2011年07月10日  ”霊峰石鎚山”

お山開き大祭終了祭、仁・智・勇、三体の御神像お山を駈け下る

 

7月8日、四国地方は早々と梅雨明け宣言 本格的な夏山シーズンが到来した

今日は霊峰石鎚山のお山開き大祭終了祭、7月1日雨の中お山に帰った神が山を下りる日

石鎚山では今でも大祭初日は女人禁制が敷かれ、神が山へ上がる姿は見ることが出来ない

ならば、せめて御神像とともに山を駈け下りてみたい

ということで、久し振りに神が駈けるロマンの道・成就社コースを歩いて来ました

成就社(6:50)〜(7:45)前社森(7:55)〜(8:40)ニノ鎖元〜(9:10)弥山〜(9:30)天狗岳〜(10:05)弥山
弥山下山開始(12:05)〜(12:30)ニノ鎖元〜(13:10)前社森〜(13:45)遥拝所〜(14:00)成就社 (7時間10分)

 

ロープウェイは大祭期間中の土・日は午前3時から運行、駐車場には大型バスやマイカーが沢山駐まっている

信者さんや登山者を乗せて山麓下谷駅を出発したロープウェイは、8分弱で山頂成就駅に着く

前神寺奥之院にお参りし、爽やかな緑の空気を吸いながら広い参道を20分程歩けば成就社

石鎚神社中宮社本殿に参拝してから、東予崇敬組合窓口で登山切符(500円)を受け

成就コースの証、赤いリボンを肩に付けて出発 (土小屋コースは青いリボン)

お山開き大祭日程

6月30日  御神像本社出御〜成就社着御
7月 1日  成就社出御(仁・智・勇と15分毎)〜頂上社着御
7月 2日

 女性登拝開始

7月 5日  中日祭
7月 7日  当病平癒祈願祭 七夕(夜 神楽奉納)
7月10日  終了祭 御神像頂上社出御〜成就社着御
7月11日

 成就社出御〜本社着御・御神像還宮祭・御開帳

6時50分 神門を潜り、澄んだ鈴の音を聞きながら八丁坂を下って行く

道沿いには御神灯が掲げられ、大祭ムードが醸し出されている

今日は、天狗岳界隈を散策し、12時に御神像と一緒に下山開始

2時頃、成就に帰って来る予定です

7時45分 長さ48mの試し鎖を手繰って前社森岩峰に立つ 頭上は抜けるような青空

信者さんが寛ぐ休憩茶屋で、名物冷やしあめ湯を呑み元気百倍

夜明峠に出ると北壁が迫って来る 此処までにも下山するたくさんの信者さんとすれ違う

お山詣りの方々の挨拶は「おのぼりさ〜ん」 「おくだりさ〜ん」

ぎこちなかった「おくだりさ〜ん」も、だいぶ板について来た

一ノ鎖を過ぎた所から二ノ鎖をズーム 多くの信者さんが張り付き、まるで白い帯を垂らしたようだ

オーバーハングした岩塊、天狗岳と南尖峰が聳え立つ

初夏にシャクナゲを楽しませてくれた石鎚山三角点は深い緑に包まれている

楽しみにしていた巻き道沿いのオオヤマレンゲは蕾も花も見えない、今年は不作かな?

三ノ鎖巻き道を彩るミヤマダイコンソウやユキワリソウも終わりかけていた

主稜線に出ると南西面の大展望が拡がる

西ノ冠岳の向こうには松山市街、遠く九州の山も見渡せる

9時10分 信者さんで賑わう弥山、石鎚彦命を祀る頂上社にお参りして暫し休憩

遠い昔、奈良時代から信仰され続けて来た霊山石鎚は、役の行者(役小角)により開山されたと謂われている

舒明天皇の時代、奈良郊外の社家に生まれた役の行者は、自然の気が満ち溢れる神聖な場所に

神仏が顕れ給うと信じて、自ら高山に登り難行苦行をして修験道を開創したそうだ

元禄年間のものとされる古絵図には既に鎖が描かれているとはいえ

オクサリも、ましてや巻き道も無い時代、天にも届きそうな岩稜に立った時の感慨は如何ばかりであったろう

御神像頂上社出御祭が始まる10時には、まだ時間があるので天狗岳に向かう

弥山からの第一歩は慎重に、鎖が大きくて掴み難いなんて贅沢言ったら役の行者さんに叱られるかも

白骨樹の向こうは石鎚山から西に延びる静かな山域

振り返れば、幟が旗めく弥山は出御祭を待つ信者さんの白装束で埋められている

ニガナ咲く細い岩尾根を辿ると、目の前が西日本最高峰石鎚山・天狗岳(1982m)

夏到来を告げる霊気に満ちたお山は、1300余年の山岳信仰の歴史を物語っている

静かな天狗岳は360度の大展望、緑が濃くなった南尖峰が間近に迫る

グランパはもう少し足を延ばして東稜下降点まで、私は出御祭に間に合うようにと引き返えす

可愛い簪をいっぱい付けたシロドウダン、その遥か向こうに瓶ガ森

鮮やかなイエローグリーンの群落はコメツツジ、ポツポツと白い小さな花が咲き始めている

南尖峰より天狗岳を振り返れば、早くもガスが湧き上がって来て夏山らしい雰囲気だ

東稜下降点まで行って、静かな鋸尾根を見下ろす

後から分かったけど、仙ちゃんがシコクイチゲとタカネバラのツーショットを楽しんで

中間地点から引き返したそうだ、午後から用事がなければ「オー」とばったりでしたね

弥山南の断崖絶壁に咲くシコクイチゲを思いっきりズーム

弥山の取り付きまで戻って来たら、ストーンリバーさんにバッタリ 「お久し振りで〜す」

昨日、石墨山のササユリでしたのに、お元気!

「弥山で待っています」と、天狗岳に向かわれるお二人を見送る

弥山は神事の真っ最中

無病息災を願う拝戴(はいたい)神事の後、三体の御神像は再び頂上社に祀られ開帳された

皆々、社の中に入ってお参りし、持って来た木のお札を御神像に擦り付けているようだ

一人だけ触るのも悪いし、グランパやストーンリバーさん、早く帰って来ないかなと天狗尾根を見るが姿が見えない

「時間ですので閉めますよ」と・・・この機会を逸してはと社に飛び込む

初めて目の当りにした仁・智・勇の三体の御神像、思ったより小さな金色の像だった

頭から足の先まで丁寧に、みんなの分も擦ったから、家内安全、無病息災、諸願成就ですよ〜

程なくして、グランパがそしてストーンリバーさんが弥山に戻り四方山話に華が咲く

プゥォ〜〜、プゥォ〜〜 邪気を祓う法螺貝の音が山頂に響き渡る、そろそろお山を下りる時間かな

12時05分 一番目の「仁」の御神像が弥山を隈なく駈け巡り頂上社へ上がったまま下りて来ない

あら、御神像は鎖を下りたんだって・・・急いでトラバースを下り三ノ鎖取り付きへ

ワッショイ!ワッショイ! ワッショイ!ワッショイ!

みんなが掛け声を掛けながら見守る中、大クサリ(三ノ鎖 68m)を下りて来る御神像

上から絶妙に手綱を引っ張る人、担ぎ手の足元を確保する人

氏子全員が力を合わせて垂直に近い岩壁を下りきった

背負ってる重さがどのくらいなのか分かりませんが

中でも仁の御神像が一番重たいそうだから、ずっしりと肩に食い込むだろう

「担ぎ手交代、誰々は先に下へ回れ」 運行責任者の指示のもと、氏子たちは機敏に駈け出す

この後も要所要所で、手際よく担ぎ手を交代しながら駈け下る

続いて二ノ鎖(65m)を下り、鳥居を潜る

それでなくても大変なのに「みんな御神像を触ってよ」と、サービス精神も旺盛だ

信者さんや登山者が一斉に御神像にタッチし、晴れ晴れとした顔をしている

此処で、土小屋へ向かうストーンリバーさんとはお別れ、「またお逢いしましょう〜」

一ノ鎖(33m)の担ぎ手は少し年配の方だった、無事に役目を果たせほっとした表情で若者に交代していた

仁の御神徳を表す玉持の御神像は、智の御神徳を表す鏡持の御神像は青

 勇の御神徳を表す剣持の御神像は黄色、其々15分遅れで頂上社を出御するそうだ

ピッ!、ピッ!、ワッショイ!ワッショイ!笛に合わせて御神像が夜明峠を駈ける

早い早い、目の前をあっと言う間に駈け抜けていった

笛の音を聞いたらじっとしてはいられないのが新居浜人、何はともあれお祭りは参加しなくっちゃ!!

グランパ、グランマーも汗びっしょりになりながらワッショイ!ワッショイ!と走る

1時10分 前社森、よく考えたらお昼も食べずに走っていた、しんどい筈だわ

先に下り、八丁坂で食事休憩していたら、ワッショイの掛け声が近付いて来た

あと少しで成就社 さぁ、最後の登り返しを頑張ろう

1時45分 たくさんの信者さんが待ち受ける遥拝所で暫く休憩

皆々、手綱に取り付いて上がって行く

神門手前で、御神像を背負った若者が騎馬になり体勢を整える

表情は真剣そのもの、ドキドキしながらも晴れがましい気持ちだろうな〜

2時18分 お山の力を蓄えた御神像が成就社に着御した事を、高らかに告げる御神像奉持総責任者

法螺貝の鳴り響く音と共に、「仁」の御神像を担いだ氏子たちが帰って来た

成就社境内に、拍手と歓声の渦が沸き起こる

興奮冷めやらぬまま、後ろ髪を惹かれながら成就社を後にしたが

この後、「智」「勇」の御神像の着御が続き、ますます盛り上がったことだろう

 

御神像は明11日成就社を出御し、石鎚神社本社に着御され御神像還宮祭が行われる

水の都・西条を流れる加茂川の源流点に聳える霊峰石鎚山

緑濃くなったその稜線を、神を担ぎ汗びっしょりになった白装束の信者が駈け下りて来た

石鎚山にはお山開大祭期間中に全国各地から数万人の登拝者が訪れる

信者さんに混じって、登山靴で歩くことが憚られた神の山も大祭が終わると夏本番を迎え

花々が登山道を埋め、色とりどりの登山者が行き交う「日本百名山」の姿に戻って行く

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