2011年09月23日  ”豊後富士・由布岳”

湯煙を見下ろす双耳峰 大展望のお鉢巡りの後は湯布院へ

GPSによるトラックログ(カシミールソフト使用) 
「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び
数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。」(承認番号 平18総使、第582号

 

正面登山口(8:15)〜(8:55)飯盛ヶ城〜(9:15)合野越(9:30)〜(10:45)マタエ(11:05)

〜(11:30) 西峰〜(12:35) 東峰〜(13:00) マタエ (13:10)〜(14:00) 合野越 (14:15)

(14:50)防火帯分かれ〜(15:30)西登山口金鱗湖〜(16:40)湯布院駅 8時間25分

朝霧といで湯の町・湯布院の背後に聳える由布岳は、その端正な姿から豊後富士と呼ばれている

姿はこの上ない美形、イケメンは好きだけど、ちょっと「相性の悪い山」

今まで2度トライしたが、1度目は季節外れの春の大雪、トレースの無い深い雪に100歩でギブアップ

2度目は小雨の中まずまず順調に高度を稼いだが、マタエで吹き飛ばされそうな大風

お鉢巡りどころか三角点(西峰)も踏んでいない 由布岳はお鉢を巡ってこその名峰です

ということで、はたして今回は三度目の正直となるか? 2度あることは・・・とも言うし、天気予報をチェックして

登山靴を履いて、八幡浜発0時20分のフェリーに乗船、別府に向かう

三連休前夜の為か客室は一杯、横になるが足は伸ばせない おまけに宴会の声が耳につく 完全に寝不足〜

7時09分のバスに乗り、8時07分由布登山口着 バス停横の駐車場には既に沢山の車が停まっている

8時15分 正面登山口(770m)を出発 今日は台風一過、文句無しの日本晴れ

由布岳に登る前に、先ずは気になっていた左の飯盛ヶ城に向かう メインルートとほぼ並走する草道を進む

ススキが靡く緑の道をルンルン気分で歩いて行く

正面にはトロイデ型というよりコニーデ型の本峰が秋空の下に屹立している

豊後富士の名を欲しいままのその姿は、古くは万葉集に「木綿の山」(ゆふのやま)と詠まれている

娘子らが 放りの髪を、由布の山 雲なたなびき 家のあたり見む

思ひ出づる 時はすべなみ 豊国の 由布山雪の 消ぬべく思ほゆ

背の低いカヤに覆われた斜面はなだらかそうに見えるが傾斜はかなりきつい 愛媛の山・鞍瀬ノ頭に登る感じです

8時55分 飯盛ヶ城(1067m) 山名からして、昔山城があったのかもしれない

倒れていた山頂標識を立て直し、記念撮影

鞍部まで急坂を下りてゆく 斜面にそろそろ花期も終わり艶が無いヒゴダイ

樹間に見える合野越では沢山の登山者が寛いでいるのに、此方は貸切状態

鞍部から由布岳を見上げる 帰りはここから左の西(岳本)登山口へ下りる予定

9時15分 正面登山口からの道と合わさる合野越 小休止後、灌木の中一定勾配のジグザグ道を進む

 合野越まで誰にも会わなかったのに、ファミリーから年配の方まで幅広い人たちで急に賑やかになってきた

かなり高度を稼ぎ、灌木帯を抜けると展望が開けてくる 飯盛ヶ城ややまなみスカイラインが遥か下に見える

見上げるとススキの向こうに双耳峰を繋ぐ頂稜が迫ってくる

ジグザグ道が終わり急勾配を一気に登ると 10時45分 東峰(右)と西峰(左)との鞍部・マタエ

両峰に囲まれた凹部が火口跡で「ウバコウジ」と呼ばれているそうだ

おにぎり休憩してからお鉢巡り、切り立った岩縁を辿り西峰、東峰を経て火口を一周する

先ずは、西峰を目指す

岩肌に彩りを添える盛りのヤマラッキョウや、終盤のホソバノヤマハハコ

早速鎖場の洗礼を受ける  2度目(だったと思う)の鎖(右写真)を手繰ると火口壁の内側に出る

正面に大きな岩の壁に突き当たる ハハーン、あれが噂の障子戸か 

ルートは先ずは縦に這って、それから横に這ってと格子状に登るんだな 這う? あれ? 九州にもカニが居るじゃん

鎖も足掛かりも確りしているので慎重に這えばさほど問題は無い

すれ違いざま、1枚撮らせて頂きました 「お気をつけて〜」

真下に湯布院 遠くにピラミダルな涌蓋山が自己主張、九重連山や祖母山が高さを競っている

この時期は目立たないが道沿いには沢山のミヤマキリシマの古木 いつかピンク色のお鉢も巡ってみたい

11時30分 三角点のある西峰(1583.3m) 周りの灌木にも心なしか秋の気配を感じる

西峰からお鉢巡りも本番 急に登山者が減ってくる 西峰からUターンする人が多いのかな?

道は少々藪っぽいがはっきりしている 正面は国東の山々?よく分かりません

小さなお花畑の中を進み 「崩落地立ち入り禁止」の看板を見てススキの中を大きく下って行く

最低鞍部から東峰までの岩場が続く細尾根がお鉢巡り後半の核心部 遠目にはそんなに難しそうには見えません

さぁ鞍部からの登り返し、先ずはゴジラの背の様な岩に跨る

先行の男性二人は一旦左に下って攀じ登っていたけれど、こういう所はマイルート探しが面白い

振り返れば、あれっ? グランパも同じルート取り? 後方は先程立っていた西峰

岩尾根を登ったり下ったり四肢フル稼働 故郷の二ツ岳・峨蔵越から頂上への稜線によく似ている

前後に何人か歩いているが、皆んな同じ方向(時計回り)

日当たりは良いが藪に隠れた踏み石が湿っていておまけに急坂なのでよく滑る

正面の大きな矢じりの様な岩場の取り付きで格闘するグランマー 手足が届いているんかなぁ?

(心配するんだったら、写真なんか撮らずに後ろから押してよ!)

岩場を過ぎ振り返れば、グランパが奇妙な格好をしている なにもそんな所をヨコバイしなくてもいいのに

未だにカニに拘っているの? そろそろ頭を切り替えたら〜 私は左側を歩いたわ

東登山口からの道に合わさると東峰はもう目の前

12時35分 沢山の登山者で賑わう東峰 ミヤマキリシマや紅葉の時期は踏み場が無くなる程混雑するのだろう

東を見れば直ぐ前に鶴見岳、別府の市街地は鶴見岳に隠れている

お猿さんで有名な高崎山の向こうに大分市街 遥か沖には、薄っすらと四国の山

お鉢巡りのスタート地点マタエに向け急坂を下って行く 西峰程のスリリングな箇所は無い

マタエで小休止後来た道を下る 大汗かきながら、まだまだ沢山の人が登って来る

2時 合野越 みんな、正面登山口に向かっている  西登山口へ下りる人は居ないのかなぁ

大休止の後、湯布院に向かって下り始める 飯盛ヶ城との鞍部を右にとり広い石ころ道を西登山口へ向かう

最初はススキが茂っている所もあるが、間もなく刈り払われた広い道(防火帯)になる

ススキが風に揺れ銀色に輝いている 振り向けば、おにぎりの様な飯盛ヶ城

小さな沢を渡り鞍部から15分程で西登山口(左)への道標が立っている

恐らく正規の登山道だろうが、草がうるさそうなのでそのまま真っ直ぐ防火帯を進む

それにしてもこの道は人気が無い、前後に一人として登山者の姿は見えない

左写真の植林が左に大きくカーブしている辺りが防火帯との分かれ(西登山口への入口)地点だろう

2時50分 分かれ地点から振り返れば由布岳 目の前には緑の草原が広がっている この辺りが台かな? 

草原の中に道標が見え登山道が上に続いているようだが草が深そう 防火帯を歩いて正解だった

どうも靴の中で親指が擦れて違和感がある、靴を脱ぐと靴下が汗でびっしょり 靴下を履き替え小休止

防火帯と分れて、指標に従い薄暗い植林帯の中へ入って行く

歩き難い所もあるが確りした道をドンドン下って行く 恐らくこの道が昔はメインルートだったのだろう

3時30分 湯布院岳本の西登山口に下り立つ 車道沿いの由布岳西登山口と書かれた大きな案内板に

「コースをよく知らない人は南登山口から登山してください(登山路がわかりにくくなっています)」と注意書きがある

誰にも会わない筈だわ 早速近くのコンビニに飛び込んで、冷たいジュースで喉を潤す

念願のお鉢巡りも出来たし此処からは観光です 連休初日、お天気最高、小さな湯布院の街は観光客が溢れている

湖底から温泉が湧き出している湖・金鱗湖は、竜が住んでいたという伝説が残る

一見、普通の湖だけど、早朝にはモウモウと湯気がたちこめ幻想的な風景が見られる

昔は、由布岳の下にある池と言う意味から由布岳の「由布」を省略し 「岳ん下ん池」と言っていたとか

明治17年大分の儒学者・毛利空桑が池のそばの露天風呂「下ん湯」から眺めていると

湖面を飛びはねた魚の鱗が、夕日に映えて金色に輝くのを見て、金鱗湖と名づけたそうだ

蛇足ながら、今も茅葺屋根の「下ん湯」(200円)は営業中、但し混浴です

観光客に交じって温泉街を抜け、4時40分 JR久大本線(愛称 ゆふ高原線)の湯布院駅着

駅前から見上げれば、独特の形の双耳峰が威圧感を増して迫って来る

今日は別府の湯の予定 急いでお土産を買い、5時05分発のバスで賑わう湯布院を後にする

別府駅前で食事をして、フェリー乗り場近くの市営北浜温泉テルマスへ 本場のお湯でほっこりでした

温泉のすぐ側に立つ一本の標識 実はこれが気になっていたのです

海抜ゼロメートルから標高1375メートルの鶴見岳山頂を目指す「べっぷ鶴見岳一気登山」

毎年4月第二日曜に開催され参加者も3000人位 歴代記録は1時間11分27秒だとか

無謀にも、このコース+鶴見岳〜由布岳〜湯布院を考えていたが寝不足で早々に予定変更

でも変更して良かった 由布岳だけでもかなりの疲労感

鶴見岳から由布岳を眺めるだけで終わったのは間違いない 2度あることは・・・・にならなくてよかった

別府発20時50分のフェリーに乗る 乗客は少なく八幡浜入港のアナウンスで目が覚める

港から1時間40分 あぁ〜あ、長い1日だった

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