寒明け頃になると、心なしか日差しが明るくなり、春の便りも聞こえて来出した
これからは寒の緩みと戻りがせめぎあい、ゆっくり大きな春へと移ろってゆく
そんな季節の狭間、久し振りに雪山日和の天気図が現れた
雪は少ないだろうが白いブナ林を歩きたい!と、ブナの故郷・伊吹山を訪ねる
県道石鎚公園線から分かれ、林道秋切線に入り、寺川集落を抜け奥へ進む
白猪谷バンガローへ下りる道を左に見て、尚も林道を上がって行く
路面は所々凍っているが、今日は天気も好いので帰りには融けているだろうと何時もの様に楽天的
林道終点に着くと車が2台停まっており、単独行の方が瓶ヶ森を目指して出発された
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林道終点から急坂を一息で右からの登山道に合流し、直ぐ人工林に入る
15分ほどで緑緑した「上のワサビ田」 ワサビは水が命 ブナ林からの雪解け水で育ったワサビはさぞや美味しい事だろう
どこかの産直に行けば手に入るのか? 一度涙が出るほどの辛さを味わってみたい
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雪解け水が音をたてて流れる沢を渡渉し、明るい自然林を進む
暫くして、下山中の5人のグループとすれ違う
昨夜はシラサ避難小屋泊まりで、素敵な星空を眺められたんだろうなぁ
よく締まった雪斜面をスイッチバックしながら高度を稼いでゆくと
前方に、子持権現山(1677m)と奥に展望ノ丘(1709.7m)が見え出した
雪も融け、何だか春山の様な雰囲気〜
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登山道が緩やかになり、シラサ避難小屋への道を右に分けると、直ぐシラサ山荘
瓶ヶ森林道に立つと、、デ〜ンと構える冬の王者・石鎚が目の中に飛び込んで来た
日当たりの好い山荘前は路面が剝き出し、拍子抜けするほど雪が無い!
登山口で出会った単独行の方も、まるで春山みたいだと雪の少なさに驚いていた
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今日は未だ誰も踏んで無いなぁと、 伊吹山への登山道を見ながら瓶ヶ森林道を進む
適度に締まった雪道は歩き易い 日陰の吹き溜まりは50cm位の深さかな?
何時もは車で走り抜ける所だけど、今日は正面に神々しい石鎚を見ながら何とも贅沢な林道歩き
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氷見二千石原は、はだれ雪 このまま春になってしまうのかしらん?
まだ2月に入ったばかり、もう少し雪遊びがしたいなぁ
後から分かったが、山友のじいじさんが瓶ヶ森を目指していたそうだ
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林道から雪の斜面を駆け下りていたグランパが、突然雪の中に頭から突っ込んだ
雪に埋まり輪っかになったスズタケに足をとられたみたい
よく見れば、雪面にはスズタケの足かせがいっぱいです
幸い怪我は無かったけど、最近視力も注意力も落ちて来てるんだから足下よく見てよ
ともあれ、ブナの故郷・伊吹山に君臨する巨大ブナと2ヶ月振りの再会
「先日の大雪、大丈夫だった〜」
雪の中で雄々しく聳え立つ その姿は、益々逞しさを増したように感じられる
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巨大ブナと会話するかのようにスックと背伸びする大ブナ
スタイル抜群!と、 遠くから石鎚がエールを送っている
ブナはこれから徐々に活動を始め、芽吹きのためのエネルギーをたっぷり蓄えてゆく
「萌え出した頃、また会いに来るからね〜」
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よさこい峠から、指呼の距離に岩黒山(1745.6m) その左のずんぐり頭は、筒上山(1859.3m)
峠から県道石鎚公園線を見ると結構雪が残っているけれど、日当たりのよい峠の雪はかなり融けている
小休止後、登山道に取り付き潅木帯を登ってゆきながら
かれこれ10年近く前の事、柔らかい新雪に阻まれて途中でギブアップした事を思い出した
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雪塗れで、石鎚が見える所までと頑張って、無念の撤退をしたのはこの辺りだったかな?
今日は歩き易く暖かで、ルンル〜ン♪ 鼻歌が出てきます
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この辺りはブナの霧氷が綺麗な所なんだけど 今日は霧氷の「む」の字もありません
ブナの枝先は少し赤みを帯びていて、心なしか春の息吹を感じます
ジャンクションピークからは、道が緩やかになってくる
時折ゆるんだ雪に足をとられながら、見え隠れする瓶ヶ森や西黒森山を正面に伊吹山を目指す
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今日の石鎚は大サービス コース何処からでも、精悍な姿が見放題です
青空を切り裂くようにせり上がる峻嶮なその姿は、風格、品格とも文句なく四国一の山だと思います
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雪解けはブナの根元から始まる 降り注ぐ柔らかい日差しを受け止め、温もりで根元の雪を融かしてゆく
季節の変化を敏感に表現するブナの森 芽吹きの頃まで、ジィーと眺めていたい気持ちになってくる
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間もなく伊吹山頂上 瓶ヶ森を見ながら歩を進めていると、食事休憩中のグループの方が「啓子さ〜ん」
「アレー、ヤマガツオさん!」「ギッチャン、お久し振りです」
クラブ例会のシラサ避難小屋泊まりを止めて、日帰りで来られたそうですが
もう少し頂上に着くのが遅かったら、入れ違いになっていたところでした
皆さんとの嬉しい出会いに、楽しい華が咲きました〜♪
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伊吹山(1502.8m) 標高こそ目立たないが、ここは石鎚山系のど真ん中
西に石鎚、北に瓶ヶ森と大展望が広がっている
気象が不安定で良く荒れる近江の伊吹山、その山名由来は
神の息吹が吹き下ろしてくるという事で、肝吹(息吹)→伊吹になったと、日本書紀に載る
そしたら此処は、石鎚権現と瓶ヶ森権現の息吹が吹き下ろして来るんだろうか?
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今日は節分、恵方巻きを丸かぶりすると縁起が良いとか
今年の恵方は南南東だけど、先ずは石鎚に向かって 「頂きま〜す」
下山されるヤマガツオさん、ギッチャン、クラブのみなさんを見送り食事休憩
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心ゆくまで大展望満喫〜♪ さぁ下りよ
掘割状の登山道に、深いスノーブリッジ 後のグランパに「落ちんようによく見てね」
「任しとけ」とは言うものの、周りばかり見ながら歩いている ハラハラ
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実は、この「シラサ峠の大ブナ」のウエストサイズ測定が今日の主目的
林道から少し入った所で、悠然と構えていました
以前、ブナが萌え出す頃までメジャーを仕舞いますと言ったけど
困った事に気の短い似た者夫婦が、そんなに先まで待てる筈がありません
よさこい峠近くのすらっとした2本と異なり、思う存分手足を拡げた「八方ブナ」
かなり傷んでいるので目通りは計測不能 根元回りを測ってみると6m10cm
な、なんと! 6mを越えるじゃない 私流に言えば「神のブナ」 思わず手を合わせました
今年の測り初めに相応しい大ブナでした
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明るいブナ林を歩き、ジグザグ道はシュートカットしながら下ってゆく
渡渉したところで出会ったご夫妻が「ホームページ見てますよ」と声をかけて下さった
ちょっと恥ずかしいけど、やっぱり嬉しい!「ありがとうございます」
シラサ峠から1時間弱で、辺りが伐採されている登山口に帰って来た
青空の下でブナにも会えたし、今日は心地よい歩きが出来たねと話しながら
白猪谷バンガロー分岐近くまで下りて来たところ、凍結したカーブで車が横滑り
石で氷を割り事なきを得、胸をなでおろしながらゆっくり下って行くと
ヤマガツオさんたちが、ピッケルで路面の氷割をしている
路面の全面結氷 おまけにガードレールは無く谷は深い、想像するだけで背筋が凍る
1時間程かかり、車輪幅だけ距離50mほどの氷を割りなんとか通過
普段は箸より重いものを持った事のない軟な手で、大きな石を持っての砕氷作業 未だに手が痛い
こんなに真面目に仕事をしたのは初めてだと、言われる方もいました
今回の山行は、雪田に佇む大ブナよりも、路面の氷割のほうが記憶に残ります
みなさんのお蔭で無事に帰れましたが、もし二人だけだったらと思うとゾッとします
山歩きのゴールは登山口じゃ無く、自宅玄関ということを思い知らされました
皆さん、冬の伊吹山は無理をせず、白猪谷バンガローから登りましょう
トータルの時間はそんなに変わりません
あっ それからもう一つ 念のため、氷を割るためのハンマーをお忘れなく
歩いた道 ホーム