2010年01月10日 ”妙見山”
岩崎弥太郎ゆかりの山を歩き、歴史と文化の香るまち安芸市周遊
GPSによるトラックログ(カシミールソフト使用) |
野良時計〜安芸城址〜岩崎弥太郎生家〜妙見山〜タイガース球場〜浄貞寺〜土居橋〜野良時計 |
(6時間30分) |
2010年寅年の初歩きは、安芸市の虎を尋ねて虎娘(殴)の里歩き
安芸といえば、まずは猛虎軍団阪神タイガース、今年の活躍はいかに?
次は、戦国時代末期、土佐七豪族の雄として名門を誇った、安芸氏最後の城主、安芸国虎
続いて今回本命は、「東洋の海上王」岩崎弥太郎
国虎が戦国の名将として名をはせた陸の虎なら、弥太郎は荒海を駆ける海の虎
龍馬に憧れ、龍馬を憎み、龍馬を愛した男、弥太郎は
大河ドラマ「龍馬伝」の語部として、今年大ブレイクの予感
虎の他にも、童謡の里、書家の里として見所いっぱいの安芸
勿論、美味しいものもいっぱいで〜す
今回踏むピークは、弥太郎ゆかりの妙見山(448m)
登山としては物足りないけれど、観光気分で出発〜
まずは、ごめん・なはり線安芸駅で今日歩くルートを検討
駅前には、岩崎弥太郎生誕地の幟が目に付くが
此処安芸は大正・昭和期の代表的な作曲家弘田龍太郎の生誕地でもある
弘田龍太郎の偉業を後世に受け継ごうと、童謡に特化したまちづくりを進めており
市内の名所・旧跡10箇所に曲碑が建てられている
駅前には、可愛い子どもの像と第10号曲碑「靴が鳴る」が建つ
駅舎内の「安芸駅ぢばさん市場」、地場産の美味しいものが店内に溢れている
帰りに寄ってみよう
安芸市のシンボル野良時計(畠中家の櫓時計)を起点に反時計周りに歩いてこよう
この時計は明治20年頃、地主だった畠中源馬氏の製作
今も正確に時を刻んでいるんだろうなとの期待は外れたが
9時10分、城山方面へ
土居公民館前には、第7号曲碑「叱られて」
このほかにも「鯉のぼり」 「春よ来い」 「雨」 「お山のお猿」 「浜千鳥」などの曲碑がある
藩政時代の佇まいを今に残す武家屋敷の町並「土居廓中(かちゅう)」
土用竹の生垣は、夏の暑さ、冬の寒さ、強風を防ぐ役割があるが
ここでは、いざという時、弓矢として使うために植えられたと言われているそうだ
一般公開されている野村邸を見学
安芸城跡
安芸城は鎌倉時代の延慶元年(1308年)安芸親氏により築かれた
永禄12年(1569年)長宗我部元親に攻められ激戦の末落城、安芸氏は滅ぶ
その後30年間長宗我部氏が支配したが、慶長6年(1601年)山内一豊の土佐入国とともに
山内氏の重臣、五藤氏が安芸をおさめた
毒井戸跡
1569年7月、安芸城は圧倒的な長宗我部軍に包囲され果敢に戦っていたが
敵に内通するものが、城内の井戸に毒を投じこれを飲んだ兵が次々に倒れる
籠城もこれまでと覚悟を決めた城主安芸国虎は、残された全将兵と
領民の助命を条件に、自らは菩提寺である浄貞寺に入り自決した
城を模して造られた書道美術館(玄関の前に上写真の毒井戸跡がある)
昭和57年10月に開館した全国初の公立書道専門美術館
江戸時代、家臣のための「秉彜(へいい)学舎」をはじめ、寺子屋がたくさんあった安芸は
学問が盛んで、その中から優れた書家を数多く輩出している
書道美術館の隣には市立歴史民族資料館があり
安芸家老五藤家や岩崎弥太郎の資料などを展示している
美術館すぐ横の城山に登ってみたが、大きな木がうるさく展望は僅か
安芸の城下を後にして 次は岩崎弥太郎生家へ向う
生家は正面の妙見山の麓
あったか高知、日差しは暖かいがそれでも妙見おろしの空っ風が冷たい
岩崎弥太郎生家
ボランティアガイドの方が、昨日(1月10日)は、200人以上の見学者があったと言われていたが
今年は忙しくなるのだろう
弥太郎(1834年〜1885年)は諸外国の汽船会社などとの激しい戦いを制し
「東洋の海上王」と異名をとり、三菱グループの礎を築いた幕末明治初頭屈指の経済人
実は海援隊の会計を担当していた経緯があり、坂本龍馬とも縁が深い
瓦に残る家紋の三階菱(左奥の建物の鬼瓦)と
土佐藩主山内家の家紋(三ツ柏)をもとに、現在のスリーダイヤが出来上がった
NHK大河ドラマ「龍馬伝」は、龍馬が坂本龍馬に進化してゆく姿を弥太郎の目から
描いてゆくそうだが、視点を変えれば、常に龍馬を意識し最後には龍馬の志を引き継いだ
岩崎弥太郎を描く・・・そういうふうにも思えるのだが
数ある幕末のドラマでも常に注目される龍馬 あまり表に出てこなかった(と思う)弥太郎
弥太郎がどのように成長していくのか目が離せません
庭に残る日本列島の石組み
少年時代の弥太郎が天下飛雄の夢を託し、日本列島を模して作ったと伝えられている
生家前の道を真っ直ぐ進んだ突き当たりが、登山口
10時40分 さあここからが登山 妙見山(448m)を目指す
弥太郎は生まれた時から気性が激しく、負けず嫌いで腕白だったそうだ
近所の子どもを引き連れ、この山に登っていたお山の大将の姿が浮かんで来る
星神社までの道は、「岩崎弥太郎志の道」と呼ばれている
登山口から5分程は、ゆず畑の中のコンクリート坂道
ここからが本格的な登山道となり、いかつい顔の弥太郎が導いてくれる
余談ですが、まだ「龍馬伝」は2回放送されたばかりなのに
弥太郎の生まれかわりじゃないかと思うほど、迫真の演技をしている香川照之
を見ていると、弥太郎=香川照之というイメージが出来上がってしまった
現在では国際的な知名度のある日本人俳優の一人と評価されているそうだ
地元小学生の元旦登山があったので、道は良く整備されている
思ったより急坂、おまけに日差しが強くなり汗が出だした
中間地点付近から、沢山のビニールハウスが並ぶ安芸平野を眺める
安芸は日本一の「冬春なす」の生産地と紹介されていたけど
「冬春なす」ってどんな茄子なんだろう?
下山してから、「廓中ふるさと館」名物のなすカレーを食べるのが楽しみ!
大きな弧を描く海岸線が光っている、気温が高いので遠くの見通しはイマイチ
大きな檜の林間に石段が出てくれば、頂上は近い
11時40分 登山口から1時間程で妙見山頂上 (448m)
高い木々に囲まれ展望は無い こんな所にも○○山岳会の山頂表示板
頂上には一ノ宮地区の産土神を祀る星神社が鎮座する
弥太郎は、江戸遊学の際、星神社に将来の大望を誓い、決意を扉に大書したという
(そういえば龍馬も、文久2年(1962年)3月24日脱藩の際、和霊神社に立ち寄ったといわれている)
近代日本の原点が、この山中にある・・・ちょっと大袈裟かな
神社は、明治になり火災に遭ったため、写真の墨書は弥太郎直筆ではないが
心に響いてくる言葉だ
神社前を西に進み、鳥居を潜れば広い駐車場に出る
な〜んだ、此処まで車で来れるんだ
鳥居前に「石鎚神社遥拝所200m」と書かれた石碑が建つ、ちょっと行ってみよ
5分程で石鎚神社遥拝所、鳥居を潜ると林の中に社殿があり
側に遥拝所の由緒を刻んだ石碑があるが、ちょっと読み難い
安芸妙見山農場で大休止、温かいお味噌汁が美味しい
のんびり寛いでいる間、グランパは433.7mの三角点を探して辺りをうろうろ
結局見つけることが出来なかったけれど、後からGPSログを見たら三角点踏んでるじゃない
さあ、ここから長い車道歩きが始まる
1時50分 高知の春は安芸からやってくる
安芸の春といえば勿論、猛虎軍団阪神タイガース春季キャンプ
「虎将」真弓 明信監督頑張って! 今年は寅年よ
たしか前の寅年(1998年)は、えーと・・・過去は気にしないで
浄貞寺、土佐豪族・安芸国虎の菩提寺
長宗我部元親との合戦に敗れた最後の城主・安芸国虎は、この寺に入り自害した
境内には安芸氏一族の墓があり、県の文化財に指定されている
江ノ川上公園で自信に満ちた表情で、どっしり構える岩崎弥太郎銅像
「いごっそう」とはこんな人をいうのだろうか
昭和60年に生誕150年を記念して建立されたそうだ 左後ろは先ほど歩いた妙見山
エネルギーの塊のような男岩崎弥太郎、企業経営の手法には評価は異なるだろうが
間違いなく、弥太郎は近代日本を引っ張って来た機関車、わが町の英雄だ
土佐・龍馬であい博サテライト会場「安芸・岩崎弥太郎こころざし社中」
1月16日(土)のオープンには、香川照之さんも来られるそうだ
館内には「志す」をテーマに、盛り沢山の展示が予定されている
司馬遼太郎著 「竜馬がゆく」より抜粋
「癪だが、俺より人間が上品(じょうぽん)だ
あいつが俺に優っているところがたった一つある
妙に人間といういきものに心優しいということだ
将来、竜馬のその部分を慕って万人が竜馬をおしたてるときがくるだろう
竜馬はきっと大仕事をやる。俺にはそれが無い
弥太郎が竜馬を小面憎くおもうのは竜馬のそういう部分への嫉妬だろう
それ以外は弥太郎は人間として竜馬におどろくほど似ている
似ているから、なお、いやなやつだ、と思うのかもしれない」
土居橋の「雀の学校」の曲碑を見て
チィチィパッパ〜♪ チィパッパ〜♪ と唄いながら
長い車道を歩いて、3時40分駐車地点の野良時計に帰って来た
今日は安芸の名所・旧跡を尋ねての観光ウォーク たまにはこんな歩きもいいもんだ
そろそろ雪山も恋しいが、津野の方にもう一頭虎がいる どうしよう
なすカレーを楽しみに「廓中ふるさと館」へ急いで行ったのに既に売り切れ
もう一つの名物、釜あげちりめん丼を頂いた
残念だったけど、なすカレーは次回の楽しみに取っておこう
帰りに「安芸駅ぢばさん市場」で芋けんぴ、やたろうやき、やまももワイン、ちりめん等々
沢山車に積んで帰った あっ、もちろん茄子も忘れずに
美味しさいっぱい、見所いっぱい、何処まで歩いても飽きがこない冬の安芸
暖かくなったらもう一度訪ねてみよう
(参考 安芸市発行のパンフレットや説明板)