2012年10月20日   ”剣山・次郎笈


先週に続いて奥槍戸、槍戸川沿いを遡り「南つるぎ」を楽しむ


GPSトラックログ (カシミールソフト使用)
この地図の作成に当たっては国土地理院長の承認を得、同院発行の数値地図50000(地図画像)、及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用
承認番号 平18総使 第582号


登山口(8:05)〜(9:15)ホラ貝ノ滝(9:30)〜(11:00)剣山頂上〜(12:45)次郎笈(13:10)
(14:10)
山の家奥槍戸(14:40)〜(15:35)駐車地点               (7時間30分)


「南つるぎ地域活性化協議会」の皆さんが、「知られざる剣山南面ルートの魅力」を伝えるべく

4コースを選んで保存活動に取り組まれている

今日はその内、「ホラ貝の滝コース」と「山の家奥槍戸コース」を周回し、南つるぎの魅力を体験します

コースイメージはこんな感じ、5つのパートに分けることが出来ます

@ 登山口(1200m)から「ホラ貝の滝」(1400m)まで2.6kmは、渓谷沿いの道         

A ホラ貝の滝から剣山まで2kmは、しっかりした尾根道だが一気に高度(550m)を稼ぐ     

B 剣山から次郎笈までは言わずと知れた四国随一展望抜群のハイウェイ              

C 次郎笈から山の家奥槍戸(1530m)は、緩急織り交ぜた自然林の道               

D 山の家からは四国が誇るオフロード、剣山スーパー林道を歩いて登山口まで330mほどの下り

と、変化に富んだコースですが、@は急崖やザレ場、渡渉が有りかなり緊張する場面があります



遠い遠いと言いながらも先週に続いて槍戸渓谷を遡り、登山口のおおぼら橋を目指します

登山道入口に、「この歩道は危険ですので通行を禁止します ホラ貝の滝を経て剣山に至る登山道は、南側の

ヘアピン山手側から入って下さい 南つるぎ地域活性化協議会 徳島森林管理署」との貼紙がある 「了解です」

事前情報に拠れば槍戸川左岸から歩き始めると思っていたけれど、どうも右岸に道を付け替えたようだ

ヘアピンまで戻り、登山道に入る  今日は一番乗り、辺りに車は一台もいない 

登山口には剣山系ではよく見かける「熊出没注意」の看板 念のため鈴をつける

この辺りの紅葉は始まったばかり もう少し冷え込めば一気に色付くだろう

林道の名残りか、道幅が広いところもあるがザレ場もある 危険なところはロープを渡してくれている



渓谷の奥、真っ青な空の下にこの後歩く天空の稜線が見えている

鈴の音も打ち消されるほどの瀬音が聞こえて来る かなり水量がありそうだ  早速、左からの五軒小屋谷へ下り渡渉です

設置されていた板を渡し戻して、なんとかクリアーし本流沿いを進む  もう少し水量が多ければジャブジャブでした



急崖の道に付けられた補助ロープや桟橋を頼りに、一歩一歩確実に歩を進めます

谷沿いの道は維持管理が大変だと思いますが、感謝、感謝です



歩き始めて30分弱で、右から昔の道(だと思います)が合わさる(ロープが張られている)

周りは徐々に色付いて来ていてのんびり景色を楽しみたいが、厳しい道が続き、息が抜けません

 

滑りそうな丸木の橋 低い重心をより低くして、手摺をしっかり持って慎重に渡ります

歩き始めて1時間ちょっとで、二俣 左からのウバガ谷(ジロウギュウ谷)を渡ってホラ貝谷へ

( 谷の名前は「イメージをトレースする山歩き地図1 剣山・三嶺 泉保安夫著」 に拠る)

 

少し進むと(この辺り少し判り難い)大岩がある 大岩の側には「剱岳法尼霊」と刻まれた小さな石碑が置かれている  

ここは滝への分岐点 登山道は左に折れるが滝は奥へと進む 石碑から少しの距離だけど道はグジャグジャ

 足場が悪い上に倒木や流木が道を塞いでいる ここは流木の溜まり場か 今日一番の難所です

 

流木を跨ぎ、靴を濡らして対岸に渡りやっと滝にご対面  狭い落ち口から勢いよく流れ出る水がゴーゴーと滝壺を打つ

ホラ貝の名の由来は、滝の落ち口の形状がホラ貝に似ているという説と

谷間にこだまするような滝音がホラ貝を吹く音に似ているからとする説があるそうです 今日は水量も多いし、後者かな?

この滝で吹いたホラは流れとともに尾ひれがつき、登山口がある橋の辺りでは大ボラとなる

 

滝分岐まで引返し登山道に復帰 さぁここから谷と分かれ、剣山向けて急登の始まりです

高度を上げるにつれて、紅葉の色付きが良くなり展望も出て来ます

右に槍戸山(1824,6m)、左に次郎笈が見え始める

南つるぎは、槍戸山から次郎笈にかけての1900m前後の稜線に扇状に囲まれた手つかずの自然が残る山域です

大きいカメラを提げた単独の男性が下りてきた 見ノ越から剣山頂を経ておおぼら橋へ

奥槍戸山の家から次郎笈に登り返して見ノ越に戻るそうだ なるほどそんな周回もあるんだ でもしんどいだろうな

またお会いしましょうと別れ、この男性とは次郎笈南東斜面で再会した

続いて単独の女性に会う 同じくおおぼら橋、槍戸山を経て見ノ越に戻るそうだ

剣山までに登山者の声を聞いたのはこの2回だけ 本当に静かというより静か過ぎる山域です

 

時々、何処からともなくケ〜ンと鹿の鳴き声が聞こえてくるけれど

  鹿の食害防止の為、ダケカンバの幹にはネットが巻かれている

ツガの倒木が道を塞ぐ 跨ごうかなと思ったけど、ウ〜ン無理  でも、潜るのは得意です



右に、一ノ森(1879,6m)が近付いて来た まだあんなに高いの? ちょっと休もうや

先週は少し風が冷たかったので、寒さ対策をしてきたんだけど 

今日は風も無く抜けるような青空、おまけに南面とくれば汗びっしょり

一枚調節して、小さなジグザグの急坂を頑張る



左に次郎笈 頂上稜線には沢山の人が見える

一ノ森は、剣山から東に延びる緑豊かでゴツゴツした稜線上のコブだけど、次郎笈はすっきりした吊尾根の先に

一面笹に覆われた精悍な姿で自分をアピールしている 山系の主峰を挟んで対峙する個性的な二山です

この頃、ストーンリバーさんやつるぎの昔乙女さんたちが、山の家奥槍戸へ向けて下っていたそうだ

知っていたら「オ〜イ」って手を振ったのに・・・

 

潅木帯を抜け笹原に出たと思ったら、ほんの少しで木道が敷かれた稜線 頂上はすぐ其処  ヤレヤレです

頂上ヒュッテから頂上に向かう時、何時も気になっていた道を歩くことが出来、満足、満足

滝から1時間半、賑わう剣山頂上(1954,7m)に着きました

 

兄弟峰を繋ぐ吊尾根を真っ直ぐ下りれば近いけど、北つるぎの色具合はどうかなと少し回り道

 お目当ての紅葉は既に終わり、大剣神社のご神体・御塔石は相変わらずの迫力で天を突く

ところで、剣山の名前の由来は安徳天皇が平家復興を願って山頂宝蔵石の下に御剣を納めたことに拠ると言われているが

御塔石が段々浸食されて剣の形に似て来たから、石立山と呼ばれていたのが剣山になったという説もあるそうだ



二度見展望所への途中の岩場から、ドウダンツツジ越しに眺める次郎笈

相変わらず、山頂は賑わっている 登山者が稜線からこぼれそう

 

二度見展望所で小休止し、入日色に輝く紅葉を眺めながら次郎笈へ向かっていると

「アレー、やまももさん」 笹原に腰掛け、四方山話に華が咲きました 剣山へ向かうご夫妻を見送り、トラバース道へ

教えて頂いた通り、次郎笈西面は素敵に燃え上がっていました さぁ、パートBも大詰め 頑張って登りま〜す



急坂途中で西を見れば、三嶺(1893,4m)に向かってたおやかな稜線が続いている

1985年、上勝から那賀町まで87.7km全線開通した剣山スーパー林道は日本最長の林道

今夏の大雨で崩落し長い間復旧工事中だったが、剣山トンネル口から高ノ瀬間が明日21日より通行可能となる



次郎笈頂上(1930,0m) 切り立った頂上からは文句なし360度の大展望 

あれっ? 次郎は今まで石鎚山系の二ノ森(1929,2m)より僅かに低くて四国で4番目だと思っていたのですが

何時の間にか三角点が設置され、四国で3番目の高さになっている

頂上を過ぎたところの露岩に腰掛け、食事をしながら大休止

つい最近まで冷やした物をザックに詰めていたのに、今日は温かいお味噌汁が美味しい



賑わう頂上を後に下山開始 一歩離れるとそこは別世界 北と南ではこんなに人気が違うものかな

目の前に槍戸山が迫り、先週歩いた勘場山、権田山、折宇谷山などの槍戸アルプスが東に延びている



東の肩の付け根までの急坂が終わると、暫くはウラジロモミが点在するなだらかな水平道が続く

以前歩いた時より道幅が狭くなっているように感じるけど、気の所為かな?

我こそが一番、早く撮って!と、誇らしげな木々に足止めされて、なかなか前に進めません



次郎笈を振り返り、振り返り進みます

カラフルな衣装を纏った少女がラインダンスを踊っているようです

仲間に加わり一緒に踊りたかったけど、足の長さがちょっと足りません 

「ちょっとだけかぁ〜・・・」  「まぁ、失礼な!」



 「元気だった〜」 逢うのは次郎、槍戸山縦走以来7年振り、4度目です

 相変わらず、枝を縦横に広げて日向ぼっこしています

露岩から剣山スーパー林道を見下ろせば、 紅葉の中に山の家奥槍戸の赤い屋根



ジグザグを繰り返しながら高度を下げてゆき、山の家奥槍戸横に下り立つ

駐車場に停められている車は3台ほど 思ったより少ない 災害復旧工事のため高ノ瀬から入れないからかな? 

山の家で山菜そばとあめ湯を頂き、30分ほどのんびりしてスーパー林道を歩き始める



紅葉真っ盛りの木々が、鮮やかさを競うかのように 山の家の赤い屋根を取り囲む

眼が焼ける程眩いばかりの紅葉の中 急勾配の林道を下って行く 逆回りならこの勾配は案外きつい

大雨でズタズタに崩れたスーパー林道と町道槍戸線、山の家から上那賀までは今年7月に復旧したそうだけど

それにしても凄い傷みよう この地域は四国でも有数の多雨地帯 道路の維持管理が大変だ



車で走れば10分ほどの距離だけど、さっと通り過ぎるのはなんとも勿体ない 歩いて正解です

それにしても、車に出合わない こんなに燃えているのに、みんな何処に行っているの?



先程歩いた雄大な稜線を眺めながら、大自然満喫の贅沢な時間が流れてゆく

楽しい1時間はあっという間 モミジ色に染まりながら、人気のない駐車地点に帰って来た

因みに、この先「にくぶち橋」から「日奈田峠」までのスーパー林道は完全通行止めで復旧は未定だそうだ


今日は、以前から気になっていた「南つるぎ」を歩き、渓谷美、大展望、紅葉と感動の連続でした

傷みやすい渓谷沿いの道は、土嚢、桟橋、トラロープが設置されていて心強く

特に今日は水量も多く、流されないようにと括りつけられた渡渉用の板が無かったら靴を濡らすところでした

南つるぎ地域活性化協議会の皆さん、気持ち好く歩かせて頂きましてありがとうございました

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