2010年12月04日  ”牛ノ背〜天狗塚”

藪漕ぎ四銃士・忘年会登山に混じって、牛ノ背南面ルートを歩く

 

「天狗塚で忘年会登山をするんだけど どう?  参加者は マーシーさん、紫雲さん、与力さんです

  谷道より天狗塚に上がり、帰りは直接下るか、オコヤトコへ下ります」

と、エントツ山さんからメールを頂いた

牛ノ背南面は以前から気になっていた山域だけど、はたして道なき道を藪漕ぎ四銃士についていけるのか?

不安があったがペースを合わせて貰うという事で、集合場所の祖谷の道の駅へ

GPSによるトラックログ(カシミールソフト使用) 
「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び
数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。」(承認番号 平18総使、第582号

 

駐車地点(7:23)(8:06)谷道登山口〜(9:25)大岩〜(11:00)縦走路〜(11:35)天狗塚(12:00)

(12:31)牛ノ背三角点〜(12:54)亀尻峠分岐(14:10)〜(14:40)古味分岐〜(15:41)駐車地点 (8時間18分)

往路は牛の後足(牛ノ背南尾根・・・牛ノ背三角点の南に2本明瞭な尾根がありますが東の方です)を登り、

背中に乗り角に立ち、復路は尻尾(牛ノ背西尾根)を下りて来る・・・・そんなイメージです

(注、尾根の名称は一般的かどうかはわかりません)

R439から逸れ、祖谷山林道(林道樫尾阿佐線)を走り広場に駐車する

7時23分、意気揚々と出発〜 谷道登山口まではウォーミングアップの林道歩きです

歩き始めてすぐ、谷道川に架かる赤い橋が真下に見える 帰りにあの橋を渡ります

作業小屋が立つ林道分岐を過ぎ、頼りない吊橋を木の間に見て、歩き始めて16分で矢筈峠(アリラン峠)分岐

登山口は直進 右は矢筈峠 両方向とも此処にゲートがある

もう少し時期が早ければ紅葉が綺麗だろうなと思いながら、林道をどんどん奥に入って行く

杉木立の間に大きな牛ノ背の南面が朝日に輝いている

昭和39年頃の谷道地区、林業に携わる人とその家族約100人が生活していたそうだ

山間で遊び興じる子どもたちの声が賑やかに響いていたのだろう、地図に今は廃校となっている「文」の標が残る

43分で登山口、左の急斜面を谷に下りる 此処が既に標高約1050m、天狗塚まで標高差約760m程

下り口の木に趣のある道標が掛かっている 今日の道程で唯一の道標です

この辺りは四国では数少ない大自然たっぷりの山域 道は整備されて無く、途中に道標やテープ類は一切有りません

水量が心配だった谷道川を渡渉、与力さんや紫雲さんのように軽々と対岸に飛び移れません

マーシーさんが渡してくれた丸太を頼りに、何とかクリアー

渡渉した所が天狗塚南尾根の末端 「さぁーこの辺から登ろうか」 

「そんないい加減なん?」  いきなりの急登、先が思いやられます

5分程で水平道(軌道跡)に出る 左へ少し進み、天狗塚南尾根の道(はっきりした踏み跡がありました)を右に分ける

水平道から分かれ、急斜面をスズカナル谷に下り渡渉、対岸の牛ノ背南尾根に乗り換える

ところで余談・・・・でも無いのですが 谷道と言えば「熊のエリア」のイメージが強い

「居ませんよ」とか「一度遭ってみたい」とか、皆さんつれない返事 でも本当は怖いんでしょう?

尾根に取り付けば、あとは乗り換え無しに忠実に天空の稜線を目指す

倒木や雑木がうるさい所も少しはあるが、歩き難いと言うほどでは無い

藪を掻き分けながらと想像してたので、これならなんとか皆んなについて行けそう

こういう所は正規の登山道には無い「山の匂い」がある、藪漕ぎ好きには「癒しの匂い」なのだろう

木々は葉を落とし、おまけに此処は南斜面 初冬とはいえ柔らかい朝日が背に当たる

尾根に取り付いて1時間、正面に大岩(右写真)が見えて来た 紫雲さんが既に上っている

基部を右に回りこみ、向こう側から大岩天辺に上がる

目的地までは未だ遠いが、抜けるような青空の下で暫し大展望を楽しむ

「鳥だ、飛行機だ いや天狗さんだ!」 と息の合った「藪漕ぎカルテット」 古いギャグで申し訳ないです

大岩からシャクナゲ林を突っ切り、ひたすら尾根を進んで行くと冬枯れのブナの間から天狗塚が覗いている 

大きなモミの木を過ぎると森が薄くなってくる、秀麗な天狗さんを眺めながら、小休止

それにしてもエントツ山さん、後姿はやっぱり還暦やね 与力さんらとは全然違うよ

この辺りからエントツ山さんが、「62歳がおるけん」を連発 最後尾から「どういう意味じゃ?」の声が聞こえて来る

森林限界を抜けると稜線の全貌が見えて来た

笹原には縦横無尽に獣道が付けられている、先ずは天狗塚を目指し少し東へ振りながら上がって行く

紫雲さんの一歩に追い付こうと思ったら、二歩歩かないと・・・あー、しんど

歩き始めて3時間40分程で縦走路に出た もう天狗塚は目の前、話題になった「指呼の距離」にある

大笹原をルンルン気分で歩いていたらカタックリさんに再会、お久し振りで〜す

堰堤付近から登られたそうだ 堰堤コースも一度歩いてみたい

天空の稜線上の癒しのスポット、陽だまりの天狗の池で数人の方が寛がれている

さぁ、目の前の最後の急登を頑張って天狗塚頂上(1812m)に立ちます

北面は風が冷たいが南面はポカポカ陽気 30分程のんびり贅沢な時間を過ごす

見下ろせば天狗塚南尾根、ここも何時かは歩いてみたい 歩きたい所ばっかりで困ります

東には地蔵ノ頭、向こうに三嶺 右奥にどっしり構えるのは剣山、次郎笈 吊尾根に頭を出しているのが一ノ森

忘年会は紫雲さんお気に入りの場所でと、12時下山開始 大きな牛ノ背の左端に登って来た尾根が見える

どこまでも続く笹原の中の一本道を辿り、牛ノ背三角点へ向う

天狗の池が薄っすら凍っている 華麗にアクセルジャンプを披露するのはちょっと無理かな?

「あれ〜 ろくべえさん、かおさん お久し振り 笹ヶ峰以来ですね」 三嶺、天狗界隈の主の様なお二人と暫く一緒に歩く

天狗塚の魅力は牛ノ背抜きでは考えられない この辺りを知り尽くしているお二人です

エントツ山さんは我が道を行く 遥か南には太平洋が眩しい位輝いている

振り返れば、たおやかで優しい稜線の先に剣山系のランドマーク天狗塚が鋭く青空を突いている

春は班色に、初夏はツツジのピンク、コメツツジの白、夏は緑に包まれ、秋には紅葉で燃え

それから冬は白無垢を纏う 四季折々色んな表情を見せてくれる

今はといえば・・・ちょっとインパクトが弱い素顔の土色です 

ここが純白の稜線になる日も近い、白い天狗さんにも逢いたいな〜

牛ノ背三角点(1757.1m)

天狗塚とも此処でお別れ 十字路から天狗塚を振り返る

亀尻峠方面への道から分かれオコヤトコ下山路(左)へ 「ろくべえさん、かおさん、叉何処かでお逢いしましょう」

遠くに赤石、石鎚山系を見ながら賑やかに宴会の始まり

エントツ山さんとマーシーさんのザックは玉手箱 次から次と色んな物が出て来る

マーシーさんがラジウスを取り出しながら「あれ?」とザックの中を覗き込む

皆さんハラハラ 「燃料は?」と冗談とも本気ともつかぬ厳しい声が・・・前科があるのかな?

良かった 燃料が出てきました、最後には大きなお鍋まで!

 レスキューフーズ&具沢山のラーメン、沖縄土産のリキュール酒に紫芋のタルト、最後はコーヒー&みかん

ご馳走さま〜、もうお腹がいっぱいで食べられません、重いザックお疲れでした

山での食事にこんなに時間をかけるのは初めて、もう1時間以上寛いでいる 紫雲さんはこの辺りでよく昼寝をするそうだ

昼寝もしてみたいが下りない訳にもいかないし、さぁ そろそろ重い腰を上げようか

大展望もこの辺りで見納め 正面に西の山々を見ながらオコヤトコ向けて笹原を下って行く

ところでオコヤトコって? 皆さん気になっている様です 私も気になります

ここは平家伝説が残る祖谷地方、「安徳帝が休まれた(床)小さな小屋(オコヤ)があった所」などはいかがでしょう?

下り始めて間もなくのモミ林辺りはまだ尾根がはっきりしない、こんな所は登るより下る方が難しい

此処を何度も歩かれている与力さんでさえ迷ったことがあるそうだ ましてや初めての私等二人だけなら不安な所だ

数少ないチェックポイントの大きなヌタ場(他にも小さなヌタ場がありました)

平家伝説ロマンの後にヌタ場とは申し訳ないです

マーシーさんは先にドンドン下り、すぐに見えなくなる 展望の良い笹原よりこんな所が好きなのだろうか?

モミ林の次はカラマツ林 黄金色に輝く季節に歩いてみたい

下り始めて20分程で小高い1486m標高点(だろう)

クリスマスツリーのようなモミの木が無ければ、気付かず通り過ぎてしまいそうな所だ

標高点から少し下った所がターニングポイント 此処は左へ、右は古味方面らしい

此処から道ははっきりしてくるが、尾根通しの急坂が続き気が抜けない 前方に時折綱附森が顔を覗かせる

四銃士(特にエントツ山さん)は、どうも綱附森の方へ周回したかったらしい 今度四人で行って下さい

それより何より「ドラマは無いか?、ドラマは無いか?」と、しきりにブツブツ言っている

何を期待しているんだろう?

大藪が立ちはだかるとか或いはイノシシと熊のケンカとかそれとも鹿のラインダンスか?

きっと口癖なんよ ほっとこ

境界確認作業中なのか、沢山の杭が転がっている

古味分岐から35分程で、また分岐、此処は右へ 左には谷に下る薄い道がある

此処から橋までは大きく迂回する 後からログを見たらひょっとしてショートカット出来るのかも

此処でちょっと立ち休み

ところで祖谷の山といえば熊と鹿、熊はともかく今日はあれほど問題になっている鹿に遭わなかった

藪漕ぎ四銃士+ロマン派2人の賑やかさに怖れをなしたのか?

考えてみれば、人が鹿の生息エリアに入ることにより、エリアを縮め生殖本能をコントロールさせて固体数の増加を抑える

そのためには、林業関係者、狩猟者、山菜取り、登山者等、人がドンドン山に入る

あながち無茶な論理とも思えません・・・・・素人考えですが、感じたことを書いてみました

ゆるやかに15分程下って行くと作業小屋

小屋からヘアピンを折り返すと、苔むした大岩が点在するいい雰囲気の道 この辺りがオコヤトコなのかしら?

山が総面積の4分の3を占める徳島県、かつては自然と調和しながら多くの人が山中で暮らしていたのだろう

谷道川に架かる橋を渡り、急坂を一登りすると林道に出る 駐車地点は目の前

3時41分 エントツ山さんの期待したドラマは無く、無事に帰って来た

 

最近、里山歩きが多かったが、今日は久し振りの本格的なロングコース

バリエーションルートという事で少し不安があったが、念願だった牛ノ背南面を歩く事が出来ました

聖地ともいうべきこの界隈は、想像通り豊かな自然が残っていた

動物と共生しつつ、この自然を残していく為には何をすべきか、或いは何もしないほうがいいのか?

そんな事を考えさせられる収穫の多い山行となりました

皆さん有難うございました

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