2010年03月14日  ”西三子山”

四国の春山はここからスタート! 石灰岩の岩山で咲き誇る黄色い天使

トラックログはイメージ図です
「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び
数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。」(承認番号 平18総使、第582号)

徳島上那賀線与沢〜高野登山口〜フクジュソウ群生地〜西三子山頂上〜分岐(90番鉄塔往復)
〜後山峠〜林道登山口〜林道〜徳島上那賀線〜駐車地点         (5時間55分)
 

(注、上記歩行ルートはGPSログではありません こんな感じかなと手書きしたものです

特に高野登山口からフクジュソウ群生地までは、実際と大きく異なっているかも知れません)

 

3月も半ばになると日差しも柔らかくなり、野は春色に染まってくるが

山に春の到来を告げる花といえば、もちろん(?)フクジュソウ

今日は西三子山(1349.0m)を歩き、勝浦町の「お雛様の奥座敷・坂本」を尋ね、山と里の春に浸って来よう

数日前に降った帳尻合わせのなごり雪(というより春のどか雪)、この暖かさで融け出しているかもしれないが

雪の中、芽吹き前の林床一面に敷き詰められた黄色い絨毯を想像するだけでワクワク、ソワソワ

国道193号線の峠越えの積雪が気になっていたが難なくクリア、左写真は雲早トンネル北面

雪解け水を一気に滝つぼに落としこむ「日本の滝100選」大釜の滝

素掘りのトンネルを抜け、巨岩の転がる「釜ケ谷渓谷」沿いをルンルン気分で走っていたが

県道16号(徳島上那賀線)入り口で 「与沢で崩落通行止め」の看板  えーっ!そんなの聞いてないよ

迂回路があるらしいがかなり遠そうだ まぁ とりあえず通行止めの地点まで行ってみようか

案外通れる場合もあるし、と思ったが・・・・絶対無理でした

ゲートの前で登山者の車3台が止まっていて皆さんあれこれ思案中

内1台は引き返し、迂回路を走って八重地トンネル登山口へ(後から、ゆきねえさんだと判りました)

ここから2kmほど先の高野集落から登山ルートがあるらしく 皆さんとご一緒させていただくことになり

高知の方8、愛媛2、あとから到着された香川3 計13人の多国籍登山隊が急遽結成された

先ずは車道歩き、右の泉谷を覗き込めば深さ200m程の垂直の断崖 怖っ! 

よくもこんな所に道路を造ったものだ 30分ほどで前方に高野の集落が見えてきた 

    9時55分 高野登山口、西三子山2時間の案内板が貼られている

民家の直ぐ上で左へ(真っ直ぐ行ってもいけるらしい) 植林の中 緩勾配の道を進んで行く

道はかなり荒れ倒木も多いが、まずまずはっきりしている

勾配が少ないため、歩いた割には高度が上がらない

潜ったり跨いだり、まるで障害物競走のような道、そういえば障害物競走は苦手だったなぁ

上の方からチェーンソウの音が聞こえてくる ここもお願いしま〜す

急登や道が薄い所、作業道分岐らしきがあったが、登山口から1時間10分程でなるい尾根に出る

ここからは、頂上に向かって尾根を一直線に登って行く 

石灰岩が露出した急斜面を上へ上へとひたすらがんばる(所々赤テ−プが有りました)

杉林から明るい自然林に変わり、足元にアンモナイト?(蝸牛じゃ無いよねぇ)

やっぱり太古の昔、ここは海の底だったんだ・・・勝手に想像してみる

kyoさんが調べられた事を要約すると

およそ2億5000万年前のペルム紀末、三葉虫などの生物が大量絶滅し

そのカルシウムが古テチス海海底に積もり、火山活動により玄武岩(石灰岩)が出来た

その石灰岩の地層は、大陸移動によりアルプス、ヒマラヤ、中国、日本の山脈として残っている

それらと西三子山の石灰岩は同時代のものだそうだ

西三子山の石灰岩が、アイガーやエベレストを形成する石灰岩と兄弟だって?!

ロマンですね〜

石灰岩の大岩に囲まれた陽だまりで、沢山のヤマシャクヤクが出番を待っている

 花期はもう少し先だろうが、この裏街道ではたして何人の人がこの花姿を愛でるのか?

もうそろそろお目当てのフクジュソウ群生地かなと期待したが

再び杉林の急坂が目の前にド〜ンと、この坂が一番しんどかった

 まだかまだかとがんばり自然林に変わったころ、向こうから賑やかな声が聞こえて来た ホッ!

12時 歩き始めて2時間40分 やっと会えました春の使者

昨年と何ら変わらないフクジュソウなんだけど、でもなぜか新鮮な感動

明るい花壇の周りには30人程の人が寛いでいる 

暖かい日差しを浴びて、満開〜

雪の中から顔を覗かせている黄色い花を期待していたが、雪のかけらも無し

気温もぐんぐん上がり、春を通り越してまるで初夏のよう

花言葉は、永遠の幸せ・幸福を招く・思い出

周りに福と寿が溢れる幸せな空間 見ているだけで、幸せ気分〜♪

石灰岩の側は居心地が良いみたい

高知の方々は頂上をピストンして、ここから真っ直ぐ高野登山口へ下りるそうだ

その道も興味が湧くが、今日は90番鉄塔付近にもあるもう一つの群生地にも寄ってみたい

フクジュソウも十分楽しんだのでグループの皆さんとお別れして

12時35分 頂上に向け先に出発

今日は先導して頂き、また美味しいみかんも頂きありがとうございました

ここからは昨年も歩いた道、石灰岩だらけのやせ尾根を緩やかに登って行く

こんな所で根を張る木々に、ただただ感心していると、やがて右前方に頂上が見えてきた

北面の日陰に僅かに雪が残る

12時50分 西三子山(1349.0m)頂上 石灰岩が照り返す明るい山頂広場をブナなどの自然林が取り囲む

謂れのありそうな名前のへんど谷、菊千代谷を隔てた向こうの三角ピークは雲早山(1495.9m) 

10分程で頂上を後にして、高丸山(1438.6m)を正面に見ながら下りて行く

90番鉄塔分岐手前で一緒になったお二人と、もう一つのフクジュソウ群生地に行ってみる

崩壊した谷に架けられた橋を渡り 1時30分 分岐から10分程で90番鉄塔

何となくそうかな〜と思い 「ゆきねえさんですか?」

どうして?・・・・・ お母さんの赤いウエアと帽子で・・・ びっくりしたでしょう?

今日は雪は無かったけど、ゆきねえさんと少しの時間でしたが一緒に楽しく歩けました

花との出会い、人との出逢いが嬉しくて、だから山は止められません

ところでフクジュソウは?・・・・・ それが無いんです

少なくなってきているとは聞いていたんですが、全然見当たりません

 どうしたのでしょうか? 分岐まで引き返す足の重たかったこと

1時55分 後山峠 お二人と別れ、峠から右に下りて行く

体中からパワーが溢れている爽やかゆきねさん、お酒が強そうな土佐のはちきんお母さん 

次は何処の山でお会いできるのか、楽しみです     

2時10分 林道登山口に下り立つ

さあ、此処から長〜い車道歩き、法面上部のミツマタが春を謳歌している

  15分程林道を下って行くと、県道16号(徳島上那賀線)に当たる

高野集落手前で迂回路の案内板

集落を過ぎ、道端に花でも無いかと歩いていたら、崩壊箇所の向こうに車が見え出した

3時15分 やっと駐車地点に帰って来た 

未だ4台の車が止まっている、ご一緒した高知の方たちは下山されていないようだ 

雪解けが始まりスプリングエフェメラルが林床に舞い下りると、年に一度、俄かに注目される西三子山

いやいや石灰岩の山は花の宝庫、きっとこれから色んな花々が咲き、「知る人ぞ知る」花の名山なのかも知れない

西三子山のフクジュソウが咲けば四国の春山のスタート また忙しい季節が巡って来た

 

さあ、急いで帰り支度して、「お雛様の奥座敷・坂本」まで一目散

タイヤを軋ませながら、上がったり下がったりくねくねした迂回路をぶっ飛ばしたおかげでようよう間に合った

家々の前に飾られた可愛いお雛様                あら、こんな所で高見の見物ですか?

ちょっと座敷にお邪魔して、百人一首に興じる官女たちの仲間入り

投扇興、扇がうまく蝶に当たるかな?

源氏物語「蛍」の場面

六条院(光源氏)の放った蛍が、御簾の向こうに隔てられていた玉鬘の君を照らし

玉鬘の君の美しさに驚く兵部卿宮

なく声も 聞こえぬ虫の 思いだに 人の消つにも 消ゆるものかわ

声はせで 身をのみ焦がす 蛍こそ いふよりまさる 思いなるらめ

今年の夏は、蛍の乱舞を見たいな〜

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