2012年06月23日  大山(槍ヶ峰・剣ヶ峰)


梅雨真只中の貴重な晴れ間 三ノ沢から槍尾根を辿り、憧れの剣ヶ峰へ


GPSトラックログ (カシミールソフト使用)
この地図の作成に当たっては国土地理院長の承認を得、同院発行の数値地図50000(地図画像)、及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用
 承認番号 平18総使 第582号


文殊堂駐車場(7:00)〜(7:40)最終堰堤〜(8:50)槍尾根合流〜(9:10)槍ヶ峰(9:20)〜(9:30)天狗ヶ峰〜(9:45)剣ヶ峰(10:00)
(10:15)天狗ヶ峰(10:30)〜(10:40)槍ヶ峰(11:00)〜(11:45)最終堰堤(12:05)〜(12:35)文殊堂駐車場    (5時間35分)


一度は見てみたいと思っていた槍ヶ峰頂上直下を染めるピンクの絨毯

イワカガミ、ツガザクラの群生&昨年置いてけぼりをくった剣ヶ峰登頂を目論んで

今年こそはと梅雨の晴れ間を窺うが、なかなかチャンスが訪れないまま時期を逸してしまった

来年に持ち越しかなと思っていたところ、急な用事で日曜日は広島へ

鳥取の天気予報を見ると、前日の土曜日は曇り時々晴れの予報

まずまずの天気に誘惑され、急遽、伯耆大山経由で広島へ行く事にする

視界が悪かったり、もし雨でも降れば槍ヶ峰までの積りだけど、出来れば伯耆大山最高峰も踏みたいなぁ

 

文殊堂駐車場に車を停め、三ノ沢に入ると直ぐ指標に従い左岸に渡り、ブナ林端の薄い道を沢沿いに進む

大山の崩壊が激しく、沢は直ぐに土砂で埋め尽くされてしまうのだろう  大規模な修復工事が行われている

一旦、沢を横切り右岸に渡るが、ブルトーザで固められた川底を進み再び左岸へ

 

大小二つ続く奥が最終堰堤、此処で左岸から沢に下り小さな流れを渡って右岸へ

二つの堰堤の左付け根に垂らされたロープを手繰り、広い河原に出ればもう遮るものは何も無い

目の前にデ〜ンと槍尾根、左方向に主稜線が迫ってくる  青空は無いけれど稜線はくっきり

それにしても歩き難い事といったら、ごつごつした砂礫の道は土の道の倍以上疲れる

 

三ノ沢本沢から逸れ潅木帯に取り付けば、槍尾根を目指して急登の始まり、始まり

梅雨に咲く花ダイセンクワガタの可愛い姿が、目を楽しませてくれます

 

三ノ沢の枝沢・槍ヶ峰沢も歩き難い 砂礫と言うよりもゴロ石の急坂

石をカラカラと落としながら砂滑りならぬ、石滑りを横切り、木の根や枝に助けられ高度を稼いでゆく

振り返れば、三ノ沢の向こうの樹海に白い二ノ沢が流れている



次第に斜度を増して来て、やっとキリン峠方向からの槍尾根ルート合流点 

岩肌には、イワカガミの赤い種がびっしり  1〜3週間前なら、素晴らしい光景が見られたかもしれません

「そんなにがっかりしないで」と、咲いたばかりの初々しいダイセンオダマキが疲れを癒してくれる



落石に注意しながら、本峰南に屹立する針峰群の急斜面を慎重に登る 表土が剥がれ道はかなり傷んでいる

 僅かに咲き残っていてくれました 稜線手前に、ピンクの絨毯を彷彿させるイワカガミ

それにしても虫が煩い 顔の周りを飛び交う虫が眼や口の中に飛び込むので、今年初めてネットを使用



稜線に出て東壁を覗きこめば目が眩む 吸い込まれそうな壁沢と本沢には未だ厚い雪が残っている

槍の穂先と烏ヶ山を背負ってぼろぼろの痩せ尾根を進む 道幅は昨年に比べて少し狭くなったのかな



後ひと登りで、大山主稜線の大展望台・ 槍ヶ峰(1692m)

高曇りで日差しは無いが梅雨時にすれば上々の天気 憧れの剣ヶ峰が指呼の距離に迫ってくる



小休止後、ナイフリッジの槍尾根を剣ヶ峰へと進む

10分程で、槍尾根と主稜線のジャンクション天狗ヶ峰(1710m)

 

右は、1636mピーク、象ヶ鼻(1550m)、三鈷峰(1515m)へと続く稜線、帰りに少し足を延ばしてみよう

南壁側を見ればちょっと怖いけれど、北壁側は木が生えていて安心感がある



荒々しい南壁の山裾に、二ノ沢、三ノ沢が見える

1928年、主稜線に縦走路が開かれてより、年々崩落が繰り返され険阻な道となっているとガイド本に記されていたが

砂礫を敷き詰めた急傾斜の平均台から足を踏み外せば真っ逆さまに300m? ゆっくり足場を確認して重心移動



殺伐とした主稜線の僅かな緑の中で咲く、愛らしい姿のノビネチドリ  ほっと心が和む

頂上直下の北斜面を見下ろせば、サンカヨウの群生〜♪  近付いて石を落としてもいけないのでズーム



振り返れば、槍尾根の向こうに鋭い姿の烏ヶ山

特等席に陣取るダイセンクワガタが涼しい顔で、三ノ沢本沢を挟んで対峙する槍ヶ峰と剣ヶ峰を眺めている

歩き始めて2時間40分 憧れの伯耆大山最高峰・剣ヶ峰に立つ 頂上は想像していたより広くて北側には緑も多い  

山頂に置かれた方位盤(遭難碑)には1731mと表示されているが

2000年の鳥取県西部地震で2m程低くなり、現在は1729mだそうだ



主稜線を西に辿れば、難関・ラクダの背のむこうに弥山(1711m)

南側直下の濃い緑の中に、三本の沢が白い帯を引いている 真ん中の二ノ沢は気になる存在



大展望も十分楽しんだので、天狗ヶ峰に向けて引返す

かろうじて潅木の根に支えられた道 心なしか、木が有る方へと身体を傾けて歩いている

ホールドも無く両方が切れ落ちた部分の下りはちょっと緊張、浮石を踏まないように慎重に進む

突き出た石もグラグラしていないか確認してからでないと、持った途端ぽろっと抜けては大変



天狗ヶ峰まで帰ると、ユートピア、槍ヶ峰方面からそれぞれソロの方が来られた  狭い山頂は3人でいっぱい

ユートピア方面へ少し下って眺めれば、東壁の本沢(右)と北壁の元谷沢(左)を分ける稜線もかなり厳しい

グランパが様子を見に下りてみたが、急傾斜で砂礫の細尾根は登り返しより下りが緊張したようだ

最高のロケーションで咲くダイセンオダマキが、ハラハラしながら登山者を眺めている

 

足場の悪い所に長居は無用 薄っすらガスも飛び出したし、風が出たら大変 槍ヶ峰まで帰ってお昼にしましょう 

ウルトラCで?崩れた箇所を飛び越え、思わず両手を広げてバランスを取りましたが腰が引けてます



槍ヶ峰で展望を楽しみながらのんびり食事していると、何時の間にか剣ヶ峰がガスの中に隠れてしまった

そろそろ下りようかと腰を上げ槍の穂先方面を見れば、登山者が二人、此方に向かっている

自分が歩いている時はそんなに思わないけれど・・・やっぱり、危なげ〜

山頂直下に咲き残ったツガザクラ 今年は此処で楽しむ積りで西赤石もパスしたのに・・・チラホラ



細尾根歩きも最終章 槍の穂先基部で稜線から分かれ、針峰群を巻き三ノ沢へと下って行く

でも、まだまだ気が抜けない カラカラと音をたてて豆腐大の石が急斜面を跳ねてゆく



荒涼とした南壁を眺めながらの頂稜歩きは殆ど貸切状態だったけど、下山時には十数人の登山者とすれ違った

「こんにちは〜」「気を付けて〜」 ザレ場の急坂では、道を避けて通り過ぎるのを待たなければ、落石が怖い

三ノ沢に下り立ち、やれやれ後は下るだけと思っていたら

「ちょっと、ゴルジュ辺りまで行って来るわ」と、グランパがガレ沢を遡って行った 

もう、物好きなんだから・・・一人でのんびり待っている所へやって来たソロの方と話をしていると

「最近続けて2度も滑落事故があり、救助のヘリコプターが飛んだんですよ」と、「エッー、そうなんですか?」

詳しくは聞かなかったけど、そう言われれば天候次第で危険も増してくるだろう


イワカガミやツガザクラは既に終わり、思い描いていた光景はまたのお楽しみとなったけれど

「剣ヶ峰から周囲の山々を眺めたい」という、昨年来温めてきた想いが叶って十分満足でした

崩落にも動じず悠然と構える伯耆大山、ますますその魅力を増して来ます

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