2008年6月14日  八巻山〜権現越

梅雨に咲く花 ”天女花” ”赤い妖精” に会えるかな?

GPSによるトラックログ(カシミールソフト使用)
「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び
数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平18総使、第582号)」

 

瀬場登山口〜一本橋〜赤石山荘〜八巻山〜東赤石山〜権現越〜床鍋〜瀬場登山口

                                           (9時間20分)

 

今年は四国地方の梅雨入りは例年より8日、昨年よりは16日早かった

そういえば、梅雨最中に東赤石へ行った事が無い

オオヤマレンゲ、タカネバラには少し早いかもしれないが

梅雨に咲く花々が咲き乱れているだろう

5時過ぎ、登山口に着いたら、な、なんと登山靴が無い!

ガーン 暫く放心状態

結局、登山口迄1,5往復 登る前に疲れてしまった

 

再度、登山口に着くと赤石山荘主人・安森さんが準備をしていた

今日は、NHK「さわやか自然百景」の下見にくるスタッフの案内だそうだ

暫く談笑して、気になる花の様子をお聞きすると「まだ蕾」との事

「えー、そんなぁ」 でも、登って行く間に開くかも知れないわ

7時 瀬場登山口を出発  筏津コースとの合流点・集落跡「豊後」、最初の水場を過ぎ

その昔、岩盤を鏨(たがね)で削って造ったという石段を登り詰め

断崖絶壁から、緑で覆いつくされた瀬場谷を見下ろす

緑の空間を、轟々と勢いよく流れ落ちる八間滝

草刈をしなければ、3年で道はブッシュに成り歩けなくなると聞いたが

多分、刈ってからまだ一週間とは経っていない快適な道を歩く

道端には蕾をつけたウバユリが刈り残され、心憎い気配り

 

7時45分 ひんやりとした空気が流れ出すと、瀬場谷本流の一本橋が見えて来た  

橋を渡ったところで、右が旧赤石登山道(直登ルート) 左が瀬場谷本流沿いの道に分かれる

どちらの道をとっても急坂だけど

今日は先ず、天狗ノ庭(山荘)を目指そうと左の道を取る

8時35分 休憩ポイント二本橋に着く

 

渓谷を彩るヒメキリンソウ(ベンケイソウ科)    カマツカ(バラ科) 秋には赤い楕円形の実がなる

心地好い沢音を聞きながら、一寸早いけどおにぎり休憩

沢沿いの快適な道を行くと足下にはミズタビラコ、タニギキョウ、コケイラン等

可愛い花が目を楽しませてくれる

咲いたばかりで、元気いっぱいのコケイラン

 

最後の渡渉点(1400m)を左岸に渡ると、しんど〜い「一雄坂」が待っていた

この「一雄坂」の命名者は、今朝ほど会った安森さん

なんでも、昭和63年1月23日、伊藤一雄さんと二人で静寂の山に分け入り

墨絵の様な雪景色の中を、ヘッドランプを頼りに一歩一歩ラッセルして来て

この坂で、八巻颪(おろし)に震えながら、とうとう四つん這いになって進み、何とか小屋に辿り着いたとか

これほどまでに一雄くんを苦しめた九十九折の坂を「一雄坂」と呼ぼうではないかと

酔った勢いでの戯言が、何時しか広まったそうだ

 

ひょっとして大発見! ウスイロミヤマハナゴケじゃないかしら?

6月12日、朝日新聞掲載の写真と同じだわ 

この苔なら、今までも良く見ていた様な気もするけど、岩や樹皮に着くらしいが

「国内では本州中部から北海道に生息する地衣類で温暖な四国で確認されたのは興味深い」と

同時に発見されたという「ウチキアワビゴケモドキ」は内気なのか? 見当たらなかった

岩石帯の緩やかな道になり、シャクナゲの林を抜け出すと一気に視界が開け、天狗ノ庭に出る

目の前に赤い岩峰・八巻山が聳え、アルペン的な風情を醸し出している

 

10時05分 赤石山荘着(1550m)

登山道で一緒になった方、山荘前で会った方たちと

オオヤマレンゲの花は咲いていないかと探すが

安森さんが言った通り、やっぱり天女花はまだ蕾

 

タカネバラも同じく(涙)  「タカネバラだけが花じゃないよ」と、慰めてくれるイヨノミツバイワガサ

10時30分 ユキワリソウを求めて、皆で八巻山へ取り付く

早速、シライトソウ(ユリ科)が歓迎〜

赤い山に真っ白な花がよくマッチしている

見れば見るほど、白糸を短く切ってくっ付けたみたいで面白い

赤石橄欖岩独特の景観は「県の天然記念物」に指定されている

コルには、絶妙なバランスの ”おかめ岩”

「高山植物の宝庫」 ロックガーデンのあちらこちらから、歓声があがる

オオヤマレンゲやタカネバラが咲いていなかった事も忘れて

もう、ユキワリソウに夢中 (笑)

  

あっちにもこっちにも、ユキワリソウやキバナノコマノツメが咲き乱れている

11時20分 八巻山(1682m)

八巻山とは幾つも岩峰が連なるという意味だそうだ

山頂には八巻蔵王大権現が祀られ、毎年秋には御山祭りが行われる

シライトソウ越しに、東光森〜大座礼の稜線がクッキリ

 

岩尾根には、赤石橄欖岩のオブジェが続く

すれ違った方が 「皆さん お友達ですか?」

「は〜い、さっき友達になりました」

「山はいいですね〜 お気をつけて」 と、日浦を目指して行った

赤石越(1650m)を越えて、ヒメコマツの林を過ぎると展望が開けてくる

東赤石山手前から、険阻な八巻山を振り返る

 

11時45分 東赤石山 (1707m)   

床鍋から登って来た方が、権現越への登山道沿いにノビネチドリが4株咲いていると教えてくれた

此処で皆さんと別れて引き返そうかと思っていたけれど

ノビネチドリと聞いては、行かずばなるまい!

「ご一緒させて下さ〜い」

12時30分 山頂を出発し、三角点を過ぎ楽しい岩稜歩き

 

ユキワリソウはまだまだ続く           コメツツジもチラホラ咲き始めている

 

元気いっぱい、岩尾根を下って行く

前方に、権現山〜黒岳〜エビラ山〜二ツ岳への稜線が連なる

手前に、北側が切れ落ちた権現越が見える

クロベに覆われた緑濃い東赤石を振り返る

前赤石の尾根、その奥に物住ノ頭〜上兜山へと続く稜線のシルエットが綺麗

 

有りました〜♪ ノビネチドリ〜♪          もう直ぐ咲き出しそうなカノコソウ

愛らしい姿が、疲れを癒してくれる

1時50分 権現越(1461m)

法皇権現様が見下ろす草原には、マイヅルソウやシライトソウのお花畑が広がる

もう直ぐこの草原に、夏の花ナンゴククガイソウやオトメシャジン等が咲き乱れるのだろう

床鍋谷、権現谷の分水嶺に当たるこの場所は、年中両方の谷から強い風が吹き上がる

 

2時05分 権現越を後にして本谷の直登路を下る

本谷を渡渉して自然林の中を歩いていたら、あらっギンラン! 

嬉々としながら歩いていたら、あらら危なげな桟橋

長い植林帯歩きは、ちょっと退屈

それにしても、この辺りの植林には下草も何も生えていない

味気ないわねぇ〜

 

下草が生えている植林帯では

時々、アオテンナンショウやフタリシズカが単調な道に変化を与えてくれる

フタリシズカ(センリョウ科)の名前の由来は

「しずやしず しずのおだまき 繰り返し 昔を今に なすよしもがな」と

静御前の霊とその霊に憑かれた菜摘女が舞を舞う姿に似ているからだそうだ

他にも、ミヤマナルコユリ、ツクバネソウ、サワギク、アマドコロ等

林床には地味な花が咲いていた

4時05分 民家前の車道に飛び出し、県道17号を歩いて

 4時20分 瀬場登山口到着

皆さん お疲れ様〜♪

 

終わり良ければ全てよし

お目当ての花は未だだったけど、岩稜歩きを楽しみながら

ユキワリソウ、キバナノコマノツメ、ノビネチドリ

大草原ではマイヅルソウやシライトソウの群生に出会え

眼も足も十分楽しめた山行でした

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