津黒高原荘出発
(9:20)〜マイクロバス〜(9:55)入山〜大藪漕ぎと巨木巡り〜
〜(15:45)下山
〜マイクロバス〜(16:15)津黒高原荘 (歩行時間5時間50分)
岡山県の津黒山(つぐろせん 1117.8m)周辺に巨大ブナがあると、ワンワンさんから投稿いただいた
巨大ブナと聞けばうずうずしてくるが場所が特定できない ネットで調べてみると
津黒高原荘&蒜山ツアーデスク協働企画の「大藪漕ぎと巨木巡り」というツアーに入ればいいようだ
ブナの他にも、ミズナラやトチなど見所がいっぱい、 ワクワクだけど一つ不安が・・・・
少々の藪は我慢するけれど、ツアー名が「大藪漕ぎ」 まぁ、大勢だからなんとかなるでしょう
湯原ICで下り湯原湖沿いを走り、津黒高原荘を目指す 国道から分かれると津黒山が見えてきた
家を出て約2時間、土小屋へ行くのと同じくらい 今日は土小屋が賑やかだろうな
時間があるので、山荘上の津黒高原スキー場ゲレンデを散策
伯耆大山が、「今日はこっちに来ないのかい?」と呼んでいる 今度行くからね〜
受付を済ませて資料を貰い、モーニングコーヒーを頂く 全員揃ってセレモニーの後、マイクロバスに乗り込む
ガイドさん、報道、タウン誌、NACS−Jの自然観察指導員など総勢23名の大所帯です
藪漕ぎといえば地味で暗いイメージだけど、意外と若い方が多い 中にはスカート姿の山ガールも
道中安全の神として信仰されている中和(ちゅうか)神社にお参り
バスは山乗川沿いの狭い県道をどんどん高度を上げてゆく
どこに連れて行ってくれるのか? まるでミステリーツアーです
神社から20分余でバスは止まった どうやら峠手前の標高900m位のようだ
辺りはスタイルの良い色白のブナが立ち並んでいる いかにも日本海側のブナ林の雰囲気です
道路わきに旭川源流の碑がある ここに落ちた一滴がブナ林を流れ岡山県屈指の大河となる
「ブナは木偏に無と書きます 木では無く、用材としての価値は乏しい」 早速ガイドの金山さんの説明がある
「今日は大所帯ですので恐らく熊も出てこんでしょう 熊鈴は外して下さい」 やっぱり熊がいるんだ
車道を少し戻り 「竹を両手でしっかり掴んで、こうやって下ります」と道端から下り始める
よっぽどブナや藪がお好きなんだろう 金山さんの声は弾んでいる
早速、垂直の壁 竹が無かったらとても下りられません 今日のコースのハードさを暗示する
いきなりビビらせて、ツアーコースの設定が上手いと思います
10m程下りて河原に立つ 源流部なので水量は少ない
小さな流れで歩みが止まっています 皆さんの視線の先には・・・
ギョ、ギョ、ギョ! よく見ると、中で小さな黒いものが動いています
貴重なカスミサンショウウオの卵だそうですが、ちょっと気持ち悪ぅ
この辺りにはカスミサンショウウオの他にハコネ、ヒダ、ブチの各サンショウウオが生息しているそうだ
「さぁ この辺から適当に上って下さい」との指示に従い、先陣を切ってまっしぐら・・・あれ、みんな来ないの?
スズタケとネマガリタケの区別はよく分かりませんが 根元が曲がっているのでネマガリタケでしょう
前が見えないほどの大藪では無いけれど、転げ落ちそうな急斜面 山ガールも頑張っています
登りきったところから藪尾根を進む 途中、ナツツバキ(2m07cm)があったそうだが、見落としてしまった
P1と呼ばれる小ピークに着く といっても周りは背丈以上のタケの海 ピークかどうか分かりません
大藪の中で、筍を採取している方もいる 一石二鳥ですねぇ?
日に輝くライトグリーンの枝を見上げると、ブナの雌花が風に揺れる
背丈以上のタケの海を潜る 今話題のダニが心配
後になり、先になり、テレビカメラを回しながら着いてくるカメラマンも大変です
ブナの子ども 実生を探したかったのだけど、林床がこんなに茂っていたら無理かな
チェックポイント「腰掛けのブナ」で休憩 「座りたい方いませんか?」
「は〜い」 こんな時じゃないと、おおっぴらに木には登れません
上ってみると見た目より高く、座り心地抜群です テレビカメラに向かって、お上品にピース(笑)
アカショウビンの声が聞けるかもしれませんと言われていたが、こんなに賑やかなので無理でしょう
2m前後のブナが立ち並ぶ林で、今日一番の大ブナ(目通り4m70cm)
肌艶は綺麗で、樹勢が素晴らしく圧倒的な存在感がある
「さぁ ここで問題です このブナは葉っぱは何枚位あるでしょう?」 ガイドさんから質問が飛ぶ
どなたかすかさず○○万枚 「正解ですが、もっと間を置いて言って下さい」 皆さん大笑い
大型の花だけどあまり目立たない栃の花 たしかそんな名前の力士がいたような
木漏れ日の差し込む谷が、居心地良さそうなタニギキョウ
此処で、再びクイズです
「この木の傷はどうしてついたでしょう 当たった方には、LEDのライトです」
熊?鹿?ひょっとして金山さんが引搔いた? 正解は、鹿の角研ぎ跡でした
この場所から数分で、少し広くなった「鹿の尾根広場」 やっとお昼です
津黒高原荘特製の美味しいお弁当を広げながら、皆さんと山の話で盛り上がりました
欲を言えば、折角の上天気 目の前に大山がデ〜ンと聳えていたら最高ですが
このツアーは大藪が売り 仕方ないです
それにしても、この山には何かアクセントは無いの? 例えば、この時期ツツジとか
見回してもあるのは緑だけ 色彩的にはちょっと物足りないような気もするけど
雨でも降れば、びしょびしょで泥んこ 欲を言っちゃいけません
谷に降りて行くと、恐竜かと見紛う姿の栃の木(5m30cm)
秋には葉っぱが紅葉して、火を吹いている様に見えるそうだ
大人しい恐竜の背中で、はいチーズ
近くでギンリョウソウが首を長くして覗いている
反対側の谷には、カツラの木(7m77cm)
カツラは、たたら製鉄の神様・金屋子神の御神木とされていたそうだから
この辺りでも、たたら製鉄が行われていた可能性があるのかもしれない ロマンですね〜
絶滅危惧1類(CR+EN)サルメンエビネ
「花の中央にある唇弁の赤褐色の模様が、サルの赤い顔に似ているところから名づけられた」そうだけど
どれどれ? うぅーん サルと言うより、フレアースカートを穿いたピエロがフラメンコを踊っているみたい
地面に這いつくばって写真を撮られていた方が、満足げな様子で斜面を上がって来られた
今日は、この花を見に来られたそうで、100枚以上撮られたとか!
ファインダーを覗かせて貰ったら、とても可愛く写っていました
仲良く並ぶブナ(4m15cm)とミズナラ(5m42cm) ミズナラのウロに入ってみました
付近にはもっと大きなブナやミズナラの巨木があるそうだけど
10m進むのに30分もかかるほどの大藪なので、ツアーでは無理らしい、残念
竹をかき分けイタヤカエデ(2m46cm) 紅葉の頃もこのツアーが開催されるそうです
この森が眩しいほどにキラキラ輝く姿を見てみたい
ぐじゅぐじゅの川底を歩き、最後の壁を這い上がれば車道
丁度迎えに来たバスに乗り、津黒高原荘に帰って来た
夕食を済ませてから希望者には津黒山ナイト登山のガイドをしますと、お声かけ頂いたけれど
ウ〜ン、迷いながらパス 先ずは大藪の埃を落とさなくてはと、お湯に浸かってほっこりでした
大藪をかき分けると、目の前に突如現れた巨大ブナ 若葉で着飾った瑞々しい姿に、大感動!!!
あたかも、豪雪地帯を生き抜く技や知恵を、幼木や若木に伝える森の長老のように威厳を放って立っている
巨大ブナが元気なうちはこの森は安泰だ そう思わせるほど存在感が際立っていた
夢・夢・夢・夢・・・・・・・・ と題して 金山さんが語っている
「山乗川と上杉川の源流部に広がるブナとミズナラの原生林を 県民憩いの森にしたい
NPO法人が設立された暁には、是非ご賛同頂きたく思います」と
自然保護と地域活性化、矛盾しそうな両命題を上手く調和させ、この素晴らしいブナの森が、
いつまでも大藪に囲まれたパワースポットであり続けることを祈ります
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