2012年03月03日 猫山〜大高見峰

天狗と西行伝説に誘われて、春まだ浅い”たかんぼさん”から法師越


ログはイメージです

金剛寺(8:50)〜(9:40)金山神社〜(10:00)猫山〜(10:15)コル〜(10:40)阿弥陀越(10:55)
(11:25)小高見峰〜(11:40)大高見峰(12:00)〜(12:30)法師越〜(12:55)金剛寺  (4時間5分)



崇徳院と西行について調べていると興味ある地名が目についた 満濃町にある法師越

その昔、西行法師が越えたのでこの地名がついたそうだ

1167年(仁安2年) 西行は崇徳天皇を偲び讃岐に渡って来た 坂出の松山の津に下り立ち、白峯で上皇の霊を鎮め

その後 弘法大師を慕い善通寺で庵を結び数年間住んだと謂われている

法師越界隈は、北側に連なる城山から大高見峰に至る山陵によって平野部と隔てられ静かな里山が広がっている

今日はのんびり、猫山と天狗伝説が残る大高見峰に登り、西行ゆかりの峠道を歩いてみます



国道438から分かれ、三方を山に囲まれた金剛院集落を目指す

集落の中心にある金剛寺は、平安末期から鎌倉時代にかけて栄えた寺院 おそらく西行もここを訪れたに違いない

西行(俗名佐藤義清)は、名門貴族の出身で鳥羽院の警護にあたる北面武士として活躍するも

エリート武士の地位を捨て出家し、諸国漂流の旅に出る 家族を捨ててまで仏門に入る決心をさせたものは?・・気になります

金剛院はかつては修験道の霊域 今では長炭橋〜金剛寺〜椎尾八幡神社(11.8km)は「修験道と峠のみち」、

また長炭橋〜金剛寺〜滝宮天満宮(14.1km)は、「たかんぼさんみどりのみち」と愛称され、それぞれ「四国のみち」に指定されている

境内で眩しいほどに満開した梅に見送られ、先ずは猫山中腹にある金山神社を目指します



金剛院集落は山並みの南斜面にあり、とにかく明るい 朝日を背に正面の鞍部に向かって車道を進む

突き当りの池に出ると笹竹の中で道が消え、同時にルンルン気分も消えた 地図では道が有るのに・・・先が思いやられます



どうせ距離は短いので強引に進むと小さな沢 西行ゆかりのロマンの峠道歩きで、まさか沢歩きをするとは思ってなかったわ

そろそろ金山神社の参道(石段)がある筈だけど・・・ 真っ直ぐ行けば良かったのに、なぜか右の竹林に入る

荒れた竹林はまるで障害物競争、それでもなんとか車道に出る 車道を歩き阿弥陀越を過ぎやっと神社の参道中段に着いた 



金山神社は金剛院の鎮守社だろう 車道で分断されている参道を一旦下まで下りて仕切り直し

参拝口には大きな狛犬が一対睨みを効かし、見上げれば本殿に向かって長い参道が続く

参拝を済ませ、本殿横から登山道に入る

少し登って行った所で阿弥陀越からの道に合わさり稜線を進んで行く 振り返れば重量感のある高見峰



端正な山に最短距離で登山道がつけられているので、きついのなんのって 木段やロープが有り難い

金剛寺から1時間ちょっとで猫山(467.7m) 大きなカゴノ木に挟まれ、三角点や山頂標識がある



頂上から来た道を引き返すのも物足りないという事で、西に向かう

明るい稜線の先には城山(375.1m) ずーと向こうに金毘羅さんの山・大麻山(616.3m)

コル(猫山分岐)から猫山北面のトラバース道を阿弥陀越へ向かう 真下にレオマワールド、奥に飯野山や瀬戸大橋も見える



急斜面のトラバース道は傷みやすい 迂回路の案内板があるが、歩けそうなので直進

鞍部に下りて、真っ直ぐ行けば第4東屋、阿弥陀越へは右の作業道を進む



この辺りは猪が多いのだろう、道脇には捕獲檻が設置されている 

テーマパークの音楽に誘われ、一家でこの峠越えをするのかな? 猪は山で出会いたくない動物三本の指に入ります

猫山から40分で登山道の十字路・阿弥陀越 小さな石仏の傍らに座り、産直市で買ってきた巻き寿司を頬張りながら小休止



さぁ、お腹もいっぱいになった事だし次のお山へ

直ぐに車道から分かれ、道標に従い木段を上り高見峰に向かう

荒れた竹林の中によく整備された登山道が伸び、樹間に高見峰が見え隠れする



案外きつい登りを頑張ると、縦走路から少し離れた所に小高見峰(467m) 頂上からの展望は全く無い

小高見峰から一旦急坂を下り、鞍部から大高見峰に向けて今日最後の登り 鉄塔を潜れば頂上は近い



大高見峰(504.1m) 地元では「たかんぼさん」と親しまれている

三角点から北へ少し進むと高見峰神社 此処から北に2本の道(中央登山道と東登山道)が下りている



神社からは北、東面の展望が開ける 遠くに六ツ目山や伽藍山が、猫山に負けじと鋭く天を突いている

社殿には讃岐の四大天狗伝説の一つ、大高見坊天狗が祀られていた

帰りは大高見峰三角点から南へ下る道を使う予定だったが、笹竹が繁って取り付きが判り難い

藪を分け入るのも不安なので、小高見峰との鞍部から鉄塔巡視路を下ることにする



途中ちょっと道を逸れ、西方面を眺める 猫山は名の通り猫の耳の様に尖がっている、しんどかった筈だわ

巡視路に入り少し進むと視界が一気に広がり、遠くに春の日差しを受けて池面が光っている



66番鉄塔で直角に折れ、ジグザグの急坂道を谷に下りてゆく

笹竹の水平な道を進み車道に出ると、地元の方に護られたお地蔵さんが「がんばろう日本」と手を合わせている

ここまで大高見峰から30分程、案外早かった ここから車道を少し進むと、



かなり遠回りしてやっと着きました  今日の目的地・西行法師行脚像が鎮座する法師越

840年程前、西行が白峯からこの峠を越え、金剛院を抜け善通寺に向かった そんなことを想像するだけで楽しくなってくる 

車道から分かれ、猫山を見ながら金剛院に下りてゆく
 
目の前には、西行が歩いた時から時間が止まっているかの様な柔らかい空間が広がっている 

畦には春の使者タンポポやオオイヌノフグリが僅かに彩を添えている 間もなく里一面が春色になってくるだろう

想定外の藪歩きもあったが、ほぼ予定通り4時間程で金剛寺に帰って来た

今日は春の気配を感じながらの讃岐里山歩き

稜線を吹き抜ける風はまだ少し冷たかったが、大地は春を演出したくてうずうずしているような空気が漂っていた

ここらで一首 春への移ろいを歌にでも詠めたらいいんだけど 歌人・西行さんの様にはねぇ・・・

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