2010年02月20日 ”毛 無 山”
雪桜&雪ブナを求めて美作路を走り、伯耆大山展望の山へ
2月も下旬になると日差しも柔らかくなり、春の花便りが届いて来る
今年の冬は早く到来したが終わりも早い、でももう少し雪景色を楽しみたい
今日はとことん雪に拘って、出雲街道を走り雪の故郷中国山地の毛無山へ
日当たりの良い丘に立つ醍醐桜の雪姿は今回も空振り、せめて語呂あわせで「大根桜」でも
大根畑を写していたら、犬の散歩中のおばあさんが通りかかり立ち話
四国から雪桜を見に、2週間前も来たと言うと、「それは、まぁ遠い所から
昔は、ようけ雪が積もりよったけん、花が咲いたようでそれはそれは見事じゃった
(それが見たかったのです)
けんど、この頃は雪も少のうなって、雪掻きもせんでようなった
春は賑やかじゃけん、また見においで」と、見送ってくれた
暖冬傾向はこれからも続くだろうし、もう雪姿は期待出来ないのかな?
吉念寺集落から引き返し峠を越え県道32号、国道181号を走り、「出雲街道 美甘(みかも)の宿」へ
新庄川の堤防に植えられた樹齢約60年、約60本のソメイヨシノが薄っすら雪化粧
新庄村「がいせん桜」程の知名度は無いが
ここ美甘村は昔宿場町で栄えたことから、「美甘宿場桜」と命名され、毎年さくら祭りが催されている
新庄川沿いを遡り、新庄村へ
がいせん桜満開の季節には大賑わいの「出雲街道 新庄宿」、さすがに今日は誰もいない
道の駅、「メルヘンの里新庄」でおにぎりを作って貰い、これで準備万端
お腰につけたキビ団子じゃないけど、背中に背負って毛無山に向かう
(10時開店でまだ準備中でしたのに、気持ちよく応じて頂き、ありがとうございました)
新庄の街を抜け、県道58号線から分かれ田浪川沿いを一路登山口の田浪集落へ
集落が近づくと辺り一面、銀世界〜♪
目指す毛無山のピラミダルなピーク(右)が青空を突き破っている
おもわず、アクセルに力が入ります
今日は頂上からの大展望が待っているだろう・・・・という期待はちょっと甘かった
駐車場〜毛無山(けなしがせん、1218m) 往復 (3時間)
途中下車が多かったが、やっと登山口着
まっすぐ奥へ進めば田浪キャンプ場 、その手前左に駐車場があり登山道は右
駐車場には車が2台、どうも登山の車では無い様な雰囲気だけど、はたしてトレースは?
10時30分 駐車場を出発 「毛無山山の家」(標高680m)の前を通り少し進むと「毛無山登山口」の標柱
ここから頂上までの距離は約2km、標高差約500m、1時間30分程で 山頂へ
最初は杉の人工林の中、瀬音を聞きながらの林道歩き、先行者のトレースがあり一安心、ホッ!
枝に積もった雪が、木漏れ日の中キラキラ輝きながら落ちて来る
白馬山への道(トレース無)を右に分け、10分程で林道終点、ここがガイド本の登山口(三合目)かな?
旭川源流の碑を過ぎると本流と別れ、本格的な登りとなる
登山口(三合目)から15分程で4合目、そのすぐ上に毛無大岩
4合目から9合目にかけては、樹齢100年超のブナの原生林や天然杉が続く
1300年前、役行者によって開山された毛無山は修験道の行場もあり
戦前までは女人禁制が布かれ、山岳信仰の聖地であったそうだ
「助け合いの木」(意味不明です)と書かれた標識を過ぎた辺りから、ブナが目立ち出した
先行されていた方(「HP毛無山にようこそ」の津田さん)が写真を撮られている
後で、毛無山のお話をいろいろ伺い、この山がとっても大好きな様子が伝わって来た
見事な雪ブナ!
どこからともなく「バリ、バリッ ドサッ」という音が、静まり返るブナ林に響き渡る
そういえば、引き裂かれたばかりの生々しいブナの枝が道のあちこちに落ちているのが目につく
雪の重みに耐えかねて枝が折れる音、まさにブナ林の冬の音だ
見事な雪ブナなどと感心している場合じゃない、ブナにとっては一番厳しい季節なのだろう
尾根に出た所に「有用広葉樹母樹林」と書かれた標識
すらっとしたスタイルのよいブナが立ち並ぶ中で、南東斜面には根元曲がりのブナも多い
四国のように両手をゆったりと広げた大ブナがいないのは、ひときわ厳しい環境を物語っているのだろう
背高のっぽのブナの枝先を見上げれば、青空に輝く霧氷〜♪
樹間から差し込むお日様の光が、暖かい
九合目にある休憩小屋が見えて来た
新緑、深緑、紅葉の四季折々の季節この小屋で1日のんびりしてみたい
そんな空間がここにはある
ブナ林を抜け、雪の重みで垂れ下がった低木を掻き分け、屈みながら進むと視界が拡がって来る
丁度下山を始めた単独の方とすれ違う、今日逢ったのは2人だけ
もっと沢山の人が登っているかと思っていたけれど、明日が多いのかな?
急斜面を一登りすれば、頂上から360度の大パノラマが待っている筈ですが・・・
12時 毛無山頂上(1218m)、麓から12時のサイレンが聞こえて来た
デ〜ンと鎮座しているはずの大山は、雪雲に覆われて見えません
山頂には不動明王の木像があるらしいが何処やら、カタクリ山への稜線には深い雪
カタクリ山〜白馬山の周回、あるいはもっと足を延ばして朝鍋鷲ガ山へのコースが人気があるそうだ
雲が流れ出したので暫く待っていたら薄っすら大山、烏ヶ山が現れたけど
またまた北方面に雪雲が近づいている、今日の展望はこれが精いっぱいかな?
12時25分 粉雪舞う中、下山開始
真下に広がる一際白いところが、朝走って来た田浪集落
その向こう、薄っすら見える吉備高原の山並みを眺めながら下って行く
どんな事があっても、尻セードは忘れずに(笑) 見事な天然杉のツインタワー
しぶき氷が垂れ下がる凍てつく川も、朝と比べると少し解け出して来ているようだ
豊富な水が流れる毛無山山域は、「水源の森百選」に選ばれている
修験の山の名残なのか、今もお山開きに護摩法要が行われているそうだけど
その昔、行者たちはこの清い流れで水垢離をとったのだろうか?
1時25分 毛無山山の家、雪は沢山あるけど川のせせらぎはもう春の音
ミネラルをたっぷり含んだ雪解け水は、ここから140kmほど流れて児島湾に注ぎ豊かな海を創る
つららの垂れ下がる茅葺屋根のむこうに毛無山
それにしても毛無山って変な名前、全国に沢山あるけど一体どういう由来なんだろう
頂上が森林限界を抜けて木の無い山 木無山→毛無山? 勝手に想像してみる
1時30分、駐車場に帰って来た 他に停まっているのは津田さんの車だけ
人気の山にしては今日は静かな山行だった
生憎の天気で、頂上からの展望は物足りなかったが
深い森の中で、重く、真っ白い衣装を纏って静かに春を待つ雪ブナの神秘的な姿、感動的でした
今度はカタクリの花が咲き、ブナの森が萌え出す時期に来てみたい
緑の稜線の背後に白い大山を従え、ピンクの可憐な花が咲く景色
想像するだけでワクワクするけど 、同時にピンク、白、緑はちょっと無理かな?
帰路、気になっていた車道側の滝見物
豪快に流れ落ちる不動滝 (男滝 落差40m)、遊歩道を歩いて行くと下流に女滝がある
城主の姫が恋しい人を慕って入水し竜になったという哀しい伝説が残る
滝も見たし、さぁ次は長いトンネルを抜けて一路蒜山へ、今日も長い1日です