2012年09月15日  ”飯野山”

讃岐の国のオラが富士、おじょも伝説を尋ねて飯野山へ


昔々山造りが得意な大男・おじょもさんが瀬戸の海をひと跨ぎして讃岐の国にやって来た

青々と広がる平野を見て、俄然腕が鳴り出した

「よ〜し、おむすびのようなけっこい山を造るぞ」と、讃岐平野のあちらこちらに土を盛ったとか

中でも自信作は讃岐富士と呼ばれる飯野山

伝説や民話の舞台となるのはけっこいお山の宿命のようなもの、それこそ名山の証です

今日は飯野山に登って、おじょもさんの気分を味わって来よう




青ノ山から眺める飯野山、東側が少し歪なのは訳が有る

それはそうと、さすが讃岐香川はうどん県 うどん鉢を伏せたようなお山がいっぱいです

うどんが先か、お山が先かって?  う〜ん・・・その話はちょっと置いといて下さい




頂上まで2200m 尾根も沢も無い勾配一定の螺旋状の登山道をゆっくり登ってゆく

歩き始めて15分ほどで四合目 西を眺めれば、土器川を跨いで走る高松自動車道

その右に見える大きなため池は、
映画「UDON」のロケ地となった宮池で飯野山のビューポイント

飯野山山頂で朝日が輝く素敵なダイヤモンド富士が、年2回池から見られる

風の無い穏やかな朝には池面にその姿が映り、ダブルダイヤモンドになる時もあるそうだ

ずっと奥には
天霧山、我拝師山等、西讃の山々が並んでいる



南にどっしりと横たわる山は、金毘羅さんのお山・象頭山

此処から金毘羅さんまで11km位かな?

間を流れる土器川は、おじょもさんの小便で出来たという話が残っているそうだけど・・・?

何でも、「この飯野山が一番の出来じゃ」と辺りを眺め

どれどれと、やおら象頭山に足をかけ大雨のような小便をしたそうな

それが川になって流れたんじゃと! 何とまぁ、豪快な!



おや、あの煙は我が町・四国中央市の煙突、おじょもさんの足だと、2,3歩で帰れそう

その背後に法皇山系、赤石山系 ずっと右には笹ヶ峰、沓掛山の吊尾根も薄っすらと見えている

台風も近付いているし高い山は雲の中かなと思っていたけど、意外にすっきりとした展望です


北東を眺めれば、常山(つねやま 左)、城山(きやま 右)

おじょもさんが、ほごに入れた土を天秤棒で運んでいる時、うっかりこぼして出来た山だとか!

そんな肩身の狭い言い伝えなんか気にも留めずゆったり構えているように見えるが・・・

どう思っているんだろう? 聞けるものなら、お山の本音を聞いてみたい



空の青と海の青の間を縫って、巨大な瀬戸大橋が走る

昔は、高松港が四国の玄関 連絡船やフェリーから桟橋が見えるとそわそわしたもんだけど

大橋が出来て以来、讃岐富士が見えたら「帰って来たなぁ」とほっとする

夕闇に浮かび上がる讃岐富士を見ながら、イルミネーションで飾ったら綺麗だろうなと思うのは私だけかしらん?

それはそうと、飯野山の東側が歪なのと、青ノ山(写真 左)の天辺が平らなのは、兄弟ゲンカしたからだとか

青ノ山が「兄ちゃんよりオレの方が背も高いし、木々も青々してイケメンじゃ」と言ったので

怒った飯野山は、「弟のくせに生意気じゃ」と、青ノ山の頭を箒で叩いて吹っ飛ばしてしまったんじゃと

それを見ていた象頭山が「乱暴はいかん、ケンカ両成敗じゃ」と、飯野山の頭をぶったので今でもたんこぶが残っている

それ以来、ケンカもせず兄弟仲良く並んでいます

飯野山(422m) 標高に因んで、毎年4月22日は讃岐富士の日

頂上に着くと、薬師堂前には和やかなサロンが出来上がっていた

野外活動センターでお会いした方の3000回登山に驚いていたら、中には5000回の人もいるとか!!

一日一回として、雨の日も風の日も盆も正月も休まず登っておよそ14年 

こんなに、毎日たくさんの人に登って貰って、幸せなお山だこと

平成17年3月22日「新日本百名山」に選定され、全国的にも人気上昇中です



薬師堂裏で、「おじょも桜」の巨木が葉を茂らせている

来春も可愛い花をいっぱい咲かせ、みんなを楽しませてね〜

側に、大正11年(1922)陸軍大演習で香川を訪れた昭和天皇の歌碑が建つ

暁に 駒をとどめて 見渡せば  讃岐の富士に 雲ぞかかれる

仁安2年(1167)、賀茂神社に参詣して西国の旅に出発した齢50歳の西行さん

翌仁安3年に、崇徳院白峯御陵に詣で善通寺へ向かう途次、飯野山を眺めて詠んだ和歌

讃岐には これをば富士と いいの山 朝げ煙 たたぬ日はなし

余談ながら、この年高倉天皇が即位し、平清盛が出家する



頂上から少し下った所にある展望所の巨石群に「おじょもの足跡」が残る

50cmくらいの大きさで、飯野山と象頭山に足をかけた時に付いたものだそうだが

想像していたよりも、う〜んと小さくて可愛い足跡

ちなみに、十六文キックで有名だったジャイアント馬場の足は34cm



下山時
すれ違った方が下さった元気の良いキリギリス〜

秋風に乗って、今にも象頭山まで飛んで行きそう

讃岐のお山に登れば、み〜んな友達  これもおじょもさんのお蔭です


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