2013年02月10日 ”烏ヶ山の巨大ブナ”

北北西に進路をとれ 深雪に閉ざされ静寂の森に佇む神のブナ



GPSトラックログ (カシミールソフト使用)
この地図の作成に当たっては国土地理院長の承認を得、同院発行の数値地図50000(地図画像)、及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用
承認番号 平18総使 第582号


休暇村大山鏡ヶ成P(8:35)〜(8:55)入山〜(10:30)巨大ブナ(10:50)〜(11:40)下山〜(12:05)P (3時間30分)


昨年11月23日、宝珠の巨大ブナを見に行った時、大山自然歴史館の方に

「烏ヶ山にもっと大きなブナがあるよ 積雪期しか入れないけど、是非見に来て」と、マップを頂いた

「烏ヶ山のブナ翁」とも呼ばれているらしいその巨大ブナは、鋭峰を護る神の様に立ちはだかっている

ラッセルも無く、雪質が安定する春先が好期だろうが「今年は雪も少なそうだし、春まで待てん」

ということで、撤退も覚悟で巨大ブナに会いに行って来ました



蒜山ICで下車、伯耆街道(国道482号)を走る 南大山大橋を渡り、先ずは御机を目指す

(注、鏡ヶ成へは、下蚊屋から大山広域農道を走る方が早いです)

ひょっとして見られるかなとの微かな期待は裏切られ、南大山・烏ヶ山は厚い雲の中

御机を過ぎた辺りから雪が増えて来た 「雪崩注意」の看板を見ながら、休暇村大山鏡ヶ成へ



スキー客の車が停まる休暇村大山鏡ヶ成駐車場 泊りの車だろうか、屋根にドカッと雪をのせている

少し風はあるけれど、それでも思ったほどは寒くない 気温は-4℃

「さぁ いこか」 入山地点までは車道歩き 

烏ヶ山の夏道入口はこの辺かな? 次々やってくるスキー客の車を避けながら真っ白い道をゆく



烏ヶ山(1448m)には雪雲がかかっているが、巨大ブナの居所・本峰と1180Pの凹部が薄っすらと見える 

「この辺りから北北西に真っ直ぐ進めば良さそうじゃねぇ」

久し振りにワカンを履いて、まっさらな雪原に一歩を踏み出す

歩けんようだったら、さっさと撤退して雪見の露天風呂でも楽しもうと思っていたけど

新雪は20〜30cm程、その下はそこそこ締まっているのであまり深くは潜らない

この時期の入山はちょっと無謀かなとの不安も何処へやら この分ならブナまで行けるかも〜と、早くも楽勝気分

この広い雪原が二人だけのものなんて、何と贅沢な!



モミ?の林に入ると、少し雪が深くなって来た

雪の深さはどの位だろうかとストックを突き立てたら、すっぽり埋まってしまいまだ地面に届かない

よく分からないが、多い時は3m以上にもなるそうだから、今日は2m位あるのかな?

林を抜けるとトチやミズナラ、ブナが現れ、右手に真っ白な稜線が見え出した

あれ、ピンクのテープがあるけど?・・・無視して、稜線と平行に進みながら谷を詰めて行く



暫く行くと、今度は前方にピンクのテープ これはブナへの道標かもしれない

辺りはブナだらけ、そろそろ目指す巨大ブナが目の前にデ〜ンと現れる頃かなとキョロキョロ

アッー!ひときわ大きいブナが眼に飛び込んで来た



大きさと言い、形と言い「これが、烏ヶ山のブナ翁よ」  早速メジャーを出して測ってみると5m20cm

目通りは雪に隠れているんだろうと思いながら、持って来た写真と見比べてみたら??

よく似てるけど枝の感じがちょっと違う、それに近くに居る筈の双子ブナも見えない



「あなたはブナ翁さんですか?」と聞いても返事は無いし、もう少し登ってみよう

傾斜もやや急になり、右斜面からの雪崩れがちょっと気になりながら登って行くと

先程より一回り大きいブナが、行く手に見えて来た

今度こそ間違いない!



これだ! 一目で判るその重みのある図体

ブナが大きいのか? 私が小さいのか? 大きいブナが余計に大きく見えます

「ブナ翁」と言うより、「ブナ王」という名の方が相応しいかもしれない

僅かに沈み始めた根回り穴が、春の気配を感じさせている

ブナの側に立った途端、到着を待ってくれていたかのように日が差し出した

歓迎してくれたんかな〜♪

静まり返ったブナの森で、手前の弟ブナと励まし合って400回以上もの厳しい冬を耐えて来た巨大ブナ

勲章のように苔がびっしり付いた幹には蔦が絡み、辺りに威厳を放っている

日差しを受け神々しく輝く巨大ブナを見上げていると、「生きる力」が伝わって来た



目通りは、山側の地面から120cmの高さを測る(国交省基準)けど、今日は雪の深さが判りません

山側の雪面ぎりぎりにメジャーをあてると、5m65cm もう少し下を測れば、6m位あるだろう 

雪を纏ったその風貌は「神のブナ」と呼ぶに相応しい


 
元気そうに見えるが、よく見れば根元近くにうろが出来、中まで雪が積もっている

小さな沢を挟んで立つスタイルの良い双子のブナをズーム 目通り4mほどらしい

側まで行ってみたいが、雪がうねって沢を渡るのは大変そうなのでパス 

後、30m程登れば、荒々しい烏ヶ山南峰が見えるんだけど・・・どうする?

この天気では到底無理! 白い烏はまたの機会にして、今日は此処までにしよう



最初に会った手前のブナを「烏ヶ山のブナ翁です」なんて紹介したら

「それは違うです」という無責任な事になり、二人して穴に入りたくなった事でしょう

そうそう、次郎長の代参で「こんぴらさん」を訪れ、あまりに立派な旭社を本社と間違えてお参りし

そのまま引返してしまったという石松さんになるところでした

満足満足で下山していたら、突然後ろで「どさっ」という音がしたので振り返ると

グランパが自分のワカンを踏んで転んでいる 最近よく転ぶわ 

樹林帯を抜けた所から振り返れば、稜線が薄っすら見えている

あの白くなった谷間が、あんまり好きなネーミングじゃないけど蛇谷かな?


車道に下り立ちワカンを外す 辺りは相変わらずモノトーンで、時折粉雪が舞う

氷点下の世界でも雪が外気を遮断し根を護る この深い雪があるからこそブナは生きていけるんだ

ブナ林が厚い白布団を脱いで眠りから覚めた頃、また訪ねてみよう

 

キャンプ場を覗いてみたが、雪が深くて入れない

ブナ林の広がる象山(笹ヶ峰1085m)や擬宝珠山(1110m)を見ながら

雪が緩み始めた車道を歩いて駐車場に帰って来たら、車が満杯 スキー場が賑わっている



時間も早いし、スキー場で遊んでみよう リフトには沢山のスキーヤーが並んでいる

久し振りにス〜イスイと滑ってみたいけれど、板が有りません

スキーゲレンデから少し離れた所で、シリセード

正面に薄っすら烏ヶ山 ピーク狙いはもう少し先のピーカンの日にしよう

帰路、セツブンソウでも見て帰ろうかと思ったが、休暇村蒜山高原でまったりして帰路に着いた

歩いた道  ホーム