2010年12月12日  ”天狗塚〜牛ノ背”

2週続けて祖谷の貴公子を訪ねる

寒風山や讃岐山脈から雪の便りが届いて来る 待ち焦がれていた雪の季節が巡って来た

今冬の雪山初歩きは何処にしようか?

雪がたっぷり有りそうな笹ヶ峰か赤石山系かと迷っていたのに、何故か先週登った天狗塚へ

今日は北側から登ります はたしてシリセードが出来るほど積もっているでしょうか? 

 

登山口(8:27)(9:05)1476mコブ(9:55)天狗峠(10:20)天狗塚頂上(11:10)(11:39)牛ノ背三角点
(12:33)亀尻峠分岐(12:48)ベンチ(13:05)(13:08)林道(13:43)登山口      (5時間16分)

 

国道から見上げる天狗塚は雲の中 ありゃ、こんな筈ではなかったのに

林道途中で準備をされている方とお話させて頂く

天狗塚登山口には3台停まっているが思ったより少ない、準備をしていると1台到着した 

8時27分 鉄の階段を登って出発 此処からのコースは4年振りです

最初は、植林帯の中の急坂を上がって行く

祖谷の山が歓迎してくれたのか、雲が退き真っ青な空が覗き始めた

1476mコブで小休止、暑くなって来たのでヤッケを脱ぐ

ダケカンバの大木が並ぶ鞍部へ下って来ると、少し雪が出て来た

モミ林を抜け急坂になる辺りからは登山道が凍ってちょっと歩き難い

樹林帯を抜け視界が開けた所から祖谷山系を振り返る、拍子抜けするくらい雪が無い

落合峠(中央)を挟んで左に落禿、前烏帽子山、右にサガリハゲ山、矢筈山

急峻な谷に張り付いた久保や西山の集落が真下に、奥には落合集落が見える

目指す天狗塚が見えて来た、 右にはジャージー色の牛が横たわっている

腹回りに先日の寒波の雪が少し残っているものの、背中は先週と同じ色

白天狗を期待してたんだけど、これじゃ無理だわ 残念

峠手前の急坂は少ない雪が踏み固められ凍ってツルツル

もう少し雪があった方が歩き易いんだけどなぁ

それでなくてもしんどい所なのに・・・立ち休みをしながら左の西熊山を眺める

傾斜が緩くなり、コメツツジの庭園を歩くようになると間もなく峠

天気は好いが峠を吹き抜ける風は冷たい、急いでヤッケを着る

9時55分 天狗峠 此処まで来れば天狗塚は指呼の距離

天狗塚頂上には誰も居ないようだ

国土地理院の地図では此処と少し南東の地蔵ノ頭との鞍部の標高1780m辺りを

天狗峠と表示しているが一般的に此処が天狗峠(1800m)と呼ばれている

何時の間にか天狗峠と呼ばれ出したけれど、地図には躄峠(いざりとうげ)と記されている

大男がこの峠を通るたびに雲に頭がつかえ、いざって通ったことによると伝えられている

夏にはコメツツジの花で真っ白になる稜線を緩やかに下って行く

空は南の海を思い起こさせるマリンブルー、コメツツジの群落はまるでサンゴ礁みたい

先週南から見た天狗さんを今日は北から、何処から見てもスタイル抜群!

祖谷のイケメン貴公子が、東の貴婦人三嶺と秀麗さを競い合う

天狗塚の後ろには雄大な笹の大地・牛ノ背が広がっている

この空間に浸っていると浮世のことは何処へやら、下界と隔離された時間が経過する

鞍部まで下り天狗峠を振り返る、峠?これほどスタイルが良いのに何か山名は無いのかな?

それにしても今日は静かだ、峠には誰も見えない 鞍部から急坂を頑張り頂上を目指す

10時20分 天狗塚頂上(1813m)、風は冷たいけど雪は全然無し

三嶺も剣山・次郎笈も思ったほど白くない、目の前の地蔵ノ頭が少し白い

地図上に地蔵ノ頭という地名は無いが

祖谷久保と韮生久保を結ぶ峠に「久保名、良五道」の地蔵が祀られてより

この峻険な間道を、地蔵ノ頭越えと呼んでいたそうだ

西には一際白く光る笹ヶ峰、やっぱり石鎚山系の方が沢山雪がありそう

少し早いお昼をしてからのんびり大展望を楽しんでいると、林道で逢ったソロの方が登って来られた

お話しすると、時々エントツ山さんやreikoさんの掲示板でお見かけするてんきちさんでした

これから牛ノ背へ向い砂防堰堤へ下りられるというので、ご一緒させて頂く

しばらくすると、登山口でお逢いした方も登って来られ賑やかになる

てんきちさんに「僕の四国の山日記」の管理人さんだと教えて頂く

山日記さんも同じコースの予定だったけど、途中で帽子を落とされたので引き返すそうだ

11時10分 山日記さんに挨拶し、てんきちさんと一緒に下山開始

雪の残る急坂を慎重に下りて行く 此処からは先週も歩いた道です

広大な笹原の中、一筋に延びる一本道を行く

先週と何が違うのかって言われそうだけど・・・道が白いでしょう

てんきちさんは、今日が98回目の天狗塚だとか

この山域が余程お気に入りなんですね

100回記念の山行も、今日みたいに好い天気だといいですね〜

遠ざかる天狗塚を何度も振り返る

来週こそは雪化粧され白天狗さんになるのかな?

11時39分 牛ノ背三角点(1757,1m)

昔はミツコバ山と呼ばれ、天狗塚から続く稜線全体を牛ノ背と言うらしい

ミツコバ・・・初めて聞く名前、どういう意味なんだろう?   う〜ん、気になる

先週忘年会をした所が見え出した

寒峰や中津山を正面に見ながら緩やかなスロープを下りて行く

逆光に輝く三角点方向を振り返る、随分下りて来たなぁ

reikoさんたちもこの日同じコースを歩かれたそうだ この頃天狗塚山頂に到着したのかな?

快適な笹原と別れモミの繁る樹林帯、続いて植林帯、展望は全然ありません

雪が残る急崖を谷から駆け上がって来る小さな動物、よく見れば可愛いリスさんでした

三角点から50分程で亀尻峠への道と分かれ、暗い植林帯を下って行く

植林帯を抜けると、明るい自然林の中にベンチが置かれている

てんきちさん、お昼未だでしょう? ちょっと、おにぎり休憩でもしましょうか

1時08分 砂防堰堤に出て、西山林道に下り立つ

主を待つ白い車、reikoさんたちが一台デポしているのかな?

天狗峠を眺めながらの林道歩き、車で走るとそんなに感じないが、そこそこ上り

送って下さるというてんきちさんの有り難い言葉に感謝しつつ「車道歩き、好きなんです」

道沿いの三椏が、来年咲かせる花芽を蓄えて厳しい冬の到来を待っている

1時43分 登山口に帰って来た

丁度、山日記さんも下山され、お知り合いの方と話をされている

「帽子、見つかりましたか〜?」

シリセードには程遠く、この冬雪山初歩きと言うのもちょっと微妙な雪の量だった

まぁ、これから冬は長い そのうち嫌と言う程降るでしょう それまで楽しみに

それよりてんきちさんと一緒に歩かせて頂いて、砂防堰堤への周回が出来ました

てんきちさん有難うございました 節目の登山達成待ってま〜す

 

たかが山歩き、されど山歩き

青空の下、360度の大展望満喫の稜線歩き、今日はこの上無い至福の時間を過ごした

しかし何かを忘れていないだろうか? 

前日、地元に住まわれている方から掲示板に頂いた貴重なご意見を反芻してみた

祖谷の全ての人の意見を代弁しているかどうかは判らないが

当たり障りの無い建前が多い昨今、かなり厳しい言葉が混じる本音の意見(お叱り)だと痛感した

きっかけは勿論当HPの掲示板だが、矛先は私個人というより、登山ブームに潜む弊害に対する警鐘と受け止めた

その要旨は以下3点だと思う

@ 単に山に人が入れば山は荒れない、というのは全くの誤解だ

A 決まった登山道以外の道をインターネットで公にすることにより大変迷惑している

 遭難騒ぎ 水源の汚染、テープやケルンが邪魔、草花の踏みつけや盗掘等

B 登山者は環境を汚染するだけで、地元に経済効果をもたらさない

 

「山が荒れる」とか「山が泣く」とかよく耳にする

根底には林業が夢のある「業」たりうるかという大きな問題があるのだろうが

私は、深い議論に耐える知識は持ち合わせていない

A、Bについて(Aは@に絡まる問題でもある)登山を楽しむ者の一人として言えることは、

まず山の関係者の仕事や、地元の方々の生活が優先され、邪魔にならない事が最低限のルールだ

勿論最低限のルールさえ守れば、あとは自由というものではない

それより上は各個人の経験、技術、体力、ポリシー等が異なり線引きは難しい

いずれは何らかの規制という動きが出てくるかもしれないが

現段階では本人の自覚に期待されるということはある程度止むを得ないものだと思う

ある方が、「そっと歩かせてもらって、そっと帰る、まず謙虚な気持ちになることが山や自然に対しての礼儀ではないか」

と言われていたが、登山者のマナーとモラルが凝縮された素晴らしい言葉だと思う

自然と調和し、動物と共生する山歩きを目指すのは当然の事だが 

その前に、麓で暮らす人々に登山者が受け入れられないのなら悲しいことだ

改めて言うこともないが、山を下りたら僅かでも地元の方とふれ合う、そんなゆとりが欲しい

邪魔者としてでなく「客」として気持ちよく迎えて貰うには 些細な事かもしれないが

歩かせてもらった感謝の気持ちを伴う個々人の小さな行動が必要だ

そんな事を考えながら、てんきちさんがよく行かれると言う京上集落の中にあるお食事処に立ち寄った

手打ちの細麺で風味たっぷりの蕎麦を頂き、「ごちそうさまでした」に、

笑みを湛え「お口に合ったでしょうか?」と・・・思いがけず心のこもった言葉をかけられて

お腹も心も満ち足り、何時もに無く爽やかな気持ちで祖谷を後にした

 

ロマン派路線のこのHPに社会派のテーマは似合いませんが

投稿頂いた方のお気持ちを残したいので、ここで私なりに整理してみました

きっかけを作って頂いた祖谷の方、それに対してご意見を頂いた皆さん、有難うございました

決して上手くは纏められているとは思いません、読み飛ばして下さい

インターネットが無ければまず知りえなかった祖谷の方のお気持ち

ネットは仮想の世界でなく、現実の世界そのものであると言うことを今回実感しました

画面の後ろには様々な意見を持った方々が控えている事を心に留め

これからも、山登りそしてHPも続けて行きたいと思います

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