GWも終わり、そろそろアケボノツツジ本番の季節がやって来た
ところが今年は裏年なのか、どの山も花付きがいまいち芳しくないようだ
と言っても、アケボノ見ずして梅雨の山を迎える訳にもいきません
今日は、手軽にアケボノツツジを楽しめる山・奥工石山で様子を見てみます
県道川之江大豊線から分かれ、相変わらずダートな林道仁尾ヶ内線を14km程で登山口 一番乗りです
今日は軽めなのでそんなに早く家を出なくてもよかったけれど、山行の朝は何故か早く目が覚めます
此処は既に標高1160m位、頂上までの標高差は約350m
工石山荘横の案内板には、山頂付近まで約40分と表示されているが、ちょっと苦しいかも
それにしても寒い、頂上付近はガスの中 天気回復に期待して白山神社の鳥居を潜る
いきなり植林の中の急坂 でも長くは続きません
15分程で植林を抜け、ブナが混じる自然林となる
苔のゴーロを一頑張りで、工石山と南の白髪山を繋ぐ主稜線から東に派生する支尾根に出る
ベンチに座ってゆっくり展望を楽しみたいところだけど、この天気ではねぇ パスして稜線を進む
ガスに煙るブナ林を行く この道は15年程前に歩いたことがあるがこんなに沢山の大ブナは記憶に無い
・・・・と言うより、その頃は未だブナに関心が無かったと言う方が正しいかも
ブナやリョウブなどの柔らかい緑に、ミツバツツジが彩を添えている
アセビやシャクナゲが出てきだしたら、まもなく竜王峠登山口(左)への分岐 此処で主稜線に乗る
帰りは竜王峠方面へ下ります シャクナゲのトンネルは尚も続くが、花芽は殆ど見当たらない
急坂途中、小さなワチガイソウが白い絨毯を敷いている「吉野川源流88ヶ所水めぐり 名水・石清水」で小休止、
石清水から少し頑張ると、デ〜ンと立ちはだかる大岩・ユルギ岩がガスの中に顕れる
四国山中には、いたる所で平家伝説が語り継がれ、この山の山名も
「奥工石山へ逃れた平家の落人が飢えに苦しみ、山の石が食えるものなら、と嘆いたという伝承から
喰石山と呼ばれ、後に工石山になった」そうだ
岩に張り付くアケボノツツジ ユルギ岩を右に巻き、稜線鞍部に出て、先ずは頂上を目指す
甘い香りに誘われ谷を覗くと、寒さにも負けず咲いたばかりの鮮やかなピンク色が浮き上がっている
稜線の西側には、西赤石山ほどの群落では無いが美形のアケボノツツジが点在する
ガスに舫ったその妖艶なピンク色は、例えるなら貴婦人の美しさ
アケボノに引き止められ寄り道ばかりしてたので1時間20分近くもかかり、やっと三角点がある工石山頂上(1515.9m)
相変わらず北風が強くて寒い 突然、なにやら白いものがパラパラと落ちてきて身体に当たる
すわ、雹かと思ったが、な、なんと! む、む、む、霧氷です! 頂上北のブナ林には霧氷がびっしり!!
5月も半ばなのにもういい加減にしてよと思いつつも、「青空があれば、綺麗だろうなぁ」
見る見るうちに辺りは霧氷のかけらで白くなる、この分だと青空になる頃には全部落ちてしまいそう
西斜面で風除けしながら、展望も無しのコーヒータイム
何時になく辛抱強く待っていたら、ガスが薄くなり出しユルギ岩がぼんやり浮き上がって来た
一瞬青空も覗くが今日は此処まで、そろそろ引き返そう
後から分かったけど、山友の
じいじさんも岩黒山で霧氷&アケボノ&大展望を楽しまれていたそうだ
寒さに震えるアケボノには悪いけど、石鎚を従えた氷花が美しく輝く姿に感動でした!
「咲いたら見事だろうなぁ」と沢山の蕾を付けたミツバツツジを潜り、ユルギ岩へ向かう
西斜面では満開のアケボノツツジが、駆け上がってくる新緑を背に輝き出した
ガスも徐々に退き、時折薄日が差し始めた 工石山の展望台・ユルギ岩から先程まで居た三角点を振り返る
眼下は、緑の海 萌え出したばかりの柔らかい緑が冬枯れの山肌を覆い始めている
大展望が広がる筈だが、石鎚山系や剣山系が見え出すには、もう少し時間がかかりそう
大岩を彩るアケボノが終盤だったのは残念でしたが、シャクナゲの蕾が膨らんで出番待ち
他の場所では不作気味なのに、何故か此処のシャクナゲは蕾がたくさん付いている
南には、直ぐそれと判る尖がりピークの白髪山(1469.6m)
奥工石山は山岳信仰の山 ユルギ岩には白山神社が祀られている
高知県には工石山が二つある 高知市から望める工石山(1176.4m)と、愛媛県境近くにあるこの工石山
ここは奥深くにあるので奥工石山、あるいは地域の名をとり立川工石山と呼ばれている
アケボノツツジを鑑賞しながら、明るくなった登山道をゆっくり下ってゆく
ガスの中のアケボノが貴婦人の美しさなら、青空背景のアケボノは乙女の様に爽やかな美しさです
アケボノに誘われ小ピークに駆け上がり、工石山のシンボル・ユルギ岩を振り返れば
揺るぎの無い威風堂々とした姿で、土佐の国を見渡している
前方に端正な姿の白髪山が緑の上に顏を出す 分岐を右に取り尾根に付けられた縦走路を行く
ブナ林の中の快適な道を下りながら空を見上げると、ドンドン青空が広がっている
柔らかい緑の中に一際色鮮やかなミツバツツジ 肉眼ではとっても綺麗んだけど写真には難しい
青空を背にアケボノとミツバの豪華な競演 どっちに軍配が上がるかな?
ミツバツツジと言っても種類が多く、頭にトサノ、アワノ、ツルギ、ダイセン、コバノ等々を冠するミツバがあるそうだけど
何時まで経っても、この時期アケボノツツジ以外のピンク系ツツジは全部ミツバツツジとのアバウトな理解です
それでもこのミツバは?といえば、此処は土佐の国、トサノミツバツツジとしておこう
振り返れば、ミツバの向こうに工石山
時折、背丈以上のスズタケが現れ行く手を塞ぐけれど、掻き分け掻き分け潜ってみれば道は確りしている
翌日、何故か腰が痛い・・・そう、腰を屈めながらスズタケの中を歩いたからだったんだ、思い出したらまた痛くなって来た
縦走路は白髪山まで続いているが、 1292.1mピーク手前の鞍部から林道(左)に下りる(赤テープが有りました)
下り始めはスズタケがうるさいが、すぐ植林の中の道になる
5分程で林道に下り立つ 右は竜王峠を越え奥白髪林道の白髪山登山口方面 ここから登山口までは林道を歩く
ライダーが会釈をしながら側を走り抜ける 今日は天気も好いし快適だろうな〜
後ろから来た車が停まり、「アケボノどうやった? 白髪山のシャクナゲ全然花芽が付いてなかった」と、残念そう
のんびり景色を楽しみながら登山口に帰って来ると、準備されていた人たちも「花はどうでしたか?」
今日は4時間程のお手軽登山だったけれど、ガスの中の幻想的なアケボノ、新緑の海に浮かぶ紅紫色のミツバ
思いがけない霧氷と盛り沢山 でも何と言おうとやっぱりブナ 芽吹いたばかりの大ブナの林に大感動でした
山歩きを始めた頃に登って、それっきりだった奥工石山 ぼんやりしていたイメージを確かなものにすることが出来ました
帰路立ち寄った立川番所跡(立川御殿)は明るい日差しに包まれて、すっかり初夏の雰囲気
古の往還・土佐北街道は、山内候参勤交代の行列や坂本龍馬、板垣退助が歩いた道
山国四国に聳えるブナの山が、源平の時代から、維新を経て現代まで
大袈裟ですが、日本の歴史を見下ろしてきたのだと思うと痛快です
歩いた道 ホーム