3月中旬頃から各地で桜開花のニュースが聞かれ出し、今年の春は何時になく急ぎ足だ
当地の桜まつりは葉桜じゃねぇと心配していたら、寒さがぶり返し桜花も長く楽しめた
桜に急かされて、ブナの森も春の兆しが感じられるようになったかしら?
今回は、春から夏に移りゆくブナの森を歩いてみました
えっ、メジャーですか? サイズには拘りません・・・とは言うものの、勿論持ってますよ〜
烏ヶ山 3月30日 日毎に日差しが柔らかくなり、近隣の桜が満開を迎えた3月下旬 烏ヶ山のブナ林に入ってみた
前夜からの冷え込みで、気温は−1℃ 乳白色の森を吹き抜ける風は未だ冬の風、頬が痛い
それでも、深い雪に覆われ白一色の世界だった2月中旬に比べれば
ブナの根開きが始まり、冬芽も少し膨らみ春がすぐ近くまで来ているのが判る
雪の下では、ブナの種子が発芽を始め赤い根を出している事だろう
友情出演のブナ(掲示板に投稿頂いた四国外のブナを掲載します)
伊豆の天城山(4月上旬) 大ブナと今年の干支・ヘビブナ
ウエストを測っているのは、エントツ山さんの兄弟・研ちゃん(エントツ山2号)です
まぁ! 長崎からわざわざメジャーを持って行ってくれたんですか? ありがとなし
東京出張の合間に(あるいは登山の合間に出張・・・?)、「〜天城〜越え〜♪」って歌いながら
最高峰・万三郎岳(ばんざぶろうだけ 1,405m)、万二郎岳(ばんじろうだけ 1,299m)に登り
ブナ原生林とシャクナゲを独り占め〜
「ヘビブナ」をくぐると、願い事が叶うそうですが、どんなお願いしたのかしら? 葵ちゃんのことかな?
廿日市市玖島、
大峯山(1,050m)の「峯太郎ブナ」 ( 4月上旬)
広島にお住いの夏みかんさんに頂きました
大峯山は、ガイド本に拠れば、「頂上部の懸崖、美しい裾野、頂上の岩上から眺める360度の眺望、
低山の峰々の連なりの中でひときわ目立つ山」だそうです
そんな魅力的な山に大ブナ それも亡き父の名前の一字「峯」が入っている
遠くの山だけど、身近に感じるし、早く会いに行きた〜い
祖母・傾縦走路の大ブナ(5月3日)
HP「鈴鹿の風に吹き飛ばされて・九州に!」の管理人MORIさんに頂きました
祖母山・傾山縦走は、九州では最もアルペン的な風貌をもったコースだそうです
この写真を見せて頂いた時、その樹形から四国の大ブナと見紛ってしまいました
祖母なる山のマザーツリー ありがとうございます
槍戸アルプス 5月5日 4月も半ばを過ぎると沢筋の雪が消え、奥深い槍戸の山々にも遅い春が訪れる
芽吹き前の静かなブナの稜線を、剣山の展望に酔いながら歩いてみた
ブナは、大きさや樹形などの個性から愛称で呼ばれることがあるが、それは一流ブナの証です
例えば、長野・鍋倉山の「森太郎」、鳥海山の「あがりこ大王」、四国・黒岩山の「八方ブナ」等々
「千手観音ブナ」と愛称されているこの槍戸アルプスのシンボルツリーは、枝張りはもちろん根張りにも目を見張る
まだまだ殺風景な地面に、網を敷いたように根を張り巡らしている
小高い丘の天辺で根を晒しながら自分の足場の危うさも顧みず、救済の手を差し延べている姿に感動!
工石山 4月21日
瓶ヶ森林道 5月13日
日中平均気温が6〜7℃くらいになると、ブナは目を覚まします
芽鱗に包まれた冬芽が開き羽毛のような雄花序が顔を覗かせ、さらに3週間ほどで薄黄色の紡が垂れ下り花粉が飛散
紡の下がった枝を引き寄せてよく見ると、小豆くらいになった雌花序も見られる
開いたばかりの柔らかい葉っぱに透明な光が降り注ぎ、そこから溢れた緑の光が心を癒す
高丸山〜雲早山 5月18日
石鎚山 6月16日
地面いっぱいに茶色くなった雄花序が落ちている
受粉を終えた雌花序では、種子をおおう殻斗が発達し若い種子を堅く包んでいる
10月になれば,種子をおおっていた殻斗が先端から4つに割れて,種子が落下
新しい生命誕生に向けて、準備が始まる 今年は何処も大豊作みたい 秋が楽しみです
砥石権現 5月12日 剣山スーパー林道途中に、ファガスの森・高城というライダーや登山者の憩いの場がある
FAGAS(ブナ)の森 なんてお洒落な名前なんでしょう その名の通りここは標高約1300mのブナ林のど真ん中
ブナ林散策はここを起点に思いのまま 今日はちょっと気になっていた砥石権現を歩いてみます
お山も春の陽気に包まれ ブナ林が一年で一番輝く季節を迎えました
「もうお日様は十分浴びたかい? これから日差しも強くなるので、そろそろ木陰をつくるよ」
ブナは森のアンカーです 林床が春を迎えたのを見届け、芽吹きを始めます
今まで、木の瘤(コブ)はストレスを溜めているのかと思っていたが、
どうも傷の部分を自分で修復した痕(かさぶた)らしい
急傾斜地とか密生地とかでもないこんな気持ちの良い所で、ストレスなんて無いよねぇ
瓶ヶ森林道 5月13日 四国では人々の生活エリアの裏山には松や杉があるように、東北地方にはブナがある
東北地方の人々は、古来より様々な恵みを提供してくれるブナ林に依存し、独特の文化を創って来た
北のブナ林は、生活に根ざし命を繋ぐ森であるのに対し
南はその効用を、「癒し」と「緑のダム」に求め、生活との関わりは薄い
人々の生活エリアから離れた瓶ヶ森林道を走ってみた
標高1100m〜1700mを走るこの林道は、四国のブナの垂直分布を見ることが出来る
車窓から新芽の色合いの変化を楽しみながら高度を上げてゆくと
標高1500m辺りで萌黄色のブナ林の中で、一際鮮やかなアケボノツツジのピンク色が映えていた
高丸山〜雲早山 5月18日笹原の嫋やかな稜線のイメージが強い徳島県の山々の中で
勝浦三山の内の二山を繋ぐこのルートは、少し雰囲気が異なっている
ガレ場、細尾根、適度のアップダウンと変化に富み、また植生が豊富で終始登山者を飽きさせない
いつかはと思いながら機会を逃していたが、芽吹き時期の「今でしょ!」ということで歩いてみた
四国のブナ新緑前線は、凡そ4月下旬からほぼ一ヶ月かけて駆け上がり 山を春色に染めてゆく
芽吹いたばかりの色は柔らかで透き通るような薄緑色 辺りには生まれたての穢れの無い空気が漂っている
ブナの森には四季それぞれの美しさがあるが、好みで言えば芽吹きの頃が一番好きです
大ブナは森のコンダクター ホールの聴衆も参加し、歓喜の歌声が聞こえてくる
カッコウの澄んだ鳴き声が、獅子脅しの叩き音のように森に響き渡る
足下には今年の干支がにょろりと顔見世 大の苦手だけどブナの森の家族の一員だと思って受け入れなきゃ
徳島は、「お四国さん」がはじまる発願の地 山にも里にも「お・も・て・な・し」の心が根付いている
アケボノツツジ、シロヤシオ、ミツバツツジ、シャクナゲが、全山挙げてお接待をしてくれた(感謝)
南高城山 5月23日 南高城山(1570m)に、シロヤシオの古木の群生があると
HP「山のつぶやき」の管理人・rokusanさんに教えて頂いた
四国でも第一級のブナ林が広がる 剣山スーパー林道を走り、路肩に車を停め準備していると
頭から足まで全身迷彩服で覆い大きなカメラを抱えたお二人が、高城山の方から下りて来られた
何でも、早朝から藪に隠れてツグミの仲間コルリを待っているのだとか!その根気に脱帽です
幸せの青い鳥に出会えると良いですね〜
登山道に入って直ぐ、ややうつむき加減の純白の花をいっぱい付けたシロヤシオが迎えてくれる
次々現れるシロヤシオの古木に歓声を上げていると、ふとブナの古木が目に入って来た
根元は裂け朽ち始めているが、4mを超える目通りからこの森に君臨していたことは容易に想像出来る
頂上周辺の中年ブナに次代を委ねる約束がもう出来ているのか、その姿からは安堵感が伝わってくる
あっ、ブナの赤ちゃん! 可愛らしいハート型の双葉から直ぐそれと判る
ブナの子どもも、春の日差しを受けて元気が良い
只、生存競争はかなり厳しい
発芽した実生も,野ネズミや蛾の幼虫による食害,菌害、また霜害,乾燥害,光不足など
さまざまな要因により立ち枯れ、秋まで残る実生は明るい林床で50%、日があまり当たらなければ10%
何とか10〜15年くらい生き延びても、閉鎖した林冠下では十分に成長出来ないまま力尽きて枯れてしまうそうです
林冠木が枯死しギャップが出来て、やっと世代交代のチャンス到来
様々な逆境を乗り越えながら、成木になり実を付けるまで40〜50年 初めて自分の居場所が出来る
大ブナとなって威厳を放つまで、頑張って!
青空を白く染めるシロヤシオや急斜面で頑張るヤマシャクヤクも、声援を送ってる
津黒山(つぐろせん) 5月25日 鳥取・岡山県境の津黒山に大ブナが居るというので、ツアーに入り、大藪を掻き分け尋ねてみた
目通り1m前後のすらっとしたブナが並ぶ森で、一際大きなブナが目の前に現れた
津黒山の主ともいえる4.7mの大ブナ 肌が綺麗で樹勢もよく四方に枝を伸ばし一本で森を造っている
見上げれば時折覗く若葉の隙間から柔らかい緑の日差しが落ちてくる
圧倒的な存在感を放つこの森の長老は、おそらく周りのブナたちの生きる希望に違いない
更に藪を掻き分け少し広くなった「鹿の尾根広場」から谷に下りてゆくと
仲良く寄り添うブナ4.15mとミズナラ5.42m
足下の小さな流れの中の石をそっとはぐれば、孵化間近のカスミサンショウオの卵
ネマガリタケが席巻する林床の僅かな空間を享受するサルメンエビネ
小動物、小さな草花、それぞれが棲み分けながらブナの森を支えている
瓶ヶ森 5月31日 男山から女山への道は、イシヅチザクラやミツバツツジが咲き誇り、
それから何と言っても、氷見二千石原の向かいに聳える石鎚山の大展望に酔う天空の稜線です
西側の展望に気を取られ見落とされそうだけど、標高約1850mの特等席に古ブナが陣取っている
ごつごつした幹や枝から、かなりの年輪を重ねているようだ
周りを見ても他にブナらしきは無い なぜ1本だけこんな所に? 寂しくないの?
この時は、これが西日本最高所のブナだと思っていました・・・・・・が
イシヅチザサに覆われた広大な氷見二千石原の縁で、遠慮がちにナンゴクミネカエデやツマトリソウが微笑んでいる
伊吹山 5月31日 瓶ヶ森を下り、林道を土小屋方面へ走る
林道から少し駆け下りると、単独樹形(単幹)では全国ベスト10に入るといわれる巨大ブナ
昨年12月に訪れた時に比べ、新緑に包まれた姿は一回り大きく見える
寄生木が気になるが、些細な事には動じない寛大さと強さがこの巨木にはある
若葉が受け止めた昨日の雨が、樹肌を伝い辺りを潤す
生まれたばかりのブナが、 「僕も、偉大なブナになりたい」と、背筋をピンと伸ばし見上げている
大人になった姿を見てみたいが、これからの40〜50年は長過ぎる
子どもの頃を思えば、半世紀なんてあっと言う間だったような気がするけど・・・
49年前、初めて日本で開催されたオリンピックに胸躍らせたのは、中3の時
特に、圧倒的な強さで金メダルを獲得した”東洋の魔女”は鮮烈だった
魔女になりたいと思ったのは私だけじゃ無い筈 もっとも、魔女じゃ無くフツーのオバさんになりましたが
2020年、オリンピック、パラリンピックが再び東京で開催される
経済効果の事ばかり聞こえてくるが、若者にドリームを与えられる五輪になればと願う
石鎚山 6月16日
天狗尾根(1980m)で育つブナとの、まさかの出会い
何十回となく歩いて、何度も視線が向いた筈だけど、どうして今日まで気が付かなかったのだろう
アケボノツツジやドウダンツツジに気を取られ、こんな場所にブナがあることは頭になかった
「見れども見えず」とは、まさに此の事です
すらーと上に延びるブナのイメージでは無く、岩場を這うど根性ブナ こんな環境では無理もない
私にとっては、じぇ!じぇ!じぇ!じぇ!じぇ!の大発見
これこそ正真正銘、西日本最高所のブナです
石鎚山 8月15日
8月に入ってから猛烈な暑さが続き、12日には四万十市で 国内史上最高の41℃を観測
こんな時は涼しいお山が一番と、再び石鎚へ
その気になって天狗尾根を探してみたら、前回より一回り大きいブナ発見でした
恐竜の肌の様な幹を上に伸ばし、少ない枝いっぱいに葉っぱをつけている
ところで、これまでの最高気温、熊谷市と多治見市で観測された40・9度を抜いて一番になった四万十市
「酷暑の西土佐で、“あつく”なろう」と、18日に四万十市西土佐江川崎「西土佐ふるさと市」で
「楽しまんと!Hot!辛なべ焼きうどん早食い競争」を開催
粉唐辛子を入れた激辛うどんに72人が汗だくで挑んだそうだ
そりゃー、おまん 何ちゅーても一番がええがぜよ 土佐らしい発想に思わず拍手しました
剣山 7月6日、27日 近畿以西第2位の高峰・剣山は、山岳信仰と平家伝説が残る歴史の山です
主な登山基地である見ノ越周辺には、歴史ロマン溢れる名山に相応しいブナの森が広がっている
駐車場の裏で、幹が折れ土に還り始めている4.55mの大ブナ(左写真)
落葉や枯れ枝、倒れた幹は、土中の小動物やバクテリアなどで分解され、再び植物に吸収される
煙りや熱、有害物質を一切放出しない理想的な再循環です
東北地方では、幹の途中から三本に分かれている木・三頭木(さんとうぼく)には
「山ノ神」が宿ると敬われ、伐採せずに守ってきたそうです
十和田市・奥瀬の愛称「森の神」と呼ばれている巨大ブナ(6.01m)が有名だとか
右写真のブナは三本に分かれてはいるんですが、三頭木と呼べるかどうか?
登山道から少し駆け下った場所で威厳を放つ、4,63mの大ブナ
今年は、大河ドラマ、連続テレビ小説、プロ野球で、東北地方に熱い視線が注がれている
だからという訳でもないけれど、日本初の世界自然遺産に登録された白神山地を始め
こころのふるさと・母なる森として、東北地方のブナの森がますます気にかかり出した
「ならぬことは ならぬものです」という会津魂で、何事にもひるまず立ち向かう
ハンサムウーマン八重のようなハンサムブナに会ってみたい!!!
そして、遥か昔、山なんて眺めるものだと思っていた頃読んだ新田次郎の小説の舞台も歩いてみたい
想いは募るばかりだけれど、今夏は天候が安定せず計画倒れに終わってしまった
んだげんじょ 何時の日か、きっと!
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