2006年10月18日 豊後火の山”九重連山”を歩く

「人、皆 花に〜♪」と唄いだしたくなるような

雄大な風景が展開される

この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び
数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平18総使、第582号)

 
長者原〜法華院温泉〜北千里ガ浜〜久住分れ〜中岳〜久住山

〜久住分れ 〜西千里ガ浜〜牧ノ戸峠〜長者原  (8時間30分)  

ミヤマキリシマの大群落で有名な「九重山」

3年前、登山口に着いた途端、 大雨で戦意喪失

 急遽、観光に切り替えたので今回再チャレンジ

紅葉には少し早いかも知れないけど

高原を埋め尽くすススキの穂波が爽やかな秋風にそよぎ銀色に輝いているだろう

見に行きた〜い! (何時もの調子)

平治号に見送られて6時30分出発    

「くじゅうを美しく、今日も安全登山を」と九重山を見上げているガイド犬「平冶号」は、

何度も濃霧や吹雪で道に迷った登山者を誘導し無事下山させたという

亡くなった今 も銅像が立てられ登山者に愛されている

長者原ビジターセンターの登山口は早朝でもあるからか、以外と登山 者は少ない

標高差の少ない牧ノ戸コースを選ぶ人が多いのだろうか

川端康成も感動したという飯田高原の朝は爽やか〜

白水川を渡り、タデ原湿原の木道を歩く  

太陽を待つススキの原の向こうに硫黄山の噴煙が朝日に輝いている

樹林帯のブナや自然林は、紅葉準備中

登山道は、昨年の集中豪雨による土石流でかなり傷んでいる

水が無く、歩き易かった雨ガ池 

雨ガ池は雨が降ると水が溜まる湿地で長い木道が続いている

初夏には、此の辺りにノハナショ ウブが咲くそうだが

今はススキの原に夏の名残のマツムシソウ

今を盛りのヤマラッキョウ、アキノキリンソウが咲いていた

坊ガツルの草原(1250m) 正面は最高峰中岳

  ススキをぬって下っていくと、「坊がつる讃歌」に唄われている景色が目の前に広がり

感動!、感動!、感動!

思わず、唄いだしていた  

人皆花に酔う時も〜  残雪恋し山に入り〜♪

涙を流す山男   雪解け水に春を知る〜♪  

四面山なる坊がつる〜  夏はキャンプの火を囲み〜♪

夜空を仰ぐ山男   無我を悟るはこの時ぞ〜♪

高層湿原「坊ガツル」を振り返る 

でも坊ガツルって?

  「坊」は宿坊の意味で「ツル」は水の流れる平坦地を表すそうだ

大草原の真ん中に、筑後川源流の鳴子川が流れる

初夏にはミヤマキリシマ が平治岳や大船山をピンクに染めて

ますます魅力が増すのだろう

テントが張られたキャンプ場 を見下ろすように平冶岳、大船山が静かに取り囲み

山峡の草原は秋色に輝き、見飽きない光景が広がっている

8時35分 法華院温泉(1303m)  

約500年前、九重山法華院白水寺が建立され、

修験場として賑わっていた九州 最高所の法華院温泉

次回は絶対泊まって、坊ガツルを眺めながら、 ノンビリいで湯に浸かりたいわ

 此処から、直登コースもしくは鉾立峠、白口岳経由で中岳の予定だったが

温泉 山荘で聞いた所、両コースとも登山道が傷んでいるので厳しいとの事

急遽、北千里ガ浜経由で行く事にする

山荘の間を通り抜け、番犬Mr、ポリに挨拶し急坂を進む

登山道が砂防工事中なので、仮の梯子が附けられている

段々、坊ガツルが遠ざかる

 ガレ場の急登を終えると、一気に視界が開け硫黄山の噴煙が見え始めた

夥しいケルンが積まれた北千里ガ浜    右のコルが諏蛾守越え

視界が悪い時は 迷いそうなすり鉢状の北千里ガ浜の広大な砂漠を歩いて

いまだに噴煙をあげている硫黄山に近付いていく  

1995年10月に噴火した当時の登山禁止も解除され

法華院温泉山荘 の人が「大丈夫ですよ」と言ってくれたが

「不快な臭気を感じたらすみやかに通り 抜けるか、高い所へ避難してください」

と火山ガスに注意の看板が有る

噴煙が青空に映えて綺麗なんだけど

活きている火山の横を通るのは気持ちの よいものではないわ

ゴウゴウと音をたて、真っ白い噴煙を噴き出す硫黄山

荒涼とした北千里ガ浜奥に、初めて主峰「久住山」が頭を出す  

早々と通り過ぎたいのに、グランパは呑気に写真ばかり撮っている

さっさと 硫黄山の側を通り抜けないと、噴火したらどうするの!

 「もう、おいて行くよ〜」

久住分れ目指してススキの原を急登  

青空の下、何処までも続くススキの海に埋もれながら

九重山の秋を思う存分満喫

今日は風が強いおかげで硫黄の臭いも飛ばされるのか、あまり気にならなかったわ  

振り返れば堂々として存在感のある三俣山(1745m)  

三俣山は飯田高原から見ても雄大な山容が目に付いたけど、いつか登ってみたいな

西峰、主峰、南峰、北峰の4つの峰からなるが

どの方向から見ても三つの峰が見える  

10時15分 久住分れ

左右の山稜が狭くなり浮石の多いガレ場を頑張ると

牧ノ戸峠との分岐、久住分れに着く

途端に、牧ノ戸峠からの登山者と合流し賑やかになる

中には小さい子供もいる

行く手に久住山がそのゴツゴツとした三角錐の容姿を現すが、

ものすごい風が吹き抜け、 顔を上げられない

ゴロ石の道を進み久住山への道を右に分けて、中岳に向かうと

程なく、満々と水を湛えた御池 に着く

10時55分 九州本土最高峰 中岳頂上(1791m)

  御池を挟んで向かい左側には、沢山の人で賑わっている久住山が背比べ

中央奥には岩井川岳(1698m)、手前右には天狗ヶ城(1780m)

周囲を見渡せば高さと容姿を競い合うように山々が並んでいる

「九重山」は連山全体の総称で、主峰が「久住山」と呼ばれている

名は体を表すと言うけど、1700m級のトロイデ型の山が10座以上も

重なる様は、まさしく「九州の屋根」だわ

中岳南東尾根を東千里ガ浜に下る

法華院温泉から東千里ガ浜に登って来る予定だったけど

白口岳方面を見下ろせば、 結構急登!

賽ノ河原を、登り返すと石造りの池ノ小屋に着く

避難小屋として利 用されてきたのだろうが

現在は老朽化し危険なので中には入れない

小屋の側で腰を下ろし、のんびり休憩する

周辺にはマイヅルソウが群生し、赤い実が目を引く

天狗ヶ城と久住山を結ぶ尾根を歩いて、久住山を目指そう  

久住山を目指す登山者が次々と登って来る  

       

12時15分 久住山頂上(1787m)

「久住山」は九州本土最高峰といわれた時期もあったが

今は、中岳に その座を譲っている.

それでも一番人気なのか

頂上標識前は記念撮影の順番待 ち登山者で賑わっていた

頂上から少し南に下って、これから歩く西千里ガ浜方面を見る  

頂上からは、九重連山、久住高原、阿蘇山

祖母山と傾山の間には春に登った大崩山と九州の名山が大展望

雲仙普賢岳も見えるかなと思ったけど少し霞んで いたので、同定は出来なかった

12時25分 星生山(1762m)を正面に見ながら下山

  あまりの風の強さに、ゆっくり展望も楽しんでいられない

久住分れの避難小屋 まで下り、風を避けて休んでいると

硫黄の臭いが気になり、少し気分が悪くなってきたので 先を急ぐ事にする

暫く歩いてから、久住分れの避難小屋を振り返る

 星生崎って、前赤石みたいな岩尾根だわ

ピラミダルな久住山に見送られ、広くて快適な西千里ガ浜の登山道 へ下りてくる

道の両脇にはミヤコザサ の中にリンドウが咲き、思わず駆け出したくなるような雰囲気

少し色づいてきている山を見上げると、星生山に登っている人が見える

あれっ、登山禁止ってガイドには書いているんだけど・・・

分岐が近付き、扇ヶ鼻への登山路が見えた時は

登り返すのかと思ってドキッとしたけど

良かった〜 下りだわ

分岐を右に取る牧ノ戸峠への道は アセビ群落が素晴らしい

ゴロ石で少しくらい歩き難くても、下りだから楽チン

ススキの原の向こうはカラマツ林  

どっしりと構える三俣山が印象的

さすが何処から見ても九重山のシンボルだわ

少し登り返すと、沓掛山(1503m)

昔、修験者が草鞋を木に掛けて休んだから沓掛山と名がついたらしい

此処からは 間近に阿蘇五岳、遥か北には由布岳の双耳峰を

望みながら、舗装された遊歩道を下る

やまなみハイウェイは車で溢れかえっているわ   

14時20分 沢山の観光客や登山者で賑わう牧ノ戸峠登山口着

標高1333mの牧ノ戸峠は、やまなみハイウェイの最高所

でも、終点はまだまだ

此処から長者原まで3,7km

九州自然歩道を下って行かなければいけないわ  

途中からは、やまなみハイウェイを歩き、15時に長者原駐車場着  

今回の、九重連山周回は、風は強かったものの天気に恵まれ

昔、歌で聴いた「坊ガツル」 の大草原や北千里ガ浜のススキの原を歩け大感動

帰ってから、早速グランパはCDショップに飛んで行ったわ

芹洋子のアルバムだって!

暫くは鼻歌を聞かされそう。まぁ、いいけど  

 

九重山は、なだらかな山容の内側に、荒々しい姿あり、癒しの山上池あり、

何処までも広がる草原や いで湯ありと盛りだくさん

 豊後火の山 よかね〜

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