2019年09月20日 ”吉備の龍王山を尋ねて”

今年は、週末に影響のある台風が多いです

またまた17号が北上して、折角の三連休は全国的に雨

予定していた遠征も中止し、家でのんびり読書でもと思っていたが、ちょっと物足りない

それじゃ、傘を差しても歩けるところと、吉備の龍王山を尋ねました

”最上稲荷奥之院の龍王山”


GPSトラックログ (カシミールソフト使用)
この地図の作成に当たっては国土地理院長の承認を得、同院発行の数値地図50000(地図画像)、及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用
 承認番号 平18総使 第582号る


駐車場(8:35)〜(8:45)最上稲荷本殿(8:55)〜(9:30)八畳岩〜(9:50)龍王山(10:10)
(10:45)
龍泉寺(11:05)〜(11:50)最上稲荷本殿(12:00)〜(12:10)駐車場 (3時間35分)



国道180号から分かれ、高さ27.5m、ベンガラ色の大鳥居を潜る

参道口手前の広い駐車場に車を停め、「龍巡り」に向かいます



土産物店が並ぶアーケードを抜け、御影石造の仁王門を潜ると

最上稲荷山妙教寺本殿(霊光殿)

最上位教王大菩薩、八大龍王尊、三面大黒天尊をお祀りしているそうです

本殿右奥、旧本殿(霊応殿)方向へ進み、七十七末社Aゾーン横から奥之院道に入る

朱塗りの鳥居、石碑、祠が立ち並ぶ神秘的な登山道です



急な石段を登ると「本滝」 夏季大祭の舞台となる行場です

本滝から幾つかの鳥居を潜りながら進んでゆくと、白瀧天王が祀られた祠があり

見上げるような巨岩が現れた 説明に 「題目岩、鬼子母神」と書かれている

 最上部の巨岩に「南無妙法蓮華経」と「鬼子母神」が刻まれています



奥之院への道から分かれ、「八畳岩」へ

「開祖報恩大師のご修行により、ご本尊・最上さまがご降臨された霊地」だそうです



八畳岩からの展望 大鳥居や、秀吉が水攻めで落した備中高松城址が見える

ここ龍王山は、太閤秀吉が中国攻めの時に本陣を構えた所です

低湿地の沼城を攻めあぐねながら足守川を眺め、水攻めを思いついたのでしょう

八畳岩の真下にある、報恩大師が籠って祈祷したという「岩窟」を見て引き返す



分岐まで戻り、奥之院への道を登ってゆく

ケーブルカー奥之院駅跡を過ぎ、八大龍王の神額がかかる石鳥居を潜り奥之院境内に入る

「稲荷山奥之院一乗寺」と刻まれた大きな石柱を見て、題目岩が林立するプロムナードを進む



奥之院本堂と 八大龍王と刻まれた一際大きい石碑(右)

周りにはたくさんの題目岩 四周からパワービームが飛んできそうな妖しい空間です



寺務所から駐車場に抜ける道脇に三角点(C286.83m 点名・竜王山)

岡山市街地方面を見る 奥に雲がかかるのは小豆島かな?



参道を引き返し、分岐を右へ逸れ、龍泉寺を尋ねます

広い道を下って行くと、身代地蔵や六道地蔵が並ぶ参道横に「こい岩湿地」



時季にはトキソウやサギソウが咲くこじんまりした湿地に、涼しげなサワギキョウが咲く

名の由来となった「鯉岩」



八大龍王のご神体・「龍王池」、その池を見守るように八大龍王大宝塔の石碑

毎年4月第3日曜日に「八大龍王祭」が行われる

最上本山 御瀧 龍泉寺ホームページ(抜粋要約
「八大龍王の御神体としてお祭りしている龍王池の由来は、吉備津彦命の時代(紀元前200年頃)までさかのぼる
平安時代に転記された鬼城縁起に拠れば、吉備津彦命の軍奉行であった楽々森舎人(ささもりとねり)は
超能力でもって、芦守山山頂 の岩をうがち、水を湧き出させ、中腹に池を造って
地域の人々をうるおした
その後、優鉢羅龍神(うはつらりゅうじん・八大 龍王の変化の一つ)が芦守山に飛来し
地域の人々を護ったので、いつしか芦守山を龍王山、池は龍王池と呼ぶようになった」




オミナエシに彩られた土手を歩き、境内へ下ってゆく 対岸に先程歩いた龍王山

千本を超えるというイロハモミジに迎えられ



「最上本山 御滝 龍泉寺」

最上位経王大菩薩(最上様・お稲荷さん)、八大龍王、鬼子母神、三面大黒天をお祀りしている

寺務所手前に、樹齢250年の「龍神の松」



八大龍王に導かれ石段を下りてゆくと、滝修行の霊場 「龍王の滝(最上の滝)」

毎年7月第4日曜日に、約150年の歴史を持つという「お滝祭り」の祭事が行われる

神々が降臨された御神輿が龍王池に神幸し、生き物の霊への感謝を込めて若鯉が放流される

龍門の急流をのぼりきった鯉は竜になるという伝説に因んでいるとか

また、御神輿が滝の中に入り六根清浄の神事が行われるそうです



「ユルギ岩  一指にて盤石をもゆるがすは妙なる法の力なりけり」 

三千貫の巨岩が指一本で動くと書かれてるけど、信心が足りないのか、ビクともしません

 「太閤腰掛岩 天正10年5月、高松城水攻めに際し山城一帯を検令せし時、一休みしたという」

太閤さんになったつもりで、ちょっと腰掛けてみました〜

厳かな雰囲気の境内ですが、ほんわかした話で一息つきましょう



こい岩湿地の東屋から15分で、奥之院参道入口 「八大龍王」の石鳥居が迎えてくれる

3時間余りの散策を終え、最上稲荷境内に下り立った

仁王門すぐ近くに駐車場があるので、参道口アーケードは正月や祭典時以外あまり通られないのか

ひっそりとした土産物店で買い物をし、駐車場に帰って来た

国道沿いでお昼を済ませ、次の「龍王山」へ向かいます


”吉備の中山龍王山”

山頂には、吉備津彦神社末社・龍神社が祀られている


GPSトラックログ (カシミールソフト使用)
この地図の作成に当たっては国土地理院長の承認を得、同院発行の数値地図50000(地図画像)、及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用
 承認番号 平18総使 第582号る


吉備津彦神社駐車場(13:00)〜(13:10)登山口〜(13:40)龍王山(13:50)〜神社周辺散策〜(14:20)駐車場
                                                 (1時間20分)



備前一之宮「吉備津彦神社」鳥居の背後に見える、龍王山を尋ねます

境内に建つ「安政の大石燈籠」 高さ11m、笠石は八畳敷の広さがあり日本一だという

文政十三年、安政四年の2度にわたり、備前一円、浅口群を中心に寄進を募り

1670余名、五千六百七十六両(約一億三千万円)の浄財が寄せられ

日米通商条約が締結された安政5年(1858)に奉納されたそうです



「吉備の中山登山口」の石柱から、登山道に入る

「中国自然歩道・吉備の中山を訪ねる道」として整備され、広くて歩き易い

古墳時代後期(6世紀頃)に造られた横穴式石室の上に、苔生した「成親供養塔」が祀られている

この五輪の塔は、鹿ケ谷事件で平清盛に捕えられた大納言藤原成親の供養塔と伝えられているそうです



龍神谷に僅かな彩りを添える、ヤマホトトギス



吉備の中山は神の山 一本一本が御神木なんでしょう

登山口から25分で分岐 本宮磐座・八大龍王0.3km、天柱岩0.5km方向へ



元宮磐座 説明版に、「この岩は神社が建てられる以前の元のお宮と考え、

元宮磐座の名前を付け大切にお祀りしている」と書かれている

ここから奥に下れば天柱岩があるそうですが、かなり茂っているし登り返しがしんどそうなのでパス

磐座から少し登ると、吉備の中山龍王山頂上(170m)

「吉備津彦神社末社 龍神社 御祭神竜王神」のプレートが立ち、

経塚に挟まれ八つの祠が寄り添っている



吉備の八大龍王を巡る山旅 もう頭の中で龍が運動会しています

東側が切り開かれた頂上から、岡山市街地でも見ながら今日は〆にしましょう

岡山県は、降水量1mm未満の日が年間276.8日で全国一だそうです

「晴れの国」と呼ばれるこの地方に龍王山がたくさんあり、龍神信仰が根付いたのも頷けます

今年は彼岸花の開花が遅れている(9月25日 天声人語)とか 温暖化が大きな原因でしょう

温暖化に伴い、ここ最近の雨は時間雨量が異常で地域も選びません

龍神様が雨乞いだけでなく降り方をコントロールする神であったら、祈願したい所です


吉備路を訪ねて、備中国分寺を見ずには帰れません



1400年以上の歴史を持つという赤米が、収穫の時を迎え赤く染まっています

総社市の国司神社では、古来より五穀豊穣を願って「赤米の新撰」神事が行われてきたそうです

古代に思いを馳せながら、暫しノスタルジアに浸りました

(備中国分寺の観光用田んぼで赤い稲穂が見られるのは、9月上旬から2週間程です)

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