2010年10月23日 ”赤石縦走”
四国屈指の岩稜を辿り、年に二度燃える山・西赤石山へ
GPSによるトラックログ(カシミールソフト使用) |
筏津登山口〜一本橋〜(直登ルート)〜東赤石山〜八巻山〜石室越〜西赤石山〜銅山越 |
〜日浦登山口〜筏津登山口 (9時間55分) |
石鎚山、笹ヶ峰と下りて来た紅葉前線は赤石山系に到達した
今日は東赤石山から八巻山の岩稜を辿って西赤石山、銅山越へ周回してみよう
春はアケボノツツジ、秋にはモミジで、年に二度燃える西赤石山
はたして、今日は思い描いている通り、燃えているでしょうか?
6時05分 筏津登山口出発 まだ薄暗いが、なんとかライト無しで歩ける
曇っているのでこの時期としての冷え込みは無い もう少し気温が低いほうが青空が期待出来るんだけど
最初の渡渉点(一本橋)を過ぎ直登ルートへ 何度かの折り返しの坂道では、じんわり汗ばんで来る
二度目の渡渉点辺りの紅葉は、未だ少し先のようだ
三度目の渡渉点(最終水場)から上の橄欖岩のゴーロ帯は、眩しいくらいの紅葉のトンネル
それにしてもこの岩だらけの道は、勾配がありおまけに岩が濡れていていつもながら歩き難くしんどい
振り返れば、ずんぐり頭の大座礼山(右)と、とんがり帽子の東光森山
8時30分 トラバース道に出合う、ここを左に取るとすぐに展望が開け赤石越への分岐点
トラバース道より上は紅葉する木は少ないが、下はカラフルに染まっている
分岐点から急坂を10分ちょっとで赤石越、右は東赤石山、左は八巻山 先ずは東赤石山へ向かう
8時55分 東赤石山頂上 アケボノツツジの紅葉もあるが、どちらかと言えば緑が多い
ボワーンと霞んだ新居浜の街並みを眺めながら小休止後、西赤石山に向けて縦走開始
駒鳥尾根の斜面がいい色に染まっている 肉眼では尾根の左に石鎚山が見えているが、画像ではちょっと無理
今日の空は薄日が差す時もあるが、霧とも靄ともつかない「もやもや」が視界を邪魔している
スカッとした抜けるような青空が欲しい 赤石越から西に向かうと所々にタカネマツムシソウが咲き残っている
夏の宴の花跡を見ながら岩稜を進んで行く 岩の隙間に根を張るコメツツジの紅葉はもう少し先
9時45分 八巻山頂上 振り返れば左奥の峨蔵の山々が重厚な色に光っている
八巻山からコル(おかめ岩の所)に下りて行く、このコルが東赤石山から石室越迄の中間点かな
コルから赤石山荘に下りてトラバース道を歩いたほうが早いだろうが、ここは敢えて岩稜歩き
さぁ後半戦だ、ハチマキを結び直して気合を入れる
稜線から山荘を見下ろすと、山荘の赤屋根が周りの黄葉によく溶け込んでいる
行く手は岩だらけ、岩に張り付くゴヨウマツの緑が綺麗だが、紅葉が乏しく秋山としてはちょっと物足りない
それにしても今日は人の気配が無い、もうそろそろ瀬場谷コースを上がって来る人がいてもいい時間なんだけど
下にも前後にも全然登山者の姿が見えないなんて、こんな日は珍しい
・・・と思いながら岩尾根を進んでいると、ずーと遠くに人らしきがこちらに向かって来ている
歩き始めて4時間20分、今日はじめての登山者に会う、何故かお互いにほっとする
「大山の方から」とのこと 大山か、いいだろうなぁ 今日はちょっと気持ちが動いたんだけど、近場の赤石へ
日浦登山口を7時半頃出たそうだ それじゃ、ここまで3時間位?? 信じられん!
こういう所は小柄者には不利、でも潜ったりすり抜けたりは有利なんですよ
もうそろそろ岩遊びにも飽きて来た、土の感触が欲しいわ
鋭い岩峰の前赤石山を眺め暫し立ち止まる、この辺りまで来ると石室越は近い
10時40分 小藪道を抜け、縦走路に合わさった処が石室越、側のカエデの大木が見事に紅葉している
石室越を下り展望が開けた処で小休止、何時も爽やかな風が吹き抜ける所だが今日は空気が動かない
真っ赤な駒鳥尾根西斜面が日浦谷に落ちている 春はアケボノツツジのピンク色に埋め尽くされる所だ
右奥に薄っすら別子ダム湖が光っている
今日は気温が高く、思わぬ大汗でちょっと疲れ気味、心なしか足も重たい
前赤石山にも寄りたいけれど今日はパス、久し振りにトラバース道を歩いてみよう
行く手には垂直の岩壁が立ちはだかる(ちょっと大袈裟です)
南面は鋭く切れ落ちているけれど、まあまあしっかりした道がある
前方からスタイリッシュな西赤石山が呼んでいる、逸る気持ちを抑えてここは一歩一歩慎重に
見上げれば、絶壁の上から落石予備軍がいっぱい下を覗いている 怖っ!
前赤石山をトラバースして西面に出ると 誰かが山頂への稜線を登っている
あれ、あの帽子は確か・・・「やまさ〜ん、きぬさ〜ん」 今年2月に撤退したので今日はリベンジだそうだ
エールを送り物住頭へ向かう 雲原越からは柔らかい土の感触、落ち葉の道が足に優しい
物住頭手前に、ご苦労様とでも言いたげなホタルブクロ
11時25分 物住頭(ものずみのあたま) 汗びっしょりになったシャツを乾かしながら小休止
岩塔に取り付くやまさんたちをズーム あれれ?あそこ登れたっけ?新ルート開拓ですね
余談ですが・・「物住頭」の山名がいつも気になる 「物」って?きっと怖い物だろう、大蛇か魔物か、はてまた妖怪か?
魔物、妖怪が現れるのは丑三ツ時って相場が決まっている
いや、それは幽霊だったかな? いずれにしても昼間からは出ないだろうが不気味な山名だ
アケボノツツジが咲く頃は大賑わいの縦走路も、今日はとても静かだ
それにしても人に会わないねぇと話しながら下って行くと、岩の所でカラマツ林を見下ろしているお二人
「アレー、kyoさん 奥さん、お久し振りです」 薬研谷以来、1年半振りの再会でした
4人で楽しく話していると、今度はむらくもさん、ピオーネさんが!
此処までで出会った方は7人なのに、そのうち6人まで山友だなんて
皆さんとお別れして、紅葉だらけの稜線を西に向かう
振り返れば「岩の殿堂・前赤石山」が背伸びして見送ってくれている
道端にはミヤマアキノキリンソウやリンドウが咲き残っている
雲ヶ原を過ぎると、西赤石山頂までは、あと一登り
12時20分 西赤石山山頂 春の賑わいは無い静かな頂上だ
吊尾根の向こうにデ〜ンと構えている筈の石鎚山を思い描きながら、食事休憩
兜岩を見下ろすと、皆さん大岩の上で燃え上がる西赤石山の見物、絶景だろうな〜
何と、ストーンリバーさんやペーコさんも紅葉を楽しまれていたそうだ
ほんのちょっとの時間差で、逢えなくて残念!
眼下に、何時までも眺めていたい錦絵が広がっているけれど
車道歩きも含めて筏津まで後3時間半くらいはかかりそう、あんまりのんびりも出来ない
12時40分 下山開始
カラマツ林が黄金色に輝くのは、もう少し先かな
偽ピークから燃える西赤石山を振り返り、元気を貰って紅葉の中を下って行く
春にはピンクのミツバツツジのトンネル、秋にも色とりどりの紅葉の華
銅山峰ヒユッテ分岐(近道)が見えて来た
東山から下っていると、赤い実に混じって未だアカモノの花がチラホラ咲いている
さすがにツガザクラは咲いていないが、例年に比べ何時までも暖かいんだわ
1時35分 静かな銅山越でちょっと一息、コーヒータイム
春にはキシツツジで彩られる小足谷川、此処を流れる清水を利用して
明治の頃に、銘酒「池田正宗」や醤油が盛んに造られていたが
大正3年、小足谷小学校より出火した火で付近の建物三十戸焼き尽くしてしまい
それと共に醸造も廃止されてしまったそうだ
2時35分 歩き始めて8時間30分、やっと日浦登山口に下り立った
あまり人にも会わなかったのに登山口は大賑わい、団体さんが記念撮影されている
此処でやれやれと言いたいところだが、ゴールの筏津までは未だ5kmくらい
2時50分 さあ、長〜い車道歩きの始まり
日浦から筏津まで歩くのは初めてだけど、下りだから1時間くらいで着けるかな?
普段はさっと走り抜ける車道沿いの渓谷を覗き込みながらのんびり歩く、 紅葉は11月に入ってだろう
あんな所にかご電車の鉄橋(?)が残っている、南光院の大カエデ、別子山村閉村記念碑
あれっ、こんな所に神社なんてあったっけ? 等々、新たな発見がいっぱい
とは言うものの筏津山荘が見えた時は内心ほっとした、やっぱり車道は歩く所じゃ無いよねぇ
4時 やれやれ筏津登山口に帰って来た 靴を脱ぐと足裏が火照っている
春はアケボノツツジでソフトに燃え、秋は紅葉で全山豪快に燃え上がる赤石
久し振りに歩いた赤石山の脊稜は、イメージ通り顔が火照るほどの炎が立っていた
数日前太鼓祭りで街が燃え、祭りの余韻が醒めやらぬ間もなく今度は裏山が紅葉で燃えている
二度燃える山の麓の新居浜っ子には、秋はもうほんまにたまらん季節です