2012年01月14日  高 瀑(たかたる)

落差四国一、冠を頂く神の滝


駐車地点(9:10)〜(10:00)登山口〜(10:55)丸渕〜(11:40)(12:20)〜(13:30)登山口〜(14:20)駐車地点 (5時間10分)


もう十数年前になるだろうか、高瀑へ行きかけたものの上がって行くに連れ雲行きが怪しくなり

おまけに熊かと見紛う大猪に遭遇し、林道途中で引き返したのは

おじょもさん情報では「今がチャンス」だとか、天気もそこそこ良さそうなので迷わず決定

諏訪神社を過ぎ、折掛石鎚線に入った途端、ガタン、ゴットン車が左右に揺れる

こんなに凸凹道だった?と思いながらも一路登山口を目指す、前回Uターンした辺りに来ると雪も現れ出した

情報では、林道終点まで問題無く行けそうでしたが、何と言っても我が家の車は軽量

ガードレールも無い急崖の雪道は帰りが心配なので、手前の広い路肩に停めて歩く事にする



歩き始めて15分ほどで、雰囲気の良い素掘りのトンネル(十ケ岳・とうがたけトンネル)が現れる

鞍瀬の北方稜線に聳える山々を見ながら、掘割状に切り開かれた岸壁の間を抜けて行く



段々雪が多くなって来た こんな道の下りの運転は心配、やっぱり歩いて来て良かった

小一時間ほど歩き身体も温もり出した頃、登山口着

滝までの遊歩道が整備されていた頃はかなり賑わっていたのだろう、広場には休憩舎やトイレも設置されている



登山道に入って直ぐ渡渉、左岸へ  こんな所でドボンでもしたら、冷たくてかなわんわ

それより、水量の多い時期は渡れるのかなぁ? 登山道には要所に指標やテープがあり有り難い

続いての渡渉箇所はトラロープが渡されている  滑らないように慎重に石の頭を拾ってゆく



日差しが無いので滑らかな谷底の色目が分かり難いけど、何とも不思議な色合いの「赤のべら」  「白のべらもあるらしい

「ヨッコラショ」 梯子にもう一段あれば、すんなり登山道に移れるんだけど・・・手足を伸ばせって、それは無理よ



登山道は断崖の上を高巻きするするように付けられている 削られた岩の庇が下の廊下のような雰囲気です

渓谷を覗き込むと、龍が棲んでいそうな青黒い淵が大きな口を開けていて不気味な感じ、此処が「のぞきの滝」かな



先程通った下の廊下みたいに谷側に鎖があると、切り立った横駆道も心なしか安心だけど

新雪を踏み込むと足場が流れるので、しっかりトラロープを掴み山側にエッジを効かしながら歩く

対岸の分厚い氷柱はほんの序章か、念願の高瀑に胸が高鳴る

文化14年(1817)、小松藩の儒学者・近藤篤山(現四国中央市出身)と同行した荒木黙翁の道記に拠れば

「上り下りの坂道思いしよりも険しくて、巌を伝ひ、木の葉をわけ、しらくちという蔓を渡し、それをよすがとして登る

その危うきこと言葉にものべがたし。桟の数百三十に余り、階子四五所もあらん。」

(「愛媛の山と渓谷 中予編」 愛媛大学山岳会編より抜粋)

かなり昔から登られているんだなぁ 修験道の行場だったのかな?

近年、遊歩道を整備した名残もあるが、渓谷沿いの道は荒れ易く維持していくのは難しそう



梯子を下りコンクリートの橋を渡れば、直ぐ丸渕

危なげな絶壁に付けられたトラバース道を見上げると、先行されている方が慎重に歩を進めている

此処からはこのコース一番の難所、アイゼンが要りそうじゃねぇ



アイゼンを付けようとしている所へ到着されたお二人と、丸渕を見ながら暫し談笑

さあ、足拵えも出来たし準備万端、と言っても未だに6本爪なんですが、ルンゼ状の急崖を登って行く

登りながら、シリセードにうってつけの急坂だわと横目でチェックも怠りません(笑)

それにしても、新雪が乗っている急坂は歩き難い



弛んだトラロープは注意 弛み具合を確認しながら一歩一歩慎重に進んでゆく

突き当りの梯子を上がり振り返れば、雪と霧氷でお洒落した西ノ冠岳のドームが天を突いている

高瀑の西側を巻いて西冠コルまで攀じ登って行く薄い道があるそうだけど

今日の西冠は「登れるものなら登って来い」とでも言いたげな威圧感がある

 

難所を過ぎ、雪深い渓谷に下り立った所でやまさんたち3人と嬉しい出会い

ヘルメットがちょっと照れくさそうなきぬさん、よく似合っていましたよ〜

三人の晴れやかなお顔を拝見するに、余程素晴らしい氷瀑みたいです

「此処から一緒に滝まで引返しませんか〜?」なんて話している所へ、先程お会いしたお二人

あらー、やまさんたちのブログ仲間「自然の中で〜」の管理人kumutomatoさんでした

高瀑の落ち口を遠目に見ながら枝沢を詰め、天狗の子育て岩横の急坂を一頑張りすれば待望の氷瀑が待っている



前面が開けたと思ったら、氷の塊が迫って来るではありませんか!

神無月の頃訪れた荒木黙翁は「天川をせきくだすかと誰も見ん、雲の上より落つる滝つ瀬・・・」と

今日は、黒い釜の底から、白龍が冠に向かって這い上がっている 西日本一の山に相応しい巨大な氷のオブジェです

落差132mの氷瀑、あまりの見事さに喉が渇いていたのも忘れて思わず雪原を走り出していました



薄暗い谷を照らすブルーのシャンデリア、妖しいまでの美しさです みんなを虜にしてしまうのも肯ける

人生の師・M先生に、青空に輝く氷瀑の写真を見せて貰ったのは何年前の事だったろう

黒茶の故郷・石鎚村を訪ねようとして高瀑登山口まで来てしまい、急遽予定変更

靴に荒縄を巻き雪塗れになって滝まで行った話を、楽しそうにして下さったのが懐かしい

 

右から、左から真正面から、何処から見ても気高く、この世のものかと目を疑うほどに神々しい

思わせ振りな青空が覗くが、空一面の青空は無理かな? 先週の青空を半分、残しておけたらと・・・

三脚を構えている常連さんの話では、日に輝く滝を見るにはもうちょっと辛抱が要るらしい

待っても青空が広がるかどうか分からないし、 皆さんに挨拶をして、滝を後にする



あれ、こんなに危なげな所を登って来たのかしらん

下りは、嫌でも深い谷が目に入るので登りより慎重になる

こんな場所のトラロープはあくまで補助、ピッケルを打ち込みバランスを取りながら進んで行く



登りでチェックしておいた急坂には立派なシリセード跡が・・・誰も思うことは同じですね

勿論、二人とも雪塗れになって一気に滑り下りましたよ〜

難所を終えたところでアイゼンを外し、足取りも軽く登山口に帰って来た



登山口から駐車地点までは、小一時間の林道歩き

気温が上がり、車道の雪はかなり弛んで来ていたので、結果的には車での下りも問題無かったが

道沿いの大きな氷柱や猪の掘り返した痕にびっくりしたり、可愛い足跡の横に自分の足跡を並べてみたり

途中、「乗りませんか」との親切に感謝しつつ、景色を眺めながらのんびり林道歩きも楽しんだ

前方に三ヶ森が近づき、林道脇でちょこんと待っている愛車に 「待たせたね〜」



深い雪に閉ざされ物音一つ聞こえない山奥で、優美な、しかし儚い氷のドラマが演じられていた

立春の声を聞く頃になると、氷が砕け落ち渓谷に春の音が木霊するのだろう

 西日本一の氷瀑(と言っていいと思う)を抱く霊峰石鎚山 

今日は、他のシーズンとは異なる迫力を目の当たりにして、改めて石鎚の底力を実感した



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