2009年10月11日 ”甲斐駒ケ岳”

白く輝く南アルプスの貴公子、あこがれの三角ピークに立つ

北沢峠〜仙水峠〜駒津峰〜直登ルート〜甲斐駒ケ岳〜トラバース道
〜魔利支天往復〜駒津峰〜双児山〜北沢峠(8時間40分)

 

北岳から北を眺めて一番存在感がある白いピラミッド、甲斐駒ケ岳

「毅然という形容に値する威と品をそなえた山容である」と、深田久弥が讃えている

その秋彩の貴公子に、会いに行って来ました

 

戸台口バス停に、「10月11日は大変混雑が予想されますので

4時30分に切符発売、いっぱいになり次第発車します」と、貼紙されていた

5時前に1番車が出発、それから15分程後の2番車で、まだ薄暗い戸台口を出発

(運行時刻は季節、曜日で異なります 今日の正規の運行時刻は、始発6時05分、)

6時10分 北沢峠バス停(2030m)から林道を山梨県側に少し進むと、左に登山道入口

「仙水峠→」の標識が立つ

北沢河原いっぱいに張られたカラフルなテントが見え出すと、北沢駒仙小屋に着く

小屋前の橋を渡り左岸を進み、北沢駒仙小屋から30分ほどで北沢源頭に立つ仙水小屋

テントが2張あったけれど、閑散として人の気配があまり感じられなかった

(仙水小屋は食事が美味しい小屋として有名だそうだ、魚の買出しに行ったのかな?)

樹林帯を抜け、ゴーロ状の斜面を歩くようになれば仙水峠は近い

振り返れば、朝日に焼けた仙丈岳方面が明るい

黄葉したカラマツなどの木々越しに、魔利支天を従えた甲斐駒ケ岳の頭が見え出す

ウワァ〜 大迫力!

7時15分 仙水峠着(2264m)

甲斐武田武士の守りのご本尊魔利支天が

西に睨みをきかしながら、登山者を圧倒し、威厳に満ちた姿で聳えている

南に、栗沢山、アサヨ峰を経て鳳凰三山へと早川尾根が続いている

15分程休憩し、急坂を登って行く、駒津峰までは、標高差476mの急斜面

木の根の這う黒木の樹林帯を抜け出ると、一気に展望が開けて来た

甲斐駒ケ岳、魔利支天が段々迫力を増して近付いてくる  

もう少しであの岩頭に立てると思うとワクワク

紅葉は赤色が少なく鮮やかさは無いけれど 水晶沢を彩るダケカンバやカラマツの黄葉が

とても品がよく、花崗岩の岩肌によくマッチしている

奥は金峰山、甲武信ヶ岳あたりだろうか?

ツアー登山者で駒津峰への急坂は渋滞気味、「一斑の方は此処で休憩します」と、リーダーの声

お先に失礼して、ハイマツ帯の急坂を頑張り、8時45分 駒津峰着(2740m)

さぁ、いよいよ本峰目指して、まずは鞍部まで岩尾根を下って行かなければ

折角登ったのに、下るの勿体ないわぁ

登山道の日陰や、切れ落ちた北側斜面には雪が残る

この時期天気が崩れれば一気に冬山、今日は寒気も抜けて日本晴れ、気温も上がり

日焼けが気になるほどに日差しが強くなってきた

ここでルート確認 、直登ルートは正面の背骨を一気に頂上へ

トラバースルートは右白砂の山腹を巻く どちらのコースも時間に大差は無いらしい

振り返ると、カールを抱え南アルプスの女王の名に恥じない仙丈ヶ岳(3032.6m)

駒津峰は登山者で溢れかえっているけれど、先ほどのツアーの人たちが着いたのだろうか?

右に、北沢峠から尾根ルートの登山者が見える

下山しているソロの人にすれ違う、「もう下山ですか、早いですねぇ」

「昨日、小屋泊まりで黒戸からです」 「エエッー!黒戸尾根からですか!」

次にすれ違ったのは学生グループ「1時から登って、ピストンで〜す」 「エエッー!1時ですか!」

アップダウンを繰り返し、ハイマツが這うヤセ尾根を下りきると

駒津峰と甲斐駒ケ岳の鞍部、六方石(ろっぽういし) (左写真は六方石を振り返る)

 急にお腹が空いてきて力が出ない、直登ルートとトラバース道の分岐でおやつ休憩

直登ルートへ向っていた二人が引き返して来て、トラバース道へ行ったけど・・・

さあ、ここからが甲斐駒ケ岳の核心部分 気合だぁ

9時20分  エッ! こんな岩尾根行くの〜?

手掛かりの無い最初の難関を越せば、後は何とかなりそう

ザラザラしている岩角で掌が痛いけど、グングン高度を稼いで行く

鋸岳第一高点(2685m)の向こう、遠く北アルプスは、雪景色

鋸岳といえば戸台川を挟んでバスから見えたけど本当に鋸の様な山、あんな所歩けるんかな?

トラバース道を登って来ている登山者が小さく見える

鳳凰三山、地蔵岳のオベリスクが天を指す 三仏に護られその向こうに一番山座同定しやすい山、富士山

間近に聳える三角錐の山が、今夏に登った北岳、その向こうに間ノ岳

仙塩尾根を辿り、塩見岳から南へ赤石山脈の3000m級の山々が続いている

白く見えているのは、雪なんだろうか?

10時10分 甲斐駒ケ岳山頂(2967m) 勿論360度大展望

ピラミッドの頂点だから、頂上はもう少し窮屈かと思っていたが案外広い

京の石庭を思わせる白砂の広場には、立派な祠や一等三角点が置かれている

黒戸尾根の最上部の東峰には、信仰の山らしく沢山のモニュメント

赤石沢から雲が湧き上がって来る

大国主命や大己貴命の石碑が祀られている東峰(2965,6m)で大休止

10時55分 ハイマツ帯の緑色と僅かな草紅葉を纏う魔利支天を見ながら、トラバース道を下り始める

向いの尾根の鞍部,仙水峠が真下に見える、峠からこちらを見上げたら首が痛くなるはずだ

白くて綺麗な道なんだけど、花崗岩のザラ道は滑りそうで歩き難い

下りるのもしんどいけど、登るのはもっとしんどいだろうなぁ

11時10分 分岐にザックを置き魔利支天へ(分岐から頂上往復、休憩含めて40分程)

赤石沢からそそり立つ甲斐駒東面の絶壁は圧巻 白砂の中に蟻のように沢山の登山者が見える

魔利支天頂上も、信仰の山らしく石碑や剣が沢山立つ

甲斐駒信仰登山が盛んな頃は、表参道として賑わった黒戸尾根

登山口の竹宇駒ヶ岳神社から山頂まで、標高差2200m

随所に石碑等が残り、山岳信仰の歴史が感じられるそうだ

尾根の向こうには八ヶ岳の雄大な裾野が広がる

黒戸尾根の上部の岩に突き刺さった鉄剣

グランパは甲斐駒頂上から黒戸尾根を下って真近に見たかったそうだけど

あの岩だらけの急尾根を見て、直ぐに諦めたわ 今回はズームで我慢

正面に中央アルプス、右端に御嶽山を見ながら分岐へ戻る

岩と同じ色を着ているものだから、砂礫の中に同化してしまって

トラバース道へ向っているグランマーが見えますか?

11時50分 分岐まで戻り トラバース道を慎重に下りて行く

直登ルート分岐に出合い、ここからは駒津峰への登り返し

甲斐駒を目指している時はワクワクして何とも思わなかったけど、案外急坂

おまけに歩き難い岩尾根で、しんどい

何度も立ち止まり休んでいたら、何時の間にか富士山に雲がかかっている 

12時40分 やっと駒津峰まで帰って来た

休んでいた登山者が、次々に双児山へ向っている

殆んどの人は、登りは仙水峠から、下りは双児山経由北沢峠なんだろうか?

1時 右に鋸岳(写真)、正面に仙丈ヶ岳を眺めながらハイマツ帯の急坂を下って行く

シラビソ原生林の向こうに北岳、間ノ岳を見ながら、鞍部から緩やかに登り返す

小ピーク・双児山(2649m)から振り返ると、白く輝く甲斐駒ケ岳の姿が雄々しい

駒津峰から下って来ている人の列が続いている

1時40分 さぁ、後613m下らないと北沢峠に立てないわ

樹林帯は薄暗い場所もあったけど、黄葉したカラマツ林が明るい

2時50分 長衛荘が見え、北沢峠に下り立つ

あまり待つことも無く、次々とピストンしているバスに乗り、戸台口へ4時前に到着

9月に南アルプス林道バス運行30周年を迎え、開業以来105万人超の利用があったそうだ

記念にと素敵なオリジナルポストカードを戴いた

 

今日の山行、標高差(1000m弱)の割りには結構疲れたが

青空に聳える白いピラミッドのピークに立つことが出来、満足感でいっぱい

魔利支天の大迫力、白砂を敷き詰めた頂稜部、四方に落ちる急峻な岩尾根・・・

アルペン要素たっぷりの甲斐駒ヶ岳、山行記に新しい頁が出来ました

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