2011年02月19日  大川山(だいせんざん)

「2番じゃだめなんですか?」 阿讃国境に聳える県下第2の高峰 

GPSによるトラックログ(カシミールソフト使用) 
「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び
数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。」(承認番号 平18総使、第582号

 

琴南公民館(8:10)〜(8:25)下皆野バス停〜(9:20)林道出合〜(10:30)(10:40)〜(11:10)大川山

下山開始(11:40)〜(11:55)遊歩道入口〜(12:40)隋神門〜(13:10)琴南公民館      (5時間)

 

中讃の平野部から南を眺めると、なだらかな阿讃山脈におむすび山の総大将のような

一際尖がった山が見える 阿讃山脈の四天王の一角大川山(だいせんざん1042.9m)だ

「標高こそ東の竜王山(1059.8m)に一歩譲るが、容姿、品格、歴史、人気は香川県一よ」

とでも言いたげに讃岐平野を見下ろしている

何度か車で上がったことがあるが、やはり車では何となく印象が薄い

今日は麓から歩いて大川山を丸ごと体感、ポピュラーな2コースを周回するブーメラン山行です

そういえば今日は寒さも緩むという雨水、帰りに寄り道して春を探してみよう  未だ、ちょっと早いかな?

三頭トンネル北の温度表示板は−4度、高い山は霧氷だろうな

人気の無い琴南公民館駐車場着 かなり冷え込み畑には厚い氷が張っている

準備をしていると車が1台停まり、年配の男性が登山準備を始めた

常連さんらしく「中通コースをピストンして、昼までには下りて来る」と言いながら先に出発された

8時10分 男性の後を追うように駐車場を出発 国道438号線を下皆野バス停へ向けて遡る

「右だいせん道」の石柱(帰りは此処に下りて来る)を過ぎ

右奥に雪の残る大川山を見ながら、15分程で下皆野バス停

バス停から右に折れ「広域基幹林道琴南財田線」に入る

5分程で右手に登山道(標識は無い) 今日は分県登山ガイドを忠実に歩いてみよう

急坂を一登りで先程の林道に出る(左写真) 林道で分断された登山道が向こう側の法面に続いている

柵に付けられた色褪せた案内標識(大川山 皆野コースと書いているみたい)に従い登山道に入って行く

道に被さる倒木があるが、広い確りした登山道を進む

香川県の山有数の標高差800mも伊達じゃない 延々ときつい登りが続く

768.4mコブ東面急傾斜のトラバースは雪も出てきて、凍った箇所もあり気が抜けない

総じて展望の無い道だけど、冬枯れの雑木の間から皆野の集落が見える

9時20分 林道出合に立つ数少ない道標

植林の中の林道を進み、直ぐの分岐を右へ

林道歩き10分で、舗装路に飛び出す、此処までは道も確りしていたので全然問題無し

「此処までは」ということは、此処からはちょっと問題があったということです

此処から車道を左に歩けば頂上に行けるが、車道歩きもつまらんし今日は登山道に拘って

山渓の分県ガイド通り、車道を右へ300m程行った所にあるクリ林から登山道に入ろう

車道を右へほんの少し行った所の法面上部に登山口と書かれた標識らしきがあるみたいだけど

道があるようにも見えないし・・・(ここを強引に進めば良かったのかも)

目的地とは反対方向になるが、所々凍った舗装路を300m程下ると左手に広い道がある 

クリ林は見当たらないけど、多分此処よ いい加減です

藪いて少し分かり難いとガイドに書かれていたけれど、何時しか潅木や棘が行く手を阻む

展望が良いと書かれていた車道を行ったら問題無かったのに・・・ブツブツ

地図を見て「大丈夫じゃ」と、グランパが棘を掻き分けながら進み、登山道に飛び出す

山に入ればグランパに従えでした、ヤレヤレ

(後からログを見ると、水色の部分を強引に歩けばこの道に出たようです 30分程のロス)

自然林の中の明るい道を歩いて行くと突然畑が現れ、あぜ道の前方に車道が見える

それにしても此処まで展望が無かったなあ

10時30分 剣山系、阿讃山系の大展望を楽しみながら、畑の側の陽だまりで一休み

讃岐の最高峰・竜王山(1059,8m)は何処かしら? 特徴が無いので同定し難い

小休止後、頂上を目指して雪の残る車道を歩いて行くと、程なくバンガローが見え出し駐車場に着く

元気の良い若者3人がスコップを担いでやって来る

「こんにちは〜、好い天気ですね〜」

「下から登って来たんですか?凄いですね。僕らは車で〜す、とてもよう歩きません」

電波塔を過ぎ展望所近くまで来たら、雪が盛り上がっている

固く締まっていて踏み抜く事も無いが、それにしても吹き溜まりには凄い雪!

11時10分 大川山頂上(1042,9m)

文武天皇の時、役小角によって創始されたと伝えられる大川神社が頂上に鎮座する

安産と雨乞いの神が祀られ、旧暦6月14日に近い日曜日に大川念仏踊が奉納される

何でも、天平6年の大干魃に、国司が大川神社に奉幣して雨乞いの祈願をしたところ

祠前の池より蛇が這い出し龍に変じて昇天、雲を呼び大雨を降らせたので

皆々歓喜して、鐘をうちならして踊ったのが始まりだとか

現在も、中通、川東、勝浦、造田、炭所西の五ヶ村から氏子が参加し

棒振り、貝吹き、中踊りが鐘をたたき「ナンマイドーヤ」とはやしたてながら念仏踊りを踊るそうだ

何だか四国中央市新宮町に伝わる「鐘踊り」に似ている、一度見てみたい

境内のヤマザクラの古木 大川山は山桜の名所 春は全山ピンクに染まる

今日は気温が高い割には見通しが良い、雪を被った剣山、次郎笈を眺めながらお昼にする

明るい日差しが嬉しいのか、ヤマガラが忙しなく飛び交い賑やかだ

11時40分 下山開始 まだ雪が多い明るい遊歩道を下って行く

遊歩道を包むクリ、シデ、カエデ、ヤマザクラ等の巨木 でっかい自然林が大川山の魅力の一つです

11時55分 遊歩道入口まで下りて来ると数台のバイクが停まり、若者が雪に興じていた

踏み固められた植林の中の登山道はツルツル滑って歩き難い

踏まれていない所を選び、車道を串刺しながら転がるように下りて行く

「今日は、暖かですね〜」 途中で登って来られているご夫妻とすれ違う

もっと賑わっているのかと思ったのに、出逢った登山者は頂上でお逢いした男の方とご夫妻の3人だけ

12時40分 隋神門 門を潜ったところに二十五丁石が建つ

昔々、大川山が女人禁制だった頃、女性は此処からお参りしたそうだ

隋神門を過ぎてからは暫く車道歩き、正面に大きな笠形山(762m)を見ながらドンドン下って行く

のんびり歩いていたら、先程頂上で逢った3人が側を走り抜ける

道の傍らに建つ三十丁石、若草も萌え出し春耕を待つ棚田

振り返れば大川山もかなり遠くなった

もう琴南中央公民館は近い、山頂から麓まで一直線だから下りるのは早いわ

そのまま車道を下ってもよいがちょっと逸れ、「大川社」の扁額がかかる鳥居を潜り大川道を歩く

1時05分 国道沿いに建つ大川道(だいせんみち)入口の石柱、三十九丁十二間と書かれている

1時10分 国道を横切り、琴南中央公民館駐車場に帰って来た

 

今日は皆野コースを登り中通コースを下りて来たが、大川山へのルートは他にも何本かあるらしい

雨乞いと安産、生活の身近な願いを寄せて来た人々と山との深い関わりを感じながら

道端の丁石に元気を貰い、頂上を目指した古人に想いを馳せた

心の拠り所となる何かを求めて山に登る、昔も今も同じなのかもしれない

 

下山後、車を走らせ三頭越えへ

雪解け間近の谷で寒そうに頭をもたげるユキワリイチゲ、確実に春の足音が近付いてました♪

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