2012年06月02日  べっぷ鶴見岳一気登山

船を降りたら登山口 湯けむりを抜けて一気に登る花の山


GPSトラックログ (カシミールソフト使用)
この地図の作成に当たっては国土地理院長の承認を得、同院発行の数値地図50000(地図画像)、及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用
 承認番号 平18総使 第582号


宇和島運輸フェリー乗場(4:55)〜(5:30)一気登山スタート地点〜(6:25)C地点南立石公園〜(7:55)ロープウェイ高原駅(8:10)
(8:50)火男火売神社(9:00)〜(9:30)南平台分れ〜(10:35)七福神〜(10:55)頂上〜(11:15)ロープウェイ山上駅  (6時間20分)



日本最大の温泉都市別府の源である鶴見岳(1374.5m)は、言わずと知れた活火山

秋の紅葉、冬の霧氷は素晴らしいが、とりわけこの時期山頂付近を紅色に染めるミヤマキリシマは圧巻らしい

伊予国風土記には、「その昔、大国主命が鶴見山麓から湧く「速見の湯」を海底に管を通して道後温泉へ導き、

少彦名命の病を癒した」という神話が残っているそうだ

今日は、愛媛県人としては、日頃お世話になっている別府を訪ね、ミヤマキリシマ大爆発を見て来よう

コースは、気になっていた「べっぷ鶴見岳一気登山」道を歩きます、はたして一気に頂上に立てることが出来ますやら

午後9時半過ぎに自宅を出発し、懇親会での酔いを醒ましながら八幡浜に向かう

フェリー乗場近くの市営新川駐車場に車を停め、登山靴を履いて、0時20分発宇和島運輸フェリー別府行きに乗船



海峡に入ってから少し揺れたそうだけど、既に酔っていたお蔭で?船酔いもせず熟睡(笑)

4時55分 下船 遠く鶴見岳のシルエットがくっきり

遠回りになるけれど、先ずは一気登山出発地点のスパビーチを目指して餅ガ浜海浜公園を歩く

別府湾に突き出た前方の山は、お猿さんで有名な高崎山(628m)

 

フェリー乗場から35分で、一気登山スタート地点のスパビーチ 案内板と表示板が立つ

(この後、標高50m毎にA地点〜Z地点の表示板が立つ)

1988年から始まった「べっぷ鶴見岳一気登山」は、毎年4月第二日曜日に開催

海抜0mのスパビーチから1375mの鶴見岳山頂まで、幹線自動車道を一切通らない日本唯一のコース

街中、河川敷を経て山道に入り、旧太宰府間道からは静かな環境の中、鶴見岳山頂を目指します
大分毎日新聞に拠れば、 第25回記念大会の今年(4月8日)は、全コースで3525名が参加

トップは、臼杵市消防本部消防士、野中洋輝さん(24)で2年連続優勝

記録は、1時間11分58秒だとか!(過去最高は1時間11分27秒) 無茶苦茶な速さです!
 

国道10号線に架かる境川橋から、曇天に聳える鶴見岳を眺める

このコースは、街中は境川の河川敷を歩くので信号を渡る事は無い 1.8km歩いて海抜50mのA地点 先は長い

(大分毎日新聞「一気登山」の記事より抜粋) 「城下町の城のようなシンボルがほしい。それが原点」

第1回から実行委員長を務める村津忠久さん(83)は、市民の求心力を高めたいと、市観光協会役員として知恵を絞った25年前を振り返る

 考えた末に心に浮かんだのが、登山靴の底を海に着け、鶴見岳山頂まで一気に登った30代の体験

「別府温泉の全源脈がある母なる鶴見岳の一気登山なら、みんな参加するんじゃないか」と構想を練っていった

 当初、車道には邪魔されないが、竹ばしご無しでは通れない区間が21カ所あり、狭い山道ではコンクリート擁壁の 下をカニ歩きもするコースだった

「登山道には無理との声もあったが、熱意が通じ、県や市が階段をつけたり道を広げてくれたりしました」

今では市内大半 の小中高が、授業の一環で同コースを登っているそうだ

 

キリシマツツジや咲き始めたアジサイを見ながら、左岸、右岸と何度か飛び石を渡り境川を遡ってゆく

堰堤には葉を茂らせた桜並木、大会の頃はピンクの帯が連なり綺麗だろうな〜

スタート地点から1時間程で境川から分かれ、C地点南立石公園へ上がる

広い公園は、 朝の気持ち良い空気を吸いながら思い思いにトレーニングしている方々や犬の散歩で結構賑わっている

今まで指標に従って問題無く進んで来たが、道が縦横に入り組んだ公園内は分かり難い

地図を見れば、左に振って行けばよい筈だけど・・・これって、道迷い?(笑)

 

公園を抜け県道56号線を潜り住宅街を進んで行くと、あちらこちらから湯けむりが上がっている

「長命泉」の看板がかかる共同温泉 朝風呂を浴びた地元の方が気持ちよさそうに出て来た

世界一の湧出量を誇る別府温泉、いいお湯だろうなぁ 下山後が、楽しみ〜

大友義統本陣跡と刻まれた立派な石碑が建つ 説明板に拠れば

1600年 豊臣方の大友義統と徳川方の黒田如水が戦った「石垣原の合戦」の際、大友氏の本陣跡

この戦いで、約400年間豊後を支配した大友氏は敗北したそうだ

 

市指定保護樹、樹高18mのクスノキが聳える鬱蒼とした堀田天満神社を抜け

畑の中の里道を通り、大分自動車道路に架かる橋を渡る

 

湯けむりの立ち昇る別府市街を眺めながら、暫し休憩  薄っすら見えている山は大平山(扇山792m)かな?

地面からもうもうと水蒸気が上がっている、何んだろうと思って覗き込むと温泉が溢れている

アスファルトを突き破って温泉が噴き出している光景も珍しくないとか!・・・四国では、考えられん事です

別府市の伝説  
「鶴見岳と由布岳
鶴見岳は女の山でな、それぁうつくしい女の山なんじゃ。
山の頂きあたりには、よく、まっ白な雲がなびいておる。とおくから見ると、まるでネッカチーフをまいているようじゃ。
海からふいてくる風で、木の葉がざわめく。すると、若いむすめが風にかみをなびかせて走るように、いきいきとかがやいて見える。
このうつくしい鶴見岳を、祖母山と由布岳が好きになってしもうた。
由布岳は、すぐ横にならんでいる鶴見岳に、とても親切じゃったし、よくはなしかけた。
祖母山は祖母山で、とおい南のほうからおみやげをもっては鶴見岳のところにかようてくる。
だが、鶴見岳はなんともいわん。静かにわらっているだけじゃ。
ふたつの山は、なんとかして鶴見岳の気もちを自分のほうにひこうと、じまん話をはじめたんじゃ。
「どうだ、このうでは。力ならどんな山にも負けはせん。」と、祖母山がじまんすると、由布岳が、
「力はともかく、このすがたを見てほしい。あの富士の山にまさるともおとりはしない。」といいかえす。
だが、鶴見岳は、やっぱりなにもいわん。
やさしくほほえんで、ふたつの男山のじまん話を、静かにきいておるだけじゃ。
とうとうふたつの山は、とっくみあいのけんかをほじめてしもうた。
祖母山は、あまりかっこうのいい山じゃねえ。そのかわり、カはばかに強いんじゃ。
「おまえなんか、ひっこんでおれ。」というと、どすんと由布岳にぶつかり、どどど、どどどとおしまくる。
「負けてたまるか。」由布岳も、ぜんしんの力をふりしぼり、顔をまっかにして祖母山をうけとめる。
死にものぐるいのけんかは、なん日もなん日もつづいた。ふたつの山はもう、へとへとになってしもうた。
「もう、こうなったらしかたがない。いっそのこと、どちらをえらぶか鶴見岳にきめてもらったらどうだ。」
鶴見岳はこまった。どちらの山も、それぞれいいところがあったからなあ。
祖母山は、力がつよいし、たよりになる。いっぽうの由布岳は、やさしいし、すがたかたちのとてもいい山だ。
鶴見岳はかんがえにかんがえたすえに決心し、かたちのいい由布岳をえらんだのだ。
祖母山は、大つぶの涙をぼろぼろと落として、なん日もなん日も泣いたそうじや。その涙がながれてたまったのが、志高湖なんじゃ。
だが、いつまで泣いていてもきりがない。祖母山は、鶴見岳や由布岳の目のとどかん、遠い南のほうに去っていってしもうたんじゃ。
そして、だれからも見られんように、からだじゅぅ大きな木をしげらせ、すがたをかくしてしもうたんじゃ。

いっぽう、鶴見岳と由布岳は、まい日なかよくくらしたそうじや。
あまりにもふたりのなかがあついので、別府と湯布院には、あついあつい温泉がわくようになったということじゃ。


 

スタート地点から1時間45分 最終民家を過ぎるとやっと登山の雰囲気になって来た

この道は大宰府に通じる道 西海道が整備された九州では域内全ての官道は、基点大宰府から延びているそうだ

 

シシウドorハナウド? 白いパラソルを拡げた様な花の間の道を進む

植樹されたもみじの新緑の中、朝見川沿いを遡ると、飲料可と書かれた源流碑が立つ

 

車の音が聞こえ出したと思ったら、やまなみハイウェイ 鶴見橋の下を潜った所がH地点(海抜400m)

暫く杉林の急坂を頑張れば林道に出る 対岸に一気登山のために造られたという「古屋・佐藤新道」が繋がっている

林道から10分程で、ロープウェイ高原駅の北側に到着 たくさんのシャクナゲが植えられていたけど、残念ながら花は終わり

大会当日は、ハーフコースのゴールである此処に本部が置かれているそうだ

 

J地点(海抜500m)別府ロープウェイ高原駅で大休止(駅舎下にトイレ有)

J地点から5分程で旗ノ台からの道と合わさり、竹林の道を歩く

海抜600mを過ぎた辺りから振り返れば、別府湾が霞む 随分歩いてきたなぁ

 

ヒトリシズカ咲く植林の中の急坂を暫く頑張れば平道になる N地点(海抜700m)

緑の中に、御嶽権現火男火売(ほのほほのめ)神社社務所が佇む

 

門の様な大杉の間を抜けると、苔むした石段が延々と続いている  滑りそうな参道を上り詰め、やっと本殿

771年(宝亀2年)創祀の御嶽権現火男火売(ほのほほのめ)神社は、別府八湯の守り神 地元では御嶽権現社と呼ばれ親しまれている

小休止後、本殿西側(向かって左)から大分県の天然記念物に指定されている御嶽権現社自然林の緑に染まってゆく

 

神社から30分程で分岐、南平台分れを左に見て直進 

中腹をトラバース気味に登ってゆく南平台への道もミヤマキリシマの群生地が有り

踊り石を経て鶴見岳頂上へ至るそうだ、周回すれば面白いかな

今日は一気登山 ひたすら頂上を目指して高度を稼いでゆく

カエデやコナラなどの広葉樹から柔らかいグリーンシャワーが降り注ぐ

溶岩らしき大岩がごろごろしている登山道を歩きながら、鶴見岳は活火山だなと改めて思った

   近年では、1949年2月(昭和24年)山頂の北西約500m、標高1,100m付近で多数の噴気孔から高さ約10mの白色噴気が上がり

また、1974年12月(昭和49年)同じ場所から150m程度の噴気があり、翌年にも噴気が観察され今日まで継続している

 

Y地点(1260m)を過ぎて間もなく、頂上(左)と山上ロープウェイ駅(右)の分岐

分岐を左に進み頂上を目指してゆく 潅木帯になると、ミヤマキリシマが目立ち出し風も強くなって来た

ほどなく、色鮮やかな紅色軍団が迎えてくれる頂上直下の広場に出る



ミヤマキリシマ大爆発!  想像以上の大群落に歓声が上がる



それにしても、光りが欲しい!

満開の花の向こうに別府湾が見えたら、言う事無しね〜

 

弁財天                   山上大権現社

鶴見七福神に導かれ広場をぐるぐる廻ったけれど、山頂らしき所が無い 狐に抓まれているのかな?

 

ミヤマキリシマに見惚れて頂上を踏むのを忘れたら、一気登山にはならないわ

山頂標識は何処よ?と背伸びをしても、見えるのは紅色の海だけ

やっと指標が見つかり石段を登って行く途中に、夫婦岩の案内板が立つ

 結婚後、夫婦神である鶴見岳に登拝し小石を供えると子宝に恵まれ、夫婦円満だとか

今更用事も無いけれど、古代より続くパワースポットはどんな所だろうかと、お邪魔してみました
 


御嶽権現社奥之院の石祠が祀られている鶴見岳頂上(1375m)

先程大勢の団体が下りて行ったので誰も居ない、お天気が悪いからか花の時期にしては人出が少ないようだ

そういえば、神社を過ぎた辺りで5,6人の方に会っただけで静かな登山道だった

晴れていたら四国まで見えるそうだけど、 側に建つテレビ塔も薄っすら これじゃ仲良く並ぶ由布岳の姿も見えない

 ガスが晴れる気配も無さそうだし、じっとしていたら寒いので早々にロープウェイ乗場へ向かう



鶴見山上駅(1300m)から、近鉄別府ロープウェイに乗って10分足らずで別府高原駅着(503m)

今回は弾丸山行でしたが、今度は天気の良い日に山頂からのんびり由布岳を眺めてみたいな〜


下山後は杉乃井ホテルへ直行して、お楽しみの温泉&ランチ、期待を裏切らないいいお湯でした

ついでに、ホテルであれこれお土産も買って満足満足 さあ、帰ろう

船の時間まで2時間程あるし、折角だからと街中を散策しながら歩いてフェリー乗場へ

お土産の紙袋を両手に下げたグランパ 「重たいけど、何んぞ〜」 「此処は九州、焼酎しかないでしょう」

1時間余りかかってフェリー乗場に着いた時は、大汗  あらら、温泉に入り直さんと・・・

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