2020年07月05日 ”西山の水分神社”


水分(みくまり)とは、水を分配すること

日本神話に拠れば、その分配を司るのが水分神(みくまりのかみ)です

水分神を祀る神社(水分神社)は全国にありますが

中でも有名なのが、青根ヶ峰(水分山)に鎮座する吉野水分神社で万葉集にも詠われている

《大同年間(806〜810 平安時代初期)、現在地の上千本に移転された》

神さぶる 岩根こごしき み吉野の 水分山を 見れば悲しも

後年、本居宣長が吉野を詣でた時に詠んだ和歌

吉野山 花は見ぬとも 水分の 神のみまへを おうがむがよさ 



今日は、丸亀市とまんのう町の境にある西山に祭祀されている水分神社を尋ねます



瀧鼻(瀧ノ鼻)神社前に車を停め、歩き出す

鳥居に掲げられている神額は、「蔵王大權現」



文久2年(1862)壬戌9月建立の狛犬に迎えられ神社にお参り

境内由緒書きに拠ると「創祀詳ならざれども慶長15年(1610)以前の創祀なること明らかなり

寶永5年(1708)造營ありて、明治25年(1892)本殿、同29年拝殿を再建し現在に至る」

境内脇に苔むした末社や地神社(塔)が佇む



神様のお使い「ハグロトンボ」に導かれ、本殿裏の道を上がっていくと舗装路に出る

直ぐに作業道となって緩やかに上がって行ってたら、檻のような物が・・・

説明に、火薬類などを収納する「火工所」とある



茂った広場で作業道は行止り 石段を上がってゆく

苔むした自然石の石段も風情がある



ベンチが置かれた小広い台地の四隅に平らな石がある

社か何かの 礎石のようです

台地の直ぐ上に祀られた、立派な石祠  何が祀られているんでしょう?



石祠から下りきると、ちょっと茂っていたり



歩きよい尾根道になったりしながら、山頂手前のロープ場を上がってゆく



西山山頂(△ 203.7m) その奥に祀られているのが



水分神社です 石祠の側面に刻まれている文字は「龍王神祠」

水分(ミクマリ)の神は、水の分配を司る神で、「クマリ」は「配り」を意味している

降雨の少ない讃岐では、貴重な神様だった思います

日照りが続き稲が枯れそうになると、麓の村人は西山へ登り麦わらを焚いて祈りました

そのとき、祠を岡田の方へ向けて祈ると岡田の方に雨が降り、高篠の方へ向けと高篠に雨が降ったとか



手前の祠まで引き返し、広々とした讃岐平野を眺める

中央に讃岐七富士の一つ堤山、右に綾歌三山、左に横山や綾歌竜王山



西麓の断崖が穿たれた西山を眺めながら 舗装路を下ります

往復55分と、短い山歩きでしたが

水分神社に祀られた龍王神に出会え(遭いたくないものもおりましたが)、満足、満足

土器川沿いから西山(右のピーク)を見上げ、帰路に着きました


瀧ノ鼻神社前の土器川堤防に建つ石碑に

「瀧鼻出水」の設営は、高松藩郡奉行 矢延叶次(平六)翁の一大偉業であると記されていたけど

手前のピークに祀られていた石祠は、もしかして矢延翁と関係あるのかな?

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