土曜日は、一日冷たい雨
さて、気になる明日の天気は?いくら空を眺めても仕方無い、雨ならのんびり散策でも・・・
明け方、星が輝いている!この分だと半日くらいお天気が持つかもと、支度して高越山を目指す
今日は穴吹駅から出発して高越山に登り、山川に下山、JRで穴吹に帰る周回予定です
ところが、穴吹駅周辺に駐車出来る場所が見当たりません、少し走って穴吹川の土手に車を停めて出発
駐車地点が標高40m、標高差約1100m 里の山といえども侮れません 気合が入ります
昨夜は雨の心配をしていたのに、思いがけず薄っすら青空も覗いています
穴吹から登るのは初めて、さて麓の集落を迷わず抜け、上手く登山道に乗れるでしょうか?
穴吹川に架かる新市場橋を渡りながら行く手を見上げると、雲の上に高越山が頭を出している
直ぐの支流手前を左折し車道をどんどん上がって行く(途中1箇所車道の分岐は左へ)
歩き始めて20分弱で、また分岐(右写真) 此処は右の上谷方面へ
路傍に建つ常夜灯、「きっと参拝道の名残よ」とよく見れば「左高越寺」と刻まれている
左折し緩やかに登って行くと、少し荒れた山道になり舗装路に出る
舗装路の左側は四国カントリークラブのゴルフコース、どうりでOBボールがたくさん転がっていた筈だ
車道に出て、ゴルフ場沿いに暫く行くと法面に「高越寺」の指標がある 指標に従って右の林道へ
歩き始めて1時間弱、林道脇に「高越寺3,3km(徒歩約2時間5分)」の指標が立つ、杖の心遣いも有り難い
此処からがやっと古道の雰囲気の残る登山道 道沿いの立ち枯れた山桜の巨木が痛々しい
朝食中だったんだろうか、鹿が「ケ〜ン」と一鳴きして、前方を走り去る
登山道傍らに二十五丁の丁石が転がり、参拝道らしい雰囲気
登山道は高越山から北西に落ちる尾根に付けられている 展望は無く、一定勾配の単調な道をどんどん高度を稼いで行く
大きな石が転がっている所で小休止 石を見ていて「高越山と大滝山のけんか」の民話を思い出した
その昔、大滝山とケンカした時に飛んで来た石かもしれんねぇと話している所へ、ソロの男性が追い付いて来た
穴吹の方で、何時もこの道をピストンするが、あまり人には遭わないそうだ
「お先に〜」と言ったかと思うと、軽快な足取りであっという間に姿が見えなくなった
884mポイント近くに九丁石、あと1km程頑張れば高越寺
苔むした六丁石が古道の雰囲気を醸し出し、辺りには薄っすら雪が現れ出した
女人結界門跡で、山川からの参拝道と合流
赤門と呼ばれるレンガ造りの門柱の手前に「右奥川田、左高越寺」と刻まれた小さな石柱が立っている
初めての穴吹参拝道、思っていたよりは確りした道だった
此処からは何度か歩いた道 赤門を抜け、鳥居を潜り静かな参道を進んで行く
気温が高く、杉の枝に積もった雪が解け出し、バサバサとまるで雨の様に落ちて来る
ヤッケを頭から被り、落ちてくる雪を凌ぎながら石段を登り山門を潜る、何とまぁ、素敵な青空〜
半日くらいでもお天気が持ってくれたらと下山は雨も覚悟で登って来たのに、思いがけず好い天気
天智天皇の時代に役の行者が開基したという高越寺にお参りして、山頂を目指そうとしたら途中で追い抜いた方がもう下りて来られた
「剣山も見えていますよ〜」 「まぁ、嬉しい〜♪ ありがとうございます」と、頂上を目指す
大展望が待っているので気は急くけれど、今日の楽しみは古の参拝道・穴吹道を歩くこととそれからもう一つ
高越神社の石段前に聳える大杉のウエスト 以前から気になっていたので今日はメジャーを持って来ました
と言ってもこんな場所にあるのでメジャーは後ろまで回せません、何とか半周を測ると4m30cmでした
御年300歳以上と言われる高縄山の千手杉が8mですから、「やっぱり、でっかい!」
高越神社の裏にある一等三角点(1122,0m)
三角点から数分、ブナの道を歩けばお大師さんが立つ高越山頂上(1133m)
此処は阿波修験道発祥の地、高越寺にはお大師さんが彫ったと伝えられる千手観音像も祀られているそうだ
段々ガスが晴れ真下に四国カントリーが現れた、吉野川を挟んで
脇町、その奥の讃岐山脈は未だ雲が残っている
奥ノ院方面に少し進んで南を見れば、剣山系がくっきり〜 ず〜と右の一際白いのが牛ノ背かな等と、のんびり山座同定も楽しい
踏み跡もあるし奥ノ院まで足を延ばそうかなとも思ったが・・・何となくUターン
歩幅の狭い石段に乗った雪が踏まれて固まり、歩き難い
山頂から20分程で赤門、朝歩いた穴吹参拝道を左に分け山川へ向けて直進
すぐ下に女人堂跡があり、残骸の中に風呂桶も転がっている
今日は思いのほか天気が好くなったので、皆さん遅めの出発だったのか、ぼつぼつ登山者に会い始める
山川に向け下ってゆく、こちらも穴吹コースと同じく展望の無い一定勾配の単調な道
そうは言ってもここは参詣の道 目で見る展望は無くても、参詣を終えた人々の心の中にはきっと明るい展望が広がっていたのだろう
登山口までの中間点・中ノ郷手前で吉野川や市街地が見下ろせる 低い雲が退き讃岐山脈もすっきり〜
登山道の傍らに七人塚を護るように立つ マテバシイの巨木、中ノ郷の主だろうか?
万代池はスケートリンク状態、分厚い氷も弛みそうな暖かい日差しを浴びながらベンチに腰掛けコーヒータイム
何時までものんびりしていたい気分だけど電車の時刻も気にかかる、中前寺の
鳥居越しに山頂を見上げ中ノ郷を後にする
丁石や道標を見ながら掘割の広い道を下って行くと舗装路となり、やっと山川の登山口に下りて来た
車が2台停められた駐車場で、泥んこになったスパッツを外しながら小休止
立派な石造りの鳥居を潜り暫くして、畑の中に井上城址の碑を発見
説明板に拠れば、宝徳3年(1451年)細川常有が築城した館城・川田城が、変遷を経て井上城となったそうだ
背後には信仰の山・高越山、そして川田川や御屋形谷に護られた城下町が広がっていたのだろう
歩けば其処かしこで大発見、大発見とはちょっと大げさかもしれないけれど、普段何気なく見過ごしていたものが見えるのは嬉しい
井上城址から少し東に進むと、集落の中に大木が見えたので覗いてみると、一本の大楠が
緑の杜を創っている
説明板に、吉野川市指定天然記念物「井田の大楠」 樹齢700年、樹高24m、幹回り8,1m と書かれていたが
享保7年(1722)の棟札が残る井田神社の境内は、祭神の猿田彦命が今にも現れそうな
雰囲気でした
寄り道していたら中々ゴール
出来ないけれど、振り返れば益々阿波富士と呼ぶに相応しい器量になった「オコーツァン
」が見送ってくれている
川田川を渡り美郷へ抜ける旧街道を歩いていると、「オコーツァンかね、雪がようけあったろう」と、地元の方から労いの言葉もいただき
何とかJR乗車予定の30分前に山川駅に到着 2時46分発のJRに乗り終点穴吹駅へ
さぁ、あと2km程、車を停めている穴吹川土手まで一頑張りと駅舎を出れば、目の前にタクシーがドァを開けて待っている
顔を見合わせた軟弱部隊は「お願いします」と、車内に転がり込みました
地元の方が朝な夕な見上げる信仰の山は
、秀麗な姿の高越山
古の穴吹参拝道、山川参拝道を歩き、麓の歴史にも触れ、オラが富士丸ごと体感でした
「オコーツァン ありがとう!」
歩いた道 ホーム