2012年10月08日  ”苗場山


秘境・秋山郷の奥に聳える池塘の山

昨秋、訪れた頸城山塊の火打山・妙高山の池塘の風景に魅せられて

今年も池塘の山・苗場山の紅葉を楽しもうと、はるばる信越にやって来ました

長野、新潟両県にまたがる高層湿原の山・苗場山、楽しみ〜

以前奥志賀林道を走った時以来、気になっていた栄村秋山郷を目指す

小赤沢コースから平太郎コースを周回して和山温泉へ下山と言うのも面白そうだけど

お天気もはっきりしないので、小赤沢コースをピストンすることにする

秋山郷小赤沢集落から登山道が続いているが、車では小赤沢橋を渡って左折

指標に従いブナに囲まれた林道を走れば、トイレも設置された広い駐車場(三合目)に着く



登山口(7:10)〜(9:10)八合目〜(10:05)苗場山頂(10:30)〜(13:25)登山口(6時間15分)




「小赤沢コースピストン」と書いた登山届をポストに投函し、ブナに見送られて登り始める

登り始めが既に三合目(1310m) 側に、赤石澤国有林入口の標柱が建つ

檜の根が這う登山道 階段代わりに踏ませて貰いました



雰囲気の良いブナの道が続く 四国のゴツゴツしたブナと違って、此方はスタイル抜群

黄金色に燃え上がり登山者を楽しませてくれるのは、1〜2週間後かな?

そんな風景を想像するだけでも楽しい

四合目(1470m) 水場(10mくらい下ったところに在る)への道を右に見て、真っ直ぐ進む



ブナが見えなくなり、シラビソやダケカンバに変わり始める  輪切りの丸太が埋め込まれたなだらかな道をゆく

五合目(1580m)を過ぎた辺りからは、ちょっと急坂 それにしてもずるずる滑って歩き難い



六合目(1750m)を過ぎて10分程

ガイドでは、そろそろ水の流れる沢を渡渉する筈なんだけどと進んでいたら

沢かなと思われる箇所が土石流で埋まっている 昨年の大水被害でかなり傷んでいるようだ

沢を通過すれば急登とのガイド通り、クサリやトラロープが設置されていてワクワク感が増す



が、辺りはガスが立ち込め今にも降り出しそうな気配

頂上台地に出ても、辺りが真っ白だったら・・・何て、弱気になりながら黙々と登ってゆく

八合目(1940m)を過ぎると、クマザサの向こうに山頂方面が見え出し(山頂は、ずーっと奥で見えない)足早に駆け上がる



ウワァー! 一気に目の前が開け、素敵に色付いた草原が目の中に飛び込んで来た

しんどい思いをして登って来た甲斐があったわ〜♪

坪場と呼ばれるウッドデッキを過ぎ、振り返れば2036mピークが見送っている



和山からの登山道を右から合わせ、快適な木道を進む

所々、すれ違いの為の木道も設置されている



振り返れば、其処は天空の楽園

輝く池塘を眺めながら、言葉にならない感動が湧き上る



九合目(2000m)を過ぎて直ぐに樹林帯に入ってゆく ゴツゴツした岩の道を10分程進むと再び大湿原に飛び出す



右に別れる木道の傍に赤倉山4kmの標柱が建つ

シラビソ林が立ち並ぶ辺りに苗場神社が祀られているそうなので、帰りに寄ってみよう

苗場の山名の由来を尋ねれば、山頂部に広がる天空の苗田・池塘に神々が苗を植えたという伝説に拠るそうだ

そう言われて一面に群生するミヤマイを見渡せば、黄金色に輝いて実りの秋を思わせる

登山道傍らに建つ石碑  何だろうかと、刻まれている文字をよく見れば

天照皇大神を中心に、事代主命、猿田彦命、大山祇命等々、古事記神話に登場する神々が鎮座する



シラビソの疎林に囲まれるように大小の池塘が散在する

ガスが晴れれば、浅間山(2542m)、南アルプス、富士山も見えるんだろうなぁ



木道が延びた先に山頂ヒユッテが見えて来た  ヒユッテ下のウッドデッキではたくさんの方が休憩中

大岩に役行者が祀られているけど、この山の開山も役行者なのかしらん?



ウッドデッキ傍らの大岩にも石仏が祀られているが、文字は読めない

刻一刻、雲の流れが変わるので、振り返り、振り返り、歩いていたらなかなか山頂に着けない

 

やっと着いた苗場山頂上(2145,3m)は、大シラビソ林に囲まれ展望は無し

苗場山頂ヒユッテ(苗場山自然体験交流センター)のテラスで、おやつタイム

天気の回復は望めそうにないし、そろそろ下りようか



「秋山紀行」を著し、美しい自然や山村の習俗を世に紹介した江戸時代の文人鈴木牧之(すずきぼくし)

文化8年(1811)7月、苗場山に登った時の感動を記している

苗場山は越後第一の高山なり、絶頂に天然の苗田あり、依て昔より山の名に呼なり。峻岳の巓(いただき)に苗田ある事甚奇なり。

眺望(みわたせ)ば越後はさら也、浅間の煙をはじめ、信濃の連山みな眼下に波濤す。

千曲川は白き糸を引き、佐渡は青き盆石を置く。

〜中略〜

ここに眼を拭いて扶桑第一の富士を視いだせり、そのさま雪の一握りを置くが如し。

人々手を拍、奇なりと呼び妙なりと称賛す。〜略〜



木道沿いのあちらこちらに群落しているチングルマの紅葉 花の名残のお髭が可愛い

いろんな花々が咲き乱れ、夏の湿原も素敵なんだろうなぁ

楚々と咲くリンドウや赤い実をつけたイワショウブが風に揺れる

ガスの中から薄っすら姿を現したのは、奥志賀の山々だろうか?



分岐から5分程歩けば苗場神社  見下ろせば、湿原の中に赤倉山へと続く木道が延びている



樹林帯の紅葉  登りの時より色鮮やかに感じられるけど・・・気の所為かしらん



登りと同じ写真だけど・・・何と言っても、此処がハイライトかな〜♪



さっさと通り過ぎてしまうのは勿体ない のんびりしようや〜

誰も想いは同じなのか、坪場に留まり癒しの空間に浸っている

充分景色を堪能し、急坂を下っていくと次々登ってくる団体さんとすれ違い

道を避けて待っていると、「ありがとうございます どちらからですか〜」 「四国です」

「えっー!お気をつけて〜」 気持ち良い挨拶が嬉しい

展望はいまいちだったものの、爽やかな気分で登山口に帰って来た

池塘の点在する山に魅せられて、はるばる信越までやって来た甲斐が有りました


下山後、平家の落人伝説が残る秘境・秋山郷を少しだけ散策



大瀬(おぜ)の滝            江戸時代中期に建てられた福原総本家旧宅

苗場山と鳥甲山に挟まれた秋山郷は、7m85pと日本一の積雪量を記録したという豪雪地

四季折々の美しい自然と、素朴な民俗・文化が残っている



実りの秋を迎えた見倉地区

苗場山頂の石仏群同様、里にも沢山の石仏や道祖神が祀られている

村の歴史や人々の暮らしと密接な繋がりがを持っているんだろう

道端の道祖神心に見送られて、秋色に染まった秋山郷を後にした

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