2013年6月16日  ”石鎚山”

お山開き大祭を間近に控え、緑濃くなる神の山の初夏点描


土小屋(7:30)〜(9:20)弥山天狗岳・南尖峰〜(11:05)弥山・西稜(11:25)〜(12:55)土小屋


今日は久しぶりに石鎚です 夏花には少し早いけれど

西日本で一番天に近い稜線で、爽やかな緑の空気にたっぷり浸って来ます

ところで、立夏(今年は5月5日)〜芒種(同じく6月6日)の間が初夏なので、暦の上ではもう夏ですが

石鎚の夏は、お山開大祭の始まる7月1日から クガイソウが咲き出さないと未だ夏とは呼び難い


平年より10日ほど早く梅雨入りした西日本に、昨日は初めて本格的な雨

東稜コースを上りたいが、笹はびしょびしょなのでのんびりメジャーコースを歩く

 

東稜分岐を過ぎた所のブナ  葉っぱは一段と緑を深め、髭もじゃの殻斗が目立つ

堅い殻斗に護られた種はこれから成熟し、秋になると殻が4つに割れて大地に落下する

「ブナの実一升、金一升」って言葉があるが、今年は5年に一度の大豊作

何処のブナも沢山の殻斗(実)をつけているようだ

夏色に染まるルンゼを見上げれば、ガスの中から北壁が姿を現し始めた



三ノ鎖の巻道で、ミヤマダイコンソウが揺れている 黄色い声援を貰って頂上を目指していると

土小屋を同じくらいに出発された方が、もう下りてこられた 「早いですね〜」と、暫く立ち話

「あれ、親子で登っているのかと思ったのに、よく見たら歳いってるねぇ」だって、ガクッ!

  人の良さそうな小父さんでしたが・・・ちょっと正直過ぎませんか?

時間も早いし、今はシーズン谷間で弥山は人も疎ら 後2週間もすれば、お山が開かれ

全国から集った白装束の信者さんたちが、仁・智・勇の御神像とともに麓から夏を連れて来る



すっかり濃い緑に覆われた天狗尾根は夏の気配 今日は、夏色の天狗岳でお昼にしよう

弥山から、ずっしりと重い鎖が垂れる 大きくて持ち難いけど、何人ぶら下がっても大丈夫そうなので安心感がある



弥山南壁を覗き込むと、シコクイチゲがいそいそと開花の準備中です

お山開き大祭までには、間に合いそうですね〜

ナナカマド越しに眺める西の山域 西ノ冠岳、鞍瀬ノ頭を従えた二ノ森など横綱級の衛星峰が悠然と構えている

 

今日のお目当ては、厳しい条件の絶壁に咲くミヤマダイコンソウ

滑り落ちそうな岩壁の僅かな隙間に根を下ろし、可憐な花を咲かせている

天狗岳頂上を目の前にして何気なく足下を見れば、 じぇじぇじぇじぇじぇ・・・・! これはひょっとして?

岩場を這う姿は、ブナのイメージでは無いが、葉っぱといい樹肌といい絶対ブナ(だと思います)

瓶ヶ森・男山と女山の稜線(1850m位)にあるのが四国最高所のブナと思っていたが・・・・

此処は1975m位 厳しい環境で生き抜いている姿に拍手を送りたい



西日本最高峰・天狗岳(1982m) 吹き抜ける風が心地良い

広島からだという爽やかな若者が、4年前はガスで何も見えなかったけど

「今日は最高です」と、言いながら天狗尾根を楽しんでいた

 本当に梅雨時にすれば、空気が澄んで見晴らしが良い

先週登った九重連山・三俣山や伯耆大山は見えるかな?・・・・・ちょっと無理でした

遥か彼方を眺めながら、九州、中国、四国を代表する九重、伯耆大山、石鎚が喧嘩したら

何処が一番強いんだろうかな〜んて、バカな考えが浮かんで来た

ウ〜ン、石鎚は鋼の体、少々の事ではびくともしないだろうが、伯耆大山はそれでなくても脆いし

それより九重を怒らせたら恐いかも・・・やっぱり、仲良しがいいね

 

光沢のある手鏡の様な葉を日に晒したイワカガミが、特等席から表参道を見下ろしている

未だピンクのフリルが残っているのもあるけれど、そろそろ終盤かな

南尖峰を過ぎ、東稜の下降点まで足を延ばしてから引き返す

 

ちょっと高度感がある天空の稜線を歩いて弥山に向かう

右真下にはルンゼを歩く登山者が見える 皆さんの頭の上をごめんなさい

遥かに瓶ヶ森を従え、窮屈な岩場に住居を構えたコメツツジ 純白の可憐な花が待ち遠しい

シーズン谷間といってもそこは石鎚、弥山にはかなり人が増えている



シコクイチゲに先駆けて咲くツマトリソウ、マイヅルソウを愛でながら西稜でのんびり

二ノ森へと続く縦走路途中のお花畑には、ユキワリソウがお目当ての人がたくさん見える

色彩的にはまだ華やかさに乏しい四国屈指の岩山も、これから益々輝きを増してゆくだろう

今日は、夏の気配を感じながら、軽めの石鎚初夏点描でした 今年もいい夏がやって来そう

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