10’サクラ  ”里の春”

窓あけて 窓いっぱいの春    山頭火

光が明るくなり、空の色が変わって来ると

待ち遠しかった桜が華やかに開き、見慣れた風景が薄紅色に染まってくる

窓をいっぱいに開け放ち、春の空気を呼び込もう

 

氏堂の江戸彼岸 (3月20日)

高知県大豊町大滝

大滝地区の「種まき桜」として230年咲き続けてきたエドヒガン

昔は、この桜が咲いたら大滝部落や、対岸の立野、八畝、怒田の集落では田植え準備が始まったそうだ

暑さ寒さも彼岸までと言われるが、今年は何時まで経っても寒い日が続く

それでも満開の三椏に促されるように、枝先がほんのり染まり出している

未だ冷たい風が吹き抜ける中、数輪が綻び始めていた         定福寺境内のシュンラン

 

 

大宝寺のウバザクラ (3月21日)

松山市南江戸大宝寺境内に咲く

松山市指定文化財天然記念物  根回り 2,8m、樹高 5mのエドヒガン

松山のむかし話に拠れば

角木長者がお薬師様に願掛けをして生まれた娘は、お露と名付けられ美しく成長した

15歳の時病に罹るが、わが身に代えてお嬢様をお救い下さいとの乳母・お袖の必死の願いでお露は元気になった

しかし、その祝いの席で乳母が倒れ床につきお薬師様との約束だと薬を口にせず、亡くなってしまう

乳母の遺言通り、長者が本堂前に桜の木を植えると、幹から2,3輪花が咲き

その花は、母乳の様な色のまるで乳房を思わせる花だったと伝えられる

それ以来、この桜を姥桜(乳母桜)と呼ぶようになったそうだ

満開は過ぎ、前日の強風で花びらの絨毯が敷き詰められていた

夕日を受けてきらきらと舞い散る白い花びらは、まるで桜の精が舞っているようだ

 

 

馬場のサクラ (3月28日)

四国中央市新宮町市仲

樹齢300年以上、樹高22m、幹回り5,95m、根元回り6,81m

あらら、一輪も開花していない 未だだろうとは思っていたけれど・・・

思いがけない冷たい雨に、竦んでしまっている

桜開花を心待ち気な、塩塚峰                 桜に代わって楽しませてくれた、アマナの群生

 

再び訪れた4月8日、満開〜♪

束の間の春を謳歌する可愛い花姿、四国中央市の宝だわ

ピンクの入道雲が、青空に湧き上がっているようだ

 

平家落人の里・切 山   (4月2日)

四国中央市金生町

平家の五士とその一族が、幼い安徳帝を守護し

祖谷から山道を歩き続けて辿り着いたのがこの地、切山の里

江戸時代中期に建てられたとされる国指定重要文化財「真鍋家住宅」の要害の森

樹齢300年のヤマザクラが、家屋を護るように枝を広げている

16代当主・真鍋潤氏が、真鍋家の屋号・表(おも)に因み、表桜(おもざくら)と命名

ふる里の 裏山に座す 表桜 今年の花を 人寄りて観る (潤)

桜の周りを刈り込み、花姿が良く見えるように整備されていた

土釜神社側の桜、今年は何時もより花付きがよいそうだ

「来週は桜祭りがあるから、また来て下さい」

 

 

クラレ西条 「第19回観桜会」 (4月7日)

西条市

クラレ西条事業所では、毎年構内の桜並木を公開している

今年は4月6,7日の両日が一般公開

公開し始めた当初500人程度だった花見客も年々増えて、現在では1万人超だとか

広々とした運動場の片隅で、風格を漂わせている古木

まだまだ若い者には負けられんと、工場の煙突と背比べ

満開の桜の向こうに事務所、昔の校舎みたいで懐かしい雰囲気の建物だ

今日は社員食堂を開放してバザーも開催、おはぎと醤油餅を買って帰りました

 

 

武丈公園の桜 (4月7日)

西条市加茂川

雪洞が飾られた桜の名所・武丈公園、今夜は夜桜見物で賑わうのだろう

川風に吹かれハラハラと舞い散る桜花も風情がある

霧に隠れていた山々が姿を現して来たけれど、未だ石鎚は望めない

 

 

豊岡大池のソメイヨシノ (4月7日)

四国中央市豊岡

豊受山(おといこさん)から吹き下ろす「やまじ風」に耐え、池畔に立ち尽くすソメイヨシノ

みんながどっと押し寄せるほど有名な桜じゃないけれど、花姿が美しい

間もなく、水面が花びらで化粧されるのだろう

池の周りには、長閑な田園風景が広がっている

 

 

四国霊場六十五番札所 ・三角寺のヤマザクラ (4月8日)

四国中央市金田町

平石山の中腹(標高430m)に建つ三角寺、伊予の関所でもあったそうだ

一茶も眺めたヤマザクラが、境内いっぱいに咲き誇る

安産祈願に初めて訪れた時も桜が咲いていたなぁ

もう、36年も前の事なのに、桜を見ているとついこのあいだの事の様な気がする

遍路道から逸れた境内裏山で、静かに春を謳歌するソメイヨシノ

春霞がかかる燧灘には伊吹島が浮かんでいる

 

 

大麻山(金刀比羅) (4月10日)

琴平町

讃岐路に本格的な春の到来を告げるという「金刀比羅宮桜花祭」開催中

金刀比羅宮宝物殿付近より、春爛漫の讃岐富士を眺める

桜花を抱えた巫女、舞人、冠に桜を挿した神職が伶人の奏でる横笛、笙の音色に合わせて進んで行く

本宮拝殿では、雅楽にあわせ雅やかに「大和舞」や「八少女舞」が奉納された

挿頭花(かざしぐさ)とも呼ばれる桜花

奈良時代は桜花を挿頭(かざし)や鬘(かずら)にするのは感染呪術といって

桜の生命力にあやかる信仰から来ていたそうだ

心地よい風が吹き抜ける大麻山稜線、チェリーラインは春満開〜♪

 

 

翠波高原  (4月15日)

四国中央市

4月も半ばだというのに、なかなか春の陽気にならない

今日は全国的に冷え込み凍えるほどの寒さ、何と2月上旬並みの気温だったそうだ

大森山の雪景色を借景に凛と立つヤマザクラ

「英国では、三月の風と四月の雨が美しい五月をつくると言う

木々の芽立ちを促す、やわらかい雨がそろそろ欲しい」と、今朝の天声人語に書かれていたが

翠波高原の桜に、なんと雨ならぬとどめの雪!

春の重い雪が満開の桜に被さる

桜が咲く頃に降る雪を「桜隠しの雪(春の季語)」と言うそうだが、こんなに積もって、冷たいだろうなぁ

明後日18日は、恒例の翠波高原「菜の花まつり」 コンサートや折り紙ヒコーキ飛ばしレースが行われる

あまりの寒さに菜の花も元気が無い、暖かくなれば良いんだけど・・・

 

 

嵯峨子城址( 4月17日)

今治市玉川町

以前、嵯峨子林道を走って北三方ヶ森省エネコースを登った時

途中の嵯峨子城址にある、「桜の森」を発見(後から知ったが、結構有名な桜の名所だった)

今年こそはと、花開いた姿を思い描きながらやって来た

既に、殆どのソメイヨシノが葉桜になっていたのは残念だったけど

艶やかな枝垂桜がまもなく見頃を迎えようとしていた

乙女のように可愛い花びら〜

 

 

高縄寺境内の枝垂桜 (4月17日)

今治市玉川町

奥道後玉川県立自然公園指定の高縄山(986m)頂上より、少し下った所に建つ高縄寺(900m)は

八百年の歴史を持つ名刹で伊予水軍河野氏の菩提寺

 現在の本堂は昭和4年に再建、その時に植えられたのだろうか?

樹齢は判らないが、本堂前の見事な枝垂桜が境内に春を知らせてくれる

3月21日、院内〜高縄山〜猿川と周回した時は固い蕾だった枝垂桜が、間もなく満開

以前に比べて花芽が少ないのかなぁ

見上げると、メジロが忙しなく食事中   イチリンソウも咲き出していた

高縄山は野鳥の宝庫、一抱えもありそうな大きなカメラを構えてマイポイントを狙っている方が数人

ミソサザイが来るまで一日中待つとか、話が聞こえたのか甲高いミソサザイの鳴声が境内に響く

小さな身体で精一杯存在をアピールしている、何となく他人の様な気がしないわ

 

 

千鳥別尺のヤマザクラ (4月24日)

広島県庄原市東城町千鳥

天気は次第に回復して来たが、冷たい風が吹き抜ける

モンローウォークが似合いそうな抜群のプロポーションで山里に立つ孤高の桜

寒い日が続いたから、まだ6分咲きといったところかな

昨年は4月19日に満開だったから、かなり遅れている

 

 

岡山県立森林公園のオオヤマザクラ (4月25日)

岡山県苫田郡上斎原村新古屋

名木百選・森林公園の大ヤマザクラ(エゾヤマザクラ)

推定樹齢500年、樹高13m 目通り周囲3,8m

濃いピンクの小さい花を期待して来たが、開花はまだまだ

花は咲いてなくても威風堂々と他を圧倒する迫力で立つ姿に感動

でも、やっぱり花姿も見てみたいな〜

ミズバショウとリュウキンカ                    イワウチワ〜♪

昨日は霙や雪が降ったそうだが、園内では遅い春が躍動し始めていた

 

 

鋸山のヤマザクラ (4月28日)

四国中央市

家から鋸山を見上げると山頂付近が微かに白っぽくなって来た

テーブル岩そばのヤマザクラもそろそろ満開かな〜

様子を見に行くと、やっと8分咲き、今年も元気に故郷を見下ろしている

ミツバツツジ越しの寒川海水浴場             林床の妖精もそろそろお目覚め〜

 

今年の桜は早いのかなと思っていたら、3月中旬くらいから冬に逆戻り

三寒四温も何処へやら、まもなく5月だというのに未だ寒い日が続いている

そんな中、里の春を告げる桜便りに元気を貰いました

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