2010年04月25日  ”那岐山(なぎせん)”

中国山地大展望の山に咲く、ピンクの可憐な花と出会う予定が・・・アララ

GPSによるトラックログ(カシミールソフト使用) 
「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び
数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。」(承認番号 平18総使、第582号

 
第3駐車場〜B・C分岐〜Cコース〜三角点〜最高点〜Bコース〜B・C分岐〜第3駐車場
                                               (3時間20分)

イワウチワが見てみたい 那岐山にあるらしい

どの辺りに? ネットの情報に拠れば避難小屋辺りとのこと (もう少し詳しく調べて行けばよかった)

今日は、氷ノ山後山那岐山国定公園の代表的な山・那岐山(なぎせん、なぎのせんとも呼ぶそうだ)

からの大展望を楽しみ、ピンクのフリルのイワウチワに会ってこよう

Aコース登山口にある案内板 今日はCコースを上り、Bコースを下ります

(B・Cコースの登山口にも同様の案内板があります)

国道53号線、奈義町で「国定公園那岐山・菩提寺」の案内板に従い、

正面に那岐連峰を見ながら、快適な車道をルンルン気分で北へ走る

この辺りは日本三大局地風の一つ、那岐山から吹き下ろす北よりの風・広戸風(ひろとかぜ)を防ぐため

各農家は桧やアカマツ等の屋敷林(コセ)を持っている

因みにあと二つは、清川だし(山形県)とやまじ風(愛媛県四国中央市)

あれっ?どこかで聞いたような・・・

そうです わが町では春先 低気圧が日本海に入った時、おといこさん(豊受山1247.4m)下ろしの

列車をも止める猛烈な南風が吹きます 那岐山(1255m)は豊受山と標高も同じ位だし、

  この地域、横仙(よこぜん)地方が何か身近に感じられます

 今日は快晴、かなり冷え込み畑にはうっすら霜が下りている

「那岐山麓山の駅」を過ぎ、分岐(右写真、左へ上がれば登山口)を直進し先ずは菩提寺へ

 

7世紀末、役の行者が修験の行場として開いたこの寺は、平安末期、法然上人初学修行の地だそうだ

境内の樹齢約1000年の大イチョウは 高さ約42m、目通 り周囲約12m、推定樹齢900年で国の天然記念物

法然上人が地中にさした杖が芽吹き、成長したものと言い伝えられている

大イチョウの根元にはイチリンソウ     境内には満開のしだれ桜とヤマザクラの古木 今日は幸先が良い

他にも、町指定天然記念物 広葉杉とヤマナシの巨木がある ヤマナシの白い花が開きかけていた

分岐まで引き返し、登山口へ向け車道を上がり一番奥の第3駐車場へ

もっと賑わっているのかと思ったのに、松本ナンバーの車が一台だけ、まだ時間が早いからかな

7時15分 駐車場を出発 最高点まで標高差約700m、2時間位だろう   

駐車場すぐ右に蛇淵の滝入り口、滝は下山した後で覗いてみよう

正面に那岐山を見ながら林道歩き 阿波の寒峰に雰囲気が似ている

林道から分かれ登山道に入る、歩き始めて5分ちょっとでB・C分岐  B(左)を上り、C(右)を下りてきます

周りは明るい伐採地、広くて緩やかな勾配の登山道、とても歩きやすい

天気は好いけれど風が冷たい、霜柱があちらこちらに出来ている 振り返れば遠くに雲海が見える  

伐採地を抜け林道を横切った辺りから桧林に入る この桧林は「檜皮の森林(ひわだのもり)」と呼ばれている

歴史的建造物の屋根の維持・補修に「檜皮」を供給する森林だ

やや急な道を少し頑張り、林の中のベンチで小休止 回りには森に関する沢山の説明板が立てられている

側に咲いたばかりのショウジョウバカマのピンク色がかわいい

ホースで導水された水場(渇水期に流れているかは?)を過ぎ

自然林の中の急登を一頑張りで 8時05分 大神岩(標高1000m)

大神岩に立ち、日本原高原の丘陵地帯に整然と並ぶ棚田を見下ろしながら小休止

広戸風はこの丘陵地帯を滑り台の様に加速度をつけて吹き降ろすんだろうな

それにしてもこの辺りはため池が多い、讃岐と見紛う風景だ

大神岩からははっきりした尾根通しの緩やかな勾配の道、芽吹き間近の明るい尾根道を登って行く

八合目の標識を過ぎれば三角点は近い

8時45分 青空に手が届きそうになり、笹原の中最後の木段を上がると、三角点(1240、3m) 

すぐ左には那岐の家(展望所)がある

お目当てのイワウチワは最高点手前(右写真)に見えるあの避難小屋辺りにあるのだろう 

此処まで来ればもうピンクの稜線左ウチワでルンルンよ

ワクワクしながら三角点より北東に見える那岐山最高点に向かう

昨日降ったのか、潅木の中に僅かに雪が残っている

滝山(1197m)方面を振り返る      8時55分 那岐山最高点(1250m)

遠くに大山が薄っすら、暫し大展望を楽しむ

大山、蒜山に代表されるように、中国山地にはセンまたはゼンと呼ぶ山が多い

地形を表す言葉も独特で、例えば、尾根をソネ、峠をタオ・タワ・ダワなど、岩場をタキ、平坦地をナル

山中の小さい平地をバラ、のっぺりした斜面をヒラ、高所をソラと言う

昔、野山を駈け巡り修行した山岳修験が由来なのだろうか?

ところでそんな呑気なこと言ってていいの? ほら、ウチワ、ウチワよ

そういえばぬかるんだ道に気を取られて、ウチワの事忘れていたなぁ でもあれば気がつく筈だけど

10分ほど休憩して下山開始、稜線の何処かにあるよと期待を込め、ぬかるんだ坂を下っていくが

小さな岩はあるがウチワは無い とうとう1201m手前のA・Bの分岐まで来てしまった

おかしいなぁ ネットの情報読み間違えたのかな? いやいやきっとBコースの途中に有るんだわ

分岐を右に取り、尚も希望を持って刈り払いされた広い道を下って行く

昔、作東一の高峰・後山と背比べをして、負けて泣いたので「なきのせん」といったのが「なぎのせん」

になったという地元の民話があるらしい

正面は山ばっかり、那岐山を泣かせた岡山県最高峰の後山(1345m)はどの辺りかな?

   道端で咲き始めたばかりのショウジョウバカマが遅い春を謳歌している   

伐採地の下りで、初めて登って来る方に出会う かすかな期待を込めて

「イワウチワ、有りませんでしたか?」 「イワウチワ?鳥取側の登山道には有りますが、此方には・・・」

アララ、ガックリ  「ウチワもハカマもピンク色 、同じじゃぁ」とはグランパの声

鹿の食害防止ネット(2箇所有り、写真は上の方)のゲートを潜り

瀬音を聞きながら植林の中の道を下り、谷に出あい、木橋を渡る

10時30分、B・C分岐 まだまだ多くの上りの人に会う

10時35分 満車の駐車場に帰って来た

車に乗る前に蛇淵の滝を見物して来よう、名前はちょっと怖いけど

遊歩道を少し歩けば、淀川本流に懸かる3段、30mの豪快な滝 大蛇の伝説を秘めているらしい

萌え出した渓谷を流れ落ちる白い水の帯、マイナスイオンたっぷり、身心共に癒される

今日はお目当てのイワウチワには逢えなかったけど、頂上からの大展望に充分満足でした

でもどうして、全然イワウチワが無かったのかなぁ? 

後から調べてみると、イワウチワは鳥取県側の西仙コースと東仙コースの、それぞれのコースの途中にあるらしい

地図を見れば西仙コースの中間辺りにも避難小屋がある

避難小屋といえば、頂上付近にある避難小屋と思い込んでしまったのがいけなかった

気を取り直して、さぁ次の目的地 森林公園へ急ごう

 

”岡山県立森林公園”

今度は会えるかな?イワウチワ それからもうひとつお目当てが

管理センター〜オオヤマザクラ〜すずのこ平〜奥ぶなの平〜熊押し滝〜管理センター(3時間20分)

那岐山登山口から車を飛ばして1時間とちょっと

かなり手前の駐車場から沢山停まっていたが、運よく第2駐車場に停めることが出来た

岡山県立森林公園は、面積334ha、標高840m〜1100mに有り 遊歩道は21kmに及ぶ広大な公園

今日は、イワウチワは勿論見たいけど、此処に来たら絶対会いたいと思っていたのがオオヤマザクラ

12時25分  先ずは公園入り口の管理センターで地図と観察ガイドを貰う

イワウチワは、公園最北端のすずのこ平(1080m)から稜線を西に行った所にあるらしい

今度は間違い無いだろうと、地図を慎重に確認する 

見ればすずのこ平まではかなりの距離がある 公園散歩モードだったが、気合を入れて出発

早速、水辺でミズバショウの歓迎を受ける ちょっと見頃は過ぎているかな

ミズバショウと生活環境がよく似ているリュウキンカ

もう少し奥にあるのかなと思っていたが、以外に早く出会えた「オオヤマザクラ(エゾヤマザクラ)」

目通り周囲3.8m、樹高13m、推定樹齢500年 それにしても大きい

思い描いていた濃いピンクの花姿はもう少し先のようだ 残念!

この桜木が満開すれば他の木々や草花を圧倒するだろう そんな威厳がこの木にはある

まさしくこの森の王様だ!

この辺りは製鉄炉(タタラ)があったそうだ、森林公園の中に製鉄炉だなんて? ミスマッチが面白い

カラマツ林の中でひときわノッポの「6本杉」、仲良くなんの相談をしているのだろう

地図を片手に明るいブナ林を歩く 道は広く、よく手入れされているので歩き易い

すらっとしたスタイルの良いブナの林の中で、何処か愛嬌のある千手ブナ

白神山地では、このブナのように根元近くで枝分かれしている大木を「天狗の座」と呼び保護しているそうだ

ネームプレートは無いが、左写真が貰った地図に載っている「根曲がり杉」だろうか

「奥ぶなの平」はブナだけの空間、此処がライトグリーンや黄金色に染まる風景を想像するだけでもワクワクする

ブナをも曲げる恐るべき雪のチカラ

黒土の急坂を一滑りして上り返し、しばらく平坦な尾根道を進むと北西面が開けて来る

管理センターから1時間ほどですずのこ平、遠くに一際高い大山の山塊が霞む

すずのこ平から西の稜線を下って行くと、やっと会えました、イワウチワ〜♪

ブナ林の中の明るい登山道の道端で咲き誇るピンク色の天使、可愛い〜 まだまだ沢山の蕾がある

何かに似ていると思ったら、コイワカガミの花が全開した様な姿だ

イワウチワって変わった名前だなと思っていたけど、岩地に生え、葉がうちわに似ているからだそうだ

会えて良かった、此処でも会えなかったら内輪もめするところだったわ 

イワウチワを充分堪能し もう少し西へと下る途中、歩いて来た稜線を振り返る

車も走れる程の広い道、ブナ林の林床は背の高いネマガリダケが群生している

個性的なイワナシ  昨日は季節外れの雪が降り霜焼けしているのかな 実は食べられるそうだ

根元曲がりの木々の姿がこの辺りの雪の深さを物語っている

厳しい自然環境を生き抜いて来た大杉

林床の遅い春 やっと咲き始めたショウジョウバカマ

ブナの大木が点在するぶなの平園地を過ぎると、ちょっと元気が無い様に見える苔むした大ブナ

何かのテーマを持って自然観察している雰囲気の家族連れ、とっても楽しそうだった

白いキクザキイチゲ      熊押し谷の清流が6段の小滝となって流れ落ちる「熊押し滝」

熊の名が付いているということは、やっぱりこの辺りには生息しているのかな?

滝を過ぎると広い中央園路に出てのんびり花散策 沢山の人が歩いている

サイゴクサバノオの仲間、小さなサンインシロカネソウ

 黄色に目立つ苞葉がネコの目のように見えるボタンネコノメソウ

僧侶が座禅を組んでいる姿に見立てて名付けられたザゼンソウ

正面にからまつ園地、芽吹きや紅葉の頃が綺麗だろうな

まゆみ園地の主、樹齢270年のマユミの大木、足元で紫のキクザキイチゲが微笑んでいる

3時45分 公園をほぼ半周して管理センターに帰って来た

センターとすずのこ平の標高差は240m

気楽に思っていたら、意外と小さなアップダウンがあり歩き応えのある公園だった

オオヤマザクラの巨木が気高く咲く姿は見られなかったけど

イワウチワのピンクの絨毯(ちょっと大袈裟です)、公園の彼方此方に春の兆し、充分楽しめました

長い冬を耐えたオオヤマザクラが花開けば、森林公園にも本当の春がやって来るのだろう

      管理センターの方が、途中の泉源渓谷にも小さい木だけどオオヤマザクラがあるよと教えてくれた

      帰路、水温む渓谷を彩るヤマザクラを見ながら下っていくと、一際鮮やかなピンク色の桜が目に留まる

ありました オオヤマザクラ〜♪ 青空に映えとても綺麗!

終わりよければ全てよし、今日は楽しい岡山県北の旅でした

歩いた道  ホーム