年の瀬も押し迫り何となく気忙しいけれど、登り納めをしなければ新しい年を迎えられない
雪の山も気になりつつ、大展望の山・虚空蔵山
へ
里近くの展望の良い山は鉄塔の山というのは宿命、山頂まで車道が続いているのは仕方がないが
今日は麓から歩き、山頂に鎮座する丑・寅生まれの一代守り本尊・虚空蔵菩薩に今年一年のお礼参りです
それからもう一つの目的は、下山後の年越し○○○・・・・蕎麦ではありません 愉しみです
斗賀野駅(8:55)〜(9:20)東組登山口〜(10:20)紫折峠〜(10:35)鉾ヶ峰寺(11:00)〜(11:30)虚空蔵山頂
三角点(12:10)〜(13:15)白水の滝(13:25)〜(14:05)斗賀野駅 (5時間10分)
8時55分 斗賀野駅を出発 お天気が好い分冷え込みも厳しく手が痛い程 南国高知ってこんなに寒いの?
麓から虚空蔵山に登るのは初めて、さて鉄塔
が目印の本峰は何処かな?
線路を渡り、斗賀野駅を見下ろすと、山間の小さな集落の日常が既に始まっている
線路の奥に、今春登ったもう一つの鉄塔の山・蟠蛇森が手を振っている
棚田が広がる長閑な田園風景を眺めながら車道を歩き、斗賀野駅から25分ほどで東組登山口
ガイドブックでは此処が登山口だけど、標識も無く登山道に入るという雰囲気じゃない
振り返れば、ウワー、笹ヶ峰やチチ山が真っ白!
輝く雪嶺を見ると、やっぱり雪山にすれば良かったかな〜と、心が揺れるが 何をいまさら そんなこと言ったら菩薩様に怒られます
ブルーのネットの間を進み、突き当りを左に折れると直ぐ「山と野原の会」の小さなプレートの標識がある
畦道を少し遠回りしたものの、里山にしては案外すんなり登山口が見つかった 入口は少し藪気味だけど、直ぐ確りした道になる
本線に乗ればもう大丈夫と進んで行くと、アララ「とうせんぼ」 見落としそうな所ですが、左に道が続いています
高度を上げるに連れ、木々の間から時折覗く石鎚山系の白い稜線が東西に長くなって来る
植林の中をトラバースして行くと、微かな水音が近づいて来た
水場を渡って直ぐ白水の滝方面への道(下山に使います)を左に分け、大岩が転がる九十九折を登って行く
竹が混じる植林の薄暗い道を進んで行く 前方が明るくなって来たと思ったら、車道に出る
車道を横切り、草原状の緩斜面を登って行くと「わんぱく広場」の広い駐車場 さすがに今日は1台も停まっていない
「わんぱく広場」は、一大レジャーゾーン キャンプ場、バンガローやフィールドアスレチック、立派な天文台まである
この辺りは 「覆輪ササユリ」が咲くらしい、こんなに手近で見られるなんて、花好きさんには堪りません
遊歩道や車道を歩いて「わんぱく広場」を抜け 10時20分 紫折峠に着く 此処から右の登山道に取り付けば虚空蔵山頂上
山頂へ行く前に、500m程先の鉾ヶ峰寺に向けて車道を直進する
15分ほどで林の中に佇む鉾ヶ峰寺 東面は開け土佐市の街並みや遥か遠くに剣山系の山々が真っ白に光っている
「
毎春彼岸の中日に大祭が行われ、以前は斗賀野、戸波(土佐市側)の両登山道は、終日アリの行列のように参拝客で賑わった」そうだ
境内の狛犬が見下ろす参道靜神線はと言うと、まぁ、転げ落ちそうな急な石段!おまけに荒れ果てて歩き難そう
ちょっとの積りが、何処まで続くんだろうかと思って下りている内にとうとう取り付きまで、登り返しが大変でした
ヤマガツオさんの言う通り、かなり足の鍛錬になりました
紫折峠まで引返し頂上を目指すのに、先ほどの石段遊びが効いてきてしんどかった〜
急坂を頑張り車道に飛び出せば、其処はもう鉄塔の建つ頂上、やれやれ
先ずは、頂上に建つ展望台に上り真っ白な笹ヶ峰、チチ山、冠山、平家平に大歓声
雪の山は登って良し、眺めて良し、遊び心がくすぐられます
頂上に鎮座し、柔和なお顔で大宇宙を見つめる虚空蔵菩薩
此処、虚空蔵山は伝説の山 二千二百年前の壮大なロマンに満ちた蓬莱山伝説が語り継がれて来た
秦の始皇帝が不老長寿の薬を求めて日本の蓬莱山に遣わした一行が、暴風雨に遭い宇佐浦に漂着し虚空蔵山に登り
山頂で鉾をかざして故国を偲び、柴を折って一夜の夢を結んだが仙人には会えずむなしく帰国したという
ガイドに書かれた紫折峠(しおりとうげ)、しばおり→しおりと縮まったんだろう 紫は元々は柴だったんだ
虚空蔵菩薩は無限に尽きることのない福と智を蔵し、大空にも等しく広大無辺の慈悲を表す菩薩だとか
「今年一年、無事に過ごせ楽しくお山にも登れました。ありがとうございます」
南には勿論、雄大な太平洋 山国四国といえどもこれほど間近に太平洋を眺められる山はそんなに多くは無い
眼下には横浪半島や須崎湾 遠くは室戸岬や足摺方面までもぼんやり見える
虚空蔵山は10数年前登ったことがある・・・実は車で こんなに素晴らしい大展望だったなんて、記憶に薄い
恐らく前回はスタンプラリー気分 今日は虚空蔵山の隅々丸ごと体感、西のピークにある三角点に向かう
車道を少し歩き、三叉路を右へ進むとすぐ左手林の中に石鎚神社の鳥居が立つ
石鎚といえば、勿論オクサリ 本家には敵わないが大岩に10m程のスリムな鎖がかけられている
虚空蔵山もかつては修験の山だったそうだから、その名残だろうか 早速、オクサリを懸ける
腕力を頼りに鎖を手繰って攀じると、石鎚大権現さんが祀られている岩の祠が有る
祠から少し西へ進むと、電波塔に囲まれた林の中に虚空蔵山三角点(674.7m)
(鎖を登らず、鳥居前から車道を進んでも三角点には行けます)
電波塔の建つ日当たりの良い南面で、展望を楽しみながら暫し休憩 毎度の簡単な食事を終え、来た道を引き返す
水場手前で右折(道標は無い)、白水の滝方面へ 直ぐに大岩が行く手を阻むように立ちはだかる
でも、大丈夫 大岩の間をすり抜けるとしっかりした道が続く
指標に従い登山道を逸れ、白水神社の鳥居を潜ると、一面に敷き詰められた銀杏の葉
水音が聞こえ出したと思ったら、白水神社の背後で一筋の白い帯が流れ落ちている
マイナスイオンを全身に浴びながら、コーヒータイム
滝から引き返し下って行くと、整然と積まれた石垣の道 20数年前は田畑だったのだろう
水路を勢いよく流れる水音を聴きながら、美味しい野菜やお米を作っていた頃に想いを馳せる
登山道から、舗装された農道終点に出る
斗賀野駅はもっと左の方角かなと、大平集落を見下ろしながら歩いていると、道端に「斗賀野駅方面」と書かれた指標
少し足下が茂っているけれど、近道、近道と斜面を下って行く
下り始めて5分もしない内に「虚空蔵山登山口(頂上まで1時間50分)」と書かれた標識が立つ車道に出る
橋を渡って登山口(右写真の竹林の中)を振り返ってみたが・・・初めてだと、この辺りちょっと分かり難いかなぁ
かつて地元に貢献した「斗賀野製紙工場の門柱」と「顕彰の記念碑」が建つ
当時は虚空蔵山麓に蒸気操作の汽笛を谺(こだま)させ、活気に満ちていたのだろう
振り返れば、なだらかな山容の信仰の山が横たわる
長閑な田園風景を楽しみながら、14:05斗賀野駅着 5時間程の周回でした
今日は愉しみがもう一つ 紅千鳥さんに紹介頂いた手打ちうどん「とがの藤家さん」へ
「中盛は多いですよ、本当に多いですよ」と、念を押されるがあえて注文 生憎玉切れで並を頂いたが、それでもボリュ―ムたっぷり
大盛、特盛もメニューにあるけど、どんなんだろう?気になるわぁ・・・あっ、勿論、十分納得のお味でした
今年の登り納めは、山名に魅かれて虚空蔵菩薩が鎮座する大展望の山
歩いてみれば弘法大師から始皇帝まで、低山なれどでっかいロマンがいっぱい溢れる山でした
年越しうどんも頂いたし、これで心置きなく新年を迎えられます
今年一年間、ありがとうございました 来年もまたロマンの山旅は続きます
歩いた道 ホーム