2011年04月03日 ”仙龍寺遍路道”
お大師さんに導かれ、宇摩の霊場奥之院から「祈りの道」を歩く
GPSによるトラックログ(カシミールソフト使用) |
仙龍寺(9:30)〜(10:30)馬場の桜(10:50)〜(11:55)三角寺(12:10)〜(13:10)三島公園(13:35)〜(14:05)自宅 |
(4時間35分) |
四月に入り遅れていた桜も開花し始め、祈りの国・四国に春遍路の季節が巡って来た
今日は、四国の総奥之院仙龍寺から法皇山脈を越え、六十五番札所三角寺へと歩き
三島公園の桜も楽しみ、自宅まで帰ります
9時30分 奥之院の大杉(目通り5.4m、樹高40m 樹齢300年以上)の側を抜け
蟹淵を渡れば、総奥之院・金光山仙龍寺の境内に出る
「白雲足下に生じ、一鳥鳴かず。幽邃絶塵ときこゆ」と、(四国遍礼霊場記)に記されている通り
四国の総ての奥之院に相応しく荘厳な雰囲気が漂う
が、車道出来、車が入り出したら趣も半減かな
無明橋を渡り石段を登って遍路道に一歩踏み出す
釈尊のさとりの最初に出てくる言葉「無明」という文字を見て
無意識のうちに行動せしめる力、それが「無明」であり「行」なのだと
と言われた、鈴木大拙先生の言葉を思い出す
春風の 扉ひらけば 南無阿弥陀仏 山頭火
此処から、一段一段踏みしめて、五十八丁(6,3km)先の三角寺を目指します
石仏に見守られ断崖絶壁を通り抜け、振り返ってみると、あらら結構危なげな所
「岩端をとり、崎嶇(きく)を歴(へ)て、つまり岩の端につかまったり、険しい所を経て」と
(四国遍礼霊場記)に記されている辺りだろうか
少し登ったところで修行の場・清滝からの道が合わさる
「奥之院へ八丁」と書かれた石柱の側に鎮座する不動堂へお参り
右へ行けば、箸蔵寺七里、雲辺寺五里と書かれた石柱が立つが、道らしきは・・・?
右手に民家が見えると、車道に飛び出す
車道を横切り(車道を行っても馬場の桜へ行ける)登山道を進む
道沿いに、昔は多くの参拝者を楽しませただろうヤマザクラの巨木が朽ち果て倒れ掛かる
石仏に見送られ、急坂を一頑張りすると前方が開けて来た
10時30分 「桜の馬場の桜 (根回り5m、樹高20m、樹齢200年以上) 」県内で最大級のエドヒガンザクラ
「奥之院の大杉」とともに市指定天然記念物になっている
枝先は未だ固い蕾、ピンクの羽を広げるのは後2週間くらいかかりそうだけど
満開の花姿を思い浮かべながら暫く花見休憩、あららパラパラ降り出したわ
10時50分 アマナの群生を見てから、峠を目指して登って行く
身のまわりは 草だらけ みんな咲いている 山頭火
10分ほどで峠に出る、綺麗に刈り払われた峠には4体の石仏が鎮座し労を労うかのように迎えてくれる
此処は、標高765m 奥之院から2100m、三角寺へ2600m
あれ、木の枝に長い柄鎌がぶら下っている、忘れ物にしてはと・・・よく見ると
「お願い 時間の在る方、へんろ道維持にご協力を 次の方の為にこの先30m草刈お接待をお願いいたします」
あぁ、それで綺麗な道を歩かせて貰ったんだ
今日は出番がないけれど、皆さんのお接待に感謝
峠を少し下ると分岐があり、真っ直ぐ行けば市民の森
右方向に道をとり、少し下ればスカイラインを横切って遍路道が続く
お遍路さんを見つめてきたヤマザクラの古木が殆ど枯れている
そんな中で元気な一本に出会った、花が咲けば辺り一面が華やかな雰囲気に変わるんだろうな
染色家志村ふくみさんが書かれた「一色一生」より
「花は紅、柳は緑といわれる色が染まらない、色は人の力の及ばない所で生きていると・・・
まだ折々粉雪の舞う小倉山の麓で桜を伐っている老人に出会い、枝をいただいて帰りました。
早速煮出して染めてみますと、ほんのり樺桜のような桜色が染まりました。
その後、桜、桜と思いつめていましたが桜はなかなか伐る人が無く、たまたま九月の台風の頃でしたか
滋賀県の方で大木を伐るからと聞き、喜び勇んで出かけました。
しかし、そのときの桜は三月の桜と全然違って、匂い立つことはありませんでした。
その時、初めて知ったのです。桜が花を咲かすために樹全体に宿している命の事を。
一年中、桜はその時期の来るのを待ちながらじっと貯めていたのです。」
一年間掛けてじっと蓄えてきた精気が花と共に飛び去ってしまうことを思えば
満開の花を愛でないではいられない
三角寺へと続く杉木立の中の一本道を下って行く
竹薮を抜けると、周りが開けてくる 正面の杜が三角寺の杜
路傍には、スギナに囲まれた春の使者スミレ、春の日差しが暖かい
あるがままの 雑草として 芽を吹く 山頭火
11時55分 四国霊場第六十五番札所・由霊山三角寺
菩提の道場、最後の札所、本尊の十一面観音は安産、子育、厄除けの観音様
立像は秘仏で60年に一度、甲子の年に開帳される 前回は昭和59年(1984)
本堂前のヤマザクラは固い蕾 山門のソメイヨシノの古木はチラホラ咲き出している
樹齢300年以上と言われているヤマザクラは、幹周2.96m、樹高14.5m
花径が27〜28mmの一重の淡紅色の花が、枝にびっしりと付く
花と相まって、山桜らしい柔らかさを醸し出す赤味をおびた芽吹きも素敵だ
美しい山桜は「葉赤くて細きがまばらに混じりて、花しげく咲きたる」と、宣長が好んだ山桜が其処にある
寛政7年(1795年)、小林一茶が俳諧の旅の途中、三角寺を訪れた時に詠んだ句
是でこそ 登りがいある 山桜
山門を潜って急な石段を下り、桜並木の車道を我が家へ向かう
車道をずっと歩いても帰れるが、途中から遍路道に入る
以前、自宅から道標を辿って歩いた時は分かり難い所や藪いた所もあったが
最近は歩き遍路さんも多いのだろうか、よく踏まれて歩き易い道になっている
山道で、お遍路さんにはありがたい水大師?
雑草に 風がある 夜明けの 水をくむ 山頭火
1時10分 途中、三島公園に寄り道
楽しみにしていた「桜まつり」は中止になり、思ったほどは賑わっていなかったけれど
三分咲きの桜の下で思い思いにお弁当を広げたり、子供たちが遊び興じていた
公園の茶屋で温かいおうどんが頂きながら大休止
公園の山頂部には、市指定史跡「横地山古墳(弥生時代後期)」の石碑が立つ
グランパが小学生の頃発掘調査され、みんな挙って見に来たそうだ
そして、燧灘を見下ろすように一茶の句碑が立つ
しづけしや 春を 三島の ほかけ舟
祈りの道を歩いて辿り着いた公園から見下せば、何時もと変わらない穏やかな風景が広がっていた
2時05分 自宅に帰って来た、やれやれ
が、今日は未だ終われない、ザックを下ろし奥之院仙龍寺まで車を回収に一走り
4時間余りかけて歩いたのに、車だと25分で着きました