2007年08月11日

民話の故郷・遠野を散策

早池峰山、六角牛山、石上山に囲まれた、南部一万ニ千石の旧城下町・遠野

カッパ、ザシキワラシ、オシラサマ、雪女、天狗、山男、狼・・・etc、沢山の民話が残る

自然科学者かつ登山家の今西錦司が、山に行く後輩達に必読の書として薦めたという

柳田国男の「遠野物語」を読み、一度は訪れてみたいと思っていたのす

よ〜ぐおでんすたなす 民話のふるさと遠野さ

曹洞宗・蓮峰山常堅寺境内にある十王堂の「カッパ狛犬」

その昔、常堅寺が火災の折にカッパが出現し、消火に協力したと伝えられ

頭の皿に水が溜まるカッパ狛犬が、当山の鎮守として祀られている

何かもの言いたげな表情で此方を見ている

境内の裏を流れる小川は、今にも河童が出て来そうな雰囲気〜

顔が赤いといわれている遠野の河童、沢山の伝説が残っている

「子烏瀬川の姥子淵に新屋の家あり。ある日淵へ馬を冷やしに行き、

馬曳きの子は外へ遊びに行きし間に、河童出でてその馬を引き込まんとし

かえりて馬に引きずられて厩(うまや)の前に来たり、馬槽に覆われてありき

村中の者集まりて殺さんか宥(ゆる)さんかと評議せしが、今後は悪戯を

せぬといふ堅き約束をさせてこれを放したり・・・(遠野物語 五八)」

「カッパ淵橋」の側で河童釣りに挑戦

曲がったキュウリを餌に暫く粘ったんだけど、根気が無いので・・・

伝承園内の菊池家曲り家(18世紀前半)

「遠野物語」の話者・佐々木喜善の資料館や石碑もある

遠野三山を巡る「お山駈け」の風習は廃れ

早池峰古参道跡には、風雪に耐えた登拝口の鳥居と碑が残る

坂道を登って行くと、山口の水車小屋がある

勢いよく水車が回っていたが、今も現役で、脱穀や製粉に利用されている

途中に有った「デンデラ野」の標識、何だろうと思い説明を読んでビックリ

デンデラ野とは姥捨山、此処に60歳になった村人が捨てられたという伝説が残る

エッー!それは大変! 60歳といえば、もう直ぐだわ

 早く四国に帰らなくては・・・

「南部曲り家 千葉家」の厚さ1メートルにも及ぶ茅葺屋根は見事

作男15人も含めた25人の家族と、馬20頭も同じ屋根の下に

住んでいたという南部の代表的な曲り家

163坪もの広さがある建物の一部は、民族資料館として

公開されているが、その奥では現在も生活が営まれていた

日本の原風景・遠野郷をJR釜石線が走る

 

柳田国男が“人煙の希少なること北海道石狩平野より甚だし”

と80年前の遠野を描写しているが、暑い中沢山の観光客で賑わっていた

ブナ林から流れて来た豊富な水が育んだ早池峰米や山葡萄で作られた

素朴な味わいのエーデルワイン、美味しかった〜

青森の三内丸山遺跡で山葡萄の種が沢山発掘されていたが

縄文人も同じワインを飲んでいたのかしら?

 

2007年08月10日

宮沢賢治の故郷・花巻を尋ねる

詩人、童話作家、音楽家、哲学者、宗教家、農民とさまざまな顔を持っていた賢治

「世界ぜんたいが幸福にならないうちは個人の幸福はありえない」

という理想を持ち、独自の透明な宇宙を創りあげている

大正12年創業、わんこそばの老舗「やぶ屋」

賢治が好んで注文したというメニューは、てんぷらそば&サイダー

食べてみたけど、てんぷらそばにサイダーはちょっとねぇ・・・

宮沢賢治イーハートーブ館

「あのイーハトーブの透き通った風、夏でも底に冷たさを持つ青い空・・・」

賢治は、「風と光の森の国」をイメージして岩手県を理想の大地・イーハトーブと呼んだ

宮沢賢治記念館のある胡四王山山頂から見下ろした、花巻大橋方面

羅須地人教会の跡地に立つ「雨ニモマケズ」の宮沢賢治詩碑

高村光太郎の揮毫により、後半部が刻まれている

毎年、賢治の命日(9月6日)には、この碑の前で賢治祭が催される

羅須地人協会の黒板にある「下の畑」はここのこと

雨ニモマケズ  風ニモマケズ

雪ニモ 夏ノ暑サニモマケヌ  丈夫ナカラダヲモチ

慾ハナク 決シテ瞋(いか)ラズ イツモシヅカニワラツテヰル

ミンナニデクノボウトヨバレ  ホメラレモセズ  クニモサレズ  

サウイフモノニ  ワタシハ ナリタイ

賢治の作品には、ミミズクが良く登場する

雲の信号

あゝいゝな    せいせいするな

風が吹くし 農具はぴかぴか光っているし

山はぼんやり 岩頸だって岩鐘だって 

みんな時間のないところのゆめをみているのだ

そのとき雲の信号は もう青白い 春の禁欲の空高く掲げられていた

山はぼんやり きっと四本杉には 今夜は雁もおりてくる

田園の風と光に満ち溢れた空間が、目の前に広がって来るようだ

賢治が名付けた「イギリス海岸」はイーハトーブの風景地の一つで

北上川と猿ケ石川が合流するところにある

約6500万年〜200万年前の地層が渇水期になると河底に露出する

農学校教師時代、生徒を連れてしばしば訪れ、化石を拾ったりして地学の実習をしたそうだ

ゆったりと流れる北上川を眺めていたら、頭の中でメロディが流れ出した

「匂いやさしい〜♪ 白百合の〜♪ 濡れているよな あの瞳〜♪」

ロマンチック〜〜

んだば、まんず 岩手の旅は どんど晴れ〜

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