2009年08月23日 ”花の百名山・東赤石山”

八巻山〜東赤石山、岩稜歩き

 

瀬場登山口〜瀬場谷〜赤石山荘〜八巻山〜東赤石山〜三角点〜直登ルート〜瀬場登山口(9時間)

 

燧灘から迫り上がるように連なる法皇山脈(赤石山系)は四国の分水嶺で

北は燧灘へ、南は銅山川となり吉野川へと流れ込む

この急峻な山脈の主峰・東赤石山は、橄欖岩からなる岩山で四国でも有数のお花畑が広がり

昭和32年、「赤石山系の高山植物」として138種が県より天然記念物に指定されている

この夏、高山植物の宝庫と言われる白山、北岳を歩いてみて

故郷の花の名山・東赤石の岩稜を歩きたくなった

生憎、花の時期は過ぎてしまったが

仙ちゃんと一緒に、岩の殿堂「八巻山〜東赤石山」を楽しんで来ました

 

5時50分 瀬場登山口出発

一本橋のテンニンソウが咲き始めたら「花の百名山」もそろそろ店仕舞いかなと言いながら

一本橋を渡り、直ぐの分岐を、左(瀬場谷コース)へ 

爽やかな谷風に吹かれながら、赤石山荘を目指す

8時50分 樹林帯を抜け天狗ノ庭に出ると、赤茶けた岩稜が迫って来る

赤石の夏の花といえばオトメシャジン

花期は終わっているが、それでも未だあちこちに咲き残っている

ロックガーデンでは、夏の名残の花々の中にススキが揺れる

背後に、大魔神の如く八巻山がそそり立つ

(八巻山とは、沢山の岩峰という意味)

赤石山荘で小休止後、コルを目指しガレ場を登って行く

抜けるような青空に、赤い石と五葉松の緑が映え、とても綺麗〜

最高の天気に、足取りも軽く岩から岩へと飛び歩く

昭和30年代頃、赤石五葉松の一大ブームで盗掘が絶えず、絶滅の危機に晒されたが

幸い10年ほどで盆栽ブームも下火となり、禿山になるのを免れたそうである

一番喜んだのはホシガラスだ、とは安森さんの言

コルで頑張る八巻山のシンボル「おかめ岩(原爆岩と書かれている本もある)」が近付いて来た

コルにザックを置き、北側の「ゴウロ」へ下りてみる

面白い形の大岩巨岩が累々と続く

コルから西へ向いながら

振り返れば八巻山、「おかめ岩」が真下に見える

1682mのピーク(向こう側)と1679mのピーク(手前)、何時見てもいい感じ

 この辺りから見れば双耳峰に見える、何か相応しい名前は無いのかな?

もう少し西まで行って見たいが今日は此処まで、のんびり景色を楽しんで引き返す

「おかめ岩」まで戻り、バンザ〜イ

仙ちゃんが上がったら、少し傾いたのでヒヤリとしたわ(笑)

八巻山にも秋の気配〜♪

さぁ、八巻山頂上へ

「今日は右側の岩場を歩くから」と、グランパは別行動

見下ろせば、緑に囲まれた赤い屋根の赤石山荘(1560m)

何時落石があっても不思議じゃ無い凹地だけど、心配御無用

小屋番の安森さんが「平成13年の芸予地震(M6,4 震源地安芸灘)でも、

小石の転がる音もせず八巻山は静まり返っていた」と話されていた

険阻な岩稜が西へと続く

稜線奥のピラミッドピークは前赤石山(1677m)

赤石の夏を謳歌したタカネマツムシソウも、終わり

背後に石鎚山系の名峰が勢揃い

摂理に幾筋もひびが入り、今にも落石しそうな様相の橄欖岩

八巻蔵王大権現が祀られた八巻山頂上(1698m)で、のんびり休んでいたら

唄うような話し声が段々近付いて来て、コスモスファイブのみなさんが現れる

「アレー、歌姫さん! お久し振り〜」、何だか会いそうな気がしていましたよ

3人寄れば何とやらが、6人の乙女(殴)! 話に花が咲きました〜♪

50年ほど前、赤石を縦走して石室に泊まったというIさんの話では

「この辺りも岩ばかりでこんなに木が茂っていなかった」そうだ

赤石山荘以前に避難小屋があった事は聞いていたが

石室越の名前の由来となった石室って何処にあったんだろう?

「四国赤石山系物語」に拠ると、赤石山荘の側に石室跡の平地があるだけで、遺跡は何も無い

ただ、山荘西側の石積みの排水溝に石室の石が使われているとか

昭和27年に造られた無人の避難小屋(2坪ほど)も、昭和38年頃には荒放題となり

昭和41年に赤石山荘が完成し、役目を終えたそうだ

石室越へ向うコスモスファイブのみなさんと別れて、主峰・東赤石山を目指す

「こんにちは〜 いいお天気ですね〜」と爽やかに挨拶を交わし

八巻山へ向う方々とすれ違う

モアイさん、何時も何を見ているんかしら

「後ろに行って、目隠しして来い」と言われても・・・また今度ね

赤石越手前から、歩いて来た尾根を振り返る

さすが「岩の殿堂」、岩だらけだわ

「伊予 五良津 赤石山 植物目録」(川之江名誉市民・芥川正次郎著 昭和8年発行)の表現を借りると

「・・・悉く山骨肌を出し、巨岩層々重畳して左右断崖の絶壁を連ねる、真に天下の奇観である・・・」

序でながら、芥川氏が調査研究した赤石山系の植物については

「かかる暖地の非高山に純高山植物の存在は四国では驚異であり亦唯一の誇りである」と記されている

東赤石が「日本二百名山」 「花の百名山」に選ばれた事を、氏が知ったら我が意を得たりと思われるだろう

11時15分 東赤石山(1707m)

北には、新居浜市街地や燧灘が見える

1700mもの頂上から、市街地や海が真下に見える山って日本全国探したってそうそう無いよねぇ

頂上から東へ5分程稜線を進むと、三等三角点(1706m)の標柱があるピークに着く

目の前に黒岳、エビラ山、二ツ岳の峨蔵山系が連なり、遠く右方に剣山系が望まれる

360度の大展望を楽しみながら食事休憩

東赤石頂上に戻り直下の岩場から、西を眺めると

ゴツゴツした岩だらけの尾根が、八巻山、前赤石、物住頭、西赤石へと続く 

ダイナミックな岩稜は「四国一のアルペン」、何時見ても惚れ惚れするわ

12時、そろそろ下山

急坂の岩石帯にいいかげん疲れて来た頃、沢音が聞こえ出し休憩ポイントの水場

後は、歩き易い快適な道をどんどん下りて行く

瀬場が近付くにつれ、賑やかな鳴き声のヒグラシから

何処か寂しげなツクツクボウシに変わり

2時50分 瀬場登山口着 

 

ロックガーデンを彩っていた花々は殆んど終わりだったけれど

ススキを揺らす爽やかな風に吹かれながら、夏と秋が同居した岩稜を満喫〜♪

久し振りに歩いた故郷の山・東赤石、やっぱりいい山だった

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