

「あらアケボノが・・・」

「よそ見したら危ないぞー」

青空に小積ダキの岩峰が聳える  

岩峰に映えるモミ マツの緑に混じってツクシアケボノツツジ

ミツバツツジ、ツクシシャクナゲ、ヒカゲツツジたちが

精一杯自己主張し、見飽きる事がない  

坊主尾根名物? 象岩のトラバース

念のため、シュリンゲとカラビナは持っていたけど

しっかりとワイヤーがボルトに固定され必要無かったわ

でも 雨の日や冬季は緊張するだろうな

難所と評判の象岩のトラバースをクリアし、象岩へ寄り道する

象岩上から小積ダキの 展望を楽しんだ後、小積ダキへ向かっていると

駐車場泊まりだった若い二人が追いついて来た

何とこの ご夫婦、昨日は傾山に登ったとか。 信じられない!

本当 可愛い象さんだわ  

小積ダキは登山道から別れて3分程の距離

1391mのピークに立てば、小積谷を挟んで向かいの

湧塚尾根や遠くの傾山の大展望を一人占め

又、見下ろせば先程上がった象岩とその下のトラバース 道が間近に見える

誰か通らないかしらと思って、シャッターチャンスを待ったんだけど・・・

小積ダキよりズームした上湧塚と中湧塚の岩峰  

下湧塚に数人立っているのが見えるが、あんな危なっかしい岩尾根を歩くの?

小積ダキを過ぎると、やっと峻険な岩場は終わり

ブナの原生林の中に咲くツクシアケボノツツジを楽しみ ながら

1571mピークで湧塚ルートを合わせた後はノンビリ稜線を歩いて行くが

今度は背丈ほどある スズタケのお出ましだわ

スズタケを掻き分けながら進み、宇土内谷コースの分岐を過ぎ

頂上間近になると急に人が増えて来た

西側の宇土内谷からだと、ゆっくり自然林を満喫しながら2時間弱で着くそうだ

賑わう 山頂手前の展望所 石塚 

 

大崩山山頂(1643m) 9時30分  

標識の前で犬が記念撮影中

山頂は狭く、木々に囲まれ展望はよくない

登頂に費やしたエネルギーを考えたらチョット拍子抜け、比較は難 しいが

登攀の厳しさ 頂上の雰囲気、四国でいえば石立山みたいな感じもする

石塚まで戻り、展望を楽しみながら30分程寛ぐ

1571mピークまで帰り、左手の湧塚コースへと進む

上湧塚の天辺に人が見える ワクワク  

この辺りは ツクシアケボノツツジはまだまだ蕾が多い、連休一杯は楽しめそうだ

ところで、アケボノツツジとツクシ アケボノツツジって違うのかしら?

九州にあるからツクシなのかな?(でも此処はヒュウガよね) それとも少し小さ いのかな?

見た目には分からないけど、いずれにしても華やか〜♪

この辺りから湧塚コースを上がって来た多くの団体さん達とすれ違う

林の向こうの上湧塚から賑やかな声が・・・

人一人が通れる割れ目に取り付けられたロープを繰って

上湧塚岩峰上に登ろうとしたら、次々と人が下りて来て登れない

基部を回り込み 裏から登ろうとしたが、此方も行列状態

一方通行にすれば良いのに・・・

今回の山行では、上湧塚の天辺に立てなかったのが心残り

広いスラブに架かる思案橋

  昔は朽ちかけた木の桟橋で、行こうか戻ろうか躊躇したという思案橋の難所も

今は立派なジュラルミン製になり ルンルン気分で渡る事が出来る

良かった〜 

思案橋を越え、岩角や木の根を掴みながら中湧塚へ 

上湧塚をバックに中湧塚の天辺で休憩

下湧塚へと続く岩尾根

雄大な中湧塚を振り返る  

青い空に突き刺さる白い岩峰と、緑のマツ、モミ等とのコントラストがとても綺麗!

大崩山は 屹立した花崗岩壁 が風化して崩れるさまが山名の由来と言われている

見上げれば、今にも崩れ落ちそうな岩塊が微妙なバランスを 保っているが

大丈夫かな?

ロープが固定されている岩を下りる

次々に梯子・ロープが・・・細腕には堪えます

登山道を少し逸れて、乳房岩を往復

地図ではもう少し時間がかかりそうに思ったけど 2,3分で着きなんか得した気分

乳房岩より下湧塚を見るが、ここも湧塚の展望抜群で圧倒される

スラブに垂れ下がった長いロープを繰って袖ダキに着くと

「此処からの景色は抜群よ」と言いながら 数人が展望を楽しんでいた

本当に、此処から見上げる湧塚方面の展望は山水画の世界だわ

袖ダキより小積ダキを見る  

小積ダキも見る角度によって趣が全然違うが、せり上がった急峻な岩肌に圧倒される

ゆっくり展望を楽しんでから、ロープを使って慎重に下りていくと

下山中の同世代くらいのご夫婦に、「展望良いんですか」と聞かれたので

「最高よ!」と答えたら、あまり気乗りしていないご主人を急かして上って行った

木の間から、朝歩いた坊主岩付近が見えている

坊主岩をズーム

苔むした岩の間、狭いけど大丈夫〜

アカマツ、モミ、ゴヨウマツの中、ツクシアケボノツツジが彩を添えている

尾根よりロープ、梯子を伝ってガレ谷に下りる

ガレ場で道が分かりにくいが、ドンドン下ると巨岩が点在している

火を焚いた跡もあり避難場所として 使われているらしいが

倒れてきたら押しつぶされそうな岩屋だったのでお邪魔せずに通過する

写真で見ていた丸木橋がジュラルミンの立派な橋になってて良かった

細くてもコレなら安心。平均台は得意だったんよ〜

橋を渡った後は飛び石 伝いに対岸へ

でも河原が広く大きな岩がゴロゴロしているので

方向が分かり難くてうろうろしてたら

から下りてきた方が、道を教えて下さった

岩にペンキで矢印が欲しい所だ

でも此処は「秘境」 ダメですよね

振り返れば、天を突く小積ダキの岩峰が日に輝き神々しい

大崩山は標高差1000m程だけど

急坂や岩場に架けられた梯子・ロープは数十箇所

これほど手を使った登山は初めてだったわ

緊張感から開放され、河原から少し上り返して

三里河原分岐を右に取れば、登山口迄は後40分程の距離 

山荘周辺は満開のミツバツツジ  

こぼれるように咲いているミツバツツジや新緑に癒され

瀬音を聞きながら進むと山荘が見えだした

昨日山荘泊まり だった人が、大きなザックを背負って出て来た

立派な山荘だが、無人の山荘泊りはちょっと怖い気もする

あらら、まだ気が抜けないわ

滑らかな花崗岩の祝子川 (ほうりがわ) 

2時40分登山口着

渋滞して遅くなるかもしれないとヘッドランプや懐中電灯を用意してたけど

スムースに歩けたので、予定通りの時間に無事下山

登山口から15分程歩いて駐車地点に着いたが

ずっと奥まで車が停められ、朝よりも随分増えている

今日は何人位入山したんだろう? 西赤石と良い勝負 かな?

西赤石では豪快に斜面全体がアケボノで染まるが

大崩山では周りの岩、マツ ブナ等にマッチし気高く咲き誇る

それぞれ個性的で素晴らしい

 

白い花崗岩の岩肌に映える鮮やかなピンクのツクシアケボノツツジも堪能したし

遠くから見ると、怖そうで上れるかしらと 心配した岩塔の天辺にも立てれたわ

おまけに天気にも恵まれ

大崩山のメインコース、坊主尾根〜湧塚コースを歩け 大展望満喫

日本二百名山大崩山

噂通り面白い山で充実した山行でした

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