2010年09月18日 ”石鎚(成就)
山装う前、霊山の表参道で大鎖(オクサリ)と戯れる
石鎚ロープウェイ山頂成就駅(8:00)〜成就社(8:20)〜八丁(8:40)〜夜明峠(9:50)
二ノ鎖小屋(10:25)〜弥山(11:10)〜天狗岳(11:30)〜(11:40)南尖峰 (往復7時間)
いやぁ今年の夏は猛暑日が続き、暑いと言うのも飽きてくるほど暑かった
お彼岸も近づきやっと朝晩過ごしやすくなってきたので、予想最高気温が32度でもなぜかほっとする
夏の花はそろそろ終わり、紅葉にはちょっと早いこの時期 どこにしようか? 「迷った時は石鎚へ」
きょうは久し振りに表参道(成就コース)を歩いてみます
石鎚ロープウェイ山麓下谷駅 営業時間は季節、曜日により異なっている
7時40分、始発のゴンドラに多くの登山客や参拝者が乗り合い出発
標高差850m、7分30秒の空中散歩 楽チン、楽チン
8時 山頂成就駅(標高約1300m)を出発、駅のすぐ上の広場からススキの向こうに瓶ガ森(1896m)
歩き始めてすぐ、第六十四番札所前神寺の奥之院
広い登山道(参道)を何度か折り返すと道端に何時ものブナ、側にオオブナと書かれた新しい表示板が立つ
大ブナを過ぎると、右前方に石鎚神社中宮社(成就社)の建物が垣間見え出す
石鎚山中腹1450mに鎮座する石鎚神社
役行者が初めて登ったと伝えられる石鎚山が最初に文献に現れたのは、平安時代の「日本霊異記」
空海が著した「三教指帰」にも、石鎚山で修行したと書かれている
建ち並ぶ旅館の屋根越しに、霊山たるに相応しい風格を持った石鎚山の雄大な姿が現れる
成就社拝殿より眺める石鎚山北面、空気が澄み一段と近くに感じられる
成就社は役行者が石鎚山開山の時、請願成就したことにより名付けられたそうだ
土小屋遙拝殿と並び、霊峰石鎚山登拝の重要な拠点の一つで
お山開き大祭には此処で出御祭が行われ、御神像が山頂目指して駆け抜ける
ここ成就社と、頂上社、土小屋遥拝殿、山麓の本社の四社を合わせて石鎚神社といい
祭神は石鎚毘比神(ひこのかみ)で諸願成就の神として信仰されている
8時20分 成就社本殿に登山安全をお参りしてから神門(右写真)を潜り、緩やかに下って行く
霊峰石鎚山遥拝の鳥居 側に「頂上まで行かれない方はここでお参り下さい」と案内板がある
今日は石鎚登山クリーンアップキャンペーン「携帯トイレデー」実証実験の日らしい
八丁手前の広場でスタッフの方から携帯トイレとチラシを受け取る
神門から20分ほど下った所が八丁
表参道は「36王子社巡拝道」でもあり 此処には八丁坂王子社が祀られている
八丁から夜明峠手前までは急坂が続く 各所に設置されている木の階段を一歩一歩登って行く
頂上(弥山)までに4本の大鎖(オクサリ)がある 最初は前社森(ぜんじゃがもり)の試しの鎖(48m)
鎖の取り付き地点の手前に、年代を感じさせる古い説明板が笹に埋もれている
「前社森は石鎚神社の心臓
頂上が石鎚大神の頭なら北の付近は胸部、前社森は心臓に当たります
参拝者の皆様、ここを省略せず先ずこのお鎖を繰り度胸試しとも叉力試しをして
第一、第二、第三のお鎖を容易に登ってください」
「そう言われたら登らにぁなるまい」と、グランパは4本全てかける(登る)と張り切っているが
私は腱鞘炎がひどくなるといけないので巻き道(4本の鎖全てに巻き道があります)を行く・・・・すみません
試しの鎖は傾斜はほぼ一定、足場もしっかりしていて、二や三ノ鎖のように
鎖が宙吊りになるような所は無く登り易い ただ試しの鎖としては思ったより長い
鎖を登る基本は「三点確保」、足で体を持ち上げ両手は補助です
9時15分 鎖を登りきった所が前社森(ぜんじゃがもり1592m)のピーク
緑の中に一際突き出た岩頭からは、石鎚山三角点から天狗岳への天空の稜線が見渡せる
もともとは石鎚山行場の一つで、禅定ガ森がいつのまにか前社森と呼ばれるようになったとか
下りの鎖(写真右、南側へ下りる)は19mと短いが高度感があり慎重に。下りたった鞍部には茶屋がある
前社森の狭い頂をうろうろしてなかなか下りて来ないグランパを茶屋で待っていたら、ちょっと肌寒くなって来た
茶屋から目の前の小ピークの右肩に出て、ブナ林を抜けると視界が一気に広がってくる
9時50分 石鎚の迫力に圧倒されながら少し下ると夜明峠(1652m)
夜明峠から15分程で一ノ鎖(33m) 折角表参道を歩くのだからせめて鎖1本くらいは登らなくっちゃ
手首に少し不安があるが、足場がしっかりしているから、腕力が無くても何とかなりそうだ
鎖を難なくクリアして、10時25分、二ノ鎖元の鳥居で、土小屋コースと合流
直ぐ上の二ノ鎖小屋で小休止後、グランパは鎖場(左)、私は登山道(巻き道)
さぁ 二ノ鎖と三ノ鎖が石鎚山鎖禅定の核心部だ
鳥居を潜り二ノ鎖(65m)に取り付く
「鎖を登る基本は三点確保、足で体を持ち上げ両手は補助」とは言うものの、腕にかなり力が入ります
足場の無い急斜面では鎖の輪や要所に吊られたトライアングルに足をかけて登って行く
二ノ鎖途中で小屋を見下ろす かなりの高度感だ
鎖を終えて登山道に出るまでに小さな鎖があるがこれは問題無し
石鎚北面が見渡せる場所から三ノ鎖を見上げると、沢山の登山者が張り付いている
登山道から分かれて三ノ鎖へ、ここにも鎖までにロープや小さな鎖があるがこれも問題なし
鎖禅定もクライマックス、目の前に立ちはだかるのは67mの三ノ鎖
三ノ鎖は前半がきつい ハイシーズンは渋滞するので巻き道のほうが無難です
鎖場にも沢山花が咲くがこの時期はリンドウくらい 東を見れば立ちはだかる天狗岳北壁
垂直に近い岩壁、この辺りをクリアすれば後半は傾斜は緩くなる 正念場だ
左2本は上り専用、右2本は下り専用
それにしても石鎚山の鎖は大きくて長い、おそらく日本一でなかろうか?
でもここまでどうやって運んできたのか? それを考えたら眠れなくなってしまう
鎖を登りきった所が石鎚山頂上(弥山1974m)
石鎚神社頂上社に鎮座する石鎚大神の御降臨の磐境 あれー、もうナナカマドが色付いている〜♪
瓶ガ森の右に伊予富士、左は笹ヶ峰から沓掛山の吊尾根、赤石山系もくっきり
遠く剣山系、三嶺、祖谷山系までの展望を楽しみながら、神社側で待っていると
11時10分 次々に三ノ鎖を上がって来るツアー登山者に続いて、やっとグランパも到着
大鎖は渋滞気味だったのか、巻き道を登るほうが15分程早っかった
ほんのり色付き出した西日本最高峰の石鎚山(天狗岳1982m)
今日は天狗さんも大賑わいのようだ
天狗岳への細い岩稜を辿ってみる、第一歩は5m程の鎖を下る これが案外気が抜けない
柔らかい日差しを浴びて秋到来を喜ぶかのようなリンドウ
西には、二ノ森(1929m)、鞍瀬ノ頭(1889m)、堂ガ森(1689m)の三兄弟
今夏の暑さは異常、草花の開花中枢にも異変か? 岩陰にコイワカガミが咲いている
剃刀の様な岩稜を振り返る、歩けますが左側(南)の岩の根元を歩くのが安全です
11時30分 天狗岳(1982m)
弥山でグランパを待っている時色々話をした兄弟と、東稜下降取り付き地点までご一緒する
お兄さんは倉敷、弟さんは福岡から来られていて、今夜は道後温泉だそうだ
二人とも学生さんかな? 仲の良い兄弟って、見ていて気持ちがよい
天狗尾根を東へ進んだところから、天狗岳を振り返る
西条、今治の町が霞んでいる、かなり気温が上がって来たようだ
南尖峰左奥に筒上山(1859m)、手箱山(1806m)
南尖峰(1982m)から天狗岳、弥山を振り返る、空は何処までも高く、秋の空〜
今日は東稜を登って来ている人は見えないけど、来週辺りから混雑するのかな?
折角だから、墓場尾根の様子も覗いて来よう 紅葉はまだまだ先
12時30分 天狗尾根から帰って来ると、弥山頂上は大賑わい
静かな西稜へ行って、食事休憩
12時50分 西稜出発 下りは全て登山道(巻き道)を歩く
午後から日差しがかなり強くなって来たようだ、夜明峠を過ぎ樹林帯に入ってほっとする
三連休初日の好天日、結構すれ違う登山者も多い
前社森直下で切れ目無しに登って来る団体さんに遭遇、頂上小屋泊まりで明日は縦走だそうだ
テン泊の大荷物を背負った若者のグループ、元気いっぱいの挨拶が気持ち好い
2時過ぎ、八丁坂を登り返している時に会った若者二人、「山頂往復はどの位かかりますか?」
道が良いので少々遅くなっても大丈夫とは思ったけれど、懐中電灯も持っていないとか
それより、ロープウェイ最終便(18時)に間に合うかどうか、ちょっと心配しながら見送った
2時40分、神門を潜り成就社、冷たいジュースで喉を潤してから参道を下る
山頂成就駅3時発のロープウエイで山麓下谷駅へ
西日本で一番早く紅葉で彩られる石鎚山、山装うのはまだ2週間ほど先だろう
今日は久し振りに表参道(成就コース)を歩き、オクサリをかけてみた
古より歩かれている表参道(成就コース)が、石鎚登山の一番メジャーなルートには違いないが
延べ232mもの大鎖がかかるこのコース
巻き道が無ければ、一番のバリエーションルートかもしれない