2010年01月24日 ”鞍瀬ノ頭”

厳冬期、保井野から石鎚山系の白いピラミッドピークを目指す

GPSによるトラックログ(カシミールソフト使用) 
「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び
数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。」(承認番号 平18総使、第582号)
      

 
保井野登山口〜カラ池〜シャクナゲ歩道〜梅ヶ市分岐〜堂ヶ森〜五代ノ別れ〜鞍瀬ノ頭

                                         (9時間45分)

「真冬の鞍瀬ノ頭(1889m)・・・絶対無理よ!」 が我家の合言葉

年明け早々の厳しい寒さとはうって変わり、大寒(1月20日)からは「らしからぬ日」が続いた

今なら、鞍瀬ノ頭の頂上に立てるかもしれない

行ける所まで、でもあわよくば二ノ森までという事で、久し振りに仙ちゃんと歩いて来ました

 

保井野集落を過ぎると車道は狭くなるが、雪や路面凍結も無く順調に登山口着

ワカンが要るかどうかわかんないけど、雪が多けりゃ先頭交代壺足で強行突破よ!

と、ザックも軽くして意気揚々 

6時45分 ヘッドランプを点けて出発 

堂ケ森頂上まで3400m(標高差1130m) 鞍瀬ノ頭まで?(標高差1330m)、雪道にしてはきついなぁ

古タイヤや鉄線で仕切られた牧場跡の柵沿いの道を緩やかに歩いて行く、足慣らしに丁度良い

25分ほどで青滝山への道を右に分け、植林地が終わる頃、

「頂上へ2500m」の小さな指標が木に括りつけられている

程なくカラ沢、ロープが渡された沢を渡れば本格的な登り

自然林の中、ジグザクの急坂を黙々と歩く

振り返れば、青滝山に朝日が当たりだし霧氷が輝いている「綺麗〜」

カラ池が近づくと、昨日の雪だろうか辺りが薄っすら白くなって来た  

8時10分 カラ池着 頂上まで1600mの指標が立つ

此処は二重山稜の様な地形で、窪地があり大雨が降れば水が溜まるのだろう

小休止し、斜面を回り込むようにして東の尾根に出る

細尾根に乗ると直ぐに、しゃくなげ歩道の案内板と路傍にお地蔵さん

全体として花芽は少なそうだが、この寒さの中もう来夏の花芽をつけている

冬場のシャクナゲを見る度、生命力の強さを思う

ここから梅ケ市分岐までの標高差350mが保井野コースの核心部分、胸突き八丁の急坂が続く 

シャクナゲが沢山あるということは、露岩が多いということ

雪は多くは無いが、ステップが凍りついているのでアイゼン装着

9時10分 水場 頂上まで1100mの指標、此処からはブナ林の中、胸突き八丁後半戦

北面だけど思ったほど雪は多くない、というより少ない

雪はクラストしているのでアイゼンがよく効き、ロープも頼って霧氷の中順調に登って行く

前方が明るくなって来た、もう直ぐ主稜線よ〜、ファイトー!

9時30分 梅ヶ市分岐 右へ行けば堂ケ森のもう一つの登山口梅ケ市 

此処から東に向って石鎚山系の大縦走路が続いている

西の方の山々の頂稜を掠めながら雲が流れて行く

南には面河ダムが光る ず〜と向こうに大川嶺(1525.0m)が雲から頭を出し始めている

霧氷は綺麗だけど雪が無い、鞍瀬ノ頭はどうなんだろうか?

笹原の大斜面につけられた道は緩やかに頂上を目指すが、見た目以上にしんどい

梅ヶ市分岐から40分ほどかかり、堂ヶ森乗越(この呼び名は一般的ではありません)

暫し大展望を楽しみ、すぐ北にある三角点に向かう

10時20分 堂ヶ森頂上(1689.0m)から東の大展望

正面に鞍瀬の頭(1889m)、鞍瀬に隠れて見えないがその後ろにニノ森(1929.2m)

左奥西ノ冠岳(1894m) 中央奥石鎚山(1982m)

う〜ん、綺麗だけど期待した色じゃ無いなぁ もっと厚化粧した貴婦人を見たかった

写真の手前が暗いのは、直ぐ横の大きな反射板の影

大展望のピークに不釣合いな大型の人工物、どうにかならんのかな

西には、右手前に青滝山(1303.4m) 左後ろに石墨山(1456.0m)、皿ガ嶺連峰の山々

右奥、雲の下に松山の市街地が広がっている 余談ですが、今松山の街は雲で沸いています

乗越から少し南の白骨樹越の定番の展望、天気が好過ぎるかなl

雲が少しあった方が・・・雪が少ないとか、雲が欲しいとか贅沢、贅沢

鞍瀬ノ頭頂上すぐ右に、恥ずかしがり屋の二ノ森の天辺がほんの少し見える

さあ鞍瀬ノ頭まで、白い稜線を歩こうか

此処から鞍瀬との鞍部まで標高差100mを下って行く 下るのは勿体ない気がするが

下るからこそ 鞍瀬が大きく見えるんだ・・・・なんとなく納得

その前に、昨夜作ったオレンジケーキを食べながら大休止

味はどう・・・? 「まあまあじゃ、食べれん事ないぞ」

南には、山座同定しやすい端正な姿の中津明神山(1540.6m)

最低鞍部まで下りて来たところで、アイゼンを外しデポ

此処から、鞍瀬ノ頭まで標高差300mの登り返し

それにしても素晴らしい景色 此処は四国のシャングリラ〜(何よ、それ?)

この斜面も見た目なだらかそうだけど、結構しんどい

以前真夏に歩いた時、汗が噴出した所だ、ゆっくり一歩一歩

単独行の方が追いついて来て、見る間に駆け上がって行った 人は人、還暦なりの歩きをしよう

振り返れば、堂ヶ森も遠くなり大分高度が上がって来た

五代ノ別れが近づくにつれ傾斜も増してくるが、救いはこの天気と大展望

11時50分、やっと五代ノ別れに辿り着く

此処で初めて、ニノ森が姿を現す 縦走路は鞍瀬ノ頭をトラバースして二ノ森へと続いている

二ノ森の南斜面の雪は少ないが、稜線はそこそこ有りそう

時計も見て、ここで「あわよくば二ノ森まで」という線は消えた

さあ、最終章、鞍瀬ノ頭まであと一息よ〜 念願のピラミッドピークへ一直線

頂上から南への派生尾根を直登するが、雪が緩みよく滑る 一息どころで無かったわ

いつものことだけど 端正な山は最後がきつい

12時15分 鞍瀬ノ頭(1889m)

先ほど追い越して行った方と一緒に、360度の大パノラマを満喫

頂上には、去年無かった山名板が置かれ、丹原町・小松町・面河村と書かれていた

此処は三町村界、設置者は、きっとこの旧町村名を残したかったんだろうな

此処から見る山々は大きく高く、谷は深い 四国の山の中でも別格のスケールだ

左から西ノ冠岳(1894m)、石鎚弥山、天狗岳(1982m)、南尖峰

すぐそこに、二ノ森(1929.2m)と 右奥に筒上山(1859、3m)

縦走路の木陰の中にはかなり雪がありそうだ、ニノ森までは無理だっただろうと納得

今回の山行目的のもう一つ、頂上から高瀑が見えるか?

1週間ほど前、高瀑氷瀑写真が掲示板を賑わしていた、上からでもいいから一度見てみたい

地図をみれば、ニノ森から北に落ちる尾根が壁になりそうだけど

せめて滝の落ち口くらいは見えるかもしれない 

西ノ冠岳の西尾根と、ニノ森の北尾根の交点を覗き込んでみる(左写真の左下)

あれよ、あれ! 地球の割れ目の様な所、あれが落差130mともいわれる高瀑の落ち口よ

雰囲気はわかるけど迫力が無い、やっぱり今度下から見てみよう

西ノ冠岳北西尾根の向こうに、西条や新居浜の市街地が見える

西条はともかく、新居浜が見えるという事はあっちからもこっちが見えるんだ

当たり前よ、何言よん、今度イオン辺りからじっくりこっちを見てみたら

天気は好いが、此処は遮るものは何も無い2000m近いピラミッドピーク 

吹き抜ける風は真冬の風、食事はアイゼンをデポした所まで下りてからにしようか

12時35分 頂上を後にする

五代ケ森(1706.7m)へと続く稜線 下りは早い、早い

五代ノ別れを過ぎて単独行の方に会う、今日会ったのはたった2人だけ ここは本当に静かな山域だ

こんなに天気が好いのに、皆何処に登っているのかな?

鞍瀬ノ頭から三ケ森(1377.6m)へと続く北方稜線

遠くに今治市街と、うっすらとしまなみ海道も見える 左は高縄半島の山々

以前から気になっていた手前の鋭い稜線は、ニードル尾根というらしい

大迫力の西ノ冠岳と石鎚弥山を振り返る

大展望を楽しみながら、贅沢な昼食 仙ちゃんのお昼は、やっぱりうどんでした

背中の荷物は少し軽くなったけど、重くなったお腹を上げてそろそろ下山しなくちゃ

居心地が良いからと言って何時までものんびり寛いでいたら、帰りもヘッドランプのお世話になりそうだわ

後ろを振り返り振り返り下山、と言っても堂ヶ森までは緩やかに登り返し

新装なった愛大避難小屋も見てみたいけど、今日はパス

気温もかなり上がり南面の霧氷は全て消えてしまった、まるで春山の様相

時々踏み抜きながら、2時20分 堂ヶ森乗越

梅ケ市分岐からは念のためアイゼンを着け急坂を下る、北面の霧氷も殆んど落ちていた

4時30分 なんとか明るい内に登山口に帰って来た

日没間近、堂ヶ森に夕日が当たり赤く染まって来ている

頂上がかなり近くに見える 本当に標高差1130mもあるのかな? 

 

今日は久し振りのロングコース、雪は少なかったとはいえ厳冬期、かなり疲れました

目的の山のピークは踏めて念願が叶ったけれど

雪深く「鞍瀬ノ頭撤退」も良かったかもしれない ちょっと複雑

雪山シーズンはまだまだこれから 

次回は、ドカ雪のあと 堂ヶ森から真っ白い貴婦人を見てみたい

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