8月4日、5日は山陰の城下町米子が熱く燃える
「米子がいな祭り」(がいな=大きい)のクライマックス・万灯パレードは、秋田がお手本の竿灯だそうだ
先週訪れた小田町の小型のねぷた・「燈籠まつり」の絵燈籠に続いて、東北の祭り?を楽しもうと
やって来ました百花繚乱の伯耆大山 今日はお山と街の夏祭りを存分に楽しみま〜す
大山の花と言えば勿論ユートピアだけど、桃源郷三ノ沢も気になります ほんなら両方歩こうや
と言う事で、ユートピアから主稜線を越えて三ノ沢に下り環状道路と古の横手道を歩いて駐車場に帰ります
名付けて「ユートピアからシャングリラを巡る山旅」、なんと贅沢でしょう 我ながら完璧なコース設定です
(注 三ノ沢をシャングリラと勝手に呼ばせて貰いました 悪しからずです)
南光河原駐車場を出発して、20分程で大神山神社奥宮 参拝を済ませ、境内右奥の登山道に入る
「砂すべり遡ってみん? 宝珠沢の傷み具合も気になるし・・・」と、下宝珠越への道を左に分け直進
緑深くなった佐陀川沿いを歩き、元谷大堰堤に出ると目の前にデ〜ンと北壁が迫って来る
青空の下で天を分ける主稜線を前に、逸る気持ちを抑えながら広い谷をゆっくり遡り、ケルンで小休止
痛々しい上宝珠沢出合から砂礫に薄っすらつけられた踏み跡を辿り上って行くと、大岩がゴロン、ゴロン
砂すべりを歩くのは、エゾヤマザクラを楽しみながら下った昨年5月以来だけど
夏場とは言え、あまりの変わりように唖然とする 大雨で万年雪が一気に流され沢床がむき出しになったのかな?
左からの枝沢を過ぎると傾斜が増し、細かい砂礫の急坂はズルズル滑ってなかなか進めません
宝珠尾根の側壁なら何とか歩けるだろうと思ったけれど、やっぱり同じ
3歩進んで2歩下がっている内に、上宝珠越への分れ付近に見えていた4名の方が近付いて来た
上宝珠越への上り口も鉄砲水で削られたのだろう すっかり様変わりしトラロープが付けられている
岩角を掴みながら攀じ登り、埃まみれになって上宝珠越に飛び出す 歩き始めて2時間、あ〜ぁ、疲れた
(教訓 すべり台は、上から下へ滑って楽しみましょう )
勝間ケルンを過ぎ、登山道を塞ぐダイセンキャラボクを跨ぎながら緩やかに登って行けば
上宝珠越から10分程で標柱が立つ三鈷峰分岐、左から三鈷峰(1516m)が呼んでいる
帽子が飛ばされそうな強い風! 汗が一気に引き心地よいけれど、強風の中での主稜線歩きはちょっと心配です
見渡せば瑠璃色とショッキングピンクの花園、此処はまさしくユートピア〜♪
波打つピンクの絨毯越しに、親指ピーク、野田ヶ山、大休峠へと稜線がうねり、 後ろに、矢筈ヶ山、甲ヶ山がどっしり構えている
ユートピア避難小屋で大休止 まだ時間が早いので登山者は少ない そのうち小屋は人が溢れるだろう
これから歩く主稜線を見上げる 天狗ヶ峰手前をズームすればこのコースの核心部・砂礫の細尾根をゆく二人
よ〜く見れば、元谷沢はオーバーハング気味 「ウワッ!危なげ〜」
象ヶ鼻(1550m)に立ち、避難小屋、三鈷峰を見下ろす 此処で、ユートピアとはお別れ
夏らしいコウゾリナ、ダイセンオトギリ、可愛いキュウシュウコゴメグサ、ダイモンジソウが咲く主稜線を進む
宝珠尾根と墓場尾根に挟まれた宝珠沢が生まれる所、崩落が稜線まで進み砂すべりに砂礫を注ぎ続けている
1636mピークから、花いっぱいの振子沢を見下ろす 突き当りの濃い緑の山が振子山(1452m)
1636mピークを過ぎれば、いよいよ険しさが増して来る
足一つ分を残し鋭く切れ落ちた本沢(左)に注意しながら片刃の細尾根を歩く
足場が脆く、ナイフと言うよりカミソリの様な急傾斜の尾根がこのコースの核心部 距離は20m位です
手掛かりが有れば、三点確保が出来て少しは安心なんだけど・・・ 一歩一歩慎重に
東壁の本沢、北壁の元谷沢へと研ぎ澄まされた稜線核心部を過ぎ、歩いて来た道を振り返る
目の前に天狗ヶ峰が迫って来ると、 尾根も少し広くなりほっと一息
天狗ヶ峰(1710m)から左に延びるナイフリッジは、帰りに歩く予定の槍尾根
先ずは、剣ヶ峰を目指して主稜線をゆく 此方も脆く鋭い尾根が続き気が抜けない
アルプスにもひけをとらないその美貌とスタイルは圧巻 大山が中四国随一のアルペンだというのも頷ける
前回(6月23日)は顔の周りにまとわりつく虫に閉口したが、今日は優雅に蝶が舞っている
そう言えば、間もなく立秋 日差しは強くても、お山は一足早く秋風が立ち始めるのだろう
垂直に近い南壁を覗き込めば、真下に三ノ沢と二ノ沢の白い川が流れている
両側が切れ落ちた箇所に差し掛かったところで 「ゆっくり確実に行けよ〜」、「はいはい」
見ている方がハラハラするのかもしれないが、それにしては呑気にカメラを構えているんだけど
砂礫の中に緑のオアシス、一叢のお花畑が心を和ませてくれる
10時 ヤッホー やっと剣ヶ峰(1729m) 三ノ沢を遡行した時に比べ1時間余長かった
ともあれ、二人占めの剣先で暫し大展望満喫 目線より上は青空だけ この爽快感が堪らない
主稜線の西を眺めると、先行されていた方が弥山に向かっている
ラクダやキリンは大人しい動物の代名詞だけど、ここ大山では少し気性が違う お気を付けて〜
米子市街から「がいな祭り」のふれ太鼓が聞こえてきそう、綺麗な弧を描く弓ヶ浜、島根半島・美保関がくっきり!
明日は、美保関の方から大山を眺めてみよう 勿論、剣先烏賊も気になります
砂礫の痩せ尾根を引き返す 前回は足下ばかりに気を取られたが、今日は周りの景色も目に入る
先程まで気になっていた風が和らぎ、真夏の太陽が容赦なく照りつける1700m稜線も暑い、暑い
天狗ヶ峰まで引返し、正面の烏ヶ山、その向こうに仲良し蒜山三兄弟を見ながら槍尾根をゆく
ユートピアにも勝るとも劣らない三ノ沢のお花畑が楽しみ〜 難所を前にして、気持ちは既に花に囲まれたシャングリラ
「此処まで来れば、後一登りで槍ヶ峰よ」と、コオニユリがエールをくれる
抜けるような青空の下、ケルンが積まれた槍尾根ピーク(1692m)から大展望満喫〜
細尾根を進み、岩峰群の南壁側を巻きながら落石に注意して急斜面を下りてゆく
最近読んだ絵本「だじゃれ日本一周」(長谷川義史著)を思い出し
可憐に咲くダイセンオダマキに向かって「とても あんたにゃ かながわけん」
エゾノヨロイグサ街道を 「すべって ころんで おおいたけん」にならんように慎重に下る
ちなみに、鳥取は「えんりょせんと とっとり けん」 今日は遠慮なく花の山・贅沢山行を楽しみました
鮮やかなオレンジ色の服を着たコオニユリが存在をアピールし、 満開のクサボタン越しに孤高の剣ヶ峰が聳える
10年以上前だったと思うけど、NHKでヒマラヤ奥地の外界から隔絶された地上の楽園の番組を観た
時間が止まった様な空間の背後に、真っ白いヒマラヤの峰々が聳え立つ シャングリラと呼ばれるその楽園の映像は強烈でした
表現に少し無理があるかもわかりませんが、南壁を従え、花々に囲まれた静かな三ノ沢界隈をそのイメージに重ねてみました
砂礫の急斜面を砂埃をたてながら転がるように下り、靴は真っ白、お肌はザラザラ
カラカラに乾燥したすり鉢状の沢に、真夏の日差しがギラギラと照りつけ足下から熱線が照り返す
シャングリラって暑い所なのね ゆっくりしたいがじっとしていたら時間が止まるというより呼吸が止まってしまいそう
最終堰堤を下り、左岸の日陰に腰掛けて水分補給 ちょっと飲み水が乏しくなって心細い
「文殊堂まで、後30分」と、重い腰を上げ沢沿いを下っていたらカワラナデシコ! 暑いと言っても着実に秋が忍び寄る
思わず 「ガンバレ!、なでしこジャパン!」 今朝フランスとの接戦を制して、残す試合はアメリカとの決勝戦
幾つか堰堤を過ぎたところで右岸へ渡り、治山林道を下る
治山林道から舗装路に飛び出せば文殊堂 大山環状道路を歩いて駐車場を目指す
二ノ沢から大山南壁を見上げれば、剣ヶ峰が呼んでいるような・・・何時かゴルジュ辺りまで遡ってみたい
木漏れ日の中を意気揚々と歩いたのも一ノ沢まで、途中から横手道に入る積りだったけど あまりの暑さに予定変更
枡水原から「大山る〜ぷバス」右回りコースに乗り、相当大回りして「大山橋・モンベル前」停留所に帰って来た
花の名山・伯耆大山を代表するユートピア&シャングリラ 二つの花園を分けるスリル満点の主稜線歩き
今日は、青空の下で色とりどりの花に囲まれ、大山の夏を十分楽しんだ
でも、夏といえば山だけではありません そう、お祭りです 日本全国津々浦々「夏」真っ盛り
山陰を代表する祭り「米子がいな祭 万灯パレード」が待っている米子駅前まで車を走らせる
秋田竿灯の流れを汲む「がいな万灯」 ”のぼせもん”が担ぐ万灯が夜空を灯す
子ども万灯9基、おんな万灯&がいな万灯34基、合わせて43基の妙技が繰り広げられ拍手喝采でした
お山の祭り、街の祭りを目いっぱい楽しんでホテルへ帰りバタンキュー、夢を見るゆとりもありません
翌日、島根半島・美保関界隈を巡り、伯耆大山の雄姿に見送られて帰路に着きました
歩いた道 ホーム