2011年11月27日 ”八丁への道”
たまにはこんな山歩きも ピークを踏まない石鎚山古道歩き
トラックログはイメージ図です |
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登山口(7:25)〜(7:40)野地〜(8:40)岩原〜(9:15)刀掛(9:25)〜(10:45)八丁(10:55) |
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〜(11:20)成就(11:50)〜(12:00)西之川分岐〜(13:25)野地〜(13:45)登山口 (6時間20分) |
「小雪」も過ぎ、四国地方も高い山から霧氷の便りが聞こえ始めた
紅葉が一段落し霧氷見物といきたいが、今日の予報は気温が高過ぎる
ならば何処にしようか? 選択肢が狭い季節の到来です
そんな中、未だ歩いたことの無い石鎚古道、刀掛から八丁に落ち着いた
八丁からは成就経由で西之川に下るか、土小屋への道を十字路まで行き刀掛経由で往路を下るか
その場のフィーリングということで、加茂川沿いの紅葉を見ながら西之川へ
道中ふと頭をよぎる「今日は、ピークを踏むの?」・・・・・いいえ
ピークを踏まない登山なんて、ノンアルコールビールみたいだけれど のんびり古道歩きも、まぁいいか
左写真の石段が登山口 手前右の廃林道に駐車、他の車は無し(左の車は地元の方のか?)
7時25分 西之川登山口を出発 普段でも登山者が少ないこのルート
御塔谷の紅葉も終わっているだろうから、今日は寂しい山行になるなぁ
道標に従い廃屋の間を抜け振り返ると、滑り台の様な急崖を彩る紅葉が集落を暖かく包んでいる
うっと暗い植林の中、20分程で野地 綺麗に積まれた石垣の間に成就への道(右)が分かれている
「まむし注意」の喚起板を見ると胸がドキドキ、もういないだろうが文字から姿をイメージしてしまう・・・困ったものです
御塔谷左岸をほぼ水平に進むと、沢音が大きくなり鉄橋に出会う 渡り口には「スズメ蜂注意」の喚起板
天狗岳に落ちた無色透明な一滴も、塊となって岩を落ちれば白くなり、淵に澱めば青くなる
滝の近くには何かを語りかけてきそうな一体の石仏が置かれ、古道の雰囲気を醸している
御塔谷右岸に渡り、植林の中に付けられた沢床の様な道や、整然と敷き詰められた石畳の道を進んでゆく
上から転げ落ちてきそうな大岩が点在し、雨宿り出来る大岩を過ぎると岩原
垂直にそそり立つ究極の大岩に寄り添うように道標が立つ 此処から土小屋への道(左)が分かれている
水平道を進むと沢音が聞こえ出し、再び御塔谷に架かる鉄橋を渡る
大岩の間の短い木橋を渡り、河原に出て少し(50m位)進めば道標がある
此処から刀掛への登り 岩壁の縁の狭い道を喘ぐ 左は急崖、雪が乗れば神経を使う所だ
壊れかけた木段やロープを頼りに急坂を登り詰めれば、刀立王子社が立つ刀掛に出る
風が吹き上げて来て少し寒いが、お腹も空いたのでサンドウィッチ休憩
真っ直ぐ急坂を下れば、御塔谷を遡行して十字路・天柱石だけど
今日は八丁を目指して右折、此処からの道は未知の道 ワクワク
今日は橋は乾いているがそれでも慎重に、橋の向こうには急坂が待っている
辺り一面落ち葉が敷き詰められ少しルートが分かり難いが、そのうち鉱山のズリや石垣が見えてくる
刀掛から10分程で野地鉱山跡 ズリ越しに眺める瓶ヶ森(1896m)
鉱山の少し上に水量が少ない滝 この滝で鉱夫たちは汗を流したのだろうか?
滝から10分程頑張り高度を稼げば、あとは1363Pを巻く様にほぼ水平な道が八丁を目指している
何度か木橋を渡れば、冬枯れの木々の間に石鎚が見え隠れする
橋の無い沢を渡り足を置こうとしたら、握り拳の倍ほどもありそうな大きなガマが眠っている
カサコソ音をたてながら落ち葉を踏みしめて歩いてゆくと、やっとブナが現れ出した
何時までも歩いていたい快適なブナの道、終わるのが何だか勿体無いわ
ルンルンで歩いていたら、弥山にかかっていた雲も薄くなり、鉛色した初冬の石鎚が全容を現して来た
本当に何処までも続く長い道だったけど「左土小屋」の道標が見えると、すぐ目の前が今日の目的地「八丁」
歩き始めて3時間20分、表参道に合流 今日初めての登山者に会う
八丁坂王子社の側のベンチに腰掛けて、さて此処からどうしようかと考えていると
美味しそうな鰹だしの香りが風に乗って八丁坂を下りてきた(ような気がした)
十字路までの道の状態が分からない上に、また御塔谷を下るのも寂しいし、足は自ずと成就に向く
石鎚山遥拝の鳥居を潜り振り返る あれ? 何時の間にか新しくなっている
冬枯れの大ブナが林立する表参道は兎に角明るい 高速道路の様な広い道を成就目指しゆっくり上がってゆく
11時20分 神門を潜り成就社(石鎚神社中宮社)境内に入る 先日の雪が残る本殿と拝殿に参拝
拝殿(右写真)には早くも来年の干支・「辰」の大絵馬が掛けられている
匂いに誘われ白石旅館で暫しうどんとおでんタイム 充分満足する味でした
11時50分 ほかほか温まりお腹もいっぱいになって成就を後にする
今日は時間もたっぷり何処かにピーク(三角点)は無いものかと、大鳥居を潜り右の第二園地を歩いてみる
小高いピークに三角点の代わりに、あれー、王子社(鳥居坂)が・・・新たな発見でした
木々の間からロープウェイ山頂成就駅方面が見える 燧灘も薄っすら、まぁまぁいい天気じゃない
雪が残る急坂を下り表参道に飛び出すと、杖立王子社が立っている
表参道から分かれ、西之川への道に入る (3.7kmだけど、かなり下りた所に4kmの表示板があったが?)
最初はブナ等自然林の中の快適な道、そのうち植林帯の急坂になる
数年前に歩いた時、ギンランが咲いていたのはこの大岩辺りだったかな?
それにしても、これほど展望の無い道も珍しい
分岐から野地(右写真)まで標高差約800mの間、開けた処は一箇所も無い 本当に無いんです
展望がよければ、正面に瓶ヶ森を見ながら下りる快適なコースなのだろうに残念
野地からは今朝も歩いた道 廃屋の間を抜け西之川登山口を目指す
この辺りの渓谷を彩る紅葉は丁度見頃 急いで下りるのは勿体無い 河原に下り、暫し残り少ない秋に浸る
1時45分 西之川登山口に帰って来た
登山口直ぐ横の大宮橋は、昭和2年に完成した開腹式とよばれるアーチ橋で、推奨土木遺産に認定
落ち葉の降り積もった谷を跨ぐ優しい曲線に設計者の情熱とロマンが漂っている
今日は表参道では何人かのハイカーに会ったが、それ以外誰にも会わない静かな山行でした
勿論、紅葉も終わったこの時期に御塔谷を歩く物好きはいないだろうとは思っていたけれど
以前から気になっていた刀掛から八丁への道は 静かさが相俟って懐古に浸ることが出来ました
今日は、ちょっと物足りない気もするけど、たまにはピークを踏まない山歩きもいいものです
私たちの山歩きの原点(ゴールでもあるかな?)はロマンと好奇心
役ノ小角が、深田久弥が、何を思い何を感じながら歩いたのか? 鉱山で働いていた人々の生活は?
また、八丁から十字路へはどんな道が続いているのだろう? 或いは岩原からツナノ平の道は?・・・
そんな想像心や好奇心が次々湧いて来て、
ふと気がつけば、何時の間にか山歩きがゴールの見えない遊びになってしまっていた