2014年01月05日  ”楢原山”


今治の奥座敷・鈍川温泉郷に聳える歴史ロマンとブナの山



GPSトラックログ (カシミールソフト使用)
この地図の作成に当たっては国土地理院長の承認を得、同院発行の数値地図50000(地図画像)、及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用
承認番号 平18総使 第582号

上木地登山口(10:20)〜(12:00)楢原山頂上〜尾根散策・食事〜水分神社発(13:00)〜(13:55)登山口 (3時間35分)



高縄山系の山は総じて印象は薄い 高縄山や最高峰の東三方ガ森はともかく

楢原山ともなれば、登った事はあるがどんな山だったかな?とあまり記憶に残っていない

頂上近くまで車で上がり、しんどい目をしていないので無理はない

かつては「越智郡一の高山で、牛馬を護る神を祀り、農民信仰して詣る人多し」といわれた名山だったようです

折しも今年は午年 麓から古の参道を歩いて汗を流し、しっかり上書き保存しておこう



高速から見る高縄山系には、嫌らしい雪雲がかかっている

振り返れば、我が町の法皇山系はくっきり 天気回復を期待して登山口を目指す

今治藩の湯治場として栄えた鈍川温泉から木地川沿いを7.8km遡ると上木地登山口

「四国のみち」楢原山2.3kmの道標がある

四国のみちは頂上手前200mで竜岡木地登山口、水ヶ峠方向へ折れている 頂上までは2.5kmのようです

登山口から、木地師の人々の集落跡を思わせる石積み沿いに少し進み、

奈良原神社是より三十五丁(約3.8kmですが・・・・?)と刻まれた石柱に導かれ参道に入る



道は確りしているが、いきなりの急坂 20分ほど頑張って尾根に出る

登山口から40分で中間点 「楢原山1.1km、上木地1.2km」の道標がある(右写真)

時折道の両側に朽ちた巨木がある その昔参詣の人々を和ませたヤマザクラだろう

在りし日の桜姿を想像してみるだけでも楽しい



人工林に混じってケヤキやミズナラなどの古木が目につき始めた辺りから、登山道が薄っすら白くなって来た

尾根を吹き抜ける風が冷たい ヤッケの下にウルトラライトダウンを着て、寒さ対策をする

「山頂へ800m、上木地へ1700m」の道標 右は自然遊歩道駐車場へ800m



ブナが目立つ自然林になると足取りが軽い おまけに今日は期待していなかった霧氷

これで青空があれば・・・お天道様、宜しくお願いします

古い踏み跡に新雪が乗った一本調子の坂道を登ってゆく

楢原山0.1kmの道標 これは多分水ヶ峠分岐(子持ち杉の所)までの距離だと思います



明るくなって来たと思ったら、北の方から雪雲を蹴散らし青空が広がり始めた

 今年は、3日の剣山といい幸先が良い 

二代目子持ち杉 ブナ林の中に点在する大杉の中で、ひときわ抜き出た一対の古木が辺りに気を放つ

対面するのは三度目 過去二度は湯ノ谷林道を車で上がり省エネコースだった



子持ち杉の直ぐ上の尾根で、二代目を見守る初代子持ち杉 

目通りは10.6mもあったとか、沖を行き交う船の目印だったかもしれない  朽ちても、尚威厳を放っている

雪に隠れた階段を一段一段踏み締め、頂上を目指す

 

静かな山頂(1041m)に佇む奈良原神社

愛媛新聞社昭和46年5月1日発行の「奥の伊予路」に拠ると(抜粋)

総ヒノキ造りの奈良原山神殿と拝殿、それに見るも無残に倒壊した通夜堂の姿がある

昭和9年に石造多宝塔の周辺で雨乞いの準備をしていた村人が小さな穴を発見した 経塚だった

神社の氏子は山すその木地の人たちだったが、全員が今治方面へ流れ出してしまった

神社はかつて、尾根伝いに南にたどる古権現と呼ぶあたりに、奈良原権現として存在した

いつから、現在地へ移ったかはわからない 修験道場が、いつからか牛馬の神様の居場所になった

長慶天皇が牛に乗って遷宮した伝説に関係があるとみられる」


経塚から、平安時代とされる銅宝塔(国宝)が発掘され、麓の玉川近代美術館に展示されている

毎年短期間公開されており数年前に拝観したけど、歴史を感じる立派な銅宝塔でした



お参りを済ませたら、山頂南に広がるブナ林散策〜

痩せ尾根にしがみつく様に立ち、霧氷の華が天を覆う



「綺麗〜♪」 思わず空に向かって大声で叫ぶと、心なしかブナも誇らしげに輝く

厳寒を生きるブナたちが、青空を背にほっと一息つき新年の宴をしているようだ

こんなに素敵なブナ林が貸切だなんて、勿体ない!

 

頂上周辺には3mはあろうかと思えるブナが何本か見える 1000m程の山で何か得した気分です

水源を守る神・水分(みくまり)神社まで下りて来て、のんびり昼食
 

 
雑木に遮られて余り展望は無いが、霧氷越しのしまなみ海道

二ツ岳や赤石山系 もちろん笹や瓶、石も見えるが上手くカメラに収まりません

下りは早い 水分神社から駿馬のごとく一時間弱で駆け下りて来た

冬山の楽しみ方も様々、雪たっぷりの名山を目指すも良し、古社佇むブナの森歩きもまた良し
 
今日は静かな歴史ロマンとブナの山を二人占め 新年早々、贅沢な一時でした

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