2010年10月10日  ”巡・金田一耕助の小径”

横溝正史ゆかりの倉敷・真備(まび)町を歩く

GPSによるトラックログ(カシミールソフト使用) 
「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び
数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。」(承認番号 平18総使、第582号

 

清音駅(9:30)〜川辺本陣跡〜横溝正史疎開宅〜千光寺〜大池〜真備ふるさと歴史館〜川辺宿駅(12:30)

                                                            (3時間)

折角の三連休だと言うのに、日本列島は雨マーク

前線が張り付いている東北、信州辺りは紅葉見物どころで無さそう

降りしきる雨の音を聞きながら新聞を広げていたら

「金田一耕助に迫る旅」のタイトルが目に飛び込んで来た

岡山を舞台にした金田一耕助シリーズ「獄門島」「八つ墓村」「悪霊島」などで名高い横溝正史が

戦争中疎開していた真備町で、シリーズの第一作「本陣殺人事件」を執筆

10月1日〜12月20日まで、作品の舞台を訪ねる多彩なイベントがおこなわれているそうだ

迷探偵グランマー、推理小説と聞けば見過ごせませ〜ん

此処、倉敷市真備町は、名探偵金田一耕助の誕生の地

小説の舞台だけでなく、映画やドラマのロケ地としても多くの場所が関わっている

昭和12年11月27日、「金田一耕助」が降り立ったとされる伯備線「清音(きよね)駅」

駅横にあるパン工房une(アン)で 「巡・金田一耕助の小径、ミステリーラリー真備編」のマップを購入(100円)

迷探偵グランマー、マップ片手に事件解決に向かう

その前に、店内に立ち込める焼きたてパンの匂いの誘惑に負けて、「頂きま〜す」

行列が出来るのも納得の美味しさでした

歩行者、自転車専用の川辺橋を渡り、総社市から倉敷市へ

マップには横溝正史ゆかりの地の案内の他に13箇所のチェックポイントが記されている

其処に貼られたシールを探し、書かれている文字を並び替えて文章を作り

「巡・金田一耕助の小径」実行委員会に応募するとステキな賞品が当たるそうだ

因みに、2番目のポイント・橋の欄干に貼られたシールのキーワードは「3」

なんだか面白くなりました

 橋を渡りきり堤防を少し進むと「川辺一里塚跡」、江戸日本橋から180里(約707km)

密室殺人を描いた「本陣殺人事件(ほんじんさつじんじけん)」は、金田一耕助シリーズ第一作

旧本陣の末裔・一柳家の屋敷で、長男・賢蔵と久保克子の婚礼が執り行われた

その夜半、屋敷内に只ならぬ悲鳴と、激しい琴の音が響き渡った

克子の義父である銀造らが離れへ駆けつけると、新郎新婦が血塗れになって斃れ

枕元には家宝の琴と三本指の血痕がついた屏風が・・・離れは完璧な密室状態

雪が降り積もった庭には犯人の逃げた痕跡が無く、血に染まった日本刀が突き刺さっていた

銀造は事件解決のため、金田一耕助を呼び寄せる

川辺脇本陣跡      艮御崎神社(うしとらおんざきじんじゃ)

金田一耕助と磯川警部が聞き込みに回った「角の煙草屋」はこの辺り

岡田新道 神社から岡田石橋まで直線道路900m 享保3年(1718年)守屋勘兵衛の業績

ほとんど当時のままの道幅で残っている

岡田村役場跡川田屋の隣は三宅酒店で、横溝正史の疎開宅へよく配達に行ったそうだ

曲がり角で、同世代くらいのご夫婦がマップを片手に反対方向へ歩いていかれた

そんなに沢山ではないが、清音駅でも見かけたし、車で回られている方々にも出逢ったわ

今、真備町は金田一フィーバーかな?

道路脇の電柱に「金田一耕助 ミステリー遊歩道」の指標

住宅街を抜け、実りの秋を迎えた田圃の中の一本道をの〜んびり、交差点の一角に小さな祠が建つ

この「濃茶(こいちゃ)のばあさん」の祠は、藩家老の奥方が、旅路で病に苦しんだ時

茶店の老婆の親切でその地の神社に祈願し平癒したので、帰国後そのご神体を勧請し祀ったと伝えられている

 「八ツ墓村」に登場する「濃茶の老婆(尼)」はこの祠の名前からとったとか

ミステリーラリー全工程(7km)の中間地点、横溝正史疎開宅

1945年4月に、岡山県吉備郡真備町岡田村字桜(現・倉敷市真備町)に疎開し、3年半住んだそうだ

掃除の行き届いた家には、横溝正史、金田一耕助二つの表札がかかる

「お邪魔します}

部屋の中は当時のままらしく、袴姿の横溝さんがひょっこり現れそうな雰囲気

と、思ったら、次の間で金田一さんにバッタリ 「イヤー、参りました」

そういえばこの家は金田一さんの生まれた家ですね〜

横溝正史の日記に拠れば、金田一耕助は昭和21年4月24日に誕生

横溝正史疎開宅管理組合手作りの「疎開宅御弁当(300円)」(日曜日 30食のみ)

「横溝正史さんは、ここ真備での疎開生活時、私たち地元の者がよく届けてさしあげたおこわを

たいそう喜んで食されておられました できるだけ当時の味を再現し、このお弁当をつくりました」 と添え書きされている

先ほどパンを食べたばかりなので、一つを半分ずつ頂いたが味がしっかりしていてとっても美味しい

愛媛から来たと言ったら「それは遠い所を」と、コーヒーまで淹れて下さったり

管理されている近隣のご婦人方の応対がとても気持ちが好い

永禄9年(1566)開創、曹洞宗の千光寺へお参り、獄門島に登場する「千光寺」はこの寺の名前

「すみません このひとことで争いは止み  ありがとう このひとことが和らぎを与え

おかげさま  このひとことが心を豊かにする」、心に沁みる言葉か書かれていた

横溝正史も、この付近を散歩したんだろうなと思いながら歩いていると

小説の中から飛び出した来た様な老婆が、農作業の手を休めにこやかに話しかけて来た

「街から来なすったんかえ?よう来て下さった。横溝さんの小説にはこの辺りの人の名字がようけ出てくるんぞね

私がここに嫁に来た時にはもうおらんかったけど、うちのおじいさんは当時のことをよう知っとるんよ」

彼岸花の傍らで日向ぼっこしていたお爺さんが、手にカボチャを持ってやって来て

歩いとるのに荷物になるなあと言いながら「小さいけど、秋カボチャは美味しいよ」と

「ありがとうございます」、心が温かくなる嬉しい贈り物に感謝でした

「濃茶のばあさん」の祠まで戻り右折(西へ)し、大池を目指す

周囲1kmほどの大池に弁天島が浮かぶ

このあたりは横溝正史のお気に入りの散歩道だったらしく

ドテラを着て腕を組みながら大池の土手に佇み、構想を練っている姿を良く見かけたそうだ

一本道の車道を何気なく進んでいると、ぐるっと回って大池の方に帰っているようだ

ミステリー遊歩道だけに何処で間違ったのか???マップを確認すると

大池沿いの遊歩道を進めば、直ぐに「真備ふるさと歴史館」に着いたのに・・・30分ほどロス

鬱蒼と竹林が繁る、一柳家のモデルとなった旧家跡を左に見て公会堂のある4つ角を右へ(南)

田園風景の広がる中、上原井領用水(かんばらいりょうようすい)沿いの道をのんびり歩いて行く

国道486号を横切り、広い道を川辺宿駅まで一直線

井原鉄道、神辺駅へ向かう下りの電車

12時30分 ゴール、井原鉄道川辺宿駅着

真備の眺めを楽しみながら上りの電車を待ち、12時48分発の電車で清音駅へ

折角だから、備中国分寺の五重塔も見て帰ろう

ミステリーの後は、コスモス揺れる平和な風景が広がっていた

 

迷探偵はチェックポイントの文字の謎解きもバッチリ、早速実行委員会に応募しようっと

ところで金田一さん、「本陣殺人事件」の謎は解けましたか?

はい、離屋で起こった密室殺人トリックを実物大のオープンセットで再現するので

真備ふるさと歴史館前の広場へ見に来て下さい

開催日時は10月24日(日)、11月7日(日)、11月14日(日)

@ 10:00〜10:30    A 13:00〜13:30

(天候等の事情により中止する場合があるそうです)

歩いた道  ホーム