2010年03月21日  ”高 縄 山”

黄砂に吹かれて、高縄半島の「大展望とブナの山」を歩く

トラックログはイメージ図です
「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び
数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。」(承認番号 平18総使、第582号)

 
   院内登山口〜高縄山〜高縄寺〜猿川登山口〜県道歩き〜院内登山口  (6時間05分)

 

頂上近くまで(あるいは頂上まで)車で上がれる名山は沢山ある

高縄半島に聳える展望と歴史の山・高縄山(986.0m)もその一つ

車では何度か上がったが、まだ一度も麓から歩いたことが無い

その山の魅力は勿論頂上付近にある事が多いけれど、麓から歩いた達成感が備わり初めて其れが体感出来る

今日は、古より多くの高縄寺参拝者が歩いた院内コースから頂上を目指し

高縄寺へお参りして猿川コースを下り、ぐるっと周回してこよう

玉川湖畔から国道と別れて県道に入り、登山口の院内を目指すが、お供馬(おともうま)の看板が目に入る

あれっ? 菊間まで下りてしまった、最近グランパのナビはちょっと調子が悪いみたい

黄砂に惑わされ、交差点を左折するところをうっかり直進してしまったようだ

海岸線を北条まで遠廻りしやっと高田地区までやって来た、30分ほどのロス

県道17号線、立岩川橋の袂から院内へ向かう 春の小川沿いをどんどん奥へ入って行く

前方に、これから目指す高縄山が見える筈だが凄い黄砂で、視界は2kmほど

大陸から招かれざる春の使者、林床の可愛い春の使者なら大歓迎だけど・・・これだけはねぇ

院内登山口駐車場に車を停め、準備をして少し引き返す

石垣に打ち付けられた「高縄山 Yサークル」と書かれた指標に従い、神社に向かって坂道を上って行く

今日は春祭りなんだろうか?東頭神社では奉納された幟がはためいている

8時40分 神社前を左へ 池の土手下の登山口には沢山の杖が置かれている

登りはじめてすぐ、丁石地蔵の側に「院内コース 5km、2時間」の指標が立つ

(2時間はちょっときつい、2時間20分かかりました)

落ち葉が沢山積もった掘割の広い道を、丁石に導かれ緩やかに上がって行く

登山道はよく整備され、要所には標識が置かれている

丁石の側にはヤマザクラの古木が多い、高縄寺の参拝者は桜の下で一休みしたのだろう

道は尾根通し、勾配はほぼ一定、杉や檜の植林の中、展望はほとんど無い

まあ、今日のこの黄砂では、展望は関係ないか

山頂西側の肩に出る頃、一瞬、樹間に頂上が見えた 目障りな電波塔も山頂特定にはいい目印になる

黄砂も徐々に薄らいで来ているようだ ここから登山道は自然林の中、北側を半周して東側の肩に出る

山頂北側のトラバース道沿いは春の花が準備中、斜面にイチリンソウやヤマシャクヤクの葉っぱが広がる

最初は、この辺りから頂上まで直登できるかなとも思っていたけど、これじゃ足の踏み場が無いわ

ロープからはみ出て来た葉っぱを踏まないように身を乗り出し、ロープ越しに花芽の観察

何時までもこの場所で、思う存分花を咲かせてね〜♪

トラバース道には僅かに雪も残り、昨夜の強風で折れたのか大枝が散乱している

10時50分 緩い階段状の道を上ると車道にでる、

ここは院内コース、猿川コース(左)、高縄寺(直進)、山頂(右)の分岐点

分岐から頂上へ向かう車道を少し歩いて、再び登山道(右)へ入って行く

標高1000m足らずの自然林の中に、沢山の大きいブナが悠然と立つ

明るいブナの道を10分弱歩くと山頂手前の車道に出て、無線中継施設の立つ山頂へ

11時 高縄山山頂(986、0m)、祠の後ろに一等三角点 

「伊予路の歴史と伝説」に拠れば、河野氏一族の居城・高縄城が此処高縄山にあったそうだ

展望台(標高1000mかな?)から、少し霞んでいるが360度の展望が広がる

鉄塔が建つ石ヶ峠方面、一番高い所が大月山(953,1m)

その右に松山市街が見えるのだろうけど、黄砂がまだ残りちょっと無理みたい

下山は車道を歩く、大杉の枝が沢山落ちている(振り返って撮っています)

山頂から15分程下ってきた所に 伊予水軍河野氏の菩提寺・高縄寺

がらんとした境内の日陰に先日降った雪が残っている

仁王門の右に「子持杉」の伐採痕、樹齢800年ともいわれた老杉の樹幹のくぼみに若杉が育ち

あたかも親が子どもを抱いている姿から「子持杉」と呼ばれ、市天然記念物にも指定されていたが

昭和45年、台風のため倒れてしまったので、伐採痕に杉の苗を植え今に至っている

本堂前で、枝垂桜の古木が春を待つ、少し枝先が色付いて来ているがまだまだ固い蕾

去年4月24日に訪れた時は既に5分葉桜だったけど、今年は満開になるのは何時頃だろう?

ご本尊・十一面千手観音菩薩様にお参りして、高縄茶屋前で昼食(茶屋はお休みでした)

アワコバイモが咲き始めていた            推定樹齢500年の千手杉

この老杉は、主幹から数十本の枝が出ている姿が千手観音に似ているので、千手杉と名付けられたとか

ちなみに、ご本尊・十一面千手観音菩薩像は桧材の一本造りで平安後期の作と推定されている

12時、猿川コースを下りはじめる

一定勾配の幅の広い林道(作業道)が、登山口の三島神社まで続いている

大きく手を広げた千手ブナ(見てそう思っただけで、一般的な呼称ではありません)

それにしても千手観音、千手杉、千手ブナと高縄山には千手がいっぱい!

道に覆いかぶさるほどの大ブナを見ながらルンルン気分で下っていると

あらら、倒木がとうせんぼ、潜ろうかと思ったけど枝が邪魔して抜けられません

ましてや短足グランマー、跨ぐのは絶対無理! 朽ちた幹を踏み抜きそうになりながらどうにか乗り越えました

明るい林道を下っていると、小学生くらいの男の子が数人登って来て「頂上まで、後どのくらいですか?」と

「20分くらいかな」って答えると、すれ違うまでしんどそうに歩いていたのに、ワッーと言って一気に走り出した

一番乗りを競争しているんだろうか、それにしても水も荷物も持っていないけどと

心配しながら下って行くと、保護者らしき大人と数人の子どもに出会った

やっぱり「後、どのくらいかかりますか?」って、単調な登りだから結構しんどいだろうなぁ

変化も無い道だけど、左手の杉林の中に一際大きい杉が目を引く、七本杉だろうか?

振り返ればさきほど踏んだピーク、やっぱり電波塔は不釣合い

すっかり黄砂も無くなり、恵良山、腰折山の向こうに光る斎灘(いつきなだ)が綺麗に見え出した

院内コースよりこちらの方がすこし展望が良い

三島神社は未だかなと思いながら、掘割になっている植林帯の道を下っていると

大木に護られる様に十九丁(?)と刻まれた丁石地蔵が立つ、それにしても、どっしりとして大きい木だなぁ   

1時10分 猿川コースの登山口・三島神社は濃いピンク色の桜が満開〜

菜の花が揺れる里山の風景を楽しみながら、コーヒータイム

1時20分 さあ、此処から院内登山口まで、長〜い車道歩き

県道から逸れ菜の花が咲き乱れる立岩川沿いを院内に向かう

すっきり晴れて朝とは大違い、春の小川の向こうから高縄山がエールを送ってくれている

2時45分 院内登山口の駐車場に帰って来た、やれやれ

イエローアウトの中、マスクに帽子にサングラスと重装備で歩き出した高縄山周回

どうなる事かと心配した黄砂も晴れ、爽やかな青空で締め括れました

これも千手観音菩薩様のお陰かな?

今度は枝垂桜が満開の頃に来たい、でも車道歩きは勘弁してほしいな

 

折角だから、河野氏ゆかりの善応寺と高縄神社を訪ねて帰ろう

先ずは、河野氏の本拠地、風早郡河野郷土居に建つ河野一族の氏寺・善応寺へ

背後に見える山は、4年前に登った女甲山(189,1m)

続いて、北条市宮内の県社・高縄神社へ

河野氏の産土神として崇敬され、大山積神、高おかみ神、鳴雷神が祀られているそうだ

沢山の奉納額がかかる絵馬堂に、どっかり腰を下ろしている武将は鎌倉中期に活躍した河野通有(みちあり)

高縄神社を後にし、伊予水軍の盛衰に想いを馳せながら振り返ると

古来、神霊天降る峰・天神ヶ森として仰がれた高縄山が、風格ある姿で聳えていた

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