2010年11月06日 ”矢筈ヶ山・甲ヶ山”

歴史の道を歩き、黄金色の樹海に浮かぶ大山前衛峰・矢筈ヶ山〜甲ヶ山

トラックログはイメージ図です
「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び
数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。」(承認番号 平18総使、第582号)

 

一向平キャンプ場(7:00)〜(9:25)大休峠(9:35)〜(10:20)矢筈ヶ山(10:30)〜(11:30)甲ヶ山(11:45)

(12:25)勝田ヶ山(12:35)〜(13:50)船上神社(14:00)〜(14:50)少年自然の家    (7時間50分)

ブナの黄葉が見たいなぁ〜 ブナといえば、そう大山! 今日は以前から気になっていたルート

一向平から大山山塊のジャンダルム、矢筈ヶ山・甲ヶ山の稜線を歩き、船上山少年自然の家に下りて来よう

一向平から大休峠までの大山道と船上山界隈は、往事の面影が色濃く残る歴史の道

矢筈ヶ山から甲ヶ山北の通称「ゴジラの背」と呼ばれる岩場までの間は、スリルに富んだアルペン道

 と、見どころたっぷりのコース、勿論、今日の主役はブナで〜す

朝4時過ぎに家を出発、そんなに冷え込んでいないと思ったけど、蒜山高原通過時は−1℃の表示

6時40分 一向平キャンプ場着

沢山の登山者がいるのかと思っていたが、管理人の方以外は誰もいない

明日(7日)は、ここで「大山滝もみじまつり、一向平 食の祭典」が開かれるそうだ

キャンプ場管理棟に登山届を出して、7時出発

今日は標高差登り約800m、下り約1100mの縦走です 最高点は矢筈ヶ山(1358.6m)

大山滝1.9km、大休峠5.2kmの指標に見送られ、車が通れるほどの道を歩き出す

この道は、5筋ある大山道の一つ「川床道(一向平〜川床)」で中国自然歩道に指定

道沿いのブナはほんのり色付き始めている、正面には谷筋が少し白くなった大山東壁が朝日に輝く

快適な道をルンルン気分で歩いていると、かなり下の方に橋が見える、エッー、あんな所まで下るの!?

狭くて急な木の階段をドンドン下って行く、橋の袂まで右から道があったのだろうが通行止めになっていた

加勢蛇川にかかる橋長45mの大山滝吊橋を渡る

橋を渡った所に「右鮎返りの滝200m」の指標があるが、今日は先は長いのでパ〜ス

左岸の道をゆっくり高度を上げながら進んで行くと、桧林の中にたたら師が住んでいた「旦那小屋跡」や

木地屋が住んでいた「木地屋敷跡」があり、苔むした石積みに往時の面影を感じることが出来る 

木地や?と刻まれた二体の一丁地蔵を過ぎると、滝展望所がある広場に着く

大山滝は 落差43m(上段28m、下段15m)で滝が多い大山の中でも随一の滝、紅葉はもう少し先のようだ

ここまでは歩き易い遊歩道、ここからが本格的な登山道になる

道からすこし逸れた所に「謎の碑」がある、解読はされているそうだけど謎のままで置いときましょう 

枝沢を渡り、どこまでも続くような桧林の中の緩やかな広い道を進むと大休口 

ここは地獄谷(難コース)への分岐点 地獄谷ってどんなところだろう? 怖い所には違いないだろうが

 駒鳥舞う地獄谷を遡行すればユートピアが待っている、東大山は地獄から天国へと忙しそう

大休口から暫くは桧林の広い道が続き、つずら折れの急坂で高度を稼ぐ

右に見えるのは矢筈ヶ山かな? この辺りから周りが黄金色に染まって来た

右の山際には見落としそうな場所で、朽ちかけた一体の地蔵が何かを語りかけ

左を見れば樹間に黄金色の烏が羽を拡げている

三本杉分れ辺りで、ブナの黄葉はピークに達する

ウワー!あまりの景色に何度も何度も立ち止まって息を呑む

まさに「山燃える」、全てが燃えている 「もうこれ位でいいでしょう」そんな言葉が出て来そうだ

太陽を遮る金色のパラソル

黄金色に輝くブナは、他のどんな木々の紅葉をも寄せ付けない森の王者の風格を漂わせている

ブナ林を抜けても暫くは周りが黄金色に見えました 本当かな?

矢筈ヶ山前衛1300mピークから南東に派生した支尾根を回り込むと道が緩やかになって来る

正面に振子山や大山、左に地獄谷を挟んで烏ヶ山を望みながら大休峠を目指す 峠まで案外長い

山肌から湧き出るちょっと頼りない水場手前で今日初めて人に出会う きのこ採りの人だ

山の恵みが豊富なこの時期はよく山に入るとかで、これからナメコを採りに行くそうだ

水場を過ぎると間もなく大休峠避難小屋が見えて来た、大山道は峠から川床へとまだ続く

9時25分 さぁ、大休みしようか 小屋周辺は川床からの登山者やきのこ採りの人で賑わっている

9時35分 小屋横から縦走開始 ここから船上山までは大山山塊では最も長い稜線歩き

3年前の5月に野田ヶ山〜親指ピーク〜象ヶ鼻の稜線を辿ったが今日は逆方向を歩く

小枝や笹を払いながらの歩きだけど、道はまずまずしっかりしている 峠から上のブナは殆ど冬支度

正面の1300mピークを目指して登って行く

標高差200m足らずだが転石が多く、急傾斜でしんどい、川床から甲ヶ山周回だと言う3人が距離を縮めて来る

まだまだ若い者にはと思っても・・・・イヤイヤもう負けたらいいんです、焦らずにマイペース、マイペース

10時20分 前衛ピークを過ぎなだらかな道を一登りで、一等三角点が置かれている矢筈ヶ山頂上(1358.4m)

狭い頂上からは勿論360度の大展望 北面南面とは一味違った重量感のある大山

秋化粧を落とし、「雪待つ準備万端よ」そんなことを言いたげに貫禄ある姿でどっしり構えている

雪の故郷・大山が、冬化粧する日も近い

10時30分 矢筈ヶ山からゴジラの背までが今日の縦走の核心部 まずは目の前の小矢筈を目指す

それにしても滑りやすい急坂、木の枝を掴み鞍部まで下って行く

鞍部から小矢筈を見上げ、ファイト!

10時40分 頂上から、ゼイゼイ言いながら登って来るグランパを見下ろしています

親指ピークより高さがあるので中指ピークと呼ぼうかな

小矢筈頂上直下より甲ヶ山 まさしく大山本峰を護衛する兜を纏ったジャンダルム

昔は兜山と書かれていたが、いつ頃からか甲ヶ山と書かれるようになったとか

今日の縦走の中で記憶に残るアングルです、大山から甲ヶ山を見てもこんなに端正な山とは想像出来ません

狭い小矢筈頂上から鋭く切れ落ちた西側を覗き込むと、地に足をつける大切さがわかります

意味がよく解らないって? フィーリング、フィーリング、 あまり深く考えないで下さい

頂上を少し進んだ所から振り返る 人が居る所が小矢筈頂上、西側とは表情が全然違います 

後ろに矢筈ヶ山 左奥烏ヶ山

稜線付近の紅葉は終わっているが、中腹から裾野にかけて赤い樹海が広がっている

甲ヶ山を眺めながら行程をイメージする 稜線突き当たりを右にトラバースし(薄っすら見えます)

最後は急登を一直線で頂上に出る 最後がきつそうだ 気合を入れて急坂を下り、緩やかな尾根を進む

トラバース道入り口付近は潅木が倒れていて歩き難い 潅木帯を抜ければ視界が開け岩場歩きとなる 

落石、浮石、滑落に注意してトラバース部分を慎重に歩く

左写真がトラバースから直登へのターニングポイント ここからが甲ヶ山への胸突き八丁 

ここを登りきったら頂上だ、またまたファイト! 途中から見下ろすとこんな感じの岩の急斜面です

11時30分 甲ヶ山頂上に飛び出す、狭い頂上は7人も居ればいっぱい

そろそろお腹も空いて来た、温かいお味噌汁とおにぎりを食べながら大展望満喫

11時45分 甲ヶ山周回の3人に「お先に〜」と声をかけ、噂のゴジラの背に向かう 一体どんな所だろう

先に出発したご夫婦は、シュリンゲを付けて行ったけど・・・

(一応、シュリンゲを持って来てます)

目の前にごつごつした岩稜帯が現れる、左右が切れ落ちて危なげだけど、思っていたより距離は短い

渡り終えた人が振り返ってこちらを注目している スマートに歩かなくっちゃ

一箇所、足が届かず下り難い所があったけど、小さなでっぱりにつま先をかけなんとかクリアー

それにしても、グランパは助けてもくれずカメラを構えて見ているだけ

後から、その大岩にさしかかり「どなにして下りたんぞ」と、心配したって知らんわ

渡って来たゴジラの背を振り返る、何とか今日の縦走の核心部を終えほっと一息 

でもここからまだまだ長い稜線歩き、今度は持久力勝負です

ポールの所(ゴジラの背を渡り終えて5分程)が川床への分岐で、道の左の急斜面に薄い踏跡らしきがある

傍らに転がっている朽ちた道標はかろうじて川床と判読、この道はかなり藪いているらしい

次のピーク勝田ヶ山へは急坂を下り緩やかに登り返す、ブナは殆ど葉を落としこの辺りも紅葉はそろそろ終わり

振り返れば、歩いて来た稜線が逆光に輝く、 左が甲ヶ山

12時25分 通り過ぎてしまいそうな勝田ヶ山頂上(1210m) それにしても今日のピークはどこも狭い

コーヒーを飲みながら、山口から来られたご夫妻と暫く談笑する

昨日は一向平から矢筈ヶ山を、今日は船上山から甲ヶ山をピストンだそうだ

勝田ヶ山三角点(1149,1m)は頂上から10分程下った所にある

小学生のグループが次から次に登って来る、船上山少年自然の家のイベントらしい 

道の真ん中に三角点(941,0m) 暗かったら躓きそうだわ

天王屋敷分岐辺りに胸高周囲4.8mで日本最大級のブナがあるそうだけど、どれもこれもでかくて特定出来なかった

1時50分 ブナ林の先に赤い屋根が見えて来た、船上山神社で暫し休憩

ここは後醍醐天皇が北條氏を亡ぼす謀をめぐらしたと伝えられる建武中興発祥の地だそうだ

神社からは西坂登山口(ここから1.5km)への道を左に分け

参道沿いにあるたくさんの寺坊跡や古石塔群等、歴史の痕跡を垣間見ながら歩く

薄ガ゙原(すすきがはら)と呼ばれる船上山頂上 右の松に囲まれたところに行宮之碑がある

三角点(615.4m)はどこだ? 碑の周りにあるだろうとうろうろしたけど見つからない

こんなだだっ広い所じゃ探すのが面倒だわ、止めとこ (後から地図で確認したらもう少し北でした)

千丈滝を見て屏風岩基部につけられた横手道を歩こうと思っていたが、足が疲れて来たので通常ルートを下る

大ケヤキを見て、横手道分岐を過ぎ、籠立場や一丁地蔵を見ながら広い道を下って行く

船上山は火山の溶岩流で出来た山 天然の要害の東斜面にはススキが光る

2時35分 数台の車やマイクロバスが停まっている東坂登山口着

やれやれと言いたいところだけれど、今日の終点はもう少し先

車道を少し歩いてから、左の登山道を下りて行く、振り返れば厳つい屏風岩が迫って来る

正面に船上山ダムを見ながら紅葉した茶園原の桜並木を下る

2時50分 石の大鳥居を潜り、船上山少年自然の家着

タクシーを呼び、紅葉狩りの人たちで賑わっている一向平に帰って来た

(参考までに 日交タクシー рO858−22−7111  4750円でした)

 

今日は黄金色のブナ林、豪快な滝、青空の下の大展望、それから小薮有り、歴史ロマン有り、

あっそうそう、ゴジラの背中にも跨ったしと、魅力いっぱいの山行でした

出来れば船上山界隈をもう少しゆっくり散策したかったけど、次の機会の楽しみに

大山といえば弥山、ユートピアがポピュラーだけど、大山本峰から北東に半島のように突き出た

矢筈ヶ山、甲ヶ山辺り(琴浦アルプスと呼ぶらしい)は、また一味違い、静かで歩き甲斐がある山域でした

ブナの芽吹きの頃に、また歩いてみたいわ〜

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