2009年03月15日 寒 峰
福寿草、大ブナを尋ねて、祖谷山系の孤峰・寒峰周回
GPSによるトラックログ(カシミールソフト使用) (一部、加筆修正) |
住吉神社登山口〜福寿草群生地〜寒峰〜落合峠・奥ノ井分岐〜民家〜住吉神社登山口 |
(6時間15分) |
時たま寒波は来るものの、今年は何時に無く雪が少なく早々と融け出してしまった
もう雪の中のフクジュソウは見られないかなと諦めかけていた所、昨夜は雪、雪、雪
で、今日はピーカンの予報、「もう今季最後の雪かなぁ」と、一目散に飛んで行きました〜♪
平家や安徳天皇にまつわる数々の遺跡や伝説が遺る「栗枝渡集落(くりしど)」
祖谷に辿り着いた安徳天皇一行は、川に栗の木を架けて渡った所に御所を建立
長閑なこの地で平穏な日々を過ごしていたが、病気により9歳で崩御、栗枝渡八幡神社に祀られている
拝殿右奥のしめ縄が張りめぐらされた小さな祠が安徳天皇のご火葬場で、其処にだけは雪が積もらないそうだ
栗枝渡集落を過ぎ、住吉神社が近付くと、現れました!
デ〜ンと、真っ白い寒峰が聳えている
霧氷も、申し分無さそうだ
準備をしていると、「あれー ストーンリバーさん!」
「今日は、雪の中から顔を出している福寿草が見えそうですね〜」と、ご一緒する事に
住吉神社登山口には「奥ノ井寒峰花回廊」の案内板が立つ
7時45分出発 鳥居を潜り左へ 杉林の中いきなりの急坂
しばらく歩くと作業道に出合う、少し進み作業道が合わさる角に小さく登山道の標識
登山口から20分弱で林道に出る
林道を渡り再び登山道へ 東を見れば祖谷の山々に抱かれた落合集落が眩しい
楽しくお喋りしながら歩いていたら、あらもう群生地よ〜
8時25分 福寿草群生地(面積10000u)
雪の中から顔を覗かせて 「おはよう〜」
着いた時は一面の雪だったのに、日当たりが好いのでみるみる雪が融け出し
あちらからも、こちらからも幸せの色が呼びかける
フクジュソウの花言葉は「思い出、永遠の幸福」 いいな〜
祖谷地方に春を告げるフクジュソウ
フクジュソウ、エンレイソウ、フッキソウは「祖谷の三瑞草」と言われる、めでたい花だそうだ
フクジュソウを満喫した後は、急坂の尾根を黙々と頑張る 9時45分 四等三角点 (点名・栗枝渡 1415,1m)
この辺りが上の群生地だったかな? 雪が深くて分からないわ
少し登れば寒峰峠、寒峰が見え出した
昔は、多くの人々がこの峠を行き来したのだろう、西から踏み跡の薄い山道が合流している
ストーンリバーさんが、以前この道を登って来た時は誰にも会わなかったそうだ
夏場だったので、峠はススキが生い茂り大変だったけど、沢山の花々が楽しめたと話されていた
登山道沿いに現れた大ブナ、存在感ある〜!
ブナの寿命は、400年〜500年と言われているが
一体どの位の年月、此処に立っているんだろうか?
「ウワァー」、大歓声をあげながら窪地から駆け上がる
其処には、薄化粧したブナが春の日差しを楽しむかのように悠然と立つ
辺り一面は、まるで雪の結晶を散りばめたように輝いている
青空に輝く霧氷に息を呑みながら、シャッター押す手に思わず力が入ります
ブナの美しさに見惚れていると、森の奥の方から呼ぶ声が聞こえる
ちょっと行って来るわ〜と、グランパは何時もの調子
登山道から離れ、少し奥へ入った所にも大ブナ
四方八方へ枝を広げ寛いでいるブナ
見事としか言い様が無い、あまりの大きさに圧倒される
此方は、ブナのツーショット
直ぐ側にも大ブナが悠然と構えている
新緑の頃になれば、この辺りはエメラルドグリーンの森が出来るのだろう
感動しながら夢中で写真を撮っていたら、滑って転んだ際にカメラは雪の中
レンズが濡れているのに気づかず・・・アララ
大ブナトリオ、撮りたかった〜
霧氷のトンネルを抜け、急坂途中で一休み
梶ヶ森のアンテナがはっきり見える
登山口を見下ろすと、住吉神社周辺に沢山の車が停められている
霧氷越しに、西寒峰(1518m)を振り返る
11時15分頂上(1604,6m) 何時までブナと遊んでいるのか、グランパはなかなか登って来ない
待っている間に、次から次とやって来て狭い頂上は満杯状態
分岐まで行って休もうと、頂上を後にする
祖谷山系、剣山系の雄大な景色を見ながら贅沢な稜線歩き
1556m峰を越え、前烏帽子山、落合峠へと続く熊笹の稜線は「平家落人の道」
その昔、屋島の戦いに敗れた平家落人が、祖谷に逃れるのに落合峠から寒峰を目指したそうだ
11時35分 落合峠・奥ノ井分岐で腰を下ろし、食事をしながら大休止
12時 下山開始
暖かい日差しを受け緩みかけた新雪を踏みながら下って行く
正面奥にどっしりと構える祖谷山系の主峰・矢筈山が一際高く白い
尾根を急降下、雪が融け出し滑るわ滑るわ あら、こんな所にモノレールが・・・何に使うんだろう?
奥ノ井分岐から、30分程でコル 見落としそうな小さな指標が木に括られている
指標に従いコルから左へ下って行くが、新雪なので道は少し分かり難い
雪が遅くまで残る窪地へ下り、真っ直ぐ進んで行くと、また小さい指標がある
其処を左へ振り、途中壊れたプレハブ小屋の側を通りジグザグに下って行く
植林の中の道も、いい雰囲気〜
コルから15分程でトラバース道に出て奥ノ井登山口は右へ、左は何処へ行くのかな?
少し傷んでいる急斜面もあるが、全体としては歩き易い平坦道が続く
平らな道と言う事は距離が長いという事、だらだらと長〜い
展望の無い退屈な道に少しうんざり、もうそろそろ民家が見え出してもいい頃よねぇ
と、思った途端、一瞬にして目の前がパーっと開け山並みが目の中に飛び込んで来た
剣山系の主稜線 左に三嶺、右には天狗塚、牛ノ背まで大展望に大感動!
寒峰中腹、標高1000m付近に建つ民家、今は住んでいないようだ
生活物資を運び上げるのには不便だったかもしれないが
毎日この感動的な風景を見ながら暮らしていたのは、一体どんな人なんだろうか?
「東風吹かば にほひおこせよ梅の花 主なしとて 春な忘れそ 」 じゃないけれど
ひっそりと建つ民家の側で、元気いっぱい春を告げるフクジュソウ
民家跡から少し下った所にある奥ノ井への分岐を左に分け
ドンドン進んで行くと、植林越しに林道が見え出した
林道が延びて来て、登山道の様子がかなり変わっているようだ
川沿いに下る道は無くなり、途中で林道に下り立ち立派な橋を渡る
後は林道を20分弱歩いて、2時に住吉神社登山口着
雪が融け出した急坂を下るのは、しんどかったけど
雪の中のフクジュソウや薄化粧した大ブナにも会えたし、大展望も満喫〜♪
「ストーンリバーさん、お世話になりました。カタクリの頃にまた会いましょうね〜」
下山後、祖谷川対岸の九鬼集落まで走り、寒峰を眺めながらコーヒータイム
あらら、もうすっかり春景色、平家の夢と同じく春の淡雪もやっぱり儚いわ
平家伝説の遺る寒峰は、霧氷いっぱい、花いっぱいの楽しく素敵な山でした