2017年05月07日 ”振子山・象ヶ鼻”


GPSトラックログ (カシミールソフト使用)
この地図の作成に当たっては国土地理院長の承認を得、同院発行の数値地図50000(地図画像)、及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用
 承認番号 平18総使 第582号る



大山山塊の登山コースで一番記憶に残っているのが、川床から三鈷峰の周回です

スマートな夏山登山道に比べ、ワイルドな東エリアに初めて足を踏み入れたことが

自分なりの大冒険だったからなんでしょう 

あの親指ピークにもう一度立って残雪の中で芽吹くブナ林を眺めてみたい・・・


(6:40)〜川床登山口(7:00)〜(8:40)大休峠(8:50)〜(9:30)野田ヶ山〜(10:00)親指ピーク
(10:40)振子山〜(11:20)象ヶ鼻(11:45)〜(12:15)上宝珠越〜(13:40)宝珠山〜(14:45)P (8時間5分)



3時の目覚ましで飛び起きて、バタバタと準備 

寝ぼけ眼で作った焦げ気味の卵焼きもザックに詰めて「忘れ物ないね」と、4時に出発

こんな山行スタイルが元気のバロメーターとグランパは思っているみたいですが

私はもう少しゆっくり寝たい

寝ている間に溝口ICを下りたようです 満車状態の南光河原駐車場を過ぎ、スキー場エリアへ

国際スキー場付近に車を停め、車道を少し歩いて大山古道に入ると、石像!

まさか伯耆大山に石鎚蔵王大権現!? 一瞬、ドキッとしたけど

烏栖左摩明王(うすさまみょうおう)といい、「不浄を除くという意味の守護神」だそうです

ゲレンデを横切り、苔生す古道を下って川床登山口 狭い駐車スペースに車は無い 

「一向平9km、大休峠3.9km」中国自然歩道の道標が立つ



すぐ阿弥陀川に架かる橋を渡る 雪解け水が勢いよく流れ、冷んやりした空気が漂う

阿弥陀滝(難コース)を右に分け、イワカガミやスミレ



そしてチゴユリを見ながら、やや左に振りつつミズナラ林を登ると尾根に出る

緩やかに尾根を進むと「岩伏分れ」の道標(行止りと書かれた白い杭も有る)



「香取分岐」 この辺りからブナが目立ってくる

大山道の一つである川床道には、今も石畳が残りとっても良い雰囲気〜



谷筋には、まだまだ残雪が多い 踏み抜きもあり、案外時間がかかる

大休峠着 先行者が一人 しばらく話をしていると賑やかな声が近付いて来た

一向平から歩いてこられた、 境港の高校山岳部の皆さんです

「おはようございます」 明るい峠に、気持ちの良い元気な声が響く

先程の方は引率者だったようで、この後の予定などを説明している

これから矢筈ヶ山に向かわれる皆さんに、挨拶して出発

先ずは野田ヶ山へ 左奥には振子山が頭を出している

 

灌木を潜り抜けながら残雪の道を歩く 道がぬかるんで歩き難い

樹間に羽を広げた烏を見上げ、高度を稼いで行く

緑の中にタムシバの白い花が可愛い 野田ヶ山が近付くと徐々に斜度が増す



イワカガミは準備中だけど、 初々しいイワナシが咲き零れ眼を楽しませてくれます

青空の下でどっしり構える大山頂稜部が呼んでいる

今日は写真中央の天狗ヶ峰下の象ヶ鼻まで、まだ先は長い



ブナ林の中、見落としそうな野田ヶ山(1344m)山頂標識

ここからが今日の核心部 右側(東谷)に注意して、痩せ尾根を一旦下ってゆく



新緑前線の上昇が雪解けを追い越す頃のブナ林が、一番綺麗〜♬

親指ピークが「グッドラック!」 早く来いとポーズしている さぁ行こか 



高度感は有るけど、ロープが設置され爪の付け根を歩くので問題ありません

でも、後から写真を見たら、この石危なっかしいんじゃない?

グランパが先に下り、「天辺に立って手を振れ、もっと上」と注文が飛んでくる

「ヤッホー」と、 恐々石の上に立ったのに、小さ過ぎて見えてません

垂直に垂らされたロープを伝って反対側に下り、休まれていた先行のお二人と暫し山話 

ここから沢を下り、地獄谷に出て一向平へ帰られるそうだ



ザイルを準備するお二人と別れ、相変わらず痩せ尾根を進み振子山に向かう

2009年に歩いた時、かなりのオーバーハングだった右側は崩落が進んだんだろう

大きく左へ迂回する道に付け替えられていた 

ロープ場や岩場をクリアーしてホッとしたのも束の間、急傾斜の雪面が現れる

滑れば、下まで一直線 先程のお二人とまたお会いするかも?



振子山頂上部に出て少し進むと、大岩のある振子山(1452m) 

前方に白い振子沢と大山東壁が迫って来てワクワクだけど、一歩一歩確実に!

まだまだ痩せ尾根が続くので気が抜けません

右側が崩落し、灌木の根っこは宙ぶらりん 自然と体が左に傾いていく

此処は、体重制限が要りそうです  グランパ、大丈夫かなぁ?



歩いてきた野田ヶ山、親指ピークを振り返る 奥には矢筈ヶ山、甲ヶ山

近付いて来たユートピア避難小屋を見ながら一旦下り、白いポールが立つ向かいの尾根に登り返す 

掘割道の一部は残雪を叩き落しながら進む状態なので、花はまだまだ

サンカヨウも小さな葉っぱが出たばかり



  掘割の道を頑張りポールの立つ尾根に出ると、象ヶ鼻はもう目の前です

春の日差しをたっぷり受け、ダイセンキスミレが微笑んでいる

「雪とキスミレ、ええなぁ」と、暫し撮影タイム ですが、なかなか上手く写せません



振子沢と精悍な烏ヶ山、奥には蒜山三座が霞む 黄砂が飛来し遠望はすっきりしない

川床から4時間20分で象ヶ鼻(1550m)

残雪で歩き難い箇所が有ったとはいえ、9年前より20分ほど余分にかかっている

十年ひと昔、体力の衰えを感じます

 そういえば、朝パンを食べたっきり8時間  急にお腹が空いてきた

石に腰掛け、お弁当を食べていたら、剣ヶ峰を往復してきたお二人が下りて来られた

夏山登山道の賑わいを他所に、静かなユートピアです



重い腰を上げ、避難小屋に向けて下る ポツポツ緑が頭を出し始めたユートピアで

春花の魁ショウジョウバカマが「一番乗り〜♪」と、自慢げです

「三鈷峰どうする?」 「・・・」 「パスしようか?」 こんな時、軟弱夫婦の意見は直ぐ一致します

分岐から、トラバース道に入り花芽の付いたサンカヨウをズーム



剣谷源流部を慎重に歩いて、上宝珠越 カラカラと小さな石が転がる音が聞こえてくる

砂スベリの方が断然早いけど、今日は宝珠尾根を下り中の原スキー場に下りる予定です

 

考えたら下りは何時も砂スベリで、宝珠尾根を下るのは初めて 登りより気を遣います
 
大山主稜線を見る 大小屏風岩の間の大ガレで一度砂滑りしてみたいとも思いますが・・・(無茶なことですねぇ)



三鈷峰や元谷方面を眺めながら、小さなアップダウンをこなす

下宝珠越を過ぎ、イワカガミ咲く道を登り返して宝珠山(1183m)

「ここは初めて」と言うグランパ、「来たことあるよ〜」と私

後から確認すると、6年前の同じ時期に逆コースを歩いていました

もうホンマに、しっかりしてよ!



爽やかな風がブナの若葉を揺らす 足下には出番を待つマイヅルソウがびっしり

ヤシャビシャクや大きめのブナを何本か見て、中の原スキー場最上部に出た

イタドリがいっぱいのゲレンデに座り込み、開放感に浸りながらお茶休憩



今日は咲いてる姿は見れないかと諦めていたサンカヨウ  私も見て〜と、ダイセンキスミレ

近くで林間が白くなるほどオオカメノキも咲いている



スキー場に下りて来たのは、駐車地点への近道の他にもう一つ理由があります

ゲレンデ端を少し下り、左写真中央のピンクテープが巻かれた木から30mほど入ると

「宝珠の巨大ブナ」といわれる目通り5mの大ブナ

以前は落葉期でしたので、ぜひとも緑を纏った元気な姿を見たかったんです

一回り大きく見える「宝珠の主」の発する気に、揺るぎ無い正義・慈愛を感じながら

「裸の王様」や「ごまかし」が、まかり通る世の中を憂えた

 

北壁を振り返りながらスキー場を横切り、車道を歩いて駐車地点着


今日は、大陸からの黄色い使者に遠望を邪魔されたが

残雪とブナの芽吹きの絶妙なコラボ、そしてちょっぴりスリルも味わい

至高の山・伯耆大山、惚れ直しちゃいました

治まりかけてた大山病が、再発しそうです  困った、困った
 

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