「・・・神避(かみさ)りたまひし伊耶那美(イザナミ)の神は、出雲の國と伯伎(耆)の國との堺なる
比婆の山に葬(おさ)めまつりき・・・」(古事記 上つ巻「黄泉の國」より抜粋)
伊耶那美の神が祀られているというロマン溢れる比婆山は、ブナ原生林の山でもある
「ブナの山旅」で紹介されていた5m近い大ブナも見てみたい!
そうそう、確か3〜40年前にヒバゴンも話題になったけど・・・居るのかな?
久し振りに中国道・東城ICで下り、「広島県立県民の森」を目指す
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県民の森公園センター前の広い駐車場に停め、歩き始める
ろくのはら橋を渡り左へ、第3キャンプ場への車道を少し進み、右・毛無山への登山道に入る
自然林の中につけられた道は広く、緩やかな勾配で歩き易い
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ジグザグとゆっくり高度を稼いでゆく 所々に、道一面に栗が落ちている
赤い実をいっぱい付けたユキザサが重そうにうなだれ、その上で風車の様な可愛い花が愛嬌を振りまく
葉っぱを見ると、モミジバハグマかな?
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石鎚山でよく見かけるトウヒレンに似ているけど、ホクチアザミ?
毛無山頂上が近くなると、登山道沿いにマツムシソウ、アキノキリンソウ、オミナエシ等々
折角樹林帯を出たと思ったのに、周りはガスで真っ白 おまけに風も強い
時折御陵が見え隠れするが、立烏帽子山にはずっと雲がかかっている
だだっ広い毛無山山頂(1144m)は360度遮るもの無しだけど、楽しみにしていた展望はちょっと残念
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毛無山を下り、出雲峠への道と分かれききょうヶ丘へ寄り道
ききょうヶ丘から北東方向の展望(今回は見られませんでしたが、ききょうが咲いているそうです)
奥はスサノオノミコトが八岐大蛇と闘ったという船通山かな?・・・よく分かりません
松茸でも生えていそうなアカマツ林の道を下ってゆく
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出雲峠(978m) 少し下がったところの避難小屋や水場を見てから、ベンチに腰かけてのんびり
「こんにちは〜」 六ノ原から直接登って来られたという5人のグループが賑やかに通り過ぎる
大休止後、峠から植林帯を登ってゆくと、暫くしてブナが出始める
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沢を渡ったところで、先程のグループの方々が休まれている
明るいブナ林の道をルンルンで登っていたら、側の草叢で何やら動いた様な気配に「キャ−」
グランパが、何がおったんぞと草叢を覗き込んで「ま○○じゃが」と言いながら写真を撮っている
そんなもん撮らんとって、絶対、見んから!
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烏帽子山頂上(1225m)、吾妻山から縦走して来たという若者が寛いでいた
下ってゆくと、「ブナ林を経て管理センター2,8km」の標識
比婆山は散策コースが沢山有り、分岐には標識が設置されており、分かり易く安心です
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足下には先端が4つに割れたブナの殻斗がいっぱい
中からひし形の堅果(どんぐり)が弾き出ている
ノネズミや熊の大好物だそうだけど、運良く残って来春発芽出来るのはどの位かしらん
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頂上台地の笹原で揺れているのは、サンインヒキオコシかな?
比婆山山頂(1264m)は御陵と呼ばれ、古事記伝説の地として県史跡に指定されている
小さな祠が祀られている中央の円丘は、国生みの神・イザナミの陵墓だそうだ
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標識に導かれ、山頂周辺をぐるっと一周してみる
叩くと低く響く音がするという太鼓岩(たいこいわ)や、産子の岩戸(うぶこのいわと)と呼ばれる大岩
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頂上周辺の神域を囲むように配された巨岩やイチイの老木は
祭祀の際に降臨される依代・神籬盤境(ひもろぎ いわさか)と伝えられている
御陵から10分程下った所に「比婆山のブナ純林 国指定天然記念物」の表示板がある
そのすぐ横で威厳を放っていたであろう大ブナ(幹周り4,75m)は残念ながら、折れてしまっていた
樹皮を見ると、折れてから未だ一年は経っていない様子
下り切った所が越原越
で、左手に六ノ原へ下る道がある
この「越原越(おっぱらごえ)
」という変わった地名は
イザナミの放った黄泉の国の軍兵を、イザナキが十拳の剣を振り回して追っ払った事に由来するそうだ
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越原越から千引岩(ちびきいわ)を経て立烏帽子駐車場に続くトラバース道を左に見て、池ノ段を目指す
雪の深さを思わせる根曲りブナの道が続く
余談ながら、千引岩は後を追って来たイザナミが黄泉の国から出られないようにと道を塞いだ大岩の事
千人力で動かすような大岩を挟んで、お二人の神は離別の誓いをする
「いとしいわたしの夫の命よ、そんなふうになさるなら、あなたの国の人民を一日に千人殺してあげます」
「いとしいわたしの妻の命よ、あなたがそうされるのなら、私は一日に千五百人産ませましょう」
そんな古事記の事を思いながら歩いていると、何時の間にかブナ林を抜け展望が開けて来た
背中に御陵、吾妻山(左)を背負ってホツツジの紅葉の中をゆく
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賑わう池ノ段でお昼ご飯を済ませ、辺りをぶらぶら
南へ数分歩けば、三角点(1280m)
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さぁ、最後のピーク・立烏帽子山に向けて鞍部まで下って行く
鞍部でピクニックをしていた幼稚園くらいの子どもが元気よく駆け上がってくる
「こんにちは〜」「元気ですね〜」
その後を若いパパとママ、そしてお祖父ちゃんとお祖母ちゃんが続く いいなぁ
立烏帽子へ登りながら振り返ると、もう子供たちの姿は見えないが
池ノ段登頂を諦めたのか、先程すれ違った祖父母がゆっくり下っている
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立烏帽子山までの斜面は秋の花盛り
ウメバチソウ、ヤマラッキョウ、ママコナ、アキノキリンソウ、ナデシコ、フウロソウ等、眼を楽しませてくれる
比婆山連峰最高峰・立烏帽子山(1299m)、木々に囲まれ見晴らしは良くない
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今までの広々とした登山道に比べたら、ちょっと山道らしくなった道を下ってゆく
駐車場手前で、越原越からのトラバース道と出会う 紅葉の時期に歩けば、素敵な道だろうな〜
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立烏帽子駐車場(トイレ、休憩所、水場が有る)
駐車場奥に、池ノ段と立烏帽子山の鞍部に出る広い道が延びている
此処から六ノ原へ歩いて下る道は、尾根道と管理車道(車は通れません)の二つに分かれる
ガイドに、管理車道は、時間がかかるので避けた方が良いとアドバイスが載っているけれど
六ノ原へ3,5kmと書かれた登山道を見ながら、敢えて、管理車道を下ってゆく
どうしてかって? 今日の目的の一つ、幹周り4,9mの大ブナに会うためです
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15分くらい下ってゆくと、道路下の急斜面に一目でそれと判る大ブナが立っています
黒々とした幹には凸凹の瘤、筋骨隆々とした逞しい姿 辺りに放つ気が凄い!
エゾハリタケの勲章を付けた大ブナを、横から後ろから見回してみる
近くの倒木には、ブナを腐朽させ土に還そうとしているキノコがびっしり
シイタケに似ているけど食べたら大変、毒キノコのツキヨタケです
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地図を見ると大ブナから六ノ原まで5kmくらい、このまま下ろうかと
の〜んびり歩いたので、1時間15分もかかって、やっと駐車場
やっぱり、立烏帽子駐車場まで引返して登山道を下った方が早かったかも
売店でリンゴを買って、今夜の宿・米子を目指す
明日は大山古道(坊領道)歩き、ワクワク♪
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