2010年04月18日  ”工 石 山”

全山ピンクと思いきやアララ未だ蕾、で妙体岩に立っちゃった

GPSによるトラックログ(カシミールソフト使用) 
「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び
数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。」(承認番号 平18総使、第582号

 

青少年の家駐車場〜登山口〜杖塚〜桧屏風岩〜賽ノ河原〜工石山(三角点)〜北の頂

  〜八起・白鷲岩〜杖塚〜登山口〜青少年の家駐車場            (3時間15分)

 

春はアケボノ、今年も山々がほんのり桃色に染まる「山酔う季節」が巡って来た

四国にアケボノツツジが咲く山は沢山あるけれど、一番早く全山染まる山といえば

そう 工石山です(2年前は春の便りは篠山からと書きました アバウトな性格です)

今日は「県民の森」として親しまれている工石山で、今春初のアケボノツツジを堪能して来よう

それからもう一つ、鏡川の源流であの小さな生き物に会えるかな?

登山口に立つ案内図

工石山一帯は工石山・陣ケ森県立自然公園で、全国初の自然休養林の指定を受けている

工石山(くいしやま)は高知県に二つある 一つは此処鏡川源流の工石山(1176.4m)

もう一つは愛媛県境近く、立川(たじかわ)の工石山(奥工石山 1515.9m)

高知道大豊ICで下り、国道439号、県道16号赤良木トンネルを抜けた所が登山口

自宅から1時間、意外と近い 

県道16号(高知本山線)はかっての北山越え、当時の赤良木峠は難所だったのだろう

8時30分 青少年の家駐車場を出発  まだ時間が早いのか車は3台

トンネル手前を左折し「ふるさと林道工石線」に入り、駐車場から5分程で登山口

ふるさと林道から分かれ右折、砂利道を上って行く (この奥にも車が停められていた) 

正面は赤良木峠、峠の右に三辻山(1108.1m) ここも展望が好い山らしい

工石山は左へ、真っ直ぐ行けば三辻山

ここからは良く手入れされた植林の中、緩やかな勾配の道を歩いて行く

8時50分 杖塚 此処で登山道は二手に分かれる

「自然休養林第一号 工石山県民の森」と刻まれた大きな石碑の横に、埋設されているタイムカプセル

 どんなメッセージが入っているのかな? 楽しみです

開封は西暦2086年・・・・76年後か、ちょっと無理かも

この山は登山道も良く整備され、分岐点には大きな道標が有り安心して歩けます 

距離はちょっと長いがアケボノツツジが多い南回りコースを上って、北回りコースを下りて来よう

賽ノ河原までは、ほぼ水平道 1.8km歩いて標高は50m位しか上がらない

道沿いに沢山の蕾をつけた何本ものアケボノツツジ、そろそろピンク色に染まっているかなと期待していたが・・・

残念! 今週は季節はずれの雪が降ったり、寒い日が続いたから咲き出すのを躊躇したみたい

天気は好いけれど、朝もまだ早いからか気温はそんなに上がっていない

春の日差しを待ちかねたタチツボスミレやミツバツチグリが、朝日に向かって背伸びしているようだ

9時20分 桧屏風岩から妙体岩を眺める

 太平洋を見下ろす断崖絶壁の大岩・妙体岩は、山内一豊公が土佐入国の際舟入コースの目標となったそうだ

まさかこの後 あの大岩の天辺に立つことになろうとは・・・・

桧屏風岩から緩やかに下って行くとモミやツガの木が目に止まる

工石山は、暖帯性植生と温帯性植生が交錯する学術上きわめて貴重な存在だそうだ

9時35分 せせらぎが大きくなると、工石山のオアシス賽ノ河原に着く 

此処は清流鏡川の源流域、自然林の中マイナスイオンたっぷり、身も心も癒される空間だ

さあ、やまももさんが撮られていたオオダイガハラサンショウウオ探し

「サンショウウオさ〜ん 出ておいで」と棲んでいそうな所の石を剥ぐって見たけれど

高知県準絶滅危惧種(NT)がそう簡単に見つかる筈はありません

未だ水は冷たいので、岩陰に潜んでいるのだろう もう少し水が温んだ頃又来るから

その時は姿を見せてね

河岸で、流されまいと必死に岩に縋り付く木

20分程水遊びの後、シャクナゲ道を上がって行く 頂上まではつづら折れの道をひと頑張り(30分ほど)

道沿いに根を晒したアケボノツツジの古木が2本、見上げれば沢山の花芽をつけている 

もっと条件の良い所もあるだろうに、岩が好きなヤマグルマだろうか?    シャクナゲにあまり花芽が付いていないなぁ

この辺りの林床にバイカオウレンがあるそうだけど、もう終わっているのかな?

「根上がり松」というのを聞いた事がある、風や水で土が浸蝕され根元がむき出しになっている松だ

この山には根上がり松は見られないが、「根上がり桧、根上がり樅」などがある

風や水も影響があるだろうが この山は固い珪岩で出来た岩山、きっと表面の土層が薄く

深く根を張れず上へ上へと背伸びするような状態で大きくなっていったのだろう

道中で見た蜘蛛の巣のような根をつけたままの風倒木が土層の薄さを物語っている

写真左、「助け合いの木(友情の木)」 or 「夫婦円満の木」 共に朽ち果てるまで、痛々しいけど微笑ましい

写真右 「胎内潜りの桧」 根が地中から出て来て幹に絡まり幹を支えているみたい

(2つとも勝手に命名、一般的な呼び名ではありません)

10時25分 快適なブナやシャクナゲの林を抜け、工石山頂上着(三角点、1176.4m) 

回りを見渡せばピンク色・・・ではありません、ガックリ

櫓に組まれた展望台から南には、北山スカイライン、高知平野やその向こうにうっすらと太平洋が見える

年配のご夫婦が、工石山直売所でうどんを食べて羊羹を買って帰るのが楽しみだと話されていたが

一汗かいて昼食は登山口でと、そんな気軽さがこの山にはある

そういう私達もザックの中には果物だけ、後から行きま〜す 「羊羹買い占めないで下さいね〜」

小休止のあと少し下ると桜岩園地、残念ながらヤマザクラは終わっていた

三角点から北の頂までは5分程の距離(北のほうが三角点より1mほど高いらしい)

沢山の蕾の遥かむこうに、石鎚山系の山々が霞んでいる 左の一際高い山が山系の盟主・石鎚山

アケボノツツジが咲いていたら絵になるんだけどなぁ

森の守護神の様な大桧に抱かれ、居心地の良いタカノツメ

綺麗に刈り払われて歩き易いスズタケの道をルンルン気分で下っていく

まるでオニヒトデみたいな風倒根、昭和38年の台風9号により推定樹齢200年の天然桧が倒れたそうだ 

登山道からちょっとそれて、大岩の展望所へ

11時 八起岩(やおきいわ)・白鷲岩(しろわしいわ)から四国山地の大展望を楽しむ

この辺りのアケボノツツジ開花は間もなく、カウントダウン態勢に入っている

左右の写真 立っているのが八起岩 右写真は白鷲岩から撮っています

(大きな岩が2つ有り、左が八起岩、右が白鷲岩だと思いますが間違っているかも)

ところで白鷲岩はなんとなく解るけど、八起岩の由来は? 見当がつきません

いっその事、七転岩・八起岩の方が面白いような

今日唯一間近で見られたアケボノツツジの花姿、やっぱり愛らしい〜♪

飫肥杉(昭和34年植栽)の林を過ぎると、けったいな杉が並んでいる

風で倒れたにしては変だし・・・ひょっとして台杉かな? 以前、TVで見た事があるけれど

一本の木から何本もの材を取る台杉仕立ての植林法が、京都の北山で行われていた

まさかねぇ でも人工のものなのか、自然のものなのか、実に奇妙な光景だ

「全国県の木遊歩道」と名付けられた道沿いのプレートを楽しみながら下って行く

あれ?こんな所にイタドリ(たしっぽ)

讃岐大麻山で採って帰ったイタドリ、春の香りがして意外と美味しかったなぁ

蕨もあんまり好きじゃなかったけど、還暦過ぎてやっと山菜の味がわかってきたのかも

11時30分 工石山を一周して杖塚に帰って来た

お目当てのアケボノツツジには1週間ほど早く、オオダイガハラサンショウウオも姿を見せてくれなかったが

厳しい自然環境の中で逞しく生きている木々に出会い、感動いっぱいでした

ここからは朝も歩いた道 未だ花の少ないこの時期、道端に貴重なシロバナネコノメソウ

11時40分 登山口 ふるさと林道沿いや青少年の家駐車場には沢山の車が停まっている

やっぱり此処は人気のある「高知県民の山」なんだ  

駐車場に帰る前に直売所に寄り道、頂上で会ったご夫婦と一緒にうどんを頂く

高知でうどん? それが美味しいんです 一度食べてみて下さい

勿論、ご夫婦お奨めの羊羹も美味しかったですよ

 

工石山のジャンダルム・妙体岩(1012m)に立っちゃった

先程、桧屏風岩から眺めた妙体岩、上るのは無理だろうがせめて基部から見上げて来ようと

ふるさと林道を西へ10分ほど走り路肩に駐車、すぐ手前で北の頂で会った3人の方とすれ違う

今から城(じょう)登山口へ下りられるそうだ 城からのコースも気になるなぁ

見上げれば、木々の中から抜きん出ている妙体岩が大迫力で聳え立つ

駐車地点から作業道が東と西へ2本ある 東の作業道を進めば直ぐに鳥居の立つ参道に出られたが

桜の花につられてなんとなく西の坂道を上がり、作業小屋(かなり荒れている)を右に見ながら坂を折り返す

作業道終点から駆け上がった所が妙体岩の真下、基部には権現様が祀られている

見上げれば70mはあろうかという巨岩のタワーが、オーバーハングして覆さって来る

小屋の前でなにやら人の声がする 「あれー、ガクちゃん こんなところで何しよん?」

朝から妙体岩と格闘していて、今下りて来たところだそうだ

(GakuGakuさんが撮られた登高中の写真、断って掲載させて頂きました)

社長氏がハーケンをクラックに打ち込みながらじわりじわりとずり上がり

それを回収しながらGakuGakuさんが続く、手がかりも無い垂直の壁に、二人を繋ぐザイルが下がる

それにしてもいろんな道具が沢山あって重そう、後片付けも大変ですね

正面からだと何時間もかかるけど、裏から登れば直ぐだから行ってみようと

「まさか、天辺に登れるの?」と、半信半疑で二人に着いて行く 

妙体岩の横の道は工石山頂上への直登ルート、それにしても急な道だ

白っぽくてなんだか脆そうな岩に見えるけどと聞いたら、

珪岩と言って珪質の堆積岩が変成作用を受け、再結晶して出来たとても硬い岩なのだそうだ

水を求めて桧の根がその硬い岩を這う、逞しい生命力に眼を見張る

社長氏はルートを指し示してくれながら、すいすい上がって行く

見上げると登れそうに無いような箇所でも、何とか手がかり足がかりがあるから不思議

それに、落ちても後ろにGakuGakuさんがいると思うと安心でした

基部から15分程で バンザ〜イ、妙体岩天辺です!

権現様の頭の上に立って申し訳ないですが、世の中違って見えますね〜

もっと先に行って立ってみろって、「無理、無理 恐くて足がガクガクよ」

「落ちたら引き上げて下さいね」と、シュリンゲで確保して貰い

恐々覗き込むと直ぐ下に小さなテラス、切れ落ちた断崖の真下にふるさと林道が見える

ドッヒャー、高度感あるわ〜

東を見れば笹ヶ峰(1131.4m)の南側に百丈岩バットレス

この2月、社長氏とGakuGakuさんが登攀したところだ

狭い天辺を見回すと、「ようこそ」と小さなアケボノツツジが歓迎してくれていた

出ました! GakuGakuさんお得意のY字バランス でも左手で枝を掴んでいる様なので減点1かな

登攀なった暁には、先程恐々見下ろしたテラスでY字バランスを披露するとか、エッー!

お二人のお陰で無事に妙体岩基部まで戻り、スリル満点の経験に興奮冷め遣らぬまま暫し会話が弾む

後片付けをされている社長氏、GakuGakuさんに、お礼を言って参道の石段を下って行く

また会いましょうとは言ったものの、ガクちゃん岩か藪だから・・・会えるのかなぁ

多少荒れてはいるが、この立派な石段は山内公の献上といわれている

鳥居の手前を右に行けば賽ノ河原へ行けるらしい  また何時か、この道も歩いてみたい 

ふるさと林道を東川方向に走り出すと、山際に満開のアケボノツツジ〜♪

緑の中に鮮やかなピンク色 やっぱり綺麗!

振り返れば天を突く妙体岩、あんな所に立ったんだ!

「今度は正面から登ってみるかい?」 そんな声が聞こえて来た様な気がした

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