2009年11月28日 ”雲辺寺山”
晩秋の遍路道歩き・落ち葉を踏みしめ五郷から雲の上の霊場周回
GPSによるトラックログ(カシミールソフト使用) |
五郷小学校〜林道登山口〜雲辺寺山頂上〜雲辺寺西山三角点〜境内〜雲辺寺山三角点〜 |
四国のみち〜一升水〜林道登山口〜雲辺寺ロープウェイ乗り場〜五郷小学校 (7時間) |
四国霊場第六十六番札所、雲辺寺がある雲辺寺山(927m)、ロープウェイや車で簡単に行けるが
杉木立に囲まれた参道や荘厳な仁王門は、雪でもあれば尚更、申し分のない雰囲気を醸し出している
数年前、麓から四国の道を往復した事はあるが、今日歩く五郷からの遍路道は初めて
帰路に歩く広域基幹林道周辺のヤマザクラの紅葉も楽しみ〜
7時35分 五郷小学校を出発
正門に、「腰骨を立てる子」の碑が立つ
森信三先生の言葉に、思いがけず出合い嬉しくなる
横断歩道を渡り、商店横の路地を下る、この道が古来からの雲辺寺登山道だそうだ
赤い鳥居のお稲荷さんの左横を通り、みかん畑を抜けて突き当たりを左折
川に向って下って行く
柞田川に架かる橋を渡って、直ぐ右折
50m程で分岐、角には五丁(?)と刻まれた丁石らしきが置かれている
ここは右へ
坂道を上れば、右側に、櫃負(ひつおい)観音堂が建つ
(上がり立て地蔵とも言うらしい、写真は振り返って撮っています)
観音堂の庭に、「是より雲辺寺へ四十六丁十五間」と刻まれた石碑が立つ
丁石に導かれて安心したのも束の間、次の分岐で真っ直ぐ行くのを誤って右へ行き
急坂を登り詰めた所で行き止まり、あらら
里山は本線に乗るのが難しいわ、道なりは真っ直ぐだけど
この遍路道は歩く人が少ないのか藪気味なので、民家の方へおりてみよう
ため池の土手を進み、すぐ前の民家の横を通り、右方の本線を目指す
振り返ると、迂回したため池の土手が見える
遍路道は左の林の際を通っているのだろう
此処からは、みかん畑の中のコンクリート道を上へ上へと登って行く
どうやら本線に乗れた様だ、やれやれ
たわわに実ったみかんが、美味しそうなオレンジ色に色付いている
五郷地区のみかん栽培の歴史は古く、嘉永3年(1850)井関川東の神職佐伯国治氏が
大阪より苗木を持ち帰って植えたのが始まりだそうだ
8時05分 広域基幹林道大野原財田線に出る
登山道入口に「崩落箇所あり、ここからの登山は危険」という看板が立つ
10分程休んで、出発
2004年、15号、21号の台風で四国瀬戸内海側が立て続けに大災害にみまわれた時
五郷地区は、台風による豪雨でため池や道路が崩壊、多くの犠牲者が出るなど大被害を被った
その爪痕がまだ生々しく残る崩落箇所、道幅は十分有り、今は危険という程でも無い
展望が開け、歩いて来た五郷方面が見える
左隅が五郷小学校辺りかな?
地図を見ると、ため池は井関池や大谷池だろうか?
天気が好ければ、燧灘に浮かぶ伊吹島や、遠く中国山地も見えるそうだけど・・・
三十二丁石を過ぎた急坂途中で、後背に水と刻まれたお地蔵様が見送ってくれる
この辺りが、五合水の稜線なのかな?
この後、二十七丁石過ぎに天保二十三年(1852年)と刻まれたお地蔵様
続いて二十丁石過ぎに、文政十二年(1829年)のお地蔵様
200年近くも、道行く人を見守り続けて来たのかと思うと自然に手を合わしていた
後背に「是の右に水あり」と刻まれている、此処が一升水だろうか?
9時35分 九丁石、ようやく尾根上に出る
ヒンヤリした風が吹き出した
前線が通り過ぎ、空気が入れ替わったようだ
やっと「スノーパーク雲辺寺」のリフトが見え出し、もう直ぐ頂上だと嬉しくなったのに
フェンスの周りはカヤが茂って歩き難い
ゲレンデでは、12月18日のオープンに間に合うようにと人工雪の製造中
「スキー場オープンゼロ、雪少なく関係者ヤキモキ」(福島、毎日新聞11月30日)
此処は南国四国、本場でも雪が無いのだから、、関係者も大変だろうなぁ
スキー場の横の雑木林をトラバース気味に進むと、車道に出る 左はロープウエイ乗り場
車道を横切り下って行くと雲辺寺境内、お参りは後にして、先ず右山頂へ向う
10時10分 雲辺寺山山頂広場の毘沙門天像もガスの中
折角の展望館なのに、残念!
側に、「県境 標高1000m(徳島県三好郡池田町)」の標柱が立つ
国土地理院の地図に拠ると、山頂広場の標高は930m位だと思うんだけど
展望館は高さ15mほど、その上に体重さ15トン、身長10mの毘沙門天像が立ったとしても
1000mには、まだまだ届かないわ
スキー場を右に見ながら山頂広場を西へ進むと、舗装路に出る
電源開発の建物の側から右の山中に入って行くが、三角点がなかなか見つからない
地図では、西へ少し下った所にある筈なんだけど・・・
10時20分 ちょっと分かり難かったけれど、雲辺寺西山三角点(916,2m)
三角点を確認して、舗装路を下って来ると駐車場
三角寺からの遍路道と合わさり荘厳な雰囲気の参道を歩いて行くと
杉木立の中に風格ある仁王門が現れる
何時も睨みを効かしている仁王像は修復中で留守でした
此処は八十八ヶ寺のなかでも最高所にある山岳霊場、第六十六番雲辺寺
かっては四国高野といわれた学問道場でもあったそうだ
10時45分 雲辺寺本堂
天気があまり好くないからか、参拝者もまばら
新しくなった本堂の側に、可愛い「おたのみなす」の置物がある
願いを込めて、この茄子に腰掛けると望が叶うそうだ
腰掛けてみたかって?・・・ご想像にお任せしま〜す
堂々とした大師堂
弘法大師が16歳の頃、登って来て修行したと伝えられている
「はるばると雲の辺りの寺に来て 月日を今は麓にぞ見る」
と、御詠歌に詠われるように雲に覆われた気宇壮大な霊場
境内に所狭しと並んでいる五百羅漢さん
自分に似た羅漢さんが必ずいるそうだけど、どの顔もちょっと怖そうな
優しそうな羅漢さんは、居ないのかな?
11時 羅漢さんの所から舗装路に下りて来ると、大イチョウが黄色い絨毯を敷いている
説明板によれば、この大イチョウは「大師乳銀杏」と呼ばれ
子どもが産まれても乳の出ない人のために弘法大師が植えたもので
幹を削り煎じて飲むと乳が出るそうだ
舗装路歩いて行くと、左手にアンテナ塔が現れ
その直ぐ側の木に「雲辺寺山927m」と書かれた標識が括り付けられていた
四国百名山に紹介されている標高は927mだけど、こんな所が山頂?
大興寺へと続く四国のみち分岐を通り過ぎ、北峰へ
NTTドコモのアンテナが立つフェンスを回り込むと
11時20分 カヤが刈り払われた一叢に雲辺寺山三角点(910,7m)がありました
あれ此処にも、雲辺寺山927mと書かれた標識が転がっている
この山のピーク・927mって、一体何処よ!
北峰展望台から、雲辺寺山頂を眺める
やっぱり毘沙門天像が立つ山頂広場が一番標高が高そう
雲辺寺の山号は巨鼈山(きょごうざん)、山容が巨大な亀が寝ている姿に似ているそうだ
なるほど、寝転んでいるんじゃ何処がピークが分り難い筈だわ
それにしても山岳霊場に不釣り合いな沢山のアンテナ、里に近く障害物の無い山の宿命なのかな
ますます雲が厚くなって来た、これじゃいくら待っても展望は無理ねぇ
三角点から引き返し、ベンチに腰掛けてお昼御飯
そんなに寒くは無いけれど、温かいお味噌汁が美味しい
発心、修行、菩提の各道場を巡って来たお遍路さんは、ここから涅槃の道場に入る
難所を終え、やっと最後の一国に入る安堵感に浸るお遍路さんの姿が想像できる
(注、雲辺寺は寺の所在が徳島県なので、この分岐から香川県としました)
11時40分 大興寺9kmと書かれた道標に従い、「四国のみち」を下って行く
落ち葉の絨毯が気持よい、快適な道
5分弱で、ロープウエイ分岐
左、ロープウエイ3300m、萩原寺6300mの道標がある
ここを下りれば近道だけど、今日は真っ直ぐ「四国のみち」を進む
右傍に小松尾道と書かれた古い道標
「四国のみち」は第六十七番小松尾山大興寺へと続いている
「へんろみち」や「野鳥を観察しよう」の説明板を見ながら整備された道をどんどん下る
「ヤマザクラの話」の説明板が気にかかる
「まわりを見てください このあたりにはヤマザクラがたくさんあります
中にはひとかかえ以上もある木もあります・・・」
たしかに道沿いにたくさんのヤマザクラがあるが、枯れている木が多い
説明板横の大きなヤマザクラも、残念ながら枯れている
温暖化か、それとも酸性雨なのか?
ヤマザクラ満開の遍路道をお遍路さんが歩く姿が、四国のとっておきの春の風景なのに・・・
12時35分 一升水 ベンチ横には見頃の紅葉が小さな体で精一杯のお接待
折角のベンチ、お汁粉で温まりながらの〜んびり休憩
側に「鰻渕(おうなぎさん)の伝説」の説明板が建っている
人々が大干ばつで苦しんでいた時、雨乞いの祈りが通じ鰻が大雨を降らせ
この東側の渕は「おうなぎさん」と呼ばれているそうだ
雨の少ない讃岐の国、いたるところに水にまつわる伝説が残っている
林道までは急坂が続く 立ち枯れのヤマザクラやアカマツが目立つが
それでもクヌギなどの柔らかい黄葉が、目に優しい
1時10分 広域基幹林道の雲辺寺山登山口に下り立つ
さあ、此処から先ずは3,3km先のロープウェイ山麓駅を目指して車道歩き
林道沿いは色とりどりに染められ、紅葉真っ盛り〜♪
1時55分 雲辺寺ロープウエー乗り場が見えて来た
全長2600m、高低差660mの山麓と山頂を僅か7分で結ぶ
五郷内野々、前方に見える小学校の建物が段々近付いて来る
もう少しで小学校だと思いながら歩いていると、庭で遊んでいた女の子たちが
吠える犬を宥め、「こんにちは〜 雲辺寺ですか?頑張って下さい」と
持っていた板チョコを割って半分差出し、手を振りながら見送ってくれた
讃岐の小さな山里で触れた「お四国の心」、ありがとう!
振り返れば、亀の甲羅は雲の中、それにしてもよく歩いたなぁ
嬉しいお接待に足取りも軽くなり
2時35分 五郷小学校へ帰って来た
既に初冬の装いの頂上付近は、雲飛ぶ霊場の名に相応しくガスの中
折角の展望の山なのに、讃岐平野や瀬戸内海が見下ろせず残念だったけど
山岳霊場の荘厳な雰囲気がいや増し、清々しい気持ちで下山したら
山裾は綾錦の競演、こんな車道歩きだったら大歓迎!
おまけに「おたのみなす」のご利益もあれば、言う事無いんだけどなぁ