2008年02月23日 撫養街道

春を探して、徳島歴史文化道・藍の道を歩く

GPSによるトラックログ(カシミールソフト使用)
「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び
数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平18総使、第582号)」

 

土佐泊・潮明寺〜妙見山公園(撫養城)〜金比羅神社〜大谷焼の里〜霊山寺〜板東駅

                                           (6時間40分)

 

古くは、鳴門を撫養(むや)と呼んでいたそうだ

撫養町岡崎渡船場を起点に、池田町洲津渡しまで、吉野川北岸を西に延びる街道が

江戸時代に定められた阿波五街道のうちの一つ撫養街道である

今は徳島歴史文化道・藍の道に指定されている

その昔、淡路を渡って来た沢山の人たちが歩いた道を

土佐泊から霊山寺まで歩いてみよう

JR板東駅前の空地に車を停め、7時31分発の高徳線で出発

ホームでは沢山の菜の花が出迎えてくれる

今日は、いい予感〜♪

池谷駅で鳴門線に乗り換え、15分待ち

高架より、徳島方面へ向かう高徳線の電車を見送る

何でも、この地には段四郎という総領狸が棲んでいたそうな

駅構内に、阿波狸奉賀会によって祀られた段四郎大明神の祠が有った

JR鳴門駅から、土佐泊の海門山・潮明寺まで、タクシー

境内に紀貫之の歌碑が建つ

此処は阿波なのに、土佐の地名だなんて不思議だわと思ったら

海上交通の要衝である此の泊(とまり)に

土佐からの船が寄港していたのでその名がついたそうだ

潮明寺の山号が、海門山なのも納得〜

土佐から京都へ帰る紀貫之は、土佐泊で潮待ちの間に和歌を残している

年ごろを住みしところの名にしおへば来寄る波をもあはれとぞ見る  貫之

8時30分 潮明寺を出発

地図を見ると、海岸線に土佐泊渡船場へ出る道があるので

夫婦岩が間近に見えるかもしれないと砂浜を歩いて行ったら

あらら、行き止まり   ガックリ!

でも、綺麗な白砂の浜辺を歩けたから、まぁいいか〜

潮明寺まで引き返し、其処から土佐泊渡船場へ

9時04分発の渡船が来るのを待つ

「みなざさ丸」はちょっと小振り

対岸の岡崎までは500m程、ほんの数分だけど

此処は小鳴門海峡、おまけに今日は台風並みの風!

まぁ、心配しても仕方が無いわと、切符を買おうとしたら

「無料です」 何と、今時無料なんてありがたい

この岡崎渡船は、阿波踊りをテーマにした高校生達の青春映画「阿波DANCE」の

通学シーンに登場し、船上から見える夕日や鳴門の長閑で美しい風景が撮影されたそうです

岡崎海岸線を歩き、慶応三年創業の看板がかかる旅館前の防波堤から

小鳴門海峡を見ると、夫婦岩が仲良く並びカモメが遊んでいた

明治三十五年一月と刻まれている、霊山寺への道標

淡路から土佐泊を経て岡崎に渡って来たお遍路さんは

この撫養街道を只管歩いて「一番さん」を目指したんだろう

此処、撫養(鳴門)は四国の玄関口

9時40分 撫養城に登城

(岡崎城とも林崎城とも言われているそうだが、撫養城が一番雰囲気があるわ)

標高60mの妙見山公園には、三層の模擬天守が建つが

これは人類学・考古学者の鳥居龍蔵氏を顕彰する「鳥居記念博物館」である

石垣遺構が残る城跡削平地には、北辰(北極星)信仰の妙見神社が建ち

天御中主神(あまのおなかぬしのかみ)が祀られている

妙見山から見下ろす撫養町林崎は、製塩と足袋の生産で栄えたそうだ

撫養街道が、町中を真っ直ぐ西へ延びている

遠ざかる撫養城を振り返る

旧街道の面影も残っているが、更地になっている土地が多い

空が、少し暗くなって来たわ

風は仕方が無いけど、降らないで欲しいな

可愛いお雛様に呼ばれて、入った和菓子屋さんは

創業80年の老舗   店内も懐かしい雰囲気が漂う

創業当時から変わらぬ上品な味の「初霜」がお薦め

美味しいお茶と一緒に戴きました

撫養川に架かる林崎と南浜を結ぶ文明橋は、文明開化の受け入れ口として

大きな役割を果たした事から名付けられたそうだ

現在の橋は、1938年に架け替えられたゲルバー式コンクリート橋

風情のある欄干だわと、振り返りながら渡っていたら、急に暗くなって雨!

風が強く傘もさせないので、雨宿りしながらヤッケに着替える

アーケードのある商店街の中だったのが、幸いだわ

鳴門市指定天然記念物 「市杵姫神社の大ウバメガシ」

大岩を抱くように生い茂っている

昔は、この辺りまで波打ち際だったのだろう

11時05分 撫養町木津の撫養街道沿いに鳥居が建つ金毘羅神社

古くから阿淡二州の産土神として栄えた金毘羅さん

金毘羅さんといえば、長〜い石段が名物?

境内までは、約500段の石段を上って行く

金毘羅神社本殿屋根の鬼瓦

怖そうな鬼が、睨んでいる〜

一寸、霞んでいたが、境内から光る吉野川や紀淡海峡が遠望出来る

金比羅さんの隣にある長谷寺(ちょうこくじ)境内のオオイチョウ

かつて、この辺りが海であった頃に千石船をつないでいたそうだ

街道沿いには、本当に立派なお堂が多い

R11号線高架橋を過ぎれば

もう直ぐ淡路街道と分かれる「立道」かな

それにしても風が強い!

向かい風だからなおさらだけど、眼も開けていられないわ

阿讃山脈を越えてきた風が、全部撫養街道に集まって来ている感じ

全国2位の出荷量を誇るレンコンは、粘土質の土壌の中

水温むレンコン畑の側を、JR鳴門線が走っている

12時35分 「ちょっとよっ亭」で食事

道中、木津のたい焼きを楽しみにしていたのに

お店が閉まっていて買えなかった話をすると

「早よ行かんと売り切れるんよ。買ってきたのがあるからどうぞ」

アッラー、姿の良い可愛いたい焼き〜♪

普通、割烹でたい焼きは食べられんわねぇ

魚も、鳴門ワカメも、たい焼きも、美味しかった〜

1時15分、お腹もいっぱいになったところで、さぁ、出発

約200年の歴史を誇る大谷焼の里

徳島特産の藍を入れる、大きな瓶や鉢は素朴な中にも風格がある

歴史が感じられる「福寿醤油」の板壁

今でも、伝統的な醤油づくりをしているそうだ

登録有形文化財に指定されている、「本家松浦酒造場」

阿波神社側の畑で、見事に満開〜♪

電線がピューピュー音をたてているのを聞きながら、JR池谷駅まで来ると

あらら、駅前に停められていた自転車が強風で倒れている

JR高徳線も遅れが出ているそうだ

ニュースで、徳島地方は風速24kmの風が吹いたと言っていたが

局地的にはもっと強かったかもしれないわ

 

霊山寺多宝塔の相輪が段々近付いて来て

やっと四国八十八ヶ所一番札所、竺和山・霊山寺に着く

「一番さん」に、無事に着いたお礼参りをしてから板東駅に向かう

3時10分 JR板東駅に到着

 

温暖な鳴門だから、春の兆しが其処かしこに溢れているだろうと

期待してやって来た撫養街道は、風の街道

暖かい春を運んで来てくれる風なら良かったんだけど

砂埃ではねぇ

帰途、藍住町歴史館「藍の館」に立ち寄る

その昔、肥沃な吉野川下流域は、日本最大の藍作地帯だったそうだ

江戸時代後期に建られた藍商屋敷、奥村家住宅の中庭で

「藍で染めたる ノーホイノーホイ あの紺がすり〜

いくら洗ても さめはせぬ ションガエ・・・ 」 と唄いながら

藍粉成し(あいこなし)作業中

4時までなら、藍染体験も出来る

 

「徳島産には愛(藍)がある!」

何処かで、聞いた事があるようなキャッチフレーズね〜(笑) 

折角歩いたのに、「撫養街道」と書かれた標識を見かけなかったけど

何処かに無いかしら?

そうだ、お酒!

数軒の酒屋さんに寄ったのだけど、置いてないのよ

超辛口吟醸 「撫養街道」、買いたかったわぁ〜

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