2011年07月23日  ”槍ヶ峰”

大山夏山バリエーション・三ノ沢から槍ヶ峰・剣ヶ峰

GPSによるトラックログ(カシミールソフト使用) 
「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び
数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。」(承認番号 平18総使、第582号(槍ヶ峰〜剣ヶ峰のログはイメージです)

 

文珠堂(7:30)〜(8:15)ケルン(8:25)〜(9:25)槍尾根出合〜(9:35)槍ヶ峰〜(10:10)剣ヶ峰

槍ヶ峰出発(10:50)〜槍尾根別れ(11:25)〜(12:10)ケルン〜(12:45)文珠堂 (5時間15分)

 

赤い日差しが降り注ぎ、山々の草花が短い夏を謳歌する季節が到来した

シーズン中一度は歩いてみたい「花の山・大山」 夏山登山道、ユートピアもよいが

今日は以前から気になっていた三ノ沢から槍ヶ峰を歩いてみます

大山環状道路を走り、文珠堂下にある三ノ沢小屋跡の駐車場に車を停める

2台停まっていて一人が準備されている 文珠谷からキリン峠〜槍尾根〜剣ヶ峰を目指すそうだ

三ノ沢ルートの様子を伺うと、少し道が判かり難い箇所もあるらしい

7時30分 準備をして文珠堂を出発

環状道路を横切り、右岸につけられた治山工事用道路を進む 辺りはブナだらけ

10分程で工事用道路終点 正面の堰堤手前を右に折れ左岸を歩く 奥に見える筈の南壁はガスの中

幾つか堰堤を越えると道も狭まり、木々が茂って段々登山道らしくなって来た

南壁の裾が見え始め、魔物でも潜んで居そうな地球の割れ目が迫って来る

歩き始めて30分程で最終堰堤に突き当たる 殆ど水が無い沢を渡り右岸へ

手前の堰堤は石が積まれたステップを踏み台に

上側の最後の堰堤は、付け根に垂らされたロープを手繰ってコンクリートの斜面を這い上がる

堰堤に立ち、潅木を抜けると広々とした河原、薄い道が河原の中に続くが、大水が出たら消えてしまいそう

登山道から少し逸れ、右に振りながらケルンを目指していると、ガスが切れ始め大展望が広がって来た

雲が切れているピラミッドピークが槍ヶ峰南峰 草付きを這い上がってあの右横に出る予定

先行の単独の方に追いつく 槍〜剣〜三鈷峰まで行って引き返して来るそうだ お元気!

それにしてもこんなに天気も好く、花もそろそろ見頃の時期なのに前後に登山者の姿は見えない

8時15分 ケルンで水分補給しながら小休止

涸沢の様なカール状地形の底に立ち、暫し周りの山々に見惚れる 正面が剣ヶ峰かな?

先行者の後を追い、沢をどんどん詰めて行く

地獄への片道切符・三ノ沢本沢と分かれ、右急斜面の草付きを登って行く

姿が隠れる程の潅木の中を歩く時もあるけれど、まずまずの道

砂礫で埋まった枝沢・槍ヶ峰沢(?)を横切る 踏まれていないのでステップが流れ、上宝珠谷より歩き難くい

南面でおまけにすり鉢の中を這い上がる感じだけど、今日は気温が余り高く無く汗も出ない

咲き始めたばかりのクガイソウは、鮮やかな紫の穂先を誇らしげに掲げている

シモツケソウ、クガイソウ、オトギリ、ギボウシ、ヤマハハコ等が咲き競い、辺りが一気に華やかになる

(花の名は正確には頭に○○が付くのが多いですが略称を使います)

シモツケソウやクガイソウが咲けば、花の山・大山も夏本番

周りの花々に気を取られているうちに、傾斜が益々急になって来た

白馬岳? いや此処は伯耆国、大山よねぇ

切れ落ちた白い山肌を見ると、思わず後立山に居るかの様な錯覚を起こす

もう少しで槍尾根 念願の稜線が近いと思うと急坂も足が軽い

かなり高度を稼ぎ、左方を眺めると目指す槍ヶ峰が近づいて来た 誰か立っているようだ

稜線に出るすぐ手前でキリン峠からの槍尾根ルートに合わさり、薄い道を左に取りルートに乗る

槍ヶ峰南峰(槍の穂先というらしい)と手前の岩峰群は草付きの南壁側を巻く

「頑張って!」 岩壁に張り付いたオトギリやダイモンジソウが声援してくれる、ファイト!

このルートはイワカガミやツガザクラが咲く季節に歩いてみたいと思っていたが

やっぱり、黄色い声援の夏本番が一番です

南峰巻き道から岩峰群を振り返る 右側を巻いてきた

南峰の北肩に出たら東側の視界が一気に広がってくる 覗き込めば垂直に切れ落ちた断崖絶壁

何時崩落してしまってもおかしくない壁沢が地獄谷に落ちている

浮石だらけのヤセ尾根を振り返れば、存在感ある南峰(登れるそうです)が屹立する

先行されている方の話では、年々道が侵食され南壁側に寄って来ているとか

目の前に槍尾根最後のピーク・槍ヶ峰山頂が待っている

槍ヶ峰の向こうのジャンクションから主稜線を北東に辿れば、振子沢の頭・1636m峰、その奥に三鈷峰

ズームをすれば三鈷峰や象ヶ鼻に登山者の姿が見える 今日はユートピアが賑やかだろうな

9時35分 狭い槍ヶ峰頂上(1692m) 歩き始めて2時間5分、思ったより早かった

三脚を構えてしきりに写真を撮られている島根の方は、6時に文珠堂を出発されたそうだ

初めて近くで眺める南壁と槍尾根、その圧倒される迫力を目の当りにして感無量

小さな背中に、大きな感動が溢れている

「ちょっと其処まで行って来るわ」と、グランパが手ぶらでガレ尾根を下って行った

後姿はルンルン気分 すぐ前の小さな尖がりに立っている

少し登ると槍尾根とユートピア方面のジャンクション、左は目の前の天狗ヶ峰を経て剣ヶ峰へ

向こうから剣ヶ峰が呼んでいる 此処まで来れば最高峰を踏まずばなるまい

ジャンクションから右は三鈷峰方面 こちらも切り立った細い尾根が続いている

クガイソウやシモツケソウが咲き乱れるユートピアはまた次の機会に

振り返れば槍ヶ峰が遠くなった、グランマーを一人で待たすのは悪いけど自然と足は剣に向かう

やっぱり大山の醍醐味は主稜線歩き

南側を覗き込めば三ノ沢の源頭部 歩いて来た道はガスの中

天狗ヶ峰から槍ヶ峰間は南側が切れ落ち気が抜けないが、北側は緑が多く安心感がある

槍ヶ峰頂上より、主稜線をズーム

北から槍ヶ峰を撮ると言いながら下って行ったので、ゼリーを食べながらのんびり展望を楽しんでいたのに

ちょっと其処までだと思っていたら、何時の間にか天狗ヶ峰の向こうに立っている

そんな事なら、一緒に行けば良かったわ

あらら、切れ落ちて危なげな所を歩いて、そうじゃなくても最近バランスが悪いのに、心配!

(下山時に気づいたそうだけど、わざわざ断崖絶壁の際を歩かなくても、北側の潅木帯にルートがあったとか)

10時10分 槍ヶ峰から20分で方位盤が立つ剣ヶ峰(1729m)

剣ヶ峰から雲海に浮かぶ弥山を眺める 何時もは弥山から眺めていた剣ヶ峰、今日は感激も一入

今年5月、仙ちゃんが馬乗りになって渡ったというラクダの背も覗いてみたいが、此処でUターン

天狗と槍、二つのピークを繋ぐ吊尾根とそこから切れ落ちる斜面は鹿島槍の雰囲気だ

狭い稜線で、シモツケの赤い花がいっぱいの日差しを受けている

アレッ? こんな所歩いたっけ? 天狗ヶ峰への登り返し

浮石に注意して、狭くて脆い道を一歩一歩慎重に重心移動 冬枯れの季節はちょっと恐怖感があるだろうな

主稜線を彩るオトギリやヤマハハコ

段々ガスが湧き上がり辺り一面乳白色、もうそろそろ帰って来るかなと思いながら眺めていたら

突然 「ハックション」がガスの中に響き渡る、姿は見えないが紛れも無くグランパのくしゃみ(笑)

10時35分 呑気そうに、グランパが帰って来た

10時50分 槍ヶ峰から下山開始

展望が無くなったが、切れ落ちた東壁が見えないのでちょっと気が楽かな

浮石に乗らないよう、慎重にヤセ尾根を下って行く

分岐から下りようとしていたら、朝、駐車場で会った方が此方へ向かって来る

今の時期は、ほぼ毎週槍尾根ルートを歩かれているとか

どうも賑やかなのは苦手らしい、少し行けば、コオニユリが咲いてましたよと教えて下さった

槍ヶ峰沢を見下ろすように咲いているヤマオダマキ(ダイセンオダマキとも言うらしい)を見て

分岐を直進し再び稜線に出る 少し下ると、危なげな所にコオニユリが咲いている

11時25分 ガスに煙るとんぎり頭を眺め、槍尾根と分かれ下って行く

足場の悪い急坂は登るのもしんどかったけど、下るのも大変

転びそうになって、思わず傍のシシウドを掴んだら、「ポキン」 (オイオイ)

折角これから咲くところだったのに、ゴメンナサイ

12時15分 あ〜ぁ、疲れた、此処まで下りて来れば後は広い河原を下って行くだけ

ケルンで一休み、残念ながらガスが垂れ込め、稜線は見えない

治山工事用道路を歩き 12時45分 駐車場に帰って来た

今日は、スリルに富んだ稜線、槍ヶ峰頂上から目の前に迫る大山南壁 

 それと何より、沢から稜線までの斜面に咲き誇る夏の花たちをほぼ二人占め

人気の大山にまだこんなルートがあったんだ 大山の魅力また一つ発見でした

やっぱり大山は奥が深い、次はどんな発見があるのか楽しみ〜

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